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第一部 王立宮廷大学を目指そう!
45. 攻撃の型の実技試験
カテリーナは、魔法の実技試験場へやってきた。
騎士コースの受験者は、魔法の実技試験を一つだけ選択して受けることになっている。
受験票を提示すると、担当者は記録された魔力量と加護の色を見て、怪訝そうな顔をした。
「私の体内魔力量では魔法は使えませんので、魔法の実技試験は辞退いたします!」
カテリーナは堂々と、はっきり告げた。
魔力がほぼないにも関わらず、予想外の毅然とした態度に、逆に担当者のほうが少し戸惑ってしまった。
「あ、ああ、そうかね。ただ、辞退すると魔法の実技試験は0点になってしまうが、それでも構わないかね?」
カテリーナの胸には、兄から言われた言葉が強く残っていた。
――辞退するだけでいい。総合得点で合格を目指すのだから、割り切ることも受験では大事なことなんだ。
「はい、構いません!」
「そうか……。では記録するから、この水晶に受験票をかざして」
水晶が青白く光り、結果が記録される。
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
カテリーナは、最後まで堂々と貴族らしく振る舞い、非常に短い魔導師実技試験を終えた。
続けて騎士コースの会場へと向かった。
――ここからが本番ね。お兄さまの助言通り、まずは攻撃の基本の型の試験を受ける!
騎士の実技試験は三つ。
攻撃の基本の型、防御の基本の型、そして現役の騎士である教官三名との対戦実技。
受験の順序は自由だった。
対戦実技に関しては、回復魔法を受けた万全の状態の教官と対戦するため、後で戦う者が有利にならないように工夫されていた。
「最初は攻撃の型の試験を受けるといい。この試験が一番体力を使わないし、修練の成果を見せる意味でも疲労のない状態が最適だ。カテリーナは魔法の試験を受けないから、最高の状態で挑めるはずだ」
カテリーナは、兄から言われた言葉を思い出し、気力をみなぎらせた。
そして、過去に血を吐くような思いで繰り返してきた攻撃の型の訓練を思い出していた。
「ほら、カテリーナ、背中にも気を配って! 姿勢が崩れている。剣先で切れるように、正しく力を伝えるんだ!」
兄との訓練は、疲労やケガを回復魔法で強制的に治療され、休む間もなく続けられる苛酷な訓練だった。
だがそれを乗り越えた彼女には、いつでも披露できる美しい型と、それを支える筋力が備わっていた。
カテリーナは受験票を水晶にかざし、攻撃の基本の型の試験の列に並んだ。
試験は十人一組で行われ、大学が用意した同じ大きさの剣と盾を使う。
公平を期す仕組みだが、女性や小柄な受験生には不利となる試験だった。
しかし、戦場で同じ装備で、同じ動作をするためには、不可欠の条件でもあった。
試験で出題される型は、騎士教育を受けていれば自然と身につく基本動作ばかりだった。
しかし、そのために平民出身者は不利であり、受験生の格差が如実に現れてしまう試験でもあった。
やがて順番が回り、カテリーナたちに剣と盾が配られた。
「装備に不具合がないか確認しなさい。問題がなければ、白線の前に整列して待機するように」
担当者の言葉に従い、受験生たちは装備を確認し、整列を始めた。
全員が揃い、開始の合図とともに攻撃の基本の型の試験が始まった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……おい、誰だあれは」
剣の騎士団・団長マルキアノス・ファレグスが部下に問いかけた。
今回の騎士の実技試験は、剣の騎士団が担当していた。
「あの女性の受験生ですか?」
「そうだ。あの身体のキレ……只者ではないぞ!」
「確かにそうですね。凡庸な模倣ではなく、剣先で切れるように正しく剣が振れてますね」
「所作まで美しいな……」
剣の騎士団は、魔法の力を伴わない純粋な剣の実力に関しては、王国随一と評判の団だった。
完全に実力主義の集団であるため、宮廷大学でも教官として兼任し、実技指導に当たっている騎士も多く存在していた。
そのため、大貴族であろうとも忖度がなく平等に扱うため、試験官にも最も相応しいという事で、ここ数年は毎年、宮廷大学の騎士コースの試験を担当していた。
団長のマルキアノス自身も平民の出身であり、妻も娶らず剣一筋に生き、数々の武功により昇爵し、子爵にまで昇りつめた立志伝中の人物でもあった。
「……えー、彼女はカテリーナ・ルクサリス。ルクサリス侯爵家の令嬢です」
「ああ、あのアレクシオス殿の妹君か! 仕事中毒で名高かった男が、妹の受験のために長期休暇を取ったと聞いていたが……このためだったのか!」
「……団長、優れているのは型だけではないかもしれません」
「……うむ、お前も気付いたか。命のやり取りを経験した者特有のオーラを纏っているな。型を超え、本物へと昇華している……これは相当な使い手だぞ」
「これでは他の受験生が気の毒ですね」
「誰が見てもその差が明らかになってしまう。他の者が見劣りしているように見えてしまうな」
「他の受験生に誤った採点をしないように、後で注意しておきます」
「頼む。……しかし、あれほどの出来でも、満点の百点しか与えられないのが惜しいな。百二十点、いや百五十点は与えたいくらいだ」
カテリーナは試験に集中していたため、彼女の型の美しさに騎士たちが感嘆の声を漏らし、他の受験生がその差を痛感していることに、全く気づいていなかった。
騎士コースの受験者は、魔法の実技試験を一つだけ選択して受けることになっている。
受験票を提示すると、担当者は記録された魔力量と加護の色を見て、怪訝そうな顔をした。
「私の体内魔力量では魔法は使えませんので、魔法の実技試験は辞退いたします!」
カテリーナは堂々と、はっきり告げた。
魔力がほぼないにも関わらず、予想外の毅然とした態度に、逆に担当者のほうが少し戸惑ってしまった。
「あ、ああ、そうかね。ただ、辞退すると魔法の実技試験は0点になってしまうが、それでも構わないかね?」
カテリーナの胸には、兄から言われた言葉が強く残っていた。
――辞退するだけでいい。総合得点で合格を目指すのだから、割り切ることも受験では大事なことなんだ。
「はい、構いません!」
「そうか……。では記録するから、この水晶に受験票をかざして」
水晶が青白く光り、結果が記録される。
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
カテリーナは、最後まで堂々と貴族らしく振る舞い、非常に短い魔導師実技試験を終えた。
続けて騎士コースの会場へと向かった。
――ここからが本番ね。お兄さまの助言通り、まずは攻撃の基本の型の試験を受ける!
