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猫
しおりを挟む発情期のオス猫は、本能のままに動く。
大型犬がいるのに、大型猫が飼い猫にいない理由を知っているだろうか。
どうやら品種を変えることで作ることはできるようだ。だが、今のサイズがギリギリ人間が勝てるため、これ以上大きいサイズを作ろうとしないらしい。ということは、本気を出した猫に、人間はかなうわけがない。
大型猫の話自体本当かは知らないけれど、私は猫にかなわないことを痛感する体験をした。
先ず、我が家ではメス猫四匹、オス猫二匹が暮らしている。
実はもう一匹犬がいるのだが、その話はまた別の機会に。
元々我が家には、メス猫が二匹しかいなかった。
家の猫が増えた理由は最初に猫の避妊手術をしなかったからである。その為、発情期中のウチの猫が外に出てしまい、見事子供を宿してしまったのだ。生まれてしまった生命に罪があるわけもないのだが、さすがに六匹は多く、また大変賑やかだった。
この辺りでも一悶着あったのだが、それもまた別の機会に語りたい。
ともかく、遅くともこの時点で、せめてメスかオスのどちらかに手術をしておけばよかったのだ。
猫が生まれた年、父が定年退職をした。
借金返済、私の大学進学、職の安定しないABC
様々な不安が父の中ではあり、退職金はそれらに使いたかった模様。
だがしかし、大金を手にした母が欲求を抑えるわけもなく、必要のない場所のリフォームや車の買い替えを行った。
正直、我が家はBが荒れ狂ったことによりいくらかの穴が空いた壁がある。
その点に関してだけはリフォーム、というより壁紙の張り替えを行うことは賛成だった。
しかし、それ以外にも風呂場、脱衣所に乾燥機と暖房、洗面台の作り替え、キッチンの一層リフォーム、食洗機の取り付け、玄関から車庫までのスロープ化、外部の洗濯物を干す場所をベランダ化
覚えているだけでもこれだけの事を行った。
金銭的な部分で困った部分も多分にあるけれど、六匹もいる猫は好き勝手に動き回る。
彼ら彼女らを、母はケージを買い、その中で生活させる事にしたのだ。
最初は、リフォーム期間だけの予定だった。
しかし、綺麗になる壁を見る内に、両親は、今のままでも自分たちに問題はない。むしろ、猫を部屋中に解き放てば壁が削られ、折角金をかけたのに無駄になる。
そう考えたのだろう。何度言ってもケージから出す事は許されなかった。
そんな日々を過ごしていた春。
動物の発情期。
勿論、避妊手術をしていないウチの子達も発情期を迎える。
そして、オス猫の発情期は一般的に、メス猫のフェロモンなどを感知して発情期が来るらしい。
トイレ掃除や餌やりが楽。ただそれだけで、メスとオスのケージは隣に置かれていた。
親子や兄弟といったものが猫に関係あるのかは定かではないが、真横でフェロモンに当てられればオス猫も当然発情する。
発情したオス猫とオス猫は、所謂メスの奪い合いを行う。
これがケージ外であれば、私も特に気にはしていなかった。
しかし、狭い、とても狭いケージの中で二匹は本気の喧嘩を行う。
もしかすると何方かの命が危ういかもしれない。その位の鳴き声だった。
当時、私はすでに大学へ進学しておりたまにしか帰省していなかった為、余計に二匹のやりとりが恐ろしく感じた。
ABCの誰も動く事はなく、慌ててケージの扉を開けにいった。
途端、右手に鈍い痛みが走る。
しかし、今となっては命からがら開けたケージのおかげで二匹は特に命を失う事もなく、落ち着いてくれた。
私は、四箇所程、深く猫にひっかかれ、一箇所は三ミリ程のえぐれていた。
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