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本編2章
目が覚めるとそこには…。
しおりを挟む俺はあまりの事に混乱しすぎて意識を手放したわけだけど、目が覚めたら心配そうに俺の顔を見るアッシュの姿があった。
うん、夢だと思いたかった、悪夢だと…なんで、アッシュと俺婚約?しかも、子供が産める体ってなに?
前回あれだけ中出しされたのに妊娠しなかったんだから、男が妊娠できる世界線じゃないはずだよな。
ぱちぱちと何度か瞬きしてから、のっそりと上体を起こすとアッシュが俺の肩に触れて、ぼふんとまた横にされた。
「え?」
「ダメだよ、まだ起きたら…、ユーリ、突然の事で驚かせてごめんね?」
「…………」
「ユーリのことを見かけたことがあるんだ、その時に一目でユーリとけっこんしたい!っておもった…だから、これは私のワガママなんだ…」
嘘だろ、いつ見られたかわかんねぇけど、一目惚れされたって…そんな馬鹿な。
いつから攻略するはずが攻略される側になってんの俺?
だって、こんなのそうとしか思えないじゃん。
本来なら攻略をして好感度上げてハピエンを目指すゲームなのに、俺の知らないところで一目惚れされて婚約って、どう考えても攻略されてるのは俺としか…。
実は俺が転生するまでにけっこう時間が空いてて、続編として主人公を攻略対象にしたゲームとか作品とかなんかでてんの?
実はそっちの世界で転生してましたってオチ?いや、でも、たとえそうだとしても矛盾してるよな。
なんで、前回と違って男でも妊娠できるってなってるのか、これが変だ。
ループしたことで追加された新機能!みたいなノリだったりするこれ?
それとも、ループしたことで実績解除されて追加されたとか、追加アプデで追加されたとか?
マジで意味がわかんねぇ…。
俺が考え込んでると不意にアッシュの顔が迫ってきて、ビクッと肩が震えた。
だって、そんな…唇に柔らかな唇の感触が触れてすぐに離れたそれは紛れもないキスなわけで。
結局今回もアッシュが初キスの相手らしい。
困惑してるとアッシュの声が優しく響く。
「いきなりしてごめんね?なにか考えてたみたいだけど、私との婚約は決まったことだよ」
俺の意思はなしかあああああああ!!!!!
自分の父親は違うと思ってたのに、子供を利用するような親じゃないと、信じてたのに裏切られた気分だ。
「ふふっ、ごめんね、私のわがままを押し通しちゃって、ユーリのことは絶対に幸せにするし、好きにさせてみせるって言っちゃったんだ、期限はデスペア学園に入学するまで…それまでに、ユーリを振り向かせるの出来なければ婚約は解消される」
「そう…なの?」
「そうだよ…、だから……」
────────ユーリ、また私の元に堕ちておいで…。
うん?今なんて言いました、この方、またって言った?
あれ、もしかして…アッシュ、記憶が…ある、の?
アッシュの手が瞼に触れて、あ、これ…って思った時には遅くて俺は意識を手放した。
───────ユーリ、私から逃げるのは許さないよ。
目が覚めるとそこにはアッシュの姿はなかった。
いや、あのさ、なんなん?
俺ってなんでこうも眠らされるわけ、意味わかんねぇ…。
つか、アッシュ見かけたからとかよく嘘つきやがったなマジで!!
なにが見かけた…、いや、前回のことを考えれば、まぁ、間違いちゃいない?
あー…、記憶断片的にない可能性もあるのか、俺みたいにバッチリ覚えてないのかな。
ただ、あの発言からして俺とたぶん心中したのは覚えてるっぽいな。
頭をガシガシと掻き乱して、混乱する頭を整理する。
アッシュはなぜか、今回は女装してないこと、王子として普通に暮らしてるらしいこと、それにどこまで記憶あるのかわかんねぇけど、記憶があるらしいこと。
これ、アッシュ以外も記憶があったらやばいことになるよな、例えばアッシュが記憶あるのは俺と…心通わせたからみたいな?
