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48【番外編】七番目の子供と一番目の子供
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ハーフエルフを産んだ事により、私の身体のサイクルが変わってしまった。
いつもなら子供を宿せる時期に来ても、月の物が来ない日々が続いた。
子供が出来なくてもいいと、ネージュは毎晩私を抱きにくる。
「はっ、ネージュ…だめぇ…っ」
「だめじゃないでしょ。きもちいいよね?」
ネージュは後ろからが好きだった。
後ろから何度も突かれて身体が震え、何度もイッてしまう。
「みて。ミルクがぴゅーってでてくるよ。だめだよ、あかちゃんのためにとっといてよ」
「じゃぁ、摘むの、やめてぇっ」
シーツが私のお乳で濡れてしまう。
まだクリーンが使えるからいいけど、正直恥ずかしい。
ズルっと抜いたと思ったら、腕を引かれて対面座位の形で下から私を穿つ。
「あっ、あぁんっ」
「このかたちすきだよね。ぼくもすきだよ。だってのめるし」
「やぁぁんっ」
ディグのより少し大きいネージュ自身を深く奥まで飲み込む。
子宮をコンコンされて、何をされても気持ちがいい。
「やっネージュぅ…イク…っ!」
「いいよ。ぼくもいっしょに、いくっ」
「ぁあーーっ!」
「くっ」
お腹に温かいものが広がる。
お互いに肩で息をしながら、ベッドへ寝転がる。
一度抜き、割れ目からなくなった栓を、後ろから抱きかかえてまた入れられた。
最近はこうやって寝ている。
「はやくこどもできないかなぁ…」
「うん…そうだね…」
毎日抱かれているけど、ハルトが私を極限まで抱くと身体に負担がかかると知ったからか、ネージュは加減を覚えてくれた。
自分が出すのは一回。
その代わり寝る時は、栓をするようにまた入れる。
身体が15歳で止まったままのネージュ。
ピッタリと私の背中をくっつけて、首筋を吸ってから眠りにつく。
「「おやすみ…」」
朝食を食べて仕事に行くみんなを見送った後。ソファでカフェオレを飲みながら考えていた。
もしかしたら、子供は出来ないのかもしれない。
元魔物だし、私の魔力で育ったから。
っていうかそれだったら近親相か、いやいや!
それはない!
首を降って全否定した。
もしかして、もう子供が産めない身体になっちゃったのかな。
「ママ。ヒイロちゃんが家に来てほしいって」
ルージュとネロ、クレーが手を繋いで私に話しかけてきた。
珍しい。緋色とは毎日顔を合わすけれど、それは昼ごはんと勉強を終えた後なのに。
「わかった。みんな、大人しくしててね?」
「「「「「はーい」」」」」
良い返事が帰ってきた。
ネージュにも一応お願いし、私は緋色の所へ向かった。
扉を叩くと緋色が涙を流して出てきて、それを受け止める。
「ど、どうしたの?!」
「玲奈…玲奈ぁぁ」
この泣き方は尋常じゃない。もしかして、グリさんが、浮気?!
