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花蓮お姉ちゃん
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念願
私が高校に入学をする前、下村市には遂に電車が通るようになった。理由としては周遊バスがあるものの同じ県内に移動するのに時間がかかりすぎる。山の麓(ふもと)に街があり自転車で越えようとするにはあまりにも酷で車の免許がない学生には街に行くのには不便すぎると抗議の署名が集まり念願の下村駅が作られて単線だが電車が通ることになった。
これにより私は那古野市に2時間かかっていたのが途中電車の乗り換えは必要だが1時間で行けるようになるのはホントに有難い。
入学式当日、生憎の雨だった。
私は新たな制服に身に纏い電車に乗った。電車に乗ったのなんて何年ぶりだろう。最寄りの那古野総合公園駅を降りた。これからどんな仲間と出会えるのか期待と不安で胸がいっぱいだった。
入学式が終わり調理科の教室に行き席に座った。花蓮久しぶり~、私のこと覚えている?
「あ、うん。莉菜だよね~?久しぶり」
ちょっと、忘れていたでしょ?鈴本莉菜(すずもとりな)だよ。花蓮、なんでそんな不安気なの?まぁ推薦で合格して部活の誘いがあった花蓮とは違うけれどさ。同じ下村中学出身として仲良くしてよね。
私はもちろんだよ。下村にも駅が出来て電車が通る日が来るなんて思いもしなかったよね。連絡先交換しよう。
莉菜はうん、連絡先を交換しよう。花蓮は何が得意なの?クッキーとかケーキとか色々あると思うんだけどさ。
私はそうだね~、なんでも作るから何が得意って聞かれると難しいかな。明日クッキー作ってくるよ。実は秋の学園祭にも参加させてもらって繁盛しててクッキー完売したからさ。
莉菜はマジで!?花蓮スゴいね。じゃあ私もクッキー焼いてくるからお互いに食べあいこしようよ。気になる点とかあったら言い合おうよ。
私はそれいいね、莉菜のクッキー食べたことないしどんな感じなのかスゴく気になる。
放課後、莉菜は私に声をかけた。
花蓮この後どうする?私は部活あるなら行くしないなら特に決めてないかな。莉菜も調理部に入らない?みんな優しい先輩でやりやすいよ。
私は職員室に行き市本先生を呼んだ。すると市本先生は今から出張に行かれるみたいだよ。名前と用件を言ってもらえれば連絡しておきます。
私はとりあえず伝えてもらうことにした。調理科1年七瀬花蓮が調理部の部活はいつから参加したらよろしいか聞いてもらってもよろしいですか?
私は市本先生が出張か。ちょっと調理室を覗いて誰もいなかったら帰ろうか。いるなら私だけ挨拶しておこうかなって思って。
教室を覗くと誰もいない。今日は休みなのか、莉菜帰ろうか。雨降ってる事だし今日はまっすぐ帰ろうよ。
私と莉菜は電車に乗って下村駅へと向かった。
そういえば莉菜ってどこに住んでいるの?莉菜は郵便局の近くに家があるところだよ。花蓮はどこに住んでいるの?私は下村公園の近くだよ、晴れた日に遊びに来てよ。
莉菜は花蓮ありがとう。ウチにも遊びに来てよ。私、家こっちだから明日も花蓮ら一緒に学校行こうよ。
私は莉菜と別れて家に向かうために公園の前を通った。
1人の男の子
すべり台の上で体育座りをしている小学生くらいの男がびしょ濡れになって俯いていた。私は男の子に傘を差し出してこんな所にいると風邪引くよと声をかけた。
男の子は木村大智(きむらだいち)小学4年生ですと挨拶をした。
1度雨よけの出来る小さな穴に私を案内した。私は何があったのかお姉ちゃんに話して欲しいと優しく声をかけた。友達とケンカして公園にいるうちに雨が降ってきたと言った。
私は雨が降ってきたならこの穴に入ればよかったんじゃない?大智はケンカした友達が公園に来て謝りに来ると思って。ぐぅ~とお腹が鳴り恥ずかしそうにしていた。
大智君、お腹空いた?何か食べさせてあげるからウチに来て。私は小学生の時に着ていたジャージを渡してクッキーを焼いて差し出した。
美味しい、こんなクッキー食べたことないと称賛してくれてとても嬉しかった。大智君、私のジャージそのまま着て帰っていいよ。家に送っていくから案内して。
大智はお姉ちゃんのクッキー美味しかったです。今日は僕のためにクッキーを焼いてくれてホントにありがとう。またお姉ちゃんのクッキー食べたいな。
私はそう言ってもらえてお姉ちゃんも嬉しいよ。大智君の頭を撫でていつでもクッキー食べに来てね。
私は大智君がまるでかわいい弟が出来たような気がしてスゴく嬉しかった。
加入
翌日、私は莉菜と一緒学校に向かった。学校帰りに公園で大智君っていう小学生の男の子が雨でずぶ濡れになっていたから家に連れて行ってクッキーを差し出したことを話していた。
莉菜は理由はなんであれ男の子にクッキーをあげるって花蓮優しいね。私にもクッキー食べさせてよ。
私は莉菜も食べに来て。公園の前が家だから分かりやすいと思うよ。莉菜は何部に入るか決めた?
莉菜はまだ決めてないよ。花蓮は調理部に入るの?
私はうん、そうだよ。兼部してもいいって言われてるから兼部するなら調理部の傍ら出来る部活を探すかそれとも調理部1本で行くか決めるかって感じ。
始業式から1週間、本格的な授業というより自己紹介と授業の内容の概要を説明して授業が終わった。
私は莉菜を誘い調理室に向かった。
調理部のみんなは花蓮ちゃん久しぶり~、元気にしていた?前に会った時よりもかわいくなってるねと声をかけてくれた。隣の人は?
鈴本莉菜です、花蓮とは同じ中学出身です。
私も自己紹介しないとね。3年生部長の石川紗綾(いしかわさや)です宜しくね。莉菜ちゃんは体験入部ってことでいいかな?
莉菜はそうですね、何も分からないのでまずは体験入部でお願いします。花蓮から聞きましたが兼部も可能みたいなのでもしかしたら調理部と他の部活を兼部するか可能性もあります。
他のみんなも挨拶して。
3年生副部長の星野香苗(ほしのかなえ)です。3年生神里美波(かみさとみなみ)です。2年生横須賀美華(よこすかみか)です。2年生海島梨紗(うみしまりさ)です。2年生森河美紅(もりかわみく)です。
紗綾はじゃあみんな、今日はチョコを作ろうか。花蓮ちゃん、莉菜ちゃんはチョコ作れるなら作ってもらおうかなって思うけれどムリならみんなの食べてどこがいいか意見してね。
私は作ります。莉菜はどうする?
莉菜は今日はみなさんの見学してます。
紗綾さんや先輩、私はチョコを作り冷蔵庫に入れて冷やしていた。その間、ずっと喋っていた。
紗綾は莉菜ちゃん、ビックリしたでしょ?温めている間や冷蔵庫に冷やしている間の時間はこうやってみんなで喋っていてね。
莉菜はでもそれだと時間を忘れてしまいませんか?
花蓮はだと思うでしょ?そうならないようにこのタイマーでセットしているからその心配はないよ。
莉菜は調理科に入りましたが調理は皆無で花蓮や先輩方に迷惑かけてしまいますがよろしいですか?