それで強い執着心がアッシュの中で生まれて記憶があるとか、もしくはこの世界がどうなってんのかわかんねぇけど、ループできる時点で普通じゃないのはたしかだし、……うーん、まじ意味わかんねぇ…。
考えれば考えるほどに混乱してくる。
子供のせいでもあるんだろうが、上手く事態を飲み込めない気がするんだよな。
次に会えるのはシエルだから、シエルの様子を見るとするか、シエルにも記憶があれば、おそらく全員あるだろ。
とりあえず、整理しきれない情報をまとめるために日記、日記と、ここにアッシュの記憶があることや、なぜか、ゲームでやった事がないような設定が追加されたことを記入しとかないとな。
書いてから本棚に隠そうとして、ふと気づく。
こんな本、持ってたっけ?と。
やけに古びた分厚い本がなぜだか気になって、目から離れないそれを手に取って、パラパラとめくって中身を確認していくと、本に書かれてる内容を理解したら体が震えだし手に持っていられなくなり手から本が滑り落ちた。
なんで?どうして?
本に書かれてた内容に言葉が出てこない、恐怖からひゅーひゅーと音がもれるだけで呼吸が荒くなる。
はっはっと浅く息を繰り返しても苦しくて、頭がクラクラして目の前が真っ黒に染まって……それから俺は気を失ってしまった。
目を覚ますと頭がズキンと痛んだ。
頭を押えてゆるく振ってから気づく、ベッドに上に寝かされてたことに。
俺が倒れたことに使用人の誰かが気づいてベッドに運んでくれたようだ。
ため息が自然ともれる、憂鬱な気分だ。
あの分厚い本、そこに書かれてたのは俺の知らない俺の話だった。
俺と同じように日記をつけていたのだろう、何度もループしてるような内容だった。
最初は誰とも恋愛関係にはならず、誰も闇落ちもしないで平和な人生を送っていたが盗賊によって殺されたらしい。
その次から皆の様子が少しずつ変化したようだ。
最初友達として過ごしてるから、たぶん好感度はそこそこあったし、蓄積した好感度によって話しが変わったんだろうな。
どんなに避けようとしても誰かがヤンデレ化を必ずしてるし、公開プレイもレイプもありとあらゆるところで犯されたり、薬使われたり、それに妊娠なんてできないはずなのに妊娠できるようになったり、イベントを避けようとすると違うことが起きて、起きなかったイベントがツジツマが合うような出来事があとからついてくるとか、そんな事が書かれていた。
あー…、なんだっけ、なんか映画にあったよな、死からは逃れるのができないみたいなやつ。
死ぬはずだった運命の人達が1人の発言によって死なずにすんで、でも、そのあと運命力なのか、よくわかんねぇけど違う死に方をしていくんだよな。
あれみたいな感じってことか、誰かとしっかり結ばれるハピエンな結末を迎えないととか?
でもさ、俺とアッシュの前回の結末ってある意味共依存ENDみたいになんねぇわけ?
俺アッシュと心中したんだぞ、1人で死なせるのできなくて……。
それに気になることが書いてあるんだよな、また戻れなかった、帰れなかった、また出られなかったとか、どういう意味だこれ?
こんなのユーリの設定になかったと思うけど、ユーリはちゃんと人間として生きてて…俺が記憶を取り戻したことで消えた?
いや、もしかしたら……ユーリの日記らしき本には最後の方になると消えたい、死にたい、もうやだ、無理だって書かれていた。
俺はユーリが生み出した別人格とか?
俺の中にユーリがまだいるとか…。
その可能性だってないわけじゃないよな、これだけ追い詰められてたなら。
そうすると俺の前世の記憶はユーリのもので、ユーリは別の世界の人間だと自分で思ってたとか…。
そういや、俺自分が死んだ時の記憶がないんだよな、別に思い出さなくてもいいだろうと考えてたけど…思い出した方がいい気がしてきた。
自分が実は死んでなくて、なんだっけ?なんかあったよな、ゲームの世界に取り込まれるとか、小説の世界に本を開いたら取り込まれたとか、そういう設定ってありきたりというか、そんなふうに思ってたけど、俺がその状態だったら笑えるな。
体ごと取り込まれたのか、精神だけ取り込まれたのか、そっちの可能性についても考えないとダメだな。
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