「とりあえず、中に入っていい?」
「うん…」
緋色の家は私とほぼ同じ造りだけど、小さい。
4人家族で十分くらい。
ソファに座らせ、落ち着かせる為に台所からホットミルクを作って持ってきた。
勝手知ったる仲だから、緋色も特に何も言わない。
「…どうしたの?」
「じ…じつは…っぐ、グリさん…っ」
泣きじゃくる緋色の、そのセリフだけで頭に血が上ってしまった。
「浮気!?浮気されたの?!そうなんでしょ?!」
「へ…?」
「許さない…!緋色がいながら、浮気なんて!だから赤ちゃん出来なかったのね!今はカリフィネに出張中だったっけ?まさか出張じゃなくて…浮気…?!」
「待っ、待って玲奈…!」
グリさんの今の仕事はオルテュース商会の荷馬車を警護する事。
冒険者から盗賊になった人は少なくない。
グリさんなら見た目も屈強だし、襲われる事はまずない。
出張もそんなにないから、
「…信じてたのに…!」
「玲奈待って…!」
緋色の静止も聞こえず、レーナは転移魔法でカリフィネへ飛んだ。
オルテュース商会と主に仕事している所は、カリフィネのシュネーレーゲン商会だった筈。
怒りが頂点にきていた私は、半袖だったのに寒さを全く感じなかった。
周りは私を見て寒そうだと身体を震わせた。
シュネーレーゲン商会について開口一番。
「グリさんはどこ?!」
ホールにいた男の人に詰め寄った。
問われた人はタジタジだ。
「グリ、ですか?どちらのグリでしょうか?」
「オルテュース商会から来たグリよ!どこにいるの?!」
「レーナ殿?!」
騒ぎを聞きつけたグリが外から入ってきた。
次はグリに詰め寄る。
人差し指をさして、
「あなたねぇ!緋色が泣いてたわよ!」
「えっ?!ヒイロが?!とりあえず、レーナ殿これを羽織ってください!」
自身が着ていたマントを脱いで私の肩にかける。
こんな奴の施しなんて!
マントを脱いでグリに返す。
「この浮気者!緋色のどこが不満なのよ!!」
「う、浮気?!一体何の話ですかっ?!ヒイロは、ヒイロは本当に泣いていたのですか?!」
「泣いてるわよ!グリさんのって、浮気者って!」
「本当に…ヒイロが…?浮気なんて…俺は…」
ん?まてよ?
緋色は、浮気とは言ってなかったかも?
グリさんの傷ついた顔に、途端に冷静になった。
そういえば、浮気なんて言ってない、かも?
「…あれ…?へっくしょっ!」
「あぁ、そんな薄着で…レーナ殿、風邪を召されます」
傷ついたままなのに、マントを私にかけてくれる。
自分も薄着になるだろうに。
「それで…本当に浮気だと…?」
「うーん…言ってないかも?」
「…」
残念な人を見る顔=無表情。
今更てへぺろしても可愛くない。
21歳のてへぺろなんて見たくないだろう。
「ごめんなさい!ちゃんと聞いてくるわ!」
両手を合わせ、マントをグリさんに返して、トイレを借りてヒイロの家に戻った。
「あっ!玲奈!」
「ごめん、緋色…。グリさん、なに?」
「もう…早とちりなんだから…!」
緋色はもう泣いてなかった。
ぐすぐすとぐずってはいたけど。
「私…グリさんの、赤ちゃん…できた」
「えぇっ?!」
そっちかぁ!!!!
「お、おめでとぉ!!本当に?!やったぁ!!」
「ありがとう…玲奈。早く言わなくてごめんね?」
「いいよいいよ!早とちりした私が悪いんだし!グリさんにも謝って…来るわ!本当にごめん!」
「えっいいよ、玲奈…!…いっちゃった…」
玲奈は相変わらず猪突猛進なのであった。
シュネーレーゲン商会のトイレから出てきて、気まずそうにグリさんの前に行く。
そして腰を90度曲げて謝った。
「私の早とちりでした…ごめんなさい!」
「レーナ殿…良かったです。ですが、ヒイロに一体何が?」
それは、私の口からは言えないかな。
そうだ!
「今すぐ帰った方がいいかもしれない。護衛の任務は私が代わりましょう!」
「………え?」
またまた無表情になったグリさんの背中を押し、オルテュース商会の人たちに無理を言って交代をしてもらった。ちなみに交代するにあたって、グリさんより私の方が強いと証明する為、グリさんと力比べ=腕相撲をして圧勝した。
最初はオルテュース商会の人たちは女の私に出来るのかとニマニマしてたけど、他の護衛からも圧勝した事により青白い顔で納得させる事が出来た。
最初は色々言っていたグリさんを諦めさせて緋色の元へ送り、みんなに説明しておいて欲しいと丸投げすると流石に焦っていた。
書き置きを残そうと部屋へ飛び、マントを取ってまたカリフィネへ飛ぶ。
シュネーレーゲン商会の人たちにも騒がせて申し訳ありませんでしたと謝ると、さっきの力比べは凄かったと称賛され、うちの護衛からもやりたいと申し出されてしまったのでちょっとしたイベントみたいになってしまった。
当然、まだ加護持ちの私の圧勝だったけど。
これでみんなからの信頼も得られたかな?
