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本編2章
2度目ましての初めまして。
解決策が見つからないままにシエルとの出会いの日が来てしまった。
シエルは俺を見ると涙ぐんでいたから、前回の記憶があることが判明した。
シエルには申し訳ないが、記憶がないフリをした、だって、俺アッシュと正式に既に婚約してるし、シエルが記憶あってもどうにもならねぇもん。
多分その事にはすぐに気づくだろうな、婚約したのもあって、週一くらいの頻度でアッシュとデートをすることになったから。
てか、これ、他の人達ヤンデレまっしぐらだったりすんじゃね?
記憶があればだけど、記憶がなかったら最初から俺には婚約者いるし、たぶん、ヤンデレになる要素ないよな。
シエルが俺の部屋でソワソワしてるのが、さっきから気になるんだよな。
専属執事になるからって、ずっと俺の部屋にいなくてもいいのに…。
シエルを一瞥して、ため息を軽く吐き出してから口を開いた。
「用があれば呼ぶから、部屋を出て行ってくんない?気が散る」
俺の言葉を聞いて、絶望したようなそんな表情をするシエルに心の中で、ごめんねと謝った。
優しくしないって決めてんだ、優しくしたらまたヤンデレ化してしまうから。
「…あっ、あの、えっと…私と…、お話しをしてくださらないのですか?」
「……用があれば呼ぶって言ったよな?見てわかんない?俺は忙しいんだよ、婚約者に手紙を書いてるから」
自分から婚約者がいることをばらす事にした。
シエルとはどうこうなることはないとハッキリと理解してもらわないと後々に面倒なことになるし、今度は国外追放なんてさせない。
そのためなら俺は……心を鬼にする。
悲しげな表情で俺を見たシエルがグッと下唇をかみ締めて、泣くのを堪えてるような様子に罪悪感で胸がズキリと痛んだ。
「失礼しました…、ユーリ様…」
震えた声音で紡がれた言葉に俺が泣きそうになるからやめてほしい。
俺って甘いんかな、前回、シエルに犯されたのに傷つけるの嫌だなんて…なんなんだろうな、この感情がどこからくるのがわからない。
パタンと扉が閉まる音が聞こえて、シエルが出ていったのを確認すれば、机の上で手紙に頭を悩ませる。
婚約してからこれも決められたこと、できるかぎり毎日手紙のやり取りをすること。
絆を深めるのにいいからという理由らしいが…、俺の頭の中を自分でいっぱいにしたいんだろうな。
記憶があるなら、アッシュは最初からヤンデレってことになる。
選択ミスったらまた心中することになるか、アッシュを俺が殺すことになるか、どちらにせよ、誰かが死ぬのだけはやだな。
いまだなにも書けてない手紙から目を背けて、椅子にもたれて天井を仰ぎみる。
記憶があることに触れたらダメだよな、触れるってことは俺もあるのを認めることになるし、そうなったら手加減なしで囲い込みがはじまりそうだ。
聞きたいことは山ほどある、なんで、前回あんなことをしたのかとか、俺と一緒に死ぬことを拒否らなかったのか、最後の笑顔はなんだったのか、そして……本当に俺のことを愛してんの?ってことを…。
アッシュとの手紙は結局日常的なものを送ることにした。
下手に記憶のことに触れたらダメだと思うし、いっそのことアッシュにも記憶がないフリを試すのありだと考えた。
本当に些細なことを手紙に書いて、当たり障りがない会話を続けてるんだけど、アッシュからの手紙は俺が恥ずかしくなるほど、愛に溢れてるんだよな。
今日見かけた花が俺に似てたから、俺を思い出したとか、今度花を届けさせるとか、なんか…激甘すぎてヤンデレなの忘れそうなくらい糖度マシマシな手紙が届くから正直いえば嬉しい……気もする。
そりゃあ、一緒に死ぬくらいには絆されてたんだし、その相手からそんな熱烈な手紙を毎日届けられて嬉しくない人間いないだろ。
と、誰に言い訳するわけでもなく言い訳がましいことを考えちまうのって、今回こそ恋愛フラグ全折りを決めてたからなんだよな。
シエルとのフラグは、多分今のところ問題なしに折れてると思う、シエルが俺を見る目が泣きそうで罪悪感で息苦しさは感じるけど。
正直、家にいても前回みたいに安らげる場所とは思えないのって、この罪悪感のせいだろうな。
家にいる時はほとんど、部屋の中に引きこもりっぱなし、シエルと顔を合わせるのが気まずくて今じゃ部屋の中にいる時間のが多い。
前回は使用人にまざって色々やったりしてたんだけどさ、それで父様と母様に怒られたりしたっけ。
今回は俺マジでいい子ちゃん、部屋で勉強したり、手紙を書いたり、今の情報を整理するのに日記を書いたり、そんな日々を送ってると体を動かすことが好きな俺はストレスが溜まる一方なわけで。
頭をガシガシ掻いて、ダメだ、気が滅入る!
