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第4話 一断ちの命
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「……おめい、出かけるんか。今日一日は、わしも鬼になるで」
神田お玉が池の裏長屋。陽光も届かぬ薄暗い室内で、徳三は研ぎ澄まされた裁断刀を手に、勝色の革と対峙していた。
七日間、命を削るようにして再生させたその革は、いまや深海の静寂を湛えたような青を宿している。職人の荒れた指先に応えるように、しっとりと、吸い付くような潤いを帯びていた。
「まかしとき、おっちゃん。うちはうちで、『藍凪屋』の格を整えてくるわ。……ええな、その一断ちが、うちらの命やで」
おめいはそう言い残すと、小さな包みを手に表へ出た。
徳三は深く息を吐き、型紙を当てる。和泉屋の看板を背負っていた頃の、守りの仕事ではない。これは背水の陣の裁断だ。一寸の狂い、一毛の迷いも許されない。藍で染まった指先が、革の繊維が走る微かな「脈動」を感じ取る。
「……よし。ここや」
鋭い刃先が沈黙を切り裂く。サク、という雪を踏むような小気味よい音が響き、断面には芯まで染まりきった藍の層が、宝石の断面のように現れた。
裁断を終えると、次は『キセル筒』への貼り込みだ。お師匠さんから譲り受けた黒柿の原木から、長年寝かせて削り出した芯材。そこに、薄く漉いた勝色の革を巻いていく。徳三は長崎で学んだ異国の接着技を応用し、継ぎ目が指先でも判ぜぬほど滑らかに、革を木へと同化させていった。
「次は、縫いや……」
松脂を引いた強靭な麻糸を針に通す。勝色の革は厚く、誇り高い。一針通すごとに、革が「キュッ」と鳴いて抵抗し、徳三の指に食い込む。すでに藍で青くふやけた指先からは、じわりと血が滲んでいた。
だが、彼は痛みなど忘れていた。一針ごとに、柳原で手に入れた唐組の紐、四分一の緒締、そして黒柿の根付けが、ひとつの「粋」へと結ばれていく。
その頃、おめいは長屋の共同井戸を離れ、町外れの銭湯にいた。
熱い湯船に首まで浸かり、そっと目を閉じる。この数日間、徳三が散らかした泥を浚い、住人たちの罵声を背中で受け流しながら這いつくばってきた時間が、汗と共に溶け出していくようだった。
「……あ。やっぱり、酷い格好やね」
湯上がりに自分の手を見つめ、おめいは小さく溜息をついた。
大坂の両替商の娘として大切に守られてきた白い手は、泥浚いで荒れ果て、爪の間には徳三と同じ藍の情熱が深く入り込んでいる。米ぬかで擦っても落ちないその青は、藍凪屋がこの江戸の地で生き抜こうとした格闘の証でもあった。
おめいは懐から、和泉屋時代に使っていた上質な軟膏を取り出した。
「痛た……。おっちゃんの頑固さが、うちの手にも移ったみたいやわ」
ひび割れた節々に、祈るように軟膏を塗り込んでいく。この手で明日、日本橋の若旦那に「初荷」を差し出さねばならない。荒れた手は職人の家族としての誇りだが、商談の場では、相手を心酔させる「格」が必要だった。
次に彼女が向かったのは、職人街でも評判の髪結所だ。
「あら、お嬢さん。随分と苦労した手をしてるけど、顔立ちは良いわね。どうする? 今風の『燈籠鬢』にでもしとくかい?」
横に張り出した透け感のある鬢(びん)が流行りだが、おめいは可愛らしく首を傾げてみせた。
「江戸の若旦那衆が、思わず二度見してしまうような……一番『粋』な格好にしてくださいな」
結い上げられた髪は、江戸の空気を映したように軽やかで、それでいて大坂の凛とした気品を失っていなかった。鏡の中に映るのは、もはや裏長屋で泥を浚っていた娘ではない。日本橋という戦場に乗り込む、藍凪屋の若き女主人だった。