騎士の実技試験は三つ。
攻撃の基本の型、防御の基本の型、そして現役の騎士である教官三名との対戦実技。
受験の順序は自由だった。
対戦実技に関しては、回復魔法を受けた万全の状態の教官と対戦するため、後で戦う者が有利にならないように工夫されていた。
「最初は攻撃の型の試験を受けるといい。この試験が一番体力を使わないし、修練の成果を見せる意味でも疲労のない状態が最適だ。カテリーナは魔法の試験を受けないから、最高の状態で挑めるはずだ」
カテリーナは、兄から言われた言葉を思い出し、気力をみなぎらせた。
そして、過去に血を吐くような思いで繰り返してきた攻撃の型の訓練を思い出していた。
「ほら、カテリーナ、背中にも気を配って! 姿勢が崩れている。剣先で切れるように、正しく力を伝えるんだ!」
兄との訓練は、疲労やケガを回復魔法で強制的に治療され、休む間もなく続けられる苛酷な訓練だった。
だがそれを乗り越えた彼女には、いつでも披露できる美しい型と、それを支える筋力が備わっていた。
カテリーナは受験票を水晶にかざし、攻撃の基本の型の試験の列に並んだ。
試験は十人一組で行われ、大学が用意した同じ大きさの剣と盾を使う。
公平を期す仕組みだが、女性や小柄な受験生には不利となる試験だった。
しかし、戦場で同じ装備で、同じ動作をするためには、不可欠の条件でもあった。
試験で出題される型は、騎士教育を受けていれば自然と身につく基本動作ばかりだった。
しかし、そのために平民出身者は不利であり、受験生の格差が如実に現れてしまう試験でもあった。
やがて順番が回り、カテリーナたちに剣と盾が配られた。
「装備に不具合がないか確認しなさい。問題がなければ、白線の前に整列して待機するように」
担当者の言葉に従い、受験生たちは装備を確認し、整列を始めた。
全員が揃い、開始の合図とともに攻撃の基本の型の試験が始まった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……おい、誰だあれは」
剣の騎士団・団長マルキアノス・ファレグスが部下に問いかけた。
今回の騎士の実技試験は、剣の騎士団が担当していた。
「あの女性の受験生ですか?」
「そうだ。あの身体のキレ……只者ではないぞ!」
「確かにそうですね。凡庸な模倣ではなく、剣先で切れるように正しく剣が振れてますね」
「所作まで美しいな……」
剣の騎士団は、魔法の力を伴わない純粋な剣の実力に関しては、王国随一と評判の団だった。
完全に実力主義の集団であるため、宮廷大学でも教官として兼任し、実技指導に当たっている騎士も多く存在していた。
そのため、大貴族であろうとも忖度がなく平等に扱うため、試験官にも最も相応しいという事で、ここ数年は毎年、宮廷大学の騎士コースの試験を担当していた。
団長のマルキアノス自身も平民の出身であり、妻も娶らず剣一筋に生き、数々の武功により昇爵し、子爵にまで昇りつめた立志伝中の人物でもあった。
「……えー、彼女はカテリーナ・ルクサリス。ルクサリス侯爵家の令嬢です」
「ああ、あのアレクシオス殿の妹君か! 仕事中毒で名高かった男が、妹の受験のために長期休暇を取ったと聞いていたが……このためだったのか!」
「……団長、優れているのは型だけではないかもしれません」
「……うむ、お前も気付いたか。命のやり取りを経験した者特有のオーラを纏っているな。型を超え、本物へと昇華している……これは相当な使い手だぞ」
「これでは他の受験生が気の毒ですね」
「誰が見てもその差が明らかになってしまう。他の者が見劣りしているように見えてしまうな」
「他の受験生に誤った採点をしないように、後で注意しておきます」
「頼む。……しかし、あれほどの出来でも、満点の百点しか与えられないのが惜しいな。百二十点、いや百五十点は与えたいくらいだ」
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