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第一章初めまして、今日から宜しくお願い致します
上京と状況
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この世には、八百万の神様がいる。
目には見えないかもしれない。
けれど、確かに居るんだ。
……でも現代では信仰心が薄れ、その存在を信じる人達もまた少なく稀少価値となっていった。
そうするとどうなるか?
神様とて、ずっと神々しい神様では要られない。俗に言う、神様落ちになってしまうのだ。
この物語は、そんな神様の切実な事情と現代においての人間との関わり合いとを描いた物だ。
神様だって、ただでは要られない。
仕事をするしないんです!!
◇◇◇
この物語の主人公、大和は大変困っていた。……活きてく詫び錆びで内向的になってしまった性格と額縁眼鏡。
ボサボサの髪。
名誉の為にも言っておきたいが、別に不潔と言う訳ではない。
お風呂は好きである。
良く見ると髪もさらさらだ。
でも目を隠すほどの長い前髪でどう見たって、格好いい外見ではない。
意識的にそうしているきらいは有るが、自己肯定術の一つなので、今更変えることは出来なかった。
こんな大和だが、記者志望で仕事を得る為田舎から少し都会に上京してくると言う行動力はあったのが奇跡。
そんな有るようで全然計画性が無い行動のせいで、念願の記者にはなったが、未だスクープらしい物は一つもなかった。
完全出来高なので、お給料らしき物も乏しい。
上司からは、何でも良いから売れるネタを持ってこいとせっつかれる始末。
ないないないの無いもの尽くしの大和は早くも追い詰められていた。
お金が底をついてきたのである。
「どうにかして仕事をしなくちゃ……飢え死にしてしまう……」
鬱陶しい前髪を垂らすだけ垂らして項垂れても誰も近寄っても来ない。
寧ろ、離れていくばかりだった………。
大和は記者として、追いかけているネタがあった。
それは、宗教勧誘してくる会社が有ると言う嘘臭い情報。
ネットで調べてもそれ以上の事が何故か上がってこない。
それもこの情報社会に措いておかしいと言えるのではないか?
大和は何とか記者としての情報網で何とかその会社に面接を取り付ける事に成功したのだ。
情報は足で稼ぐものだと、誰かが言っていた………様な気がする。
ない情報なら、潜入取材をしてでも得たいと思うのが記者魂。
大和はちょっとドキドキしながら、この株式会社神崇社の社屋迄やって来た。。
えっ!?株式会社なの!?…誰がそんな会社の株買うの?!と言う突っ込み処満載なのが怪しすぎる。
それに場所もまた変なのだ。
大きく見れば場所は一等地だが、路地裏で解りにくく、ビルもまた小さく古びていた。……何か昔の探偵事務見たいな感じだな、と大和は考えていた。
「考えていてもしょうがない」
自分で自分に言って聞かせるとボイスレコーダーを懐に仕込んで会社に入った。
インターホンを押して直ぐ、一人のぽっちゃりで可愛らしい若い女性が出迎えてくれた。
くりっとして、ちょっとつり上がった眼は猫の様だ。
そんな彼女の案内で、大和は社長室迄案内される事になったのだ。
おいおい、社長直々に面接かよ!?と大和は思ったが、そもそもこの会社の事を知りたいのだから、結果オーライと言うものだ。
それにしてもこのビル、小さな表とは裏腹に中は恐ろしく広い。長く延びた通路は真っ直ぐなのに、あまりに長くて迷いそうだ。そんなに歩いていないはずなのに、既に入り口が見えないのだ。
まじで怖い。
先入観からか、ちょっとしたホラー映画の様だ。
早くもこの会社に潜入したことに後悔しそうにななった所で、エレベーターに乗った。選択できる階は上と下しか選べない。
上は解るが下って……うん、考えない様にしよう!
案内の女性は上へのボタンを押して、エレベーターは上に向かうのだが、違和感を覚えた。
何故なら、エレベーター特有のフワッと胃が浮く感じがなかったからだ。
浮遊感は有るが、何て言うか、体ごと浮いている感じがする。空を飛べるってこんな感じかなって思う。
それにしても、上ってそこまで上がるんだ?
だって、外観からしたら、3階建て位の建物だった筈だ。
と言うことは、物理的にそれ以上は上がれない訳で……でも体感的にもっと上には上がっている感じがする。
…………うん、考えるのは止めよう。
そんな事を考えてたら、いつの間にかエレベーターは目的の階まで到着した様だ。
「…こちらです」
エレベーターの扉が開くと案内の女性は、俺を社長室迄案内した。
といっても、このフロアーには社長室しかないから迷いようがない。
ノックをして直ぐに入室の許可が降りた。
「失礼します」女性は社長室のドアを開けた。中にいたのは、若い男性。
中々に美形だ。中性的?ってこう言う感じをさすのかな。
でも、女々しさは全然ない。
寧ろ、力強さをひしひしと感じてくる。
「初めまして、本日面接して頂く神山大和です。宜しくお願い致します」
ガバッっと頭を下げた。
「合格!!」
「えっ!?」
いや、有り難いんだが、まさかそんな言葉が還ってくるとは思わないじゃないか。
面接だってしていない。挨拶しただけだ。
「何だ、嫌なのか?」
目の前の美形が俺に聞いてくる。
言葉遣いがあれだが、不思議と嫌じゃなく彼はそれで良いのだと、納得してしまっている自分がいる。
「私が言うのもどうかと思いますが、面接しなくて良いのですか?」
「言葉を交わすことに何の意味がある?…視ただけで、その人となりは解る。例え取り繕っていたとしても意味がない」
今、視たって言ったか?