紗綾はもちろんだよ。前に花蓮ちゃんが学園祭に参加させてもらった時にクッキー食べたけれど私より美味しくて辞めようかどうか迷ったよ。
私は紗綾さんのクッキー美味しかったですよ。あのクッキーを食べて参考にしようと思ったのでそんなこと言わないでくださいよ。チョコ出来ましたよ。
みんなでチョコを食べた。
紗綾はやっぱり花蓮ちゃんのチョコ美味しいね。莉菜ちゃんもそう思わない?
莉菜はこのチョコレートスゴい、クセになります。とても同い年が作ったとは思えません。
もちろん先輩方のチョコもとても美味しいです。
紗綾は花蓮ちゃんは別格だとしてもここにいる殆どが調理科じゃなかったり何も知らずに入ってきてる子が多いから上手い下手とか気にしないでいいよ。
莉菜は調理部に入部することを決めた。
紗綾はじゃあ改めて調理科と調理部の違いを説明するね。
調理科では和食、洋食といったマナーや調理、献立を考えたりするのが主にメインだけど調理部ではそういったものも作るけれどお菓子やスイーツを作るのがメインになるかな。コンテストがあればその都度出場しようかなって考えているよ。
莉菜は入部届に名前を書いて紗綾さんと連絡先を交換をして私たちは下村駅に向かった。
届き物
1週間後、ママから花蓮宛に荷物が届いたと渡された。誰かなと思い確認をすると東京都、茅川智恵実と書かれていた。中身を開けると1冊の本と手紙が同封されていた。
「花蓮ちゃんお元気ですか?改めて手紙を書くのは照れくさいですね。手紙と一緒に入れた本ですが今回、私の処女作の虹色の空という作品です。よかったら読んで見てね」
それを見て私は智恵実ちゃんはもう作家デビューを果たしたのか、負けてられない。
本を鞄に入れて私は明日に備えて寝床についた。
翌日、下村駅に行くと莉菜が声をかけた。
花蓮おはよう~、何か嬉しそうだけど彼氏でも出来たの?私はそんなのじゃあないよ。ただ旧友から届け物が家に来て頑張っているんだなって思って。
莉菜は旧友?私の知っている人?
ホームに入ってきた電車に乗り鞄から本を取り出した。莉菜は虹色の空ってキレイなタイトルだね。私はこの七川蓮実って同じ中学校の茅川智恵実ちゃんだよ。莉菜は智恵実にしても花蓮しても私の1歩先を進んでいる感じがするな。
私はホント智恵実スゴいよね。負けてられないって思ったよ。莉菜は知っているか分からないけれど小学生の時に七川蓮実っていう名前で私と智恵実ちゃん、2人で短編小説を書いて入賞してさ。
智恵実がその時のペンネームを使ってくれているお互いに切磋琢磨しようってことを意味していると思うな。
莉菜は突然泣き出した。
私は莉菜、どうしたの?私気に障ること言った?
莉菜はううん、智恵実や花蓮が夢に向かって頑張っている姿を見て私は何をしているのかなって思ってさ。周りの目もあるから私は莉菜にハンカチを渡して涙を拭うように伝えて最寄り駅まで話を頷いて聞いていた。
電車を降りて莉菜は私に言い放った。
私、花蓮より美味しいお菓子やスイーツを作る。花蓮に負けたくない。勉強が出来るわけでもない、女子力が高い訳でもない。だからこそ同じ女子として調理部に誘ってくれた花蓮のためにも莉菜にはとてもじゃあないけれど及ばないなって思わせたい。私からの挑戦受けてもらえるかな?
私はもちろん、挑戦は受けるよ。それは部活やコンテスト等そういう機会だけにしようよ。同じ下村中学出身でもある莉菜とは仲良くして行きたいから。
莉菜はたしかに花蓮の言う通りだね。勝手に舞い上がっちゃってゴメンね。じゃあこの続きは部活に行ってからだね。
私と莉菜は前後の席で調理実習で4人グループになることが多くみんなに役割分担をして1つの料理、いや1つの作品を作ることが私のスタイルだった。
莉菜はホント花蓮はスゴいね。指示も的確で他の班の人よりも早かった。1人でやったらもっと早かったかもね。
私は別に1人でも出来ると思うけれどそれだと調理実習の意味がないでしょ。仲間と共に協力してするのが調理実習の意義なんだから。それに莉菜は私のことを美化しすぎだよ。早いところ食べて片付けないと次の授業に間に合わないよ。
片付けを終えて教室に戻り数学の授業を受けていた。私、昔から数学で何を言っているのか……。
ちょんちょん、莉菜この問題どういうこと?
ちょっと待ってねと数学の公式を詳しく説明して例題を1つ書いて私に渡してくれた。
私はなにコレ、説明分かりやすい。授業中に分からないところは莉菜に聞くことを心に決めた。
授業後、莉菜は私に声をかけた。
よかった、花蓮にも苦手なことがあるんだって知れて。問題が分からなくて背中つついたり小声で私を呼ぶ姿はかわいかったよ。頭撫でてあげたかった。
私はもう、莉菜のイジワル。中学の時、莉菜ってそんな子だっけ?私はそんな子だったよ。
ププル、ププル、花蓮携帯鳴っているよ。
もしもし花蓮です、紗綾さんどうされましたか?
紗綾は今日の部活だけど休みだもんで宜しくね。じゃあ電話切るね。
莉菜は紗綾さんからの電話なんだった?
私は今日部活休みだって。莉菜、どうする?
花蓮の家でクッキー食べたい。ダメかな?
私はいいよ。どうせならお互いにクッキー焼いて食べあいこしようよ。そっちの方が楽しいじゃん。
放課後、私と莉菜は電車に乗って下村駅に帰ってきた。花蓮の家に行くの初めてだな。
私は言われてみればたしかにそうだね。中学の時にも遊びに来てくれてもよかったのに。
花蓮は覚えてないと思うけれど私、転校してきてしばらく馴染めずに学校に行けない日があってさ。その時に同じ高校に行くことになった花蓮を見て羨ましくもスゴいなって見ていたよ。
私はそっか……なんか思い出させちゃってゴメンね。当時学校終わってすぐに高校に行ってたから莉菜が同じ高校に行くって知ったのは高校入ってからなんだ。
莉菜は辛気臭い話はここまで。その分高校では花蓮と仲良く出来たらいいなと思っているよ。ねぇ、花蓮、公園のすべり台の上で小学生くらいの男の子が私たちに手を振っているよ。行ってみる?
私は誰だろう?小学生の男の子?誰だろう?
私と莉菜はすべり台の方に向かうと大智はお姉ちゃんこの前はありがとうございました。借りていたジャージを返しに来ました。
私は大智君、久しぶり。ジャージ返しに来てくれてありがとう。大智君この後どうするの?
僕はお姉ちゃんにジャージを返しに来ただけなので帰ります。するとお腹がぐぅ~と鳴った。
今からお姉ちゃんたちクッキー焼いて食べあいこするから大智君も一緒においで。お腹空いたでしょ。莉菜、いいかな?
私はいいよ。大智君一緒に行こう。
大智は照れながらまたお姉ちゃんのクッキー食べられるの嬉しい。
3人で家に入った。まず私からクッキー作ってくるからじゃあ莉菜と大智君は私の部屋でゆっくりしていて。2人でクッキー作れたらいいけれどキッチンがそんなに広いわけじゃないからさ。
莉菜はオッケー、じゃあ大智君と一緒にいるね。
大智君、はじめまして花蓮の友達の莉菜です宜しくね。木村大智小学4年生です。
莉菜は大智君、お姉ちゃんが来るまでお喋りする?それとも宿題見てあげようか?
