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序章
司紋灼は巻き込まれる
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「灼くん、君は今日でクビね」
「‥‥はい?」
何の前触れもなく告げられるクビ宣告に、司紋灼は驚きを隠す事が出来なかった。
一体自分は会社にとって、何か不利益になるような行為を行ったものかと思考を巡らせてみるも、特にこれという問題は起こしていない。
では何故か。
「だから、クビね」
「え!?いや、俺何かしましたでしょうか?」
何故クビなのかを問う灼に、心底疑問を含んだような表情の上司は、「知らないのか?」と言いつつ理由を教えてくれた。
「この前、崇悪思想教団《ファイン・トランティスト》だったかが国を制圧して周っているだろう?もう時期日本も同じ末路を向かうだろうから、会社も早いところ無くなるんだよ」
「崇悪思想教団‥‥?何ですかそれ?」
「それも知らんのか!!」
あははと愛想笑いする灼だが、理由は会社の圧倒的無賃残業にあった。
毎日終わらない業務を強いられ、残業をせざるを得ない灼にとって社会情勢など縁のない話なのだ。
そのため時間を十分に取れず、テレビニュースやネットニュースの類は見る事が出来ないので、昨日の歴史的事件も当然知る由もない。
仕方のないことである。
「まあ簡単に言えば戦争が始まったんだ。とは言っても、悲しいくらい一方的なものだがな。ほら、灼もこんな時くらい家族と一緒にいろよ。な?」
「は、はい‥‥」
そんなこんなで、流される形ではあるが、灼だけでなく会社員全体の一斉リストラの被害に遭ってしまった。
退職金は貰えたものの、これで何日過ごせるのかは未だ定かではない。
いつ切れるのかという恐怖に狩られながら生きる日々はとても恐ろしいので、早いところ新しい仕事を探さねばならない。
「でも、あの人の言い分からして、大体の会社はリストラを行なっているとみた。うーん、駄目だこれは詰んだ」
多分もう給料なんて貰えないんだろうなと考えながら、自宅へ向かいつつ夜飯をスーパ買いに買いに行く。
その間、久しぶりに時間が出来たのでスマートフォンのニュースアプリを用いて今の状況を簡単に整理した。
「要するに、この崇悪思想教団って奴らが暴動を起こしたせいでこんなことになってるのか。げっ、制圧されてないの日本だけじゃん。本当に明日の金より明日の命を気にした方が良い世界になってやがる」
灼、納得。
「そりゃみんな仕事も辞めるよね」
スーパーで一通り今日の晩飯を買い終えると、もう辺りは暗くなっており、気温も下がっていた。
「寒っ!!‥‥こんな状況でも、季節は変わるんだな」
空へ目を向けると、上から白い粒が降ってきており、僅かではあるが冬の訪れを実感できた。
なんだか心が少し和んだようだった。
「さて、帰るか」
気分を切り替え、スーパーの敷地を出ようとした刹那、背後から物凄い爆発音と爆風が灼に押し寄せてきた。
「──っ!?」
そのまま一直線上に勢いよく吹き飛ばされ、強運かはたまた不幸か、近くの壁に激突し静止する。
背中を襲う激痛を必死に耐えながら、爆発音がした場所を見ると、先程までいたスーパーであったことに気づく。
少し遅かったら自分はどうなっていたのだろうと考えると、全身が震えて止まらない。
だが、無事だったことを安心するのは出来そうにない。
「何だ、あれは?」
何故なら、灼の視界には確かにこの世では見る筈のない姿をした生物たちが地を張っていたからだった。
「‥‥はい?」
何の前触れもなく告げられるクビ宣告に、司紋灼は驚きを隠す事が出来なかった。
一体自分は会社にとって、何か不利益になるような行為を行ったものかと思考を巡らせてみるも、特にこれという問題は起こしていない。
では何故か。
「だから、クビね」
「え!?いや、俺何かしましたでしょうか?」
何故クビなのかを問う灼に、心底疑問を含んだような表情の上司は、「知らないのか?」と言いつつ理由を教えてくれた。
「この前、崇悪思想教団《ファイン・トランティスト》だったかが国を制圧して周っているだろう?もう時期日本も同じ末路を向かうだろうから、会社も早いところ無くなるんだよ」
「崇悪思想教団‥‥?何ですかそれ?」
「それも知らんのか!!」
あははと愛想笑いする灼だが、理由は会社の圧倒的無賃残業にあった。
毎日終わらない業務を強いられ、残業をせざるを得ない灼にとって社会情勢など縁のない話なのだ。
そのため時間を十分に取れず、テレビニュースやネットニュースの類は見る事が出来ないので、昨日の歴史的事件も当然知る由もない。
仕方のないことである。
「まあ簡単に言えば戦争が始まったんだ。とは言っても、悲しいくらい一方的なものだがな。ほら、灼もこんな時くらい家族と一緒にいろよ。な?」
「は、はい‥‥」
そんなこんなで、流される形ではあるが、灼だけでなく会社員全体の一斉リストラの被害に遭ってしまった。
退職金は貰えたものの、これで何日過ごせるのかは未だ定かではない。
いつ切れるのかという恐怖に狩られながら生きる日々はとても恐ろしいので、早いところ新しい仕事を探さねばならない。
「でも、あの人の言い分からして、大体の会社はリストラを行なっているとみた。うーん、駄目だこれは詰んだ」
多分もう給料なんて貰えないんだろうなと考えながら、自宅へ向かいつつ夜飯をスーパ買いに買いに行く。
その間、久しぶりに時間が出来たのでスマートフォンのニュースアプリを用いて今の状況を簡単に整理した。
「要するに、この崇悪思想教団って奴らが暴動を起こしたせいでこんなことになってるのか。げっ、制圧されてないの日本だけじゃん。本当に明日の金より明日の命を気にした方が良い世界になってやがる」
灼、納得。
「そりゃみんな仕事も辞めるよね」
スーパーで一通り今日の晩飯を買い終えると、もう辺りは暗くなっており、気温も下がっていた。
「寒っ!!‥‥こんな状況でも、季節は変わるんだな」
空へ目を向けると、上から白い粒が降ってきており、僅かではあるが冬の訪れを実感できた。
なんだか心が少し和んだようだった。
「さて、帰るか」
気分を切り替え、スーパーの敷地を出ようとした刹那、背後から物凄い爆発音と爆風が灼に押し寄せてきた。
「──っ!?」
そのまま一直線上に勢いよく吹き飛ばされ、強運かはたまた不幸か、近くの壁に激突し静止する。
背中を襲う激痛を必死に耐えながら、爆発音がした場所を見ると、先程までいたスーパーであったことに気づく。
少し遅かったら自分はどうなっていたのだろうと考えると、全身が震えて止まらない。
だが、無事だったことを安心するのは出来そうにない。
「何だ、あれは?」
何故なら、灼の視界には確かにこの世では見る筈のない姿をした生物たちが地を張っていたからだった。
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