夕刻。おめいが長屋に戻ると、そこには異様なまでの静寂と藍甕から漂う藍の独特な匂いだけが広がっていた。
行灯の頼りない光の下で、徳三が最後の一針を終え、完成した「提げたばこ入れ」を凝視している。おめいの気配に気づき、徳三がゆっくりと振り返った。
「……おめいか。見違えたな」
「おっちゃんも、ええ顔してる。……できたんやね」
机の上に置かれたのは、もはや言葉を拒むような名品だった。
勝色の革が放つ重厚な艶。徳三が彫り上げた赤銅の金具には、金の龍が今にも虚空へ飛び立ちそうな勢いで潜んでいる。
「これや。……これが、藍凪屋の、江戸への名刺代わりや」
提げたばこ入れが完成したその夜、おめいはお師匠さんに頼み込んで、空いていた裏長屋の一室を一晩借りた。
大切に隠し持っていた小さな文庫を開き、中から取り出したのは、大坂・和泉屋にいた頃に愛用していた名香。火を灯すと、神田お玉が池の泥の匂いや煮炊きの煙に満ちた裏長屋にはおよそ似つかわしくない、上品で清廉な香りが静かに立ち込める。
おめいは、呉服屋の当主である父・宗右衛門が選んでくれた、最高級の振袖を衣桁に掛けた。
「……お父ちゃん、借りるで。これは藍凪屋の『軍資金』や」
一晩かけて、絹の裏地まで香を丁寧に焚き染めていく。それは単なる虚飾ではない。商談相手に「この娘はただ者ではない」と一瞬で知らしめるための、商人の戦支度だ。
翌朝。おめいは冷たい井戸水で顔を洗い、鏡に向かった。清楚でいて凛とした化粧を施し、数日間、溝を浚い、泥をさらって荒れ果てたその手には、白粉(おしろい)を丹念に叩き込む。最後に、昨晩塗った爪紅とお揃いの高価な紅を口に引く。
そこへ、徳三がひょいと顔を出し、 「おめい、これを持っていけ」 差し出されたのは、徳三がかつておめいに贈った、シンプルながらも繊細な彫金が施された銀の簪(かんざし)だった。長崎出島の異国の風を感じさせる、江戸にはない独特の曲線美を湛えた逸品だ。
「……おおきに、おっちゃん」
おめいがその簪を、結い上げたばかりの髪に差して立ち上がった瞬間、そこにいたのは「長屋の掃除娘」ではない。凛とした気品と、大坂の大店を背負って立つような威厳を纏った、どこからどう見ても良家のお嬢様そのものであった。
おめいが路地へ出ると、井戸端に集まっていたお勝や住人たちが、一斉に石のように固まった。 「……な、なんだい、あのお嬢さんは……?」 そんな様子には目もくれず、おめいは隣で口を半開きにしている源太を手招きした。
「源ちゃん、あんたも今日はちょっと上等なべべ(着物)着てもらうよ」
おめいは、源太に用意しておいた、いかにも「お嬢様のお付き」にふさわしい清潔な着物を着せた。
そして最後に、自らの腰に、徳三が命を懸けて仕上げた『勝色の革の提げたばこ入れ』を誇らしげに提げた。
深海のような青を湛える革、金の龍が踊る前金具、そして黒柿の根付け。 長屋の衆は、その異様な美しさと、おめいの変貌ぶりに、ただただ惚けたような表情で見送るしかできなかった。
そこへ、徳三が煤けた半天のまま現れ、いつもの調子で手を振った。
「おうおめい、今日は気張ってこいよー!」
あまりに能天気な掛け声に、住人の一人が我に返って徳三に詰め寄った。
「……おい徳さん、あ、あのたばこ入れ……まさか、あんたが作ったのかい!?」
「てやんでぇ! 藍凪屋の名を忘れんなよ!」
徳三の笑い声を背に、おめいは源太を引き連れ、日本橋へ向けて颯爽と歩き出しました。
目指すは、先日目星をつけた、あの退屈そうな若旦那の店。 江戸の「粋」を、藍凪屋の「藍」で塗り替えるための、真の戦いが今、開く。
神田お玉が池の裏長屋。陽光も届かぬ薄暗い室内で、徳三は研ぎ澄まされた裁断刀を手に、勝色の革と対峙していた。