大智は即答でお喋りしたいです。でも女の子とお喋りしたいけれど何を喋ったらいいか分からなくて。
大智君は女の子と喋るの恥ずかしかったりするのかな?何を話したらいいか。同じクラスで後ろの席に座ってた子の話で私の背中をちょんちょんつついて小声でこれどうやって解くのか教えてってその子が言っていてね同じ女子なのにかわいいなって思ったよ。
だもんで大智君も勉強分からないから教えてとか隣の席なら教科書忘れた時に見せてもらうとかして喋る機会を作るとかかな。大智君は気になる女の子とかいるの?
いるにはいるけど……その人は僕よりも歳上でいつも笑っていて何でも出来る人で手の届かない存在です。せっかく莉菜お姉ちゃんが聞いてくれたのにゴメンなさい……。
莉菜は頭を撫でてそんな事ないよ。その思いは女の子に伝わっているとはずだよ。でもいきなり好きっていきなり伝えるよりもまずは友達になって遊んでっていう1段ずつ階段を登る方がいいかな。
莉菜お待たせ。クッキー冷やしたから次は莉菜の番ね。莉菜はやっと私の番か、大智君少しの間待っていてね。さっきの質問、花蓮お姉ちゃんにも聞いてみてもいいかも。違う意見が聞けるかもよ。
大智君さっき莉菜と盛り上がっていたね。何の話をしていたの?
そ、そうですね……同じクラスの子で分からなくて背中をちょんちょんつついて来た女の子がいてかわいかったって言ってました。
莉菜、そんなこと言っていたの?大智君に余計なこと言わなくてもいいのにね。大智君目を合わせてくれないけれど私の顔に何か付いてる?
大智はそんなこと……ないです。花蓮お姉ちゃん、歳下の男の子ってどう思いますか?
私はドキッとした。大智君は歳上のお姉さんのこと気になっているの?そうなるとまずはきっかけが必要かな。小学校だと運動会や学芸会とかあると思うからその時に声をかけてとかした方がいいのかな。
花蓮、私も出来たよ~。
大智君、莉菜が呼んでいるからリビング行こうか。
私はミルクティーを3人分入れてクッキーを食べた。大智は人数が多いとクッキーも美味しいね。莉菜お姉ちゃん、花蓮お姉ちゃんとクッキー食べれて嬉しいな。今日は誘ってくれてありがとう。
莉菜はねぇ大智君、どっちのクッキーの方が美味しい?チョコのクッキーが花蓮お姉ちゃんでバタークッキーが莉菜お姉ちゃんのやつなんだ。
大智はどっちのクッキーも美味しかったよ。
莉菜はもう1度食べるとしたらどっち?
う~ん。でも……このバタークッキーだけど美味しかったけれどなんかパサパサしてる感じがするの。食べさせてもらってこんなこと言うの失礼だと思うけど。
莉菜は大智君、率直な感想ありがとう。私も花蓮お姉ちゃんのようにまたクッキー食べたいと思われるように頑張るね。もう日没だしお姉ちゃんと一緒に帰ろうか、家まで送って行くから案内して。
花蓮お姉ちゃんまた遊びに来るね。バイバイと笑顔で手を振って家を出た。
莉菜は大智君暗いからお姉ちゃんと手を繋ごう。大智はさっきまで喋れたのに手を繋いだら何を喋ったらいいか分からない。家に着くと僕の家ここですと伝えた。
大智君、莉菜お姉ちゃんとも仲良くしてねと1人で家に帰っていった。
告白
花蓮、この前大智君と3人でクッキー食べたじゃん。大智君私たちのことお姉ちゃんって慕ってくれてかわいかったよね。
ホントにそうだよね~。
放課後、部活でこの日はシュークリームを作ることになった。待ち時間の間、いつものように喋って待っていた。
莉菜は先輩たち聞いてくださいよ。めっちゃかわいい話あるんですよ。紗綾はかわいい話聞きたい。
花蓮の家でクッキーの食べあいこしようかなって話をしていて公園のすべり台に大智君っていう男の子がいてお腹が鳴ったので花蓮が一緒に行こうって3人で行ったんです。2人でクッキー作れないから花蓮がクッキーを焼いている間、大智君が恋愛の相談で歳上の女の子が好きって話をしていてなんかかわいいなって思いました。
紗綾はその大智君かわいいね。何歳の子?
私は小学4年生って言ってました。
花蓮はシュークリーム出来ましたよ。食べましょ。
みんなでシュークリームを食べながら大智君の恋が成就出来るように花蓮ちゃん、莉菜ちゃんしっかりとお姉ちゃんすること。
私にしても莉菜にしてもお姉ちゃんって寄り添ってくれる感じがホント弟みたいでかわいいのであまりお節介焼きはしないようにしますね。
莉菜は部活に入ってずっと思ったんですが紗綾さん、調理部ってずっとこんなに和気藹々しているんですか?
紗綾はそうだよ。コンテストが近い時はガッツリやるけれどそうでない時は基本的に和気藹々としているかな。それは花蓮ちゃんが知っていると思うよ。
花蓮はこの和気藹々な雰囲気で前部長の芽衣さんや紗綾さんを始め、この先輩たちとやっていきたいなって思いました。
みんなでシュークリームを食べ合い感想を言い合いこの日の部活を終えて私と莉菜は駅に向かった。
下村駅に着いて莉菜とは駅で別れて私は家に向かって歩いていた。すると大智君が花蓮お姉ちゃん、ちょっと話があるから公園に来て欲しいと2人で公園に向かった。
大智はベンチに私を案内をした。
大智君、何か困ったことでもあった?
花蓮お姉ちゃんは歳下の男を好きになったことありますか?
私は話を聞いてそうだね……気になったことはあるかな。大智君歳上の女の子が気になってるって言っていたもんね。私でも莉菜でもいつでも相談に乗るから何かあれば聞きに来てね。
大智は下を向いて俯いていた。やっぱり歳下の男なんて相手になんかされないですよね……。
ぼ、僕が好きなのは花蓮お姉ちゃんです。逆立ちしても釣り合わないしいけないと思っていても花蓮お姉ちゃんのことを考えると心臓がバクバクして夜も眠れなくて。莉菜お姉ちゃんにはまずは友達になってから段階踏むようにって言われましたがやっぱり男として気持ちは伝えたいなって思って伝えました。
いきなりのことで驚いた私だが冷静に答えた。
大智君の気持ちはホントに嬉しいよ。でもね、私は高校生で大智君は小学生で6歳離れてる訳でしょ?もし大智君が結婚が出来る18歳になった時には私は24歳じゃん。そう考えてたら同じクラスの子を好きになった方が大智君のためだと思うよ。
花蓮お姉ちゃんは僕のこと嫌いなの?
私は大智君の頭を撫でて嫌いじゃないよ。いつもニコニコしていてかわいい男の子だなって莉菜お姉ちゃんと話をしていたよ。じゃあ付き合うってなったらそれは別の問題かな。
そっか……。そりゃあそうだよね。
大智君の気持ちを踏み躙(にじ)る思いだがお互いの立場を考えればこうすることが得策だと自分に言い聞かせた。
じゃあ花蓮お姉ちゃん、1つだけお願いがあるんだ。来週の土曜日、明富市で行われるお祭りに一緒に行って欲しい。僕のワガママ聞いてくれる?
高校生になるまでお祭りに誘われることのなかった私だがその始めてが男の子のかわいいワガママか。大智君がそれを望んでいるならいいかな。
やっぱり僕と一緒にお祭りに行くの嫌?
