江戸『古道具 藍凪屋 〜再生と縁結いの物語〜』

藍舟めいな

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第9話 新たな藍の風

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十一月半ば、神田お玉が池。

 このあたりは、日が落ちると途端に夜の闇が重くなる。かつて広大だった池の大部分は埋め立てられたとはいえ、湿った土の匂いと、どこか重い湿り気がこの地にはこびりついている。池を撫でて吹く風は冬の予感を孕み、長屋の薄い壁を震わせては、住人たちの背筋を冷たく撫でていく。

 夜九ツを告げる鐘の音が、遠くから地を這うように、低く、重苦しく響いてきた。

「遅くなってすまねぇ、おめいさん。……へへっ、冷えるねぇ」

 格子戸の隙間から、夜気と共に滑り込んできたのは、隣の綿屋を営む茂平だ。下野国真岡から流れてきたこの若者は、お人好しが服を着て歩いているような男である。

「構いませんよ。寒かったでしょう、こちらへ」

 おめいは火鉢の炭を突き、鉄瓶の鳴る音を合図に、琥珀色の酒を注いだ。

 世間話の合間、おめいはそれとなく、共同で半纏を仕立てる話を切り出した。藍凪屋の染めと、茂平が実家から仕入れる上質な真岡の綿。互いの強みを合わせれば、目の肥えた江戸の客を唸らせるものができるはずだ。

「藍凪屋さんの勝色は見事だもんで。あっしのような者が一緒に仕事ができるなんて、光栄だ。いやぁ、ありがてぇ」

 茂平は顔を綻ばせ、何度も頭を下げた。田舎の訛りが、彼の誠実さを物語っている。その屈託のない笑顔を見ながら、おめいの胸の奥には、商売人としての冷ややかな算盤の音が響く。
(この人は、ほんまに善人や。……けど、商売の怖さを何も知らん。このおめでたさで、いつまでこの江戸という化け物屋敷で生きていけるんやろか)

 おめいは看板娘の愛想笑いを崩さぬまま、酒を注ぎ足した。その心根の冷え込みは、誰にも悟らせない。それが江戸という荒波で生き抜くための、彼女なりの武装であった。

 翌朝、お玉が池を包む霧を切り裂くように、おめいの声が飛んだ。
「おさき、今日はこの勝色の布を仕上げるよ」
 おめいの手元にあるのは、徳三が心血を注いで染め上げた、深く、どこか昏い青。

 大坂の老舗呉服屋で、幼い頃から布の端切れを玩具にして育ったおめいだ。裁断の鋏を握れば、その指先は獲物を狙う鷹のように鋭い。

 その傍らで、おさきが針を運ぶ。庄内地方に伝わる刺し子の技法は、江戸の職人の大まかな針目とは一線を画す精緻さだ。

 一針、一針。およねから教わった「魔除け」や「無病息災」の祈りが、密やかな幾何学模様となって布に刻まれていく。おめいはその横顔を見つめながら、江戸の娘たちがこの意匠に目を輝かせる姿を、確信を持って思い描いていた。

 そのころ、土間では徳三が、刺すような冷水に腕を突っ込み、更紗と向き合っていた。
 先日、柳原の土手の古着市で、ゴミ同然の山の中から手に入れた和更紗。さらには、その汚れた布の中に紛れ込んでいた、本物の「古渡更紗」。

 更紗の修復は、一日や二日で終わるほど甘い仕事ではない。
 初日は、まず布の「顔」を見る。極細の刷毛を使い、繊維の隙間に入り込んだ数十年前の埃を一粒ずつ払い落とす。二日目からは、藁を焼いた灰から取った「灰汁」を使い、布に染み付いた古い油分と泥を浮かせていく。
「……水が足りねぇな。江戸の水は、どうにも気が短くていけねぇ」

 徳三は、慣れない江戸言葉を独り言のように呟く。だが、作業に没頭し、布の傷み具合が酷い箇所に差し掛かると、つい素が出る。
「……あかん。これ、だいぶ無理させはったな。難儀なこっちゃ」

 徳三は、小さな薬研で染料を挽き、渋柿の汁や茶の葉を混ぜて、「古びた赤」や「枯れた緑」を作り出す。和更紗は顔料を膠で留めているため、水に浸けすぎれば絵が剥げる。剥げれば、その文様を周囲の色に合わせて、極細の筆で一点ずつ描き直さねばならない。
 新しい染料をそのまま乗せれば、そこだけが安っぽく浮き、品がなくなる。元の気品に近づけるためには、あえて色を沈ませる職人の勘と、気の遠くなるような時間が必要だった。

