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序章
闇夜の地獄
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絶対に人ではない何か、それは体の構造から動き方に至るまで何もかもが可笑しい生物だった。
正確な情報こそ無いが、人間に宿る生存本能が灼の瞳に映る生物に危険信号を強く放っていた。
有難いことに、あの生物──クリーチャーは灼の存在に気づいていない様で、この隙に逃げた方が良いことは明確だった。
(逃げるなら、今しかない)
あれを危険物と仮定する条件が揃っていないのなら、見間違いと考えることも可能だっただろうが、あいにく条件が揃いすぎている。
爆発によって大破したスーパー、そこから出現した謎の生物、それに摩訶不思議な容姿。
十分に危険物と言って良いだろう。
(でもどう逃げる、気づかれたらお終いだ。この体の痛さ的に、長距離を移動するのは不可能。なら‥‥)
周囲に逃げ込める場所を探し、有ればすぐさまそこへ逃亡することを強く決意する。
高い攻撃力を誇っていた場合に備えて、ある程度の強度を持ち尚且つ直ぐに逃げ込める場所でなければならない。
その条件下で探すとなると、周囲には一軒しか条件に沿う建物は無かった。
それはスーパーの近くに建っていたホームセンターで、中々の広さを有し、頑張ればギリギリ間に合う距離にある。
(行くかねえ!!)
激痛に襲われる体を何とか起こし、ふらつく足をガッチリと固めると、決死の覚悟でホームセンターへと走り出す。
まだクリーチャーは灼の存在を感知しておらず、この調子なら無事につける算段をつけられる。
出来るだけ物陰を辿っていくことで、着実に安全に目的地を目指す。
気分はよくあるステルスゲームを彷彿とさせるが、今は命が懸かっているので早く終わることを願うばかりだ。
(あと数メートル‥‥この調子なら‥)
灼は目の前に控える目的地へ向けて、最後の力を振り絞る。
足に力を集中させ、強く地を踏み込み、先は先へ進んでいく。
あと少し、あと少しと段々と希望が見えて来る。
そんな時だった。
不意に足元で何かを蹴ったような感覚があったことに気づく。
「──つ!?」
蹴っていたのは小石で、それはカランコロンと軽い音を立ててクリーチャーたちの元へと転がって行った。
クリーチャーたちの注目は一斉に小石に集まったが、徐々に目線らしきものは上へと昇り続け、とうとう灼を視認してしまった。
(冗談だろ!?)
追いつかれるものかと足を止めずに進み続ける灼に、獲物を見つけた野生動物のように襲い掛かるクリーチャー。
クリーチャーの速度は想定以上で、一瞬にして灼を背後をつけていた。
そして奇妙な肉付きの片手を灼へと振り翳す。
「あっぶねえ!!」
間一髪で回避に成功し、攻撃があった場所を見ると、地面が抉られ穴が空いている事が分かった。
恐ろしく強靭な攻撃、喰らったら即死だ。
(あと少しなんだ‥‥!もってくれよ俺の体!!)
現在地でのホームセンターと灼の距離は、約30センチほどでシャッターは半分以上締め切られていた。
(あとは運任せだな)
灼はやるしかないと言わんばかりに、足を前に突き出し、体を屈めると、上手く重心をずらしてスライディングを決める。
シャッター下を滑り込み、すぐさま後ろを振り返ると、シャッターを掴み取り、迫り来るクリーチャーの体ごとシャッターを下ろす。
ぐちゃ、という体が潰れた音が鳴り、クリーチャーも完全に動きが無くなったことを確認するや否や、灼の体は物凄い疲労感に包まれた。
「もう、終わりか‥‥?」
正確な情報こそ無いが、人間に宿る生存本能が灼の瞳に映る生物に危険信号を強く放っていた。
有難いことに、あの生物──クリーチャーは灼の存在に気づいていない様で、この隙に逃げた方が良いことは明確だった。
(逃げるなら、今しかない)
あれを危険物と仮定する条件が揃っていないのなら、見間違いと考えることも可能だっただろうが、あいにく条件が揃いすぎている。
爆発によって大破したスーパー、そこから出現した謎の生物、それに摩訶不思議な容姿。
十分に危険物と言って良いだろう。
(でもどう逃げる、気づかれたらお終いだ。この体の痛さ的に、長距離を移動するのは不可能。なら‥‥)
周囲に逃げ込める場所を探し、有ればすぐさまそこへ逃亡することを強く決意する。
高い攻撃力を誇っていた場合に備えて、ある程度の強度を持ち尚且つ直ぐに逃げ込める場所でなければならない。
その条件下で探すとなると、周囲には一軒しか条件に沿う建物は無かった。
それはスーパーの近くに建っていたホームセンターで、中々の広さを有し、頑張ればギリギリ間に合う距離にある。
(行くかねえ!!)
激痛に襲われる体を何とか起こし、ふらつく足をガッチリと固めると、決死の覚悟でホームセンターへと走り出す。
まだクリーチャーは灼の存在を感知しておらず、この調子なら無事につける算段をつけられる。
出来るだけ物陰を辿っていくことで、着実に安全に目的地を目指す。
気分はよくあるステルスゲームを彷彿とさせるが、今は命が懸かっているので早く終わることを願うばかりだ。
(あと数メートル‥‥この調子なら‥)
灼は目の前に控える目的地へ向けて、最後の力を振り絞る。
足に力を集中させ、強く地を踏み込み、先は先へ進んでいく。
あと少し、あと少しと段々と希望が見えて来る。
そんな時だった。
不意に足元で何かを蹴ったような感覚があったことに気づく。
「──つ!?」
蹴っていたのは小石で、それはカランコロンと軽い音を立ててクリーチャーたちの元へと転がって行った。
クリーチャーたちの注目は一斉に小石に集まったが、徐々に目線らしきものは上へと昇り続け、とうとう灼を視認してしまった。
(冗談だろ!?)
追いつかれるものかと足を止めずに進み続ける灼に、獲物を見つけた野生動物のように襲い掛かるクリーチャー。
クリーチャーの速度は想定以上で、一瞬にして灼を背後をつけていた。
そして奇妙な肉付きの片手を灼へと振り翳す。
「あっぶねえ!!」
間一髪で回避に成功し、攻撃があった場所を見ると、地面が抉られ穴が空いている事が分かった。
恐ろしく強靭な攻撃、喰らったら即死だ。
(あと少しなんだ‥‥!もってくれよ俺の体!!)
現在地でのホームセンターと灼の距離は、約30センチほどでシャッターは半分以上締め切られていた。
(あとは運任せだな)
灼はやるしかないと言わんばかりに、足を前に突き出し、体を屈めると、上手く重心をずらしてスライディングを決める。
シャッター下を滑り込み、すぐさま後ろを振り返ると、シャッターを掴み取り、迫り来るクリーチャーの体ごとシャッターを下ろす。
ぐちゃ、という体が潰れた音が鳴り、クリーチャーも完全に動きが無くなったことを確認するや否や、灼の体は物凄い疲労感に包まれた。
「もう、終わりか‥‥?」
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