ううん、一緒にお祭りに行こう。お姉ちゃんはお祭りの日は制服で来て欲しい?それとも浴衣で来て欲しい?
大智はお姉ちゃんの着ている制服かわいいから制服で来て欲しいな。お姉ちゃん約束守ってね。
真剣な眼差しで私を見ている。この子は遊びじゃなくて心からお祭りに行きたいと思ってくれていることが分かった。
じゃあ土曜日の午後5時にここの公園に集合ね。
お姉ちゃんと指切りげんまんしようと大智君と小指を重ねて指切りげんまんをすると飛び跳ねるように喜んでいて私は嬉しい気持ちと愛おしい気持ちだった。
お祭り
私は大智君とお祭りに行くことになったがホントにこれでよかったのか考えていた。ひとまず莉菜や紗綾さん、調理部の人たちに言うべきか悩んでいた。
登下校中や教室でいうと変なウワサが立ってそれはめんどくさいから言うなら、部活中しかないなと考えた。まさか歳下に好きなんて言われる日がくるなんてな、そんなことを考えて電車に乗っていた。
ちょっと、ちょっと花蓮。話聞いている?
莉菜、呼んだ?ゴメン、ちょっと寝不足でさ。
何かあった?私でよければいつでも話を聞くよ。
まぁちょっとねと私は言葉を濁した。ちょっと電車の中や教室で話せることじゃないから部活行った時に莉菜や先輩たちに話すね。
なに~、花蓮もしかして恋しているの?いいな?ねぇ、花蓮の好きな人ってどんな人なの。教えてよ。
莉菜、しつこいよ。とりあえず部活中に話すからその話はしないでね。後、フリもダメだからね。
この日の私は欠伸をよくしていたため、周りから体調が悪いのかと心配されたがただ単に寝不足なだけだった。
放課後、私と莉菜は調理室に向かった。
花蓮ちゃん久しぶり。私はこの美人なお姉さんは、もしかして芽衣さんですか?お久しぶりです。
花蓮ちゃん覚えていてくれたんだ。嬉しい。お隣の子は?紹介します同じ調理科の鈴本莉菜さんです。
初めまして莉菜です。宜しくお願いします。
紗綾、今日はどうする予定?みんなに差し入れ買ってきたからみんなでシュークリーム食べよう。
じゃあ今日は味の研究と芽衣さんのご厚意に甘えてシュークリームを食べつつ女子会が始まった。
紗綾は芽衣さんって今は何をされていますか?
私は今、静岡にある静川女子大学に通っていて静岡って広くてさ。静岡県越えようと思ったら車で2時間かかるっていうからビックリだよ。みんなは最近どう?
莉菜は私の耳元に部活で話すって言っていたでしょ?芽衣は花蓮ちゃん何か悩んでいるの?
私は前に近所の小学生の男の子が雨に濡れていて話しかけて友達とケンカしたみたくてそのままだと風邪引くと思って私の家に入るように伝えました。そこでクッキー作ったら美味しいって言ってくれてその後、莉菜と3人でクッキーの食べ比べみたいなことしました。それから数日後に男の子が私に話があるって公園で話していたんですよ。
紗綾は花蓮ちゃん助けた上にクッキー作ってあげるって優しいね。でもそれだけなら問題ないと思うけど。
実はそれだけじゃあないんです。その男の子に好きだから付き合って欲しいって言われました。
莉菜はだから電車の中や教室で話せることじゃないからってことだったのね。それで花蓮はなんて答えたの?紗綾と芽衣は食い気味に聞いていた。
私は付き合うことは出来ない。だから代わりに明富市のお祭りに一緒に行こうってなりました、それで喜んでもらえるならいいかなって。
芽衣はその男の子も勇気出して誘ったと思うから花蓮ちゃんも全力で楽しまないとね。
土曜日、お祭りに行く日になった。いつもストレートにしているしたまにはツインテールにしようかな。大智君は小学生だし丁度いいかな。
せっかく誘ってくれた訳だしクッキーでも作って大智君に渡してあげるか。いつもクッキーだけどいつも嬉しそうに食べてくれるからいいかこチョコクッキーを作った。
しばらく部屋でゆっくりしていてスマホを見ると午後4時を回っていた。そろそろ準備しないと思い制服に着替えた。よし今日はお姉ちゃんとして大智君に楽しんでもらわないと。
窓から公園を覗くと既に大智君は待っていた。
私はクッキーを持って公園に行き大智君に話しかけた。集合時間より30分も早く来てどうしたの?
大智はクラスの女の子にお祭りに行く話をしたら集合時間より早く行くように。女の子を待たせるなんてありえないからねって助言を受けたからさ。
なるほどね、そんな急いで来なくてもよかったのに。でも大智君のその気持ち嬉しいよ。一緒にクッキー食べよう。
花蓮お姉ちゃんクッキー美味しいね。もう1枚食べてもいい?
そんなに美味しいって言ってくれるならこのクッキー大智君にあげるよ。大智君は目を輝かせ笑顔でクッキーを頬張っていた。その姿を見て彼氏というよりかわいい弟を見ているお姉ちゃんだなと感じた。
「今日1日だけ大智君の彼女になるね」
大智は花蓮お姉ちゃん、ホントに……いいの?顔は真っ赤になって私を見つめていた。
大智君が嫌ならいいよ。さぁ早く行かないとお祭り混んじゃうよ。そう言って私は手を差し出した。大智君は軽く私の手を添えいた。
私と大智君は駅へと向かった。
駅を降りてお祭りが行われている神社までは歩いて数分だが人混みがスゴく中々前に進めない。
軽く添えていた手は強く握り花蓮お姉ちゃん、逸れちゃあダメだよ。何かあったら僕が僕が守るから。
その姿は1人の男の子というより1人の男、まるで「小さな戦士」そのものだった。何回かしか会ってないのにスゴく頼もしくなったなと見蕩(みと)れていた。
大智君、何か食べたいものある?
うーん、ベビーカステラ食べたいな。すみません、ベビーカステラ1つください。
大智君はベビーカステラをもぐもぐと食べていると花蓮お姉ちゃんも食べていいよ。私も1つ食べていていつの間にか私も楽しんでいた。
花蓮お姉ちゃん、ずっと歩き回してゴメンね。ちょっと石段に座ろう。
大智は花蓮お姉ちゃん、忙しいのに僕のワガママを聞いてくれてありがとう。でも今日が終わったらこの「魔法の時間」が解けちゃうと思うと寂しくて……。私は大智君の方を向くと泣いていた。
私は1人の女の子として嬉しくて楽しくも大智君に1日だけって申し訳ない気がした。
大智君が18歳になって高校を卒業してその時お互いに付き合っている人がいなかったらその時に付き合おう。
大智は頷き、じゃあもう1つだけお願い聞いてもらってもいいかな?
私はうん、いいよ。そのかわりデートは約束通り今日1日だけだからね。お願いってなに?
