蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー

みーしゃ

文字の大きさ
8 / 67
第一部 王立宮廷大学を目指そう!

7. 支配される家

しおりを挟む
 カテリーナは、ルクサリス家において、本来の序列は現当主である兄に次ぐ順位であった。

 しかし、義母カリスタは、子供たちの後見人兼教育係という立場と、屋敷内の運営責任者としての立場を上手く利用し、現在では、実質的にカテリーナの立場と逆転させることに成功していた。

「カテリーナ、その姿勢は何!? 背中をまっすぐに伸ばしたまま会釈ができないと、この家の家格まで落とすことになるのよっ! 魔力がないのであれば、せめて見た目だけは貴族らしく振る舞いなさい!」
「あっ、あっ、申し訳ございません」

 カリスタは、「魔力がない」という言葉を付け加えて、皆の前で叱る事が常だった。
 本人の努力ではどうしようもできない、持って生まれた劣った部分を強調して、人格を否定して、心をえぐっていく。

 その言葉には、カテリーナを傷つけるだけではなく、魔力量で優る義妹や義弟たちを上位に印象付け、また、使用人たちにもカテリーナはダメな存在なのだと、刷り込ませていく意図が込められていた。

 それでも、先代からの恩を感じ、当初はカテリーナの味方をする使用人も一定数以上存在していた。
 しかし、義母カリスタの巧みな人事操作により、それも覆されていった。

 カテリーナに味方する使用人たちには、きつくて嫌な仕事があてがわれ、カテリーナに味方しない使用人たちには、楽な仕事があてがわれ、カリスタに従順な使用人たちには、使用人に指示する仕事があてがわれた。
 その結果、一人、また一人とカテリーナの味方は減っていき、やがて、屋敷内でカテリーナを庇う使用人はほとんどいなくなってしまった。

「あーあ、またカテリーナさまが失敗しているよ」
「あの方は、本当に何をやらせてもダメねぇ・・・」

 屋敷内では、魔力も無く失敗の多いカテリーナは、蔑ろにしてもよいという図式が、徐々に成立していった。

 そのような味方もいない状況の中、あまりにもカリスタのが厳しかったため、カテリーナ自身も、父に訴え出たことが何度かあった。
 父ネフィリオスも、何度もカリスタに意見は言うのだが、その度にカリスタから猛反論を受けていた。

「もう少し、優しくしたらどうだ?」
「魔力を持たない貴族の娘は、せめて、マナー、教養、立ち振る舞いだけは超一流にしていかなければ、結婚自体もできなくなるのです! 子供の将来を考えたとき、あなたは本当にそれで良いのですか!」

 貴族の娘は、出来るだけ良い家に嫁がせることが、一番望ましいという考え方が、当時の貴族の一般常識であった。
 ときどき、女性でありながら、実母アナスタシアのように活躍する女性は出たものの、貴族出身の女性の多くは、よりよい世継ぎを育てきることが一番の幸せであり、また、義務であると考える者が多かった。

「ごめん、カテリーナ。あれはあれなりにお前の事を考えての事らしい。まあ、若い内の苦労だと思って、もう少しだけ辛抱してくれ」
「……はい」

 ネフィリオスは結局、カリスタに言いくるめられてしまうことが多く、正直、カテリーナの力にはなれてはいなかった。
 ネフィリオスは、将来の結婚が厳しい状態にあるカテリーナのために、自分は出来る限り働いて、カテリーナが一生涯困らない程の財産を残しておかなければ、という考えを持っていた。

 そのため、父ネフィリオスは、カテリーナからの「助けて」という心からの声に、本当の意味で気付くことができなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

追放された聖女は旅をする

織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。 その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。 国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。

『王都の神童』と呼ばれた俺、職業選定でまさかの【遊び人】三連発で追放される。……が、実は「全職業のスキル」を合算して重ねがけできる唯一のバグ

よっしぃ
ファンタジー
王都で「神童」の名をほしいままにしていた少年、ディラン・アークライト(17歳)。   剣を握れば騎士団長を唸らせ、魔法を学べば賢者を凌駕する。誰もが彼を「次代の勇者」と信じて疑わなかった。  しかし、運命の職業選定で彼が得たのは――【遊び人】。   それも、三つの職業スロットすべてが【遊び人】で埋まるという、前代未聞の怪現象だった。 「期待外れだ」 「国の恥晒しめ」   掌を返した周囲によって、ディランは着の身着のままで街を追放される。  だが、かつて神童と呼ばれた彼の「分析力」は死んでいなかった。 『……Lv1なのに、ステータスが異常に高い? それに経験値が分散せず、すべて加算されている……?』  彼だけが気づいた真実。  それは【遊び人】という名に偽装された、この世界の管理者権限(Free-Hander)であり、全職業のスキルを制限なく使用・強化できるバグ技(デバッグモード)への入り口だったのだ。  これは、理不尽に捨てられた元・神童が、その頭脳とバグ能力で世界を「攻略」し、同じく不遇な扱いを受けていた美少女騎士(中身は脳筋)と共に、誰よりも自由に成り上がる物語。 【著者プロフィール】アルファポリスより『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』を出版、オリコンライトノベル部門18位を記録。本作は2月に2巻刊行予定。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

邪神降臨~言い伝えの最凶の邪神が現れたので世界は終わり。え、その邪神俺なの…?~

きょろ
ファンタジー
村が魔物に襲われ、戦闘力“1”の主人公は最下級のゴブリンに殴られ死亡した。 しかし、地獄で最強の「氣」をマスターした彼は、地獄より現世へと復活。 地獄での十万年の修行は現世での僅か十秒程度。 晴れて伝説の“最凶の邪神”として復活した主人公は、唯一無二の「氣」の力で世界を収める――。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

処理中です...