キレイで美人で儚い印象なのに強いなんて!と老若男女問わず何人かが私のファン(?)になっていた。
これ以上夫は増やしたくなかったので、早々に出荷&入荷を済ませてアンブシュアへと向かった。
「あり得へんやろ!」
テーブルを叩き、憤りを見せるカサト。
それを見た子供たちは泣き出してしまった。
もちろん、レーナがいない事もあって。
子供たちを慰めるのはいつもハルトとネージュだ。
「カサト、気持ちはわかるが子供たちが怯える」
「そうだよ!おこりたいきもちもわかるけど、みんなそうおもってるんだからね!」
ネージュはドラコの味方をする。
それはいつまで経っても変わらない。
「ごめんなさい…。私が、泣いたりしたからこんな事に…」
「いえ、ヒイロさんは悪くありません。悪いのは無鉄砲で一直線なレーナ様です」
普段レーナの悪口を言わないハルトでさえも、オブラートに包みながら毒つく始末。
それでもみんな、レーナの無事を祈る他なかった。
ピアスの通信は、皆魔力がないので使えなくなっていた。
レーナは怒られる事を承知で、ゆっくりと、だけど確実にアンブシュアへと近づく。
途中で山賊や盗賊に狙われている事にいち早く気づき、みんなを不安にさせないよう一人で撃退しては何食わぬ顔で「何も起きないですねぇ。平和ですねぇ」としれっと言うのだ。
美女に笑顔で言われれば、襲われないのはおかしいと思っていた頭は、考えることを拒否した。
襲われないのであれば良い。それだけ平和になってきている証拠なのだと勘違いをさせて。
そうして、一ヶ月弱にも渡る久々のレーナの旅は終了したのであった。
「…ただいまー…?」
「ママ!?」
「レーナ!?」
「レーナ様!!」
夫たちが仕事中なのを見計らって帰ってきた。
家の中にはハルトとネージュ、子供たち。
私がいなくてもみんなちゃんとご飯食べてるみたいだし大丈夫じゃんと思ったのは一人を除いた子供たちだけだった。
子供たちが私に一気に駆け寄り足に抱きついてくる。
泣き合戦が始まってしまった。
「どうしてひとりでいったんだよ!こっちはずっとしんぱいしてたのに!レーナめちゃくちゃげんきそうじゃん!」
「あははー…怒らないでよ、ネージュ~!」
「…皆怒らないとでもお思いでしたか?こちらは皆ピリピリして怒り狂っていましたよ!」
ネージュも泣いて抱きついてくるし、ハルトも珍しく抱きついてきた。
「…無事で良かった…」
深いため息と共に心に残る言葉。
不安にさせてごめんね、とみんなの頭を順に撫でていく。
最後に撫でるのはアンディ。この子だけは夫たちと同じくらい頬が痩せてしまっている。
それにアンディは一人離れて服の裾を両手で握って俯いたまま。
みんなに少し離れて貰い、しゃがんでアンディを両手に迎える。
「アンディ…おいで」
「…」
呼ぶとおずおずと近づいてきて首に抱きついてくる。ぐすぐすと聞こえ、泣くのも我慢していたのか声も出さず肩が濡れていく。
抱きしめてあげ頭を撫でると、他の子達も抱きついてきて尻もちを着いた。
「ごめんっごめんって…ほらみんな泣かないで…あ、ヴェール駄目、お腹には乗らないで?」
下腹ぽっこり。
「え…どうしたの、おなか…」
「何か急に膨らんできたんだよね。ネージュって雪人だったでしょ?寒い所に行ったから、赤ちゃん出てきたのかも?」