ギュッってして頭を撫でて欲しい。
大智君は甘えん坊だな、ギュッと抱きしめて頭を撫でた。花蓮お姉ちゃん大好き。
号泣して小さい声だが好きって言葉が聞き取れた。
私は再び大智君の手を握り下村駅に戻り家まで送った。思い出だけだと可哀想だと思い私は大智君と家の前で2ショットを撮りスマホから現像して渡すと伝えてこの日は別れた。
翌日、私はカメラショップに行ってスマホのデータから昨日の写真を現像した。写真を持って公園に行くと大智君がいて写真を渡すと笑顔でじゃあ家に帰るねと帰っていった。
私はその後ろ姿を見届けて家の玄関を開けた。
私が高校に入学をする前、下村市には遂に電車が通るようになった。理由としては周遊バスがあるものの同じ県内に移動するのに時間がかかりすぎる。山の麓(ふもと)に街があり自転車で越えようとするにはあまりにも酷で車の免許がない学生には街に行くのには不便すぎると抗議の署名が集まり念願の下村駅が作られて単線だが電車が通ることになった。
これにより私は那古野市に2時間かかっていたのが途中電車の乗り換えは必要だが1時間で行けるようになるのはホントに有難い。
入学式当日、生憎の雨だった。
私は新たな制服に身に纏い電車に乗った。電車に乗ったのなんて何年ぶりだろう。最寄りの那古野総合公園駅を降りた。これからどんな仲間と出会えるのか期待と不安で胸がいっぱいだった。
入学式が終わり調理科の教室に行き席に座った。花蓮久しぶり~、私のこと覚えている?
「あ、うん。莉菜だよね~?久しぶり」
ちょっと、忘れていたでしょ?鈴本莉菜(すずもとりな)だよ。花蓮、なんでそんな不安気なの?まぁ推薦で合格して部活の誘いがあった花蓮とは違うけれどさ。同じ下村中学出身として仲良くしてよね。
私はもちろんだよ。下村にも駅が出来て電車が通る日が来るなんて思いもしなかったよね。連絡先交換しよう。
莉菜はうん、連絡先を交換しよう。花蓮は何が得意なの?クッキーとかケーキとか色々あると思うんだけどさ。
私はそうだね~、なんでも作るから何が得意って聞かれると難しいかな。明日クッキー作ってくるよ。実は秋の学園祭にも参加させてもらって繁盛しててクッキー完売したからさ。
莉菜はマジで!?花蓮スゴいね。じゃあ私もクッキー焼いてくるからお互いに食べあいこしようよ。気になる点とかあったら言い合おうよ。
私はそれいいね、莉菜のクッキー食べたことないしどんな感じなのかスゴく気になる。
放課後、莉菜は私に声をかけた。
花蓮この後どうする?私は部活あるなら行くしないなら特に決めてないかな。莉菜も調理部に入らない?みんな優しい先輩でやりやすいよ。
私は職員室に行き市本先生を呼んだ。すると市本先生は今から出張に行かれるみたいだよ。名前と用件を言ってもらえれば連絡しておきます。
私はとりあえず伝えてもらうことにした。調理科1年七瀬花蓮が調理部の部活はいつから参加したらよろしいか聞いてもらってもよろしいですか?
私は市本先生が出張か。ちょっと調理室を覗いて誰もいなかったら帰ろうか。いるなら私だけ挨拶しておこうかなって思って。
教室を覗くと誰もいない。今日は休みなのか、莉菜帰ろうか。雨降ってる事だし今日はまっすぐ帰ろうよ。
私と莉菜は電車に乗って下村駅へと向かった。
そういえば莉菜ってどこに住んでいるの?莉菜は郵便局の近くに家があるところだよ。花蓮はどこに住んでいるの?私は下村公園の近くだよ、晴れた日に遊びに来てよ。
莉菜は花蓮ありがとう。ウチにも遊びに来てよ。私、家こっちだから明日も花蓮ら一緒に学校行こうよ。
私は莉菜と別れて家に向かうために公園の前を通った。
1人の男の子
すべり台の上で体育座りをしている小学生くらいの男がびしょ濡れになって俯いていた。私は男の子に傘を差し出してこんな所にいると風邪引くよと声をかけた。
男の子は木村大智(きむらだいち)小学4年生ですと挨拶をした。
1度雨よけの出来る小さな穴に私を案内した。私は何があったのかお姉ちゃんに話して欲しいと優しく声をかけた。友達とケンカして公園にいるうちに雨が降ってきたと言った。
私は雨が降ってきたならこの穴に入ればよかったんじゃない?大智はケンカした友達が公園に来て謝りに来ると思って。ぐぅ~とお腹が鳴り恥ずかしそうにしていた。
大智君、お腹空いた?何か食べさせてあげるからウチに来て。私は小学生の時に着ていたジャージを渡してクッキーを焼いて差し出した。
美味しい、こんなクッキー食べたことないと称賛してくれてとても嬉しかった。大智君、私のジャージそのまま着て帰っていいよ。家に送っていくから案内して。
大智はお姉ちゃんのクッキー美味しかったです。今日は僕のためにクッキーを焼いてくれてホントにありがとう。またお姉ちゃんのクッキー食べたいな。
私はそう言ってもらえてお姉ちゃんも嬉しいよ。大智君の頭を撫でていつでもクッキー食べに来てね。
私は大智君がまるでかわいい弟が出来たような気がしてスゴく嬉しかった。
加入
翌日、私は莉菜と一緒学校に向かった。学校帰りに公園で大智君っていう小学生の男の子が雨でずぶ濡れになっていたから家に連れて行ってクッキーを差し出したことを話していた。
莉菜は理由はなんであれ男の子にクッキーをあげるって花蓮優しいね。私にもクッキー食べさせてよ。
私は莉菜も食べに来て。公園の前が家だから分かりやすいと思うよ。莉菜は何部に入るか決めた?
莉菜はまだ決めてないよ。花蓮は調理部に入るの?
私はうん、そうだよ。兼部してもいいって言われてるから兼部するなら調理部の傍ら出来る部活を探すかそれとも調理部1本で行くか決めるかって感じ。
始業式から1週間、本格的な授業というより自己紹介と授業の内容の概要を説明して授業が終わった。
私は莉菜を誘い調理室に向かった。
調理部のみんなは花蓮ちゃん久しぶり~、元気にしていた?前に会った時よりもかわいくなってるねと声をかけてくれた。隣の人は?
鈴本莉菜です、花蓮とは同じ中学出身です。
私も自己紹介しないとね。3年生部長の石川紗綾(いしかわさや)です宜しくね。莉菜ちゃんは体験入部ってことでいいかな?
莉菜はそうですね、何も分からないのでまずは体験入部でお願いします。花蓮から聞きましたが兼部も可能みたいなのでもしかしたら調理部と他の部活を兼部するか可能性もあります。
他のみんなも挨拶して。
3年生副部長の星野香苗(ほしのかなえ)です。3年生神里美波(かみさとみなみ)です。2年生横須賀美華(よこすかみか)です。2年生海島梨紗(うみしまりさ)です。2年生森河美紅(もりかわみく)です。
紗綾はじゃあみんな、今日はチョコを作ろうか。花蓮ちゃん、莉菜ちゃんはチョコ作れるなら作ってもらおうかなって思うけれどムリならみんなの食べてどこがいいか意見してね。
私は作ります。莉菜はどうする?
莉菜は今日はみなさんの見学してます。
紗綾さんや先輩、私はチョコを作り冷蔵庫に入れて冷やしていた。その間、ずっと喋っていた。
紗綾は莉菜ちゃん、ビックリしたでしょ?温めている間や冷蔵庫に冷やしている間の時間はこうやってみんなで喋っていてね。
莉菜はでもそれだと時間を忘れてしまいませんか?
花蓮はだと思うでしょ?そうならないようにこのタイマーでセットしているからその心配はないよ。
莉菜は調理科に入りましたが調理は皆無で花蓮や先輩方に迷惑かけてしまいますがよろしいですか?
