蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー

みーしゃ

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第一部 王立宮廷大学を目指そう!

2. 魔神大戦

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 なぜ、義弟のキリロスが「ご先祖様に申し訳ないと思わないのか!」とまで言い放ったのか。

――それは約250年前に遡る。

 かつて、人々が滅亡の危機にさらされた、魔族との大戦争があった。
 ある人間の男が、魔族を使役し、魔族の力で自らの欲望を果たそうと思いついたのだ。
 その男は、召喚魔法と使役魔法を巧みに使い、弱くて小さな魔物を使役していた。

 最初は、他人への嫌がらせや、盗みを働く程度の悪事だった。
 その男は、安全に、誰にも気付かれず、自らの能力以上の事を行わないように、慎重に気を配って行っていた。
 しかし、悪事を重ね、それが上手くいく度に、少しずつ気は緩んでいく。

 そのようなとき、闇に属する女神に目を付けられてしまった。
「……この男、我が目的に相応しい!」

 その女神は、少しずつその男の心に働きかけていった。
「お前はこの程度で満足してよいのか」
「お前にはそれが出来る」
「お前にこそ、その力が相応しい」

 男は自尊心をくすぐられ、徐々に野心を膨らませていった。
「より、強い力で!」
「より、支配できる力で!」
「より、何もかも手に入る力で!」

 男の心は少しずつ変化していき、当初の安全・確実な考え方から、無謀な挑戦へと変わっていった。
 そしてついにある日、その男は、自らが制御できる力以上の魔族を、呼び出してしまった。
 呼び出された魔族は一介の魔族などではなく、かつて神々に封じられていた、高位の魔神だった。

「あぁ……あぁぁ…………」

 その魔神は非常に大きく、恐ろしい姿をしており、強大な魔力を帯びていることは、一目で明らかだった。

 男が必死で行い続けた使役魔法は、魔神に難なく打ち破られた。
 男は心から後悔したが、完全に手遅れだった。
 魔神はその男をひょいとつまむと、顔のそばに運んで、語りかけた。

「……貴様が、私の封印を解いたのか?」

 それは人間の言葉であったが、身体の芯から恐怖を感じさせるような、異質な声だった。

「は、はひぃ!」
「……礼を言おう。しかし、貴様は下賤な身も弁えずに、魔神たる我を使役しようとしたということだな?」
「い、命だけは、命だけはお助け下さい」

 魔神は表情を変えずに答えた。

「……よかろう。命だけは助けよう。お前を死なない姿に変え、我の下僕として、一生仕えさせてやろう」
「!!!」
「死にたくても死なせないぞ。使役の罪は、使役にて報いを受け続けるのだ」

 男は醜い人形の姿に変えられてしまった。


   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇ 


 その後、復活した魔神は、多くの配下を呼び寄せていった。
 魔神はかつての神々との戦いから、学習をしていた。
 自らを過信せず、より確実に勝利を収める。
 そのためには、誰にも気付かれぬように魔力を抑え、まずは配下を増やしていく。
 そして、その質と量が整ったときに、地上に蔓延っている憎らしい神々の僕たる人間どもを一掃する。

「ある日突然、人間どもはその報いを受けるのだ!」

 魔神が復活してからも、しばらくは平穏な日々は続いていた。
 しかし、人々は何の前触れもなく、大挙して押し寄せた魔族から、奇襲を受けることになった。
 同じ日に、多くの国や街が一斉に襲撃を受けた。
 その日は、それまでで最も多くの人間が殺された日となった。

 それは後に「災厄の日」と呼ばれた。

 おびただしい数の人々が殺されていき、生き残った人たちも、ただ絶望するしか無かった。
 毎日が死の連続で、人間の生存圏が脅かされていく中、ついに強靭な魔族たちに対抗できる人々が現れた。

 彼らは、希望ト・フォース灯火ティス・エルピドスと呼ばれた。
 彼らは神々の声に耳を傾け、神々の力を借り、神々から新たな魔法を授けられた人々だった。

 彼らは、魔法を駆使して反撃し、魔族たちを一人また一人と倒していった。
 そして、ついに魔神をたおすことに成功した。

 人々は、再び自分たちの世界を取り戻したのだった。
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