「えー?!」
「…にわかには信じられませんが…寒い場所に行ったから、というのは一説ありそうですね…」
旅をしていたのは一ヶ月弱だから、その間に私が浮気してできた、なんて事は成長過程からも考えられない。浮気なんてしてないしね。
ルージュとネルとクレーが気を効かせてヒイロを呼んできてくれた。
帰ってきた私を見て緋色も泣き出してしまった。
大きい子供がもう一人なんて軽く思っていたけど、つわりが酷い事やこれからの事を先輩ママの私に色々聞きたかったのだと泣き喚かれ怒られた。
みんなを宥めながら一ヶ月弱何があったか等を聞いていると、夫たちが次々と帰ってきて。
みんな帰ってきたタイミングで子供たちを他の夫たちに任せ、カサトに自室へ連れられ地べたに正座させられてめっちゃくちゃ怒られた。
それはもうガミガミと。
次はない。行くなら誰か連れて行け。お前はもう一人じゃないと。
物凄く反省すると、それが伝わったのか許してくれた。地べたから抱き起こされてベッドへと座ったカサトの上に横抱きに座らされて、優しい笑顔で頭とお腹を撫でてキスをしてくれる。
「あんなに旅して周ってたもんな…子供たちが大きなったら、また二人で旅してもええな」
「…カサト…」
久々にきゅんとしてしまった。
やっぱりカサトは優しくて強くて頼りがいがある男だなぁ。
「カサト…大好き」
「俺も愛してる。…だから怒るんやで?もう言わんけど…な」
深く口づけしてくれる。
あぁ。ランキングなんてつけたくないけど、やっぱり一番好きだなぁ。
キスを受け入れていると、扉のノックと共にネージュが凄い顔で入ってきた。
「…ちょっと…レーナをひとりじめしないでよ!」
「…もう大分抱いてないんやで…こっちは。それに、もう子供出来たんやろ?やからいいやん」
「そうだな。僕も早くレーナを抱きたいよ」
「僕も!早くレーナさんの中に入りたい!」
「ディグ!もう少しオブラートに包んで言いなさい…!」
「ぼ…ぼく…は…っ」
「…俺様も、早く二人目が欲しい」
みんなどれだけ私の事好きなのよ。
でも、これだけはハッキリ言っておこう。
「みんなには悪いんだけど…マルセルの子供で、産むの最後にするから」
「「「「「「「えっ?!」」」」」」」
「本当に申し訳ないんだけど…。人が人を産むのって、もの凄く大変な事なのよ…!」
悲痛な叫びに、各々納得してくれたみたい。
顔を合わせて気まずそうにしている。
「でも安心して!避妊魔法作るから、何年待ちとかしなくても良くなるよ!」
努めて明るく振る舞うと、みんなの顔がパアッと明るくなっていく。
わーっとベッドへ近づいてきて、
「うれしい!いつでもレーナとつながれるの?!」
「いつでもは、ちょっと…」
「では順番を決めて、夜だけという事にしましょう」
「だったら早くレーナさんと結ばれてよ!マルセルさん!」
「ぇっ!えっ…とぉ…!」
「ちょお待てや、それより先にネージュの子供産まなやろ」
「早く…産まれないかな…」
「ちょっと待て。レーナを休ませる日もいるんじゃないか…?」
ネージュの子供も産まれてないし、マルセルともまだなのにみんな気が早すぎない?!
ワイワイしていたお陰で子供たちも入ってくるし、父親が喜んでいる事を知って子供たちも喜んでいるしで。
絶対にあと二人で終わりにする!