紗綾はもちろんだよ。前に花蓮ちゃんが学園祭に参加させてもらった時にクッキー食べたけれど私より美味しくて辞めようかどうか迷ったよ。
私は紗綾さんのクッキー美味しかったですよ。あのクッキーを食べて参考にしようと思ったのでそんなこと言わないでくださいよ。チョコ出来ましたよ。
みんなでチョコを食べた。
紗綾はやっぱり花蓮ちゃんのチョコ美味しいね。莉菜ちゃんもそう思わない?
莉菜はこのチョコレートスゴい、クセになります。とても同い年が作ったとは思えません。
もちろん先輩方のチョコもとても美味しいです。
紗綾は花蓮ちゃんは別格だとしてもここにいる殆どが調理科じゃなかったり何も知らずに入ってきてる子が多いから上手い下手とか気にしないでいいよ。
莉菜は調理部に入部することを決めた。
紗綾はじゃあ改めて調理科と調理部の違いを説明するね。
調理科では和食、洋食といったマナーや調理、献立を考えたりするのが主にメインだけど調理部ではそういったものも作るけれどお菓子やスイーツを作るのがメインになるかな。コンテストがあればその都度出場しようかなって考えているよ。
莉菜は入部届に名前を書いて紗綾さんと連絡先を交換をして私たちは下村駅に向かった。
届き物
1週間後、ママから花蓮宛に荷物が届いたと渡された。誰かなと思い確認をすると東京都、茅川智恵実と書かれていた。中身を開けると1冊の本と手紙が同封されていた。
「花蓮ちゃんお元気ですか?改めて手紙を書くのは照れくさいですね。手紙と一緒に入れた本ですが今回、私の処女作の虹色の空という作品です。よかったら読んで見てね」
それを見て私は智恵実ちゃんはもう作家デビューを果たしたのか、負けてられない。
本を鞄に入れて私は明日に備えて寝床についた。
翌日、下村駅に行くと莉菜が声をかけた。
花蓮おはよう~、何か嬉しそうだけど彼氏でも出来たの?私はそんなのじゃあないよ。ただ旧友から届け物が家に来て頑張っているんだなって思って。
莉菜は旧友?私の知っている人?
ホームに入ってきた電車に乗り鞄から本を取り出した。莉菜は虹色の空ってキレイなタイトルだね。私はこの七川蓮実って同じ中学校の茅川智恵実ちゃんだよ。莉菜は智恵実にしても花蓮しても私の1歩先を進んでいる感じがするな。
私はホント智恵実スゴいよね。負けてられないって思ったよ。莉菜は知っているか分からないけれど小学生の時に七川蓮実っていう名前で私と智恵実ちゃん、2人で短編小説を書いて入賞してさ。
智恵実がその時のペンネームを使ってくれているお互いに切磋琢磨しようってことを意味していると思うな。
莉菜は突然泣き出した。
私は莉菜、どうしたの?私気に障ること言った?
莉菜はううん、智恵実や花蓮が夢に向かって頑張っている姿を見て私は何をしているのかなって思ってさ。周りの目もあるから私は莉菜にハンカチを渡して涙を拭うように伝えて最寄り駅まで話を頷いて聞いていた。
電車を降りて莉菜は私に言い放った。
私、花蓮より美味しいお菓子やスイーツを作る。花蓮に負けたくない。勉強が出来るわけでもない、女子力が高い訳でもない。だからこそ同じ女子として調理部に誘ってくれた花蓮のためにも莉菜にはとてもじゃあないけれど及ばないなって思わせたい。私からの挑戦受けてもらえるかな?
私はもちろん、挑戦は受けるよ。それは部活やコンテスト等そういう機会だけにしようよ。同じ下村中学出身でもある莉菜とは仲良くして行きたいから。
莉菜はたしかに花蓮の言う通りだね。勝手に舞い上がっちゃってゴメンね。じゃあこの続きは部活に行ってからだね。
私と莉菜は前後の席で調理実習で4人グループになることが多くみんなに役割分担をして1つの料理、いや1つの作品を作ることが私のスタイルだった。
莉菜はホント花蓮はスゴいね。指示も的確で他の班の人よりも早かった。1人でやったらもっと早かったかもね。
私は別に1人でも出来ると思うけれどそれだと調理実習の意味がないでしょ。仲間と共に協力してするのが調理実習の意義なんだから。それに莉菜は私のことを美化しすぎだよ。早いところ食べて片付けないと次の授業に間に合わないよ。
片付けを終えて教室に戻り数学の授業を受けていた。私、昔から数学で何を言っているのか……。
ちょんちょん、莉菜この問題どういうこと?
ちょっと待ってねと数学の公式を詳しく説明して例題を1つ書いて私に渡してくれた。
私はなにコレ、説明分かりやすい。授業中に分からないところは莉菜に聞くことを心に決めた。
授業後、莉菜は私に声をかけた。
よかった、花蓮にも苦手なことがあるんだって知れて。問題が分からなくて背中つついたり小声で私を呼ぶ姿はかわいかったよ。頭撫でてあげたかった。
私はもう、莉菜のイジワル。中学の時、莉菜ってそんな子だっけ?私はそんな子だったよ。
ププル、ププル、花蓮携帯鳴っているよ。
もしもし花蓮です、紗綾さんどうされましたか?
紗綾は今日の部活だけど休みだもんで宜しくね。じゃあ電話切るね。
莉菜は紗綾さんからの電話なんだった?
私は今日部活休みだって。莉菜、どうする?
花蓮の家でクッキー食べたい。ダメかな?
私はいいよ。どうせならお互いにクッキー焼いて食べあいこしようよ。そっちの方が楽しいじゃん。
放課後、私と莉菜は電車に乗って下村駅に帰ってきた。花蓮の家に行くの初めてだな。
私は言われてみればたしかにそうだね。中学の時にも遊びに来てくれてもよかったのに。
花蓮は覚えてないと思うけれど私、転校してきてしばらく馴染めずに学校に行けない日があってさ。その時に同じ高校に行くことになった花蓮を見て羨ましくもスゴいなって見ていたよ。
私はそっか……なんか思い出させちゃってゴメンね。当時学校終わってすぐに高校に行ってたから莉菜が同じ高校に行くって知ったのは高校入ってからなんだ。
莉菜は辛気臭い話はここまで。その分高校では花蓮と仲良く出来たらいいなと思っているよ。ねぇ、花蓮、公園のすべり台の上で小学生くらいの男の子が私たちに手を振っているよ。行ってみる?
私は誰だろう?小学生の男の子?誰だろう?
私と莉菜はすべり台の方に向かうと大智はお姉ちゃんこの前はありがとうございました。借りていたジャージを返しに来ました。
私は大智君、久しぶり。ジャージ返しに来てくれてありがとう。大智君この後どうするの?
僕はお姉ちゃんにジャージを返しに来ただけなので帰ります。するとお腹がぐぅ~と鳴った。
今からお姉ちゃんたちクッキー焼いて食べあいこするから大智君も一緒においで。お腹空いたでしょ。莉菜、いいかな?
私はいいよ。大智君一緒に行こう。
大智は照れながらまたお姉ちゃんのクッキー食べられるの嬉しい。
3人で家に入った。まず私からクッキー作ってくるからじゃあ莉菜と大智君は私の部屋でゆっくりしていて。2人でクッキー作れたらいいけれどキッチンがそんなに広いわけじゃないからさ。
莉菜はオッケー、じゃあ大智君と一緒にいるね。
大智君、はじめまして花蓮の友達の莉菜です宜しくね。木村大智小学4年生です。
莉菜は大智君、お姉ちゃんが来るまでお喋りする?それとも宿題見てあげようか?