このまま家にいることが多いとマジで俺がダメになりそうと思い立って、気を紛らわすのに外の空気を吸おうと散歩に出ることにした。
散歩には一人で行く、まぁ、この国は比較的治安がいいし、俺が宰相の息子だからって誘拐事件とか起きるわけでもない。
今のところは……、俺の行動次第で変化するなら絶対に起きないともかぎらないけど、万が一起きたらそれって攻略対象と関係するってことなんだよな。
多分それ関係以外ならイベント?起きないっぽいし。
本を読み返して思ったけど、多分合ってるとはず、でもそうなると…やっぱ、この世界ってゲームなんか?
俺中心に回ってるの変じゃね?
外に出てもこんなんばっか考えてたら気晴らしにならねぇ、ああ、もう!
純粋に人生を楽しみたかったわ、全然楽しくねぇ。
ふと、目に止まった光景にん?と首を傾げる、あれ、なんだ?眼鏡をかけた地味な男の子が喧嘩売られてるように見える。
止めたほうがいいよな、なんで大人誰もいないんだよ、ハァーーーーー…、俺こういうの知らん顔できないって。
自分より歳上であろう少年たちの元に赴く。
俺の姿を見た悪ガキっぽいほうが、俺を睨んできた。
ああ、俺手荒な真似とか嫌いなんだよな…、一応主人公そこそこ魔法も使えるし、剣術もやってるから戦えないことはない。
しかも、俺2周目だから魔法そこそこ使えるし、魔力がめちゃめちゃ消費するのは年齢的にまだ無理だけど。
まぁ、でも、相手は自分より小さい俺をバカにしてるっぽいし、これなら体術でもいけるな。
「…何があったか知らんけどさ、かっこ悪いよ、お前、イジメなんて」
「はぁ??お前俺が誰か知らねぇの?」
「…雑魚っぽい、よくあるよね、自分のこと知らないのかって偉そうに名乗る雑魚って、わざわざありがとう、モブくん」
これくらい挑発すれば、手が出るかな?
睨む少年を気にせず、横を通ろうすれば手が伸びてきたのを見逃さなかった。
まんまと引っかかった少年の手首を掴んで、少年の勢いを利用して足をひっかけて投げ飛ばしてから、横になった少年の顔を跨いでにっこり笑顔で見下ろす。
「ねぇ、このまま顔面踏み潰したら痛いかな?」
「ひっ、やめっ、やめろ!」
「どうしよっかな~、年下に負けて悔しくないの?俺よりあきらか年上なのにさ、やっぱり、雑魚は雑魚だよね」
「わっ、悪かった…悪かったからやめてくれ……」
─────なんて言うと思ったか!!
と、足に伸びてきた手を軽く飛んで踏みづければ、ゴキっと嫌な音がしたから少年の手が折れたっぽい。
痛みからか絶叫をあげた少年のことは放置して、地味な虐めれられたっぽい少年に近づくと、なんか、どっかで見たような気がするんだよな。
「大丈夫だった?」
「うっ、うん、ありがとう、でもいいの?」
「なんで?」
「だって、その…彼、貴族だよ」
「ふーん、そうなんだ、別に関係ないかな、貴族とか、いじめる方が悪いんじゃん」
ニカッと笑ってみせると、頬をうっすら少年が染めるから……あっ、まって、このゲーム隠しキャラなんていたっけ?あれ、誰だこれ…、モブが主人公に恋するなんてないよな。多分だけど。
やらかした可能性が高い、これ、助けちゃダメだったかも。
前髪ももっさもさで顔なんてよくわかんなかったし、思わず助けちゃったけど、頬を染めてるからたぶんこれ攻略対象のはずだ。
でも、俺、目の前の少年が誰だか分かりません。
しーくれっときゃら?そんなのいたの?
じぃっと見つめると、髪の色が紫紺色っぽい気もするけど、リバーの髪色より明るい気がする。
「あっ、あの、僕リバーって言うんだ、本当にありがとう!」
「……あっ、うん、リバーが無事でよかったよ、それじゃ、もう俺行くから」
「まって、名前教えて!」
「ああー…正義の味方は名前名乗らないものだよ!それじゃあね!」
咄嗟に変なこと言った気がするけど、名前バレるわけいかないし、しかたないよな。
悪ガキの絶叫が聞こえたのか、走って逃げる途中大人の姿が見えたけど、大丈夫だったかな。
俺のせいでリバーが酷い目に遭わないといいけど、そこだけが心配だ。
走って家に戻って使用人への挨拶もそこそこに部屋に閉じこもって、さっきのリバーを思い出して冷や汗が流れる。
完全にあれは俺に惚れてた、俺がユーリだって気づいてなかったっぽいし、記憶がないんかな?
ユーリってかなり面影あるはずだ。
16の俺を見てから今の俺を見ても、ユーリだってなるくらいにはわかりやすいと思う。
リバーのことはマジわかんなかったけど、なんであんな前髪もさもさのメガネなんだ?
それに女の子みたいな話し方もしてなかったし、アレはずるすぎだろ、あんなんわかるわけねぇって…。
本棚から日記を取り出して、机に向かって、椅子に座ると、とりあえず今日の情報を書いておかねぇと。
リバーが予想外に地味すぎるから、この情報書いておかねぇと絶対また俺やらかす。
てか、前回リバーにあってたんだな、なんか落し物拾った記憶はあるけど、あれだけで一目惚れされたの、俺?
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