そう固く誓った夜なのでした。
ちなみにネージュとの間に出来た子供は男のコで、髪が白くて肌はネージュより薄かった。
名前はニーヴェ。
緋色の所も同じ時期に出産でき、女のコで名前はグラウ。灰色の髪の毛だ。
順番でいえば次はマルセルだけれど、果たして私に触れる事が出来るのだろうか。
今から少し、いやかーなり不安である。
いつもなら子供を宿せる時期に来ても、月の物が来ない日々が続いた。
子供が出来なくてもいいと、ネージュは毎晩私を抱きにくる。
「はっ、ネージュ…だめぇ…っ」
「だめじゃないでしょ。きもちいいよね?」
ネージュは後ろからが好きだった。
後ろから何度も突かれて身体が震え、何度もイッてしまう。
「みて。ミルクがぴゅーってでてくるよ。だめだよ、あかちゃんのためにとっといてよ」
「じゃぁ、摘むの、やめてぇっ」
シーツが私のお乳で濡れてしまう。
まだクリーンが使えるからいいけど、正直恥ずかしい。
ズルっと抜いたと思ったら、腕を引かれて対面座位の形で下から私を穿つ。
「あっ、あぁんっ」
「このかたちすきだよね。ぼくもすきだよ。だってのめるし」
「やぁぁんっ」
ディグのより少し大きいネージュ自身を深く奥まで飲み込む。
子宮をコンコンされて、何をされても気持ちがいい。
「やっネージュぅ…イク…っ!」
「いいよ。ぼくもいっしょに、いくっ」
「ぁあーーっ!」
「くっ」
お腹に温かいものが広がる。
お互いに肩で息をしながら、ベッドへ寝転がる。
一度抜き、割れ目からなくなった栓を、後ろから抱きかかえてまた入れられた。
最近はこうやって寝ている。
「はやくこどもできないかなぁ…」
「うん…そうだね…」
毎日抱かれているけど、ハルトが私を極限まで抱くと身体に負担がかかると知ったからか、ネージュは加減を覚えてくれた。
自分が出すのは一回。
その代わり寝る時は、栓をするようにまた入れる。
身体が15歳で止まったままのネージュ。
ピッタリと私の背中をくっつけて、首筋を吸ってから眠りにつく。
「「おやすみ…」」
朝食を食べて仕事に行くみんなを見送った後。ソファでカフェオレを飲みながら考えていた。
もしかしたら、子供は出来ないのかもしれない。
元魔物だし、私の魔力で育ったから。
っていうかそれだったら近親相か、いやいや!
それはない!
首を降って全否定した。
もしかして、もう子供が産めない身体になっちゃったのかな。
「ママ。ヒイロちゃんが家に来てほしいって」
ルージュとネロ、クレーが手を繋いで私に話しかけてきた。
珍しい。緋色とは毎日顔を合わすけれど、それは昼ごはんと勉強を終えた後なのに。
「わかった。みんな、大人しくしててね?」
「「「「「はーい」」」」」
良い返事が帰ってきた。
ネージュにも一応お願いし、私は緋色の所へ向かった。
扉を叩くと緋色が涙を流して出てきて、それを受け止める。
「ど、どうしたの?!」
「玲奈…玲奈ぁぁ」
この泣き方は尋常じゃない。もしかして、グリさんが、浮気?!