大智は即答でお喋りしたいです。でも女の子とお喋りしたいけれど何を喋ったらいいか分からなくて。
大智君は女の子と喋るの恥ずかしかったりするのかな?何を話したらいいか。同じクラスで後ろの席に座ってた子の話で私の背中をちょんちょんつついて小声でこれどうやって解くのか教えてってその子が言っていてね同じ女子なのにかわいいなって思ったよ。
だもんで大智君も勉強分からないから教えてとか隣の席なら教科書忘れた時に見せてもらうとかして喋る機会を作るとかかな。大智君は気になる女の子とかいるの?
いるにはいるけど……その人は僕よりも歳上でいつも笑っていて何でも出来る人で手の届かない存在です。せっかく莉菜お姉ちゃんが聞いてくれたのにゴメンなさい……。
莉菜は頭を撫でてそんな事ないよ。その思いは女の子に伝わっているとはずだよ。でもいきなり好きっていきなり伝えるよりもまずは友達になって遊んでっていう1段ずつ階段を登る方がいいかな。
莉菜お待たせ。クッキー冷やしたから次は莉菜の番ね。莉菜はやっと私の番か、大智君少しの間待っていてね。さっきの質問、花蓮お姉ちゃんにも聞いてみてもいいかも。違う意見が聞けるかもよ。
大智君さっき莉菜と盛り上がっていたね。何の話をしていたの?
そ、そうですね……同じクラスの子で分からなくて背中をちょんちょんつついて来た女の子がいてかわいかったって言ってました。
莉菜、そんなこと言っていたの?大智君に余計なこと言わなくてもいいのにね。大智君目を合わせてくれないけれど私の顔に何か付いてる?
大智はそんなこと……ないです。花蓮お姉ちゃん、歳下の男の子ってどう思いますか?
私はドキッとした。大智君は歳上のお姉さんのこと気になっているの?そうなるとまずはきっかけが必要かな。小学校だと運動会や学芸会とかあると思うからその時に声をかけてとかした方がいいのかな。
花蓮、私も出来たよ~。
大智君、莉菜が呼んでいるからリビング行こうか。
私はミルクティーを3人分入れてクッキーを食べた。大智は人数が多いとクッキーも美味しいね。莉菜お姉ちゃん、花蓮お姉ちゃんとクッキー食べれて嬉しいな。今日は誘ってくれてありがとう。
莉菜はねぇ大智君、どっちのクッキーの方が美味しい?チョコのクッキーが花蓮お姉ちゃんでバタークッキーが莉菜お姉ちゃんのやつなんだ。
大智はどっちのクッキーも美味しかったよ。
莉菜はもう1度食べるとしたらどっち?
う~ん。でも……このバタークッキーだけど美味しかったけれどなんかパサパサしてる感じがするの。食べさせてもらってこんなこと言うの失礼だと思うけど。
莉菜は大智君、率直な感想ありがとう。私も花蓮お姉ちゃんのようにまたクッキー食べたいと思われるように頑張るね。もう日没だしお姉ちゃんと一緒に帰ろうか、家まで送って行くから案内して。
花蓮お姉ちゃんまた遊びに来るね。バイバイと笑顔で手を振って家を出た。
莉菜は大智君暗いからお姉ちゃんと手を繋ごう。大智はさっきまで喋れたのに手を繋いだら何を喋ったらいいか分からない。家に着くと僕の家ここですと伝えた。
大智君、莉菜お姉ちゃんとも仲良くしてねと1人で家に帰っていった。
告白
花蓮、この前大智君と3人でクッキー食べたじゃん。大智君私たちのことお姉ちゃんって慕ってくれてかわいかったよね。
ホントにそうだよね~。
放課後、部活でこの日はシュークリームを作ることになった。待ち時間の間、いつものように喋って待っていた。
莉菜は先輩たち聞いてくださいよ。めっちゃかわいい話あるんですよ。紗綾はかわいい話聞きたい。
花蓮の家でクッキーの食べあいこしようかなって話をしていて公園のすべり台に大智君っていう男の子がいてお腹が鳴ったので花蓮が一緒に行こうって3人で行ったんです。2人でクッキー作れないから花蓮がクッキーを焼いている間、大智君が恋愛の相談で歳上の女の子が好きって話をしていてなんかかわいいなって思いました。
紗綾はその大智君かわいいね。何歳の子?
私は小学4年生って言ってました。
花蓮はシュークリーム出来ましたよ。食べましょ。
みんなでシュークリームを食べながら大智君の恋が成就出来るように花蓮ちゃん、莉菜ちゃんしっかりとお姉ちゃんすること。
私にしても莉菜にしてもお姉ちゃんって寄り添ってくれる感じがホント弟みたいでかわいいのであまりお節介焼きはしないようにしますね。
莉菜は部活に入ってずっと思ったんですが紗綾さん、調理部ってずっとこんなに和気藹々しているんですか?
紗綾はそうだよ。コンテストが近い時はガッツリやるけれどそうでない時は基本的に和気藹々としているかな。それは花蓮ちゃんが知っていると思うよ。
花蓮はこの和気藹々な雰囲気で前部長の芽衣さんや紗綾さんを始め、この先輩たちとやっていきたいなって思いました。
みんなでシュークリームを食べ合い感想を言い合いこの日の部活を終えて私と莉菜は駅に向かった。
下村駅に着いて莉菜とは駅で別れて私は家に向かって歩いていた。すると大智君が花蓮お姉ちゃん、ちょっと話があるから公園に来て欲しいと2人で公園に向かった。
大智はベンチに私を案内をした。
大智君、何か困ったことでもあった?
花蓮お姉ちゃんは歳下の男を好きになったことありますか?
私は話を聞いてそうだね……気になったことはあるかな。大智君歳上の女の子が気になってるって言っていたもんね。私でも莉菜でもいつでも相談に乗るから何かあれば聞きに来てね。
大智は下を向いて俯いていた。やっぱり歳下の男なんて相手になんかされないですよね……。
ぼ、僕が好きなのは花蓮お姉ちゃんです。逆立ちしても釣り合わないしいけないと思っていても花蓮お姉ちゃんのことを考えると心臓がバクバクして夜も眠れなくて。莉菜お姉ちゃんにはまずは友達になってから段階踏むようにって言われましたがやっぱり男として気持ちは伝えたいなって思って伝えました。
いきなりのことで驚いた私だが冷静に答えた。
大智君の気持ちはホントに嬉しいよ。でもね、私は高校生で大智君は小学生で6歳離れてる訳でしょ?もし大智君が結婚が出来る18歳になった時には私は24歳じゃん。そう考えてたら同じクラスの子を好きになった方が大智君のためだと思うよ。
花蓮お姉ちゃんは僕のこと嫌いなの?
私は大智君の頭を撫でて嫌いじゃないよ。いつもニコニコしていてかわいい男の子だなって莉菜お姉ちゃんと話をしていたよ。じゃあ付き合うってなったらそれは別の問題かな。
そっか……。そりゃあそうだよね。
大智君の気持ちを踏み躙(にじ)る思いだがお互いの立場を考えればこうすることが得策だと自分に言い聞かせた。
じゃあ花蓮お姉ちゃん、1つだけお願いがあるんだ。来週の土曜日、明富市で行われるお祭りに一緒に行って欲しい。僕のワガママ聞いてくれる?
高校生になるまでお祭りに誘われることのなかった私だがその始めてが男の子のかわいいワガママか。大智君がそれを望んでいるならいいかな。
やっぱり僕と一緒にお祭りに行くの嫌?
