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序章
最初の夜明け 中編
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なら、どうする。
灼自身が残弾を気にしながら、リサイクラーへ攻撃を始めることも出来ないことはないだろう。
ただ、前提として灼は一般人であり、涼雅とも今日が初めましてだ。
銃の使い方は独学で習得しているとはいえ、しっかりとした連携を取れていない人物との共同戦闘で攻撃を行うには、ちと危険が大きい。
それに避け方も下手であることから、リサイクラーの数回の攻撃で灼は死ぬだろう。
(そんな選択、出来るわけない)
涼雅は絶対に灼を死なせる訳にはいかない。
理由で何であれ、涼雅にもここへ来た明確な目的がある。
目的を遂行する為にも、灼には絶対的な安全を確保しつつ、リサイクラーの討伐を手助けしてもらう必要がある。
無謀な賭けにはノータッチだ。
「なら、俺が負担を背負うしかないな」
選んだのは、灼を極力戦闘には参加させないことは変えずに、自分の攻撃パターンを変え、尚且つ回数も保ち続けること。
全身にかかる負担は想像を絶するが、目的は果たせる。
「もう、身内には死んでほしくない」
涼雅は迫り来るリサイクラーの攻撃を身軽に交わしながら、軽快なステップで花月刀を振り翳す。
「──花月刀桜花絢蘭《かげつとう おうかけんらん》ッ!!」
二本目の足に、桜吹雪舞い踊り、蘭のように美しく鋭い一撃が炸裂する。
通常攻撃と違う点は、圧倒的な威力を持つことだ。
その代わり、花月刀本来の力を引き出すまでに多少の隙が生まれることと、使用者本人の卓越した技量を必要とするデメリットがある。
デメリットにも様々あり、例えば技を発動できたとしても、攻撃を防げない可能性があること。
また、的確に当てることが出来なければ通常攻撃より多少上がった威力しか出ないといったものがある。
要するに、連発するのはあまり宜しくない。
「博士、調整間違ってんだろ、これ」
一発の攻撃で足を落とすことには成功した。
使用者ありきではあるが、絶大な効果は生み出せている。
だが、反動が想像以上だった。
これでは通常攻撃となんら状況は変わっていないし、むしろ悪化傾向にあると言っていい。
(あと七本。花月刀の技でストックされているのは、あと二種類。使えそうなのは、一つか)
花月刀には使用出来る技に限りがある。
既に二回ほど涼雅が使用している【桜花絢蘭】と現在残されている二つがある。
それが【雪月血花《せつげつけっか》】と【燦々火花《さんさんかばな》】だ。
涼雅に支給されている花月刀はまだ試作段階のものであり、残り二つも調整ミスで狂った威力と反動を出す可能性がある。
よって、一か八かの賭けになってしまう。
(何か、良い案があるか?戦闘中に無線で博士に連絡を取るか?いや、あまりにも危険すぎる。だが、二つの能力を知らないまま撃つのはより無謀だ。なら────)
「────灼!!その無線で、博士ってやつに花月刀の技の詳細を聞け!!それがこの状況を打破出来る最後の手段だ」
勢いよく投げつけられた無線を見事キャッチし、灼は慣れない手つきで操作を始める。
自分でやるのは危険だからと灼にやらすのは常人の斜め上の発想な気もするが、緊急事態の為やむ終えない。
「え?これどうすんの!?」
「その横のボタンを押せば、博士に繋がるようになってる!──くっ!!今は早く連絡を!」
「わ、分かった!!」
指示されたように無線の横側を見ると、確かにボタンが付いており、それを焦りながら押す。
するとノンストップで通信が繋がり、博士なる人物の声が流れ出した。
『涼雅くんどったのー?』
「あのー!?非常事態なんです!!俺は司紋灼です。涼雅さんに花月刀の技の説明を聞けと言われて‥‥!!」
『灼‥‥?ああ、隊長と涼雅くんの親戚の!?そういうことなら、説明しよう!でも、一回しか説明しないから良く聞いてね!!』
凄くマイペースな博士が出てきて、若干困惑気味の灼だが、しっかりと説明に耳を傾向ける。
『まず、【桜花絢蘭】だけど──』
「──多分それは大丈夫です!!」
灼、大正解。
『あ、そうー?じゃあ【雪月血花】ね。これは自分の血を用いることで、相手を氷漬けにする技よ。連発はナンセンスよ!!』
「は、はい」
『次は【燦々火花】。これは周囲に火花を撒き散らしながら、大量の光で斬った箇所を爆発させるわ。さあ!どれか役に立つかは考えてね!!諸君らの健闘を、祈ってるぞ!』
結構雑だった。