ヤバい。…どうやら俺はヤバい場所に来てしまった様だ。
目には見えないかもしれない。
けれど、確かに居るんだ。
……でも現代では信仰心が薄れ、その存在を信じる人達もまた少なく稀少価値となっていった。
そうするとどうなるか?
神様とて、ずっと神々しい神様では要られない。俗に言う、神様落ちになってしまうのだ。
この物語は、そんな神様の切実な事情と現代においての人間との関わり合いとを描いた物だ。
神様だって、ただでは要られない。
仕事をするしないんです!!
◇◇◇
この物語の主人公、大和は大変困っていた。……活きてく詫び錆びで内向的になってしまった性格と額縁眼鏡。
ボサボサの髪。
名誉の為にも言っておきたいが、別に不潔と言う訳ではない。
お風呂は好きである。
良く見ると髪もさらさらだ。
でも目を隠すほどの長い前髪でどう見たって、格好いい外見ではない。
意識的にそうしているきらいは有るが、自己肯定術の一つなので、今更変えることは出来なかった。
こんな大和だが、記者志望で仕事を得る為田舎から少し都会に上京してくると言う行動力はあったのが奇跡。
そんな有るようで全然計画性が無い行動のせいで、念願の記者にはなったが、未だスクープらしい物は一つもなかった。
完全出来高なので、お給料らしき物も乏しい。
上司からは、何でも良いから売れるネタを持ってこいとせっつかれる始末。
ないないないの無いもの尽くしの大和は早くも追い詰められていた。
お金が底をついてきたのである。
「どうにかして仕事をしなくちゃ……飢え死にしてしまう……」
鬱陶しい前髪を垂らすだけ垂らして項垂れても誰も近寄っても来ない。
寧ろ、離れていくばかりだった………。
大和は記者として、追いかけているネタがあった。
それは、宗教勧誘してくる会社が有ると言う嘘臭い情報。
ネットで調べてもそれ以上の事が何故か上がってこない。
それもこの情報社会に措いておかしいと言えるのではないか?
大和は何とか記者としての情報網で何とかその会社に面接を取り付ける事に成功したのだ。
情報は足で稼ぐものだと、誰かが言っていた………様な気がする。
ない情報なら、潜入取材をしてでも得たいと思うのが記者魂。
大和はちょっとドキドキしながら、この株式会社神崇社の社屋迄やって来た。。
えっ!?株式会社なの!?…誰がそんな会社の株買うの?!と言う突っ込み処満載なのが怪しすぎる。
それに場所もまた変なのだ。
大きく見れば場所は一等地だが、路地裏で解りにくく、ビルもまた小さく古びていた。……何か昔の探偵事務見たいな感じだな、と大和は考えていた。
「考えていてもしょうがない」
自分で自分に言って聞かせるとボイスレコーダーを懐に仕込んで会社に入った。
インターホンを押して直ぐ、一人のぽっちゃりで可愛らしい若い女性が出迎えてくれた。
くりっとして、ちょっとつり上がった眼は猫の様だ。
そんな彼女の案内で、大和は社長室迄案内される事になったのだ。
おいおい、社長直々に面接かよ!?と大和は思ったが、そもそもこの会社の事を知りたいのだから、結果オーライと言うものだ。
それにしてもこのビル、小さな表とは裏腹に中は恐ろしく広い。長く延びた通路は真っ直ぐなのに、あまりに長くて迷いそうだ。そんなに歩いていないはずなのに、既に入り口が見えないのだ。
まじで怖い。
先入観からか、ちょっとしたホラー映画の様だ。
早くもこの会社に潜入したことに後悔しそうにななった所で、エレベーターに乗った。選択できる階は上と下しか選べない。
上は解るが下って……うん、考えない様にしよう!
案内の女性は上へのボタンを押して、エレベーターは上に向かうのだが、違和感を覚えた。
何故なら、エレベーター特有のフワッと胃が浮く感じがなかったからだ。
浮遊感は有るが、何て言うか、体ごと浮いている感じがする。空を飛べるってこんな感じかなって思う。
それにしても、上ってそこまで上がるんだ?
だって、外観からしたら、3階建て位の建物だった筈だ。
と言うことは、物理的にそれ以上は上がれない訳で……でも体感的にもっと上には上がっている感じがする。
…………うん、考えるのは止めよう。
そんな事を考えてたら、いつの間にかエレベーターは目的の階まで到着した様だ。
「…こちらです」
エレベーターの扉が開くと案内の女性は、俺を社長室迄案内した。
といっても、このフロアーには社長室しかないから迷いようがない。
ノックをして直ぐに入室の許可が降りた。
「失礼します」女性は社長室のドアを開けた。中にいたのは、若い男性。
中々に美形だ。中性的?ってこう言う感じをさすのかな。
でも、女々しさは全然ない。
寧ろ、力強さをひしひしと感じてくる。
「初めまして、本日面接して頂く神山大和です。宜しくお願い致します」
ガバッっと頭を下げた。
「合格!!」
「えっ!?」
いや、有り難いんだが、まさかそんな言葉が還ってくるとは思わないじゃないか。
面接だってしていない。挨拶しただけだ。
「何だ、嫌なのか?」
目の前の美形が俺に聞いてくる。
言葉遣いがあれだが、不思議と嫌じゃなく彼はそれで良いのだと、納得してしまっている自分がいる。
「私が言うのもどうかと思いますが、面接しなくて良いのですか?」
「言葉を交わすことに何の意味がある?…視ただけで、その人となりは解る。例え取り繕っていたとしても意味がない」
今、視たって言ったか?
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