ううん、一緒にお祭りに行こう。お姉ちゃんはお祭りの日は制服で来て欲しい?それとも浴衣で来て欲しい?
大智はお姉ちゃんの着ている制服かわいいから制服で来て欲しいな。お姉ちゃん約束守ってね。
真剣な眼差しで私を見ている。この子は遊びじゃなくて心からお祭りに行きたいと思ってくれていることが分かった。
じゃあ土曜日の午後5時にここの公園に集合ね。
お姉ちゃんと指切りげんまんしようと大智君と小指を重ねて指切りげんまんをすると飛び跳ねるように喜んでいて私は嬉しい気持ちと愛おしい気持ちだった。
お祭り
私は大智君とお祭りに行くことになったがホントにこれでよかったのか考えていた。ひとまず莉菜や紗綾さん、調理部の人たちに言うべきか悩んでいた。
登下校中や教室でいうと変なウワサが立ってそれはめんどくさいから言うなら、部活中しかないなと考えた。まさか歳下に好きなんて言われる日がくるなんてな、そんなことを考えて電車に乗っていた。
ちょっと、ちょっと花蓮。話聞いている?
莉菜、呼んだ?ゴメン、ちょっと寝不足でさ。
何かあった?私でよければいつでも話を聞くよ。
まぁちょっとねと私は言葉を濁した。ちょっと電車の中や教室で話せることじゃないから部活行った時に莉菜や先輩たちに話すね。
なに~、花蓮もしかして恋しているの?いいな?ねぇ、花蓮の好きな人ってどんな人なの。教えてよ。
莉菜、しつこいよ。とりあえず部活中に話すからその話はしないでね。後、フリもダメだからね。
この日の私は欠伸をよくしていたため、周りから体調が悪いのかと心配されたがただ単に寝不足なだけだった。
放課後、私と莉菜は調理室に向かった。
花蓮ちゃん久しぶり。私はこの美人なお姉さんは、もしかして芽衣さんですか?お久しぶりです。
花蓮ちゃん覚えていてくれたんだ。嬉しい。お隣の子は?紹介します同じ調理科の鈴本莉菜さんです。
初めまして莉菜です。宜しくお願いします。
紗綾、今日はどうする予定?みんなに差し入れ買ってきたからみんなでシュークリーム食べよう。
じゃあ今日は味の研究と芽衣さんのご厚意に甘えてシュークリームを食べつつ女子会が始まった。
紗綾は芽衣さんって今は何をされていますか?
私は今、静岡にある静川女子大学に通っていて静岡って広くてさ。静岡県越えようと思ったら車で2時間かかるっていうからビックリだよ。みんなは最近どう?
莉菜は私の耳元に部活で話すって言っていたでしょ?芽衣は花蓮ちゃん何か悩んでいるの?
私は前に近所の小学生の男の子が雨に濡れていて話しかけて友達とケンカしたみたくてそのままだと風邪引くと思って私の家に入るように伝えました。そこでクッキー作ったら美味しいって言ってくれてその後、莉菜と3人でクッキーの食べ比べみたいなことしました。それから数日後に男の子が私に話があるって公園で話していたんですよ。
紗綾は花蓮ちゃん助けた上にクッキー作ってあげるって優しいね。でもそれだけなら問題ないと思うけど。
実はそれだけじゃあないんです。その男の子に好きだから付き合って欲しいって言われました。
莉菜はだから電車の中や教室で話せることじゃないからってことだったのね。それで花蓮はなんて答えたの?紗綾と芽衣は食い気味に聞いていた。
私は付き合うことは出来ない。だから代わりに明富市のお祭りに一緒に行こうってなりました、それで喜んでもらえるならいいかなって。
芽衣はその男の子も勇気出して誘ったと思うから花蓮ちゃんも全力で楽しまないとね。
土曜日、お祭りに行く日になった。いつもストレートにしているしたまにはツインテールにしようかな。大智君は小学生だし丁度いいかな。
せっかく誘ってくれた訳だしクッキーでも作って大智君に渡してあげるか。いつもクッキーだけどいつも嬉しそうに食べてくれるからいいかこチョコクッキーを作った。
しばらく部屋でゆっくりしていてスマホを見ると午後4時を回っていた。そろそろ準備しないと思い制服に着替えた。よし今日はお姉ちゃんとして大智君に楽しんでもらわないと。
窓から公園を覗くと既に大智君は待っていた。
私はクッキーを持って公園に行き大智君に話しかけた。集合時間より30分も早く来てどうしたの?
大智はクラスの女の子にお祭りに行く話をしたら集合時間より早く行くように。女の子を待たせるなんてありえないからねって助言を受けたからさ。
なるほどね、そんな急いで来なくてもよかったのに。でも大智君のその気持ち嬉しいよ。一緒にクッキー食べよう。
花蓮お姉ちゃんクッキー美味しいね。もう1枚食べてもいい?
そんなに美味しいって言ってくれるならこのクッキー大智君にあげるよ。大智君は目を輝かせ笑顔でクッキーを頬張っていた。その姿を見て彼氏というよりかわいい弟を見ているお姉ちゃんだなと感じた。
「今日1日だけ大智君の彼女になるね」
大智は花蓮お姉ちゃん、ホントに……いいの?顔は真っ赤になって私を見つめていた。
大智君が嫌ならいいよ。さぁ早く行かないとお祭り混んじゃうよ。そう言って私は手を差し出した。大智君は軽く私の手を添えいた。
私と大智君は駅へと向かった。
駅を降りてお祭りが行われている神社までは歩いて数分だが人混みがスゴく中々前に進めない。
軽く添えていた手は強く握り花蓮お姉ちゃん、逸れちゃあダメだよ。何かあったら僕が僕が守るから。
その姿は1人の男の子というより1人の男、まるで「小さな戦士」そのものだった。何回かしか会ってないのにスゴく頼もしくなったなと見蕩(みと)れていた。
大智君、何か食べたいものある?
うーん、ベビーカステラ食べたいな。すみません、ベビーカステラ1つください。
大智君はベビーカステラをもぐもぐと食べていると花蓮お姉ちゃんも食べていいよ。私も1つ食べていていつの間にか私も楽しんでいた。
花蓮お姉ちゃん、ずっと歩き回してゴメンね。ちょっと石段に座ろう。
大智は花蓮お姉ちゃん、忙しいのに僕のワガママを聞いてくれてありがとう。でも今日が終わったらこの「魔法の時間」が解けちゃうと思うと寂しくて……。私は大智君の方を向くと泣いていた。
私は1人の女の子として嬉しくて楽しくも大智君に1日だけって申し訳ない気がした。
大智君が18歳になって高校を卒業してその時お互いに付き合っている人がいなかったらその時に付き合おう。
大智は頷き、じゃあもう1つだけお願い聞いてもらってもいいかな?
私はうん、いいよ。そのかわりデートは約束通り今日1日だけだからね。お願いってなに?
ギュッってして頭を撫でて欲しい。
大智君は甘えん坊だな、ギュッと抱きしめて頭を撫でた。花蓮お姉ちゃん大好き。
号泣して小さい声だが好きって言葉が聞き取れた。
私は再び大智君の手を握り下村駅に戻り家まで送った。思い出だけだと可哀想だと思い私は大智君と家の前で2ショットを撮りスマホから現像して渡すと伝えてこの日は別れた。
翌日、私はカメラショップに行ってスマホのデータから昨日の写真を現像した。写真を持って公園に行くと大智君がいて写真を渡すと笑顔でじゃあ家に帰るねと帰っていった。
私はその後ろ姿を見届けて家の玄関を開けた。
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