「とりあえず、中に入っていい?」
「うん…」
緋色の家は私とほぼ同じ造りだけど、小さい。
4人家族で十分くらい。
ソファに座らせ、落ち着かせる為に台所からホットミルクを作って持ってきた。
勝手知ったる仲だから、緋色も特に何も言わない。
「…どうしたの?」
「じ…じつは…っぐ、グリさん…っ」
泣きじゃくる緋色の、そのセリフだけで頭に血が上ってしまった。
「浮気!?浮気されたの?!そうなんでしょ?!」
「へ…?」
「許さない…!緋色がいながら、浮気なんて!だから赤ちゃん出来なかったのね!今はカリフィネに出張中だったっけ?まさか出張じゃなくて…浮気…?!」
「待っ、待って玲奈…!」
グリさんの今の仕事はオルテュース商会の荷馬車を警護する事。
冒険者から盗賊になった人は少なくない。
グリさんなら見た目も屈強だし、襲われる事はまずない。
出張もそんなにないから、
「…信じてたのに…!」
「玲奈待って…!」
緋色の静止も聞こえず、レーナは転移魔法でカリフィネへ飛んだ。
オルテュース商会と主に仕事している所は、カリフィネのシュネーレーゲン商会だった筈。
怒りが頂点にきていた私は、半袖だったのに寒さを全く感じなかった。
周りは私を見て寒そうだと身体を震わせた。
シュネーレーゲン商会について開口一番。
「グリさんはどこ?!」
ホールにいた男の人に詰め寄った。
問われた人はタジタジだ。
「グリ、ですか?どちらのグリでしょうか?」
「オルテュース商会から来たグリよ!どこにいるの?!」
「レーナ殿?!」
騒ぎを聞きつけたグリが外から入ってきた。
次はグリに詰め寄る。
人差し指をさして、
「あなたねぇ!緋色が泣いてたわよ!」
「えっ?!ヒイロが?!とりあえず、レーナ殿これを羽織ってください!」
自身が着ていたマントを脱いで私の肩にかける。
こんな奴の施しなんて!
マントを脱いでグリに返す。
「この浮気者!緋色のどこが不満なのよ!!」
「う、浮気?!一体何の話ですかっ?!ヒイロは、ヒイロは本当に泣いていたのですか?!」
「泣いてるわよ!グリさんのって、浮気者って!」
「本当に…ヒイロが…?浮気なんて…俺は…」
ん?まてよ?
緋色は、浮気とは言ってなかったかも?
グリさんの傷ついた顔に、途端に冷静になった。
そういえば、浮気なんて言ってない、かも?
「…あれ…?へっくしょっ!」
「あぁ、そんな薄着で…レーナ殿、風邪を召されます」
傷ついたままなのに、マントを私にかけてくれる。
自分も薄着になるだろうに。
「それで…本当に浮気だと…?」
「うーん…言ってないかも?」
「…」
残念な人を見る顔=無表情。
今更てへぺろしても可愛くない。
21歳のてへぺろなんて見たくないだろう。
「ごめんなさい!ちゃんと聞いてくるわ!」
両手を合わせ、マントをグリさんに返して、トイレを借りてヒイロの家に戻った。
「あっ!玲奈!」
「ごめん、緋色…。グリさん、なに?」
「もう…早とちりなんだから…!」
緋色はもう泣いてなかった。
ぐすぐすとぐずってはいたけど。
「私…グリさんの、赤ちゃん…できた」
「えぇっ?!」
そっちかぁ!!!!
「お、おめでとぉ!!本当に?!やったぁ!!」
「ありがとう…玲奈。早く言わなくてごめんね?」
「いいよいいよ!早とちりした私が悪いんだし!グリさんにも謝って…来るわ!本当にごめん!」
「えっいいよ、玲奈…!…いっちゃった…」
玲奈は相変わらず猪突猛進なのであった。
シュネーレーゲン商会のトイレから出てきて、気まずそうにグリさんの前に行く。
そして腰を90度曲げて謝った。
「私の早とちりでした…ごめんなさい!」
「レーナ殿…良かったです。ですが、ヒイロに一体何が?」
それは、私の口からは言えないかな。
そうだ!
「今すぐ帰った方がいいかもしれない。護衛の任務は私が代わりましょう!」
「………え?」
またまた無表情になったグリさんの背中を押し、オルテュース商会の人たちに無理を言って交代をしてもらった。ちなみに交代するにあたって、グリさんより私の方が強いと証明する為、グリさんと力比べ=腕相撲をして圧勝した。
最初はオルテュース商会の人たちは女の私に出来るのかとニマニマしてたけど、他の護衛からも圧勝した事により青白い顔で納得させる事が出来た。
最初は色々言っていたグリさんを諦めさせて緋色の元へ送り、みんなに説明しておいて欲しいと丸投げすると流石に焦っていた。
書き置きを残そうと部屋へ飛び、マントを取ってまたカリフィネへ飛ぶ。
シュネーレーゲン商会の人たちにも騒がせて申し訳ありませんでしたと謝ると、さっきの力比べは凄かったと称賛され、うちの護衛からもやりたいと申し出されてしまったのでちょっとしたイベントみたいになってしまった。
当然、まだ加護持ちの私の圧勝だったけど。
これでみんなからの信頼も得られたかな?