だが、有効な技は導き出せたような気がしているのは、灼だけではない筈だ。
勝ち筋はとっくに見えていた。
灼自身が残弾を気にしながら、リサイクラーへ攻撃を始めることも出来ないことはないだろう。
ただ、前提として灼は一般人であり、涼雅とも今日が初めましてだ。
銃の使い方は独学で習得しているとはいえ、しっかりとした連携を取れていない人物との共同戦闘で攻撃を行うには、ちと危険が大きい。
それに避け方も下手であることから、リサイクラーの数回の攻撃で灼は死ぬだろう。
(そんな選択、出来るわけない)
涼雅は絶対に灼を死なせる訳にはいかない。
理由で何であれ、涼雅にもここへ来た明確な目的がある。
目的を遂行する為にも、灼には絶対的な安全を確保しつつ、リサイクラーの討伐を手助けしてもらう必要がある。
無謀な賭けにはノータッチだ。
「なら、俺が負担を背負うしかないな」
選んだのは、灼を極力戦闘には参加させないことは変えずに、自分の攻撃パターンを変え、尚且つ回数も保ち続けること。
全身にかかる負担は想像を絶するが、目的は果たせる。
「もう、身内には死んでほしくない」
涼雅は迫り来るリサイクラーの攻撃を身軽に交わしながら、軽快なステップで花月刀を振り翳す。
「──花月刀桜花絢蘭《かげつとう おうかけんらん》ッ!!」
二本目の足に、桜吹雪舞い踊り、蘭のように美しく鋭い一撃が炸裂する。
通常攻撃と違う点は、圧倒的な威力を持つことだ。
その代わり、花月刀本来の力を引き出すまでに多少の隙が生まれることと、使用者本人の卓越した技量を必要とするデメリットがある。
デメリットにも様々あり、例えば技を発動できたとしても、攻撃を防げない可能性があること。
また、的確に当てることが出来なければ通常攻撃より多少上がった威力しか出ないといったものがある。
要するに、連発するのはあまり宜しくない。
「博士、調整間違ってんだろ、これ」
一発の攻撃で足を落とすことには成功した。
使用者ありきではあるが、絶大な効果は生み出せている。
だが、反動が想像以上だった。
これでは通常攻撃となんら状況は変わっていないし、むしろ悪化傾向にあると言っていい。
(あと七本。花月刀の技でストックされているのは、あと二種類。使えそうなのは、一つか)
花月刀には使用出来る技に限りがある。
既に二回ほど涼雅が使用している【桜花絢蘭】と現在残されている二つがある。
それが【雪月血花《せつげつけっか》】と【燦々火花《さんさんかばな》】だ。
涼雅に支給されている花月刀はまだ試作段階のものであり、残り二つも調整ミスで狂った威力と反動を出す可能性がある。
よって、一か八かの賭けになってしまう。
(何か、良い案があるか?戦闘中に無線で博士に連絡を取るか?いや、あまりにも危険すぎる。だが、二つの能力を知らないまま撃つのはより無謀だ。なら────)
「────灼!!その無線で、博士ってやつに花月刀の技の詳細を聞け!!それがこの状況を打破出来る最後の手段だ」
勢いよく投げつけられた無線を見事キャッチし、灼は慣れない手つきで操作を始める。
自分でやるのは危険だからと灼にやらすのは常人の斜め上の発想な気もするが、緊急事態の為やむ終えない。
「え?これどうすんの!?」
「その横のボタンを押せば、博士に繋がるようになってる!──くっ!!今は早く連絡を!」
「わ、分かった!!」
指示されたように無線の横側を見ると、確かにボタンが付いており、それを焦りながら押す。
するとノンストップで通信が繋がり、博士なる人物の声が流れ出した。
『涼雅くんどったのー?』
「あのー!?非常事態なんです!!俺は司紋灼です。涼雅さんに花月刀の技の説明を聞けと言われて‥‥!!」
『灼‥‥?ああ、隊長と涼雅くんの親戚の!?そういうことなら、説明しよう!でも、一回しか説明しないから良く聞いてね!!』
凄くマイペースな博士が出てきて、若干困惑気味の灼だが、しっかりと説明に耳を傾向ける。
『まず、【桜花絢蘭】だけど──』
「──多分それは大丈夫です!!」
灼、大正解。
『あ、そうー?じゃあ【雪月血花】ね。これは自分の血を用いることで、相手を氷漬けにする技よ。連発はナンセンスよ!!』
「は、はい」
『次は【燦々火花】。これは周囲に火花を撒き散らしながら、大量の光で斬った箇所を爆発させるわ。さあ!どれか役に立つかは考えてね!!諸君らの健闘を、祈ってるぞ!』
結構雑だった。
だが、有効な技は導き出せたような気がしているのは、灼だけではない筈だ。
勝ち筋はとっくに見えていた。
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