 修復を始めてから七日目。ようやく更紗が本来の呼吸を取り戻した頃だった。

「くーずー、いー、おー」
 拍子木を叩くような、どこか間の抜けた声が、霧の向こうから近づいてくる。

「……来たわね」
 おめいが呟くより早く、屑屋の八五郎はっつぁんが、音もなく徳三の背後に立っていた。

「お呼びですか、旦那」
「うわっ! ……なんや、びっくりするやないか! 脅かすんや……ねぇ、この野郎!」

 飛び上がった徳三は、慌てて後半を江戸言葉に言い直したが、もう遅い。はっつぁんはニヤリと下卑た笑いを浮かべ、柳に風と受け流した。

「へへっ、旦那、今のどこの言葉ですかい? 景気がいいや」
「うるせぇや! さっさとブツを見せろってんだ!」

 顔を真っ赤にして怒鳴る徳三を余所に、おめいははっつぁんの屑籠を覗き込み、木屑や陶片、紐の類を厳しく品定めした。

「この陶片、いい色やね。はっつぁん、なかなか目利くようになったなあ」
「へへっ、おめい姐さんに鍛えられてやすから。……あぁ、そうそう。江戸の商人連中の間でも、藍凪屋の名がちょいと噂になり始めてやすよ」
 
 はっつぁんは鼻を鳴らし、さらに声を潜めた。

「深川の姉さんたちも、新しい合切袋に興味津々だ。ついでに町の看板娘ちゃんたちにも、ちょろっと情報を流しといちゃいましたよ」
「さすが、はっつぁん。頼りにしてるわ、おおきに。これ、手間賃や」

 おめいが勘定を払うと、彼はまた音もなく、霧の中へ風のように消えていった。

 その日の午後、藍凪屋はかつてないほどの熱気に包まれた。

 徳三は屑屋から仕入れた古い伊万里の陶片や、硬い木材を研ぎ、緒締やコキを削り出す。その手つきは、先ほどの慌てようが嘘のように、冷徹で正確だった。おめいは組紐を丁寧に洗い、干しながら、一銭、二銭の利益を冷徹に弾き出す。

 そして夕刻。おさきが十日間かけて、指先を赤く腫らしながら完成させた精緻な刺し子布の山と、徳三が死の縁から呼び戻した和更紗の山が、おめいの針によって一つに結ばれていく。

 出来上がったのは、掌に乗るほどの、しかし確かな重みを感じさせる巾着だ。

 表は、地味だが凛とした、力強い勝色の刺し子。だが、その紐を緩め、中を覗き込めば――そこには、徳三が苦労して色を戻した、息を呑むような更紗の赤が、まるで秘密を共有するように潜んでいる。

 江戸っ子が最も好む、粋の極致。「裏勝り」。

 初めて自分の手が形になった品を目にし、おさきの目に涙が溜まった。

「……できた」

 一粒の涙が零れ落ち、着物の布に、吸い込まれるような小さな染みを作った。

「ようやったな、おさき」
 徳三が、節くれだった大きな手でおさきの頭をわしわしと撫でる。

「ちょっと、おっちゃん、髪が乱れるやろ。せっかく綺麗に結うてたんやから」
 おめいは呆れつつも、おさきの髪を優しく整え、誇らしげに完成品を眺めた。

 夜が更け、おさきを帰した後の藍凪屋は、再び静寂の底に沈む。

 徳三が行灯を引き寄せ、取り出したのは「ベロ藍」だ。長崎・出島で手に入れた、毒々しいほどに鮮やかな、異国の青。

 彼は昼間に整形した伊万里の陶片に向き合った。元の朱色で描かれた繊細な花模様はそのままに、その周囲のくすみを、薄めたベロ藍で一点ずつ、息を止めて消していく。朱とベロ藍。相反する色が交差し、陶片に、江戸の職人には出せない異形の美が宿る。

「おっちゃん。……ついにそれなおすんか」
 いつの間にか背後に立っていたおめいが、低く、語りかけた。
「……あぁ。和更紗を直すんは、これの筆慣らしや。こいつは、まだ機嫌を直してくれへん」

 徳三の声から、無理に作った江戸の気風の良さは消えていた。天井裏に隠していた本物の古渡更紗を広げる。虫に食われ、時が喰らった欠落を、出島の秘伝の染料で埋めていく作業は、まるで過去の亡霊を弔う儀式のようでもあった。

 行灯の火影が揺れる中、徳三の指先は、江戸の日常からはみ出した「禁断の美」を復元していた。
 
 お玉が池の闇が深まるほどに、藍凪屋の奥で光るその色彩は、ますます不気味に、そして美しく、その輪郭を際立たせていく。

 それは、ただの古道具屋ではない。この屋根の下には、江戸の誰一人として知らない、異国の「業」と大坂の「欲」が渦巻いているのだった。
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