キレイで美人で儚い印象なのに強いなんて!と老若男女問わず何人かが私のファン(?)になっていた。
これ以上夫は増やしたくなかったので、早々に出荷&入荷を済ませてアンブシュアへと向かった。
「あり得へんやろ!」
テーブルを叩き、憤りを見せるカサト。
それを見た子供たちは泣き出してしまった。
もちろん、レーナがいない事もあって。
子供たちを慰めるのはいつもハルトとネージュだ。
「カサト、気持ちはわかるが子供たちが怯える」
「そうだよ!おこりたいきもちもわかるけど、みんなそうおもってるんだからね!」
ネージュはドラコの味方をする。
それはいつまで経っても変わらない。
「ごめんなさい…。私が、泣いたりしたからこんな事に…」
「いえ、ヒイロさんは悪くありません。悪いのは無鉄砲で一直線なレーナ様です」
普段レーナの悪口を言わないハルトでさえも、オブラートに包みながら毒つく始末。
それでもみんな、レーナの無事を祈る他なかった。
ピアスの通信は、皆魔力がないので使えなくなっていた。
レーナは怒られる事を承知で、ゆっくりと、だけど確実にアンブシュアへと近づく。
途中で山賊や盗賊に狙われている事にいち早く気づき、みんなを不安にさせないよう一人で撃退しては何食わぬ顔で「何も起きないですねぇ。平和ですねぇ」としれっと言うのだ。
美女に笑顔で言われれば、襲われないのはおかしいと思っていた頭は、考えることを拒否した。
襲われないのであれば良い。それだけ平和になってきている証拠なのだと勘違いをさせて。
そうして、一ヶ月弱にも渡る久々のレーナの旅は終了したのであった。
「…ただいまー…?」
「ママ!?」
「レーナ!?」
「レーナ様!!」
夫たちが仕事中なのを見計らって帰ってきた。
家の中にはハルトとネージュ、子供たち。
私がいなくてもみんなちゃんとご飯食べてるみたいだし大丈夫じゃんと思ったのは一人を除いた子供たちだけだった。
子供たちが私に一気に駆け寄り足に抱きついてくる。
泣き合戦が始まってしまった。
「どうしてひとりでいったんだよ!こっちはずっとしんぱいしてたのに!レーナめちゃくちゃげんきそうじゃん!」
「あははー…怒らないでよ、ネージュ~!」
「…皆怒らないとでもお思いでしたか?こちらは皆ピリピリして怒り狂っていましたよ!」
ネージュも泣いて抱きついてくるし、ハルトも珍しく抱きついてきた。
「…無事で良かった…」
深いため息と共に心に残る言葉。
不安にさせてごめんね、とみんなの頭を順に撫でていく。
最後に撫でるのはアンディ。この子だけは夫たちと同じくらい頬が痩せてしまっている。
それにアンディは一人離れて服の裾を両手で握って俯いたまま。
みんなに少し離れて貰い、しゃがんでアンディを両手に迎える。
「アンディ…おいで」
「…」
呼ぶとおずおずと近づいてきて首に抱きついてくる。ぐすぐすと聞こえ、泣くのも我慢していたのか声も出さず肩が濡れていく。
抱きしめてあげ頭を撫でると、他の子達も抱きついてきて尻もちを着いた。
「ごめんっごめんって…ほらみんな泣かないで…あ、ヴェール駄目、お腹には乗らないで?」
下腹ぽっこり。
「え…どうしたの、おなか…」
「何か急に膨らんできたんだよね。ネージュって雪人だったでしょ?寒い所に行ったから、赤ちゃん出てきたのかも?」
「えー?!」
「…にわかには信じられませんが…寒い場所に行ったから、というのは一説ありそうですね…」
旅をしていたのは一ヶ月弱だから、その間に私が浮気してできた、なんて事は成長過程からも考えられない。浮気なんてしてないしね。
ルージュとネルとクレーが気を効かせてヒイロを呼んできてくれた。
帰ってきた私を見て緋色も泣き出してしまった。