七日間、命を削るようにして再生させたその革は、いまや深海の静寂を湛えたような青を宿している。職人の荒れた指先に応えるように、しっとりと、吸い付くような潤いを帯びていた。
「まかしとき、おっちゃん。うちはうちで、『藍凪屋』の格を整えてくるわ。……ええな、その一断ちが、うちらの命やで」
おめいはそう言い残すと、小さな包みを手に表へ出た。
徳三は深く息を吐き、型紙を当てる。和泉屋の看板を背負っていた頃の、守りの仕事ではない。これは背水の陣の裁断だ。一寸の狂い、一毛の迷いも許されない。藍で染まった指先が、革の繊維が走る微かな「脈動」を感じ取る。
「……よし。ここや」
鋭い刃先が沈黙を切り裂く。サク、という雪を踏むような小気味よい音が響き、断面には芯まで染まりきった藍の層が、宝石の断面のように現れた。
裁断を終えると、次は『キセル筒』への貼り込みだ。お師匠さんから譲り受けた黒柿の原木から、長年寝かせて削り出した芯材。そこに、薄く漉いた勝色の革を巻いていく。徳三は長崎で学んだ異国の接着技を応用し、継ぎ目が指先でも判ぜぬほど滑らかに、革を木へと同化させていった。
「次は、縫いや……」
松脂を引いた強靭な麻糸を針に通す。勝色の革は厚く、誇り高い。一針通すごとに、革が「キュッ」と鳴いて抵抗し、徳三の指に食い込む。すでに藍で青くふやけた指先からは、じわりと血が滲んでいた。
だが、彼は痛みなど忘れていた。一針ごとに、柳原で手に入れた唐組の紐、四分一の緒締、そして黒柿の根付けが、ひとつの「粋」へと結ばれていく。
その頃、おめいは長屋の共同井戸を離れ、町外れの銭湯にいた。
熱い湯船に首まで浸かり、そっと目を閉じる。この数日間、徳三が散らかした泥を浚い、住人たちの罵声を背中で受け流しながら這いつくばってきた時間が、汗と共に溶け出していくようだった。
「……あ。やっぱり、酷い格好やね」
湯上がりに自分の手を見つめ、おめいは小さく溜息をついた。
大坂の両替商の娘として大切に守られてきた白い手は、泥浚いで荒れ果て、爪の間には徳三と同じ藍の情熱が深く入り込んでいる。米ぬかで擦っても落ちないその青は、藍凪屋がこの江戸の地で生き抜こうとした格闘の証でもあった。
おめいは懐から、和泉屋時代に使っていた上質な軟膏を取り出した。
「痛た……。おっちゃんの頑固さが、うちの手にも移ったみたいやわ」
ひび割れた節々に、祈るように軟膏を塗り込んでいく。この手で明日、日本橋の若旦那に「初荷」を差し出さねばならない。荒れた手は職人の家族としての誇りだが、商談の場では、相手を心酔させる「格」が必要だった。
次に彼女が向かったのは、職人街でも評判の髪結所だ。
「あら、お嬢さん。随分と苦労した手をしてるけど、顔立ちは良いわね。どうする? 今風の『燈籠鬢』にでもしとくかい?」
横に張り出した透け感のある鬢(びん)が流行りだが、おめいは可愛らしく首を傾げてみせた。
「江戸の若旦那衆が、思わず二度見してしまうような……一番『粋』な格好にしてくださいな」
結い上げられた髪は、江戸の空気を映したように軽やかで、それでいて大坂の凛とした気品を失っていなかった。鏡の中に映るのは、もはや裏長屋で泥を浚っていた娘ではない。日本橋という戦場に乗り込む、藍凪屋の若き女主人だった。
夕刻。おめいが長屋に戻ると、そこには異様なまでの静寂と藍甕から漂う藍の独特な匂いだけが広がっていた。
行灯の頼りない光の下で、徳三が最後の一針を終え、完成した「提げたばこ入れ」を凝視している。おめいの気配に気づき、徳三がゆっくりと振り返った。
「……おめいか。見違えたな」
「おっちゃんも、ええ顔してる。……できたんやね」
机の上に置かれたのは、もはや言葉を拒むような名品だった。
勝色の革が放つ重厚な艶。徳三が彫り上げた赤銅の金具には、金の龍が今にも虚空へ飛び立ちそうな勢いで潜んでいる。
「これや。……これが、藍凪屋の、江戸への名刺代わりや」
提げたばこ入れが完成したその夜、おめいはお師匠さんに頼み込んで、空いていた裏長屋の一室を一晩借りた。
大切に隠し持っていた小さな文庫を開き、中から取り出したのは、大坂・和泉屋にいた頃に愛用していた名香。火を灯すと、神田お玉が池の泥の匂いや煮炊きの煙に満ちた裏長屋にはおよそ似つかわしくない、上品で清廉な香りが静かに立ち込める。
おめいは、呉服屋の当主である父・宗右衛門が選んでくれた、最高級の振袖を衣桁に掛けた。
「……お父ちゃん、借りるで。これは藍凪屋の『軍資金』や」
一晩かけて、絹の裏地まで香を丁寧に焚き染めていく。それは単なる虚飾ではない。商談相手に「この娘はただ者ではない」と一瞬で知らしめるための、商人の戦支度だ。
翌朝。おめいは冷たい井戸水で顔を洗い、鏡に向かった。清楚でいて凛とした化粧を施し、数日間、溝を浚い、泥をさらって荒れ果てたその手には、白粉(おしろい)を丹念に叩き込む。最後に、昨晩塗った爪紅とお揃いの高価な紅を口に引く。
そこへ、徳三がひょいと顔を出し、 「おめい、これを持っていけ」 差し出されたのは、徳三がかつておめいに贈った、シンプルながらも繊細な彫金が施された銀の簪(かんざし)だった。長崎出島の異国の風を感じさせる、江戸にはない独特の曲線美を湛えた逸品だ。
「……おおきに、おっちゃん」
おめいがその簪を、結い上げたばかりの髪に差して立ち上がった瞬間、そこにいたのは「長屋の掃除娘」ではない。凛とした気品と、大坂の大店を背負って立つような威厳を纏った、どこからどう見ても良家のお嬢様そのものであった。
おめいが路地へ出ると、井戸端に集まっていたお勝や住人たちが、一斉に石のように固まった。 「……な、なんだい、あのお嬢さんは……?」 そんな様子には目もくれず、おめいは隣で口を半開きにしている源太を手招きした。
「源ちゃん、あんたも今日はちょっと上等なべべ(着物)着てもらうよ」
おめいは、源太に用意しておいた、いかにも「お嬢様のお付き」にふさわしい清潔な着物を着せた。
そして最後に、自らの腰に、徳三が命を懸けて仕上げた『勝色の革の提げたばこ入れ』を誇らしげに提げた。
深海のような青を湛える革、金の龍が踊る前金具、そして黒柿の根付け。 長屋の衆は、その異様な美しさと、おめいの変貌ぶりに、ただただ惚けたような表情で見送るしかできなかった。
そこへ、徳三が煤けた半天のまま現れ、いつもの調子で手を振った。
「おうおめい、今日は気張ってこいよー!」
あまりに能天気な掛け声に、住人の一人が我に返って徳三に詰め寄った。
「……おい徳さん、あ、あのたばこ入れ……まさか、あんたが作ったのかい!?」
「てやんでぇ! 藍凪屋の名を忘れんなよ!」
徳三の笑い声を背に、おめいは源太を引き連れ、日本橋へ向けて颯爽と歩き出しました。
目指すは、先日目星をつけた、あの退屈そうな若旦那の店。 江戸の「粋」を、藍凪屋の「藍」で塗り替えるための、真の戦いが今、開く。
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コメントありがとうございます!
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音感についても、身に余るお言葉をいただき大きな励みになります!
ありがとうございます!
徳三さんもおめいちゃんもキャラ最高です!
続き楽しみにしてます😊
ありがとうございます!