大きい子供がもう一人なんて軽く思っていたけど、つわりが酷い事やこれからの事を先輩ママの私に色々聞きたかったのだと泣き喚かれ怒られた。
みんなを宥めながら一ヶ月弱何があったか等を聞いていると、夫たちが次々と帰ってきて。
みんな帰ってきたタイミングで子供たちを他の夫たちに任せ、カサトに自室へ連れられ地べたに正座させられてめっちゃくちゃ怒られた。
それはもうガミガミと。
次はない。行くなら誰か連れて行け。お前はもう一人じゃないと。
物凄く反省すると、それが伝わったのか許してくれた。地べたから抱き起こされてベッドへと座ったカサトの上に横抱きに座らされて、優しい笑顔で頭とお腹を撫でてキスをしてくれる。
「あんなに旅して周ってたもんな…子供たちが大きなったら、また二人で旅してもええな」
「…カサト…」
久々にきゅんとしてしまった。
やっぱりカサトは優しくて強くて頼りがいがある男だなぁ。
「カサト…大好き」
「俺も愛してる。…だから怒るんやで?もう言わんけど…な」
深く口づけしてくれる。
あぁ。ランキングなんてつけたくないけど、やっぱり一番好きだなぁ。
キスを受け入れていると、扉のノックと共にネージュが凄い顔で入ってきた。
「…ちょっと…レーナをひとりじめしないでよ!」
「…もう大分抱いてないんやで…こっちは。それに、もう子供出来たんやろ?やからいいやん」
「そうだな。僕も早くレーナを抱きたいよ」
「僕も!早くレーナさんの中に入りたい!」
「ディグ!もう少しオブラートに包んで言いなさい…!」
「ぼ…ぼく…は…っ」
「…俺様も、早く二人目が欲しい」
みんなどれだけ私の事好きなのよ。
でも、これだけはハッキリ言っておこう。
「みんなには悪いんだけど…マルセルの子供で、産むの最後にするから」
「「「「「「「えっ?!」」」」」」」
「本当に申し訳ないんだけど…。人が人を産むのって、もの凄く大変な事なのよ…!」
悲痛な叫びに、各々納得してくれたみたい。
顔を合わせて気まずそうにしている。
「でも安心して!避妊魔法作るから、何年待ちとかしなくても良くなるよ!」
努めて明るく振る舞うと、みんなの顔がパアッと明るくなっていく。
わーっとベッドへ近づいてきて、
「うれしい!いつでもレーナとつながれるの?!」
「いつでもは、ちょっと…」
「では順番を決めて、夜だけという事にしましょう」
「だったら早くレーナさんと結ばれてよ!マルセルさん!」
「ぇっ!えっ…とぉ…!」
「ちょお待てや、それより先にネージュの子供産まなやろ」
「早く…産まれないかな…」
「ちょっと待て。レーナを休ませる日もいるんじゃないか…?」
ネージュの子供も産まれてないし、マルセルともまだなのにみんな気が早すぎない?!
ワイワイしていたお陰で子供たちも入ってくるし、父親が喜んでいる事を知って子供たちも喜んでいるしで。
絶対にあと二人で終わりにする!
そう固く誓った夜なのでした。
ちなみにネージュとの間に出来た子供は男のコで、髪が白くて肌はネージュより薄かった。
名前はニーヴェ。
緋色の所も同じ時期に出産でき、女のコで名前はグラウ。灰色の髪の毛だ。
順番でいえば次はマルセルだけれど、果たして私に触れる事が出来るのだろうか。
今から少し、いやかーなり不安である。
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読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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