Strelitzia

大石或和

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序章

最初の夜明け 前編

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「よく言った、灼!!」

 灼の覚悟が決まったことを把握すると、リサイクラーとの戦闘途中だった涼雅は、一度離脱し、灼の元へ駆け寄る。
 
「さあ、終わらせに行こう。この夜を」

 終わらせる、とはいっても明確な指示はまだない。
 誰がどう行動し、どのタイミングでリサイクラーへ攻撃を加えるか、そこらを固めておかなくては勝ち目はない。
 しかし、摩訶不思議な奴らに共に対抗する人間は、先程灼の前で同じく摩訶不思議な力を見せつけた涼雅だ。
 どんな原理で発せられている力かは想像がつけられないが、何にせよ少なくとも100%負けということはないだろう。
 取り敢えずこの場は、涼雅の指示に動くことを優先した。

「まず俺がリサイクラーの隙をつくる。そしたら、灼はそのお手製ショットガンで奴の顔をぶち抜け」

「でも、あいつの顔までは地上から2メートル近く離れてないか?流石にそんなジャンプ力はないぞ?」

 涼雅はうーんと首を捻らせる。

(そうか。こことあっちの世界だと常識が違うのか。なら、簡単に行えることじゃない。どうする‥‥?)

 涼雅は脳内で思考を巡らせ、凝らす。
 自分にできて灼には出来ない行為、逆に灼に出来て自分には出来ない行為を探し出すことで、最適解を叩き出す。
 そして、見えた。

「なら、俺がリサイクラーの足を攻撃して耐久度を減らしていく。お前は、あいつが膝を着いたタイミングで顔を攻撃してくれ。倒れるまでそれを繰り返す」

 その方が下手に灼が危険な間に合うこともなければ、ある程度の威力が望めるショットガンの攻撃も無駄なく当たる。
 人命も攻撃も、どちらも取れる最高の選択だ。
 あとは、予測通りにリサイクラーが動いてくれるのを願うだけだ。

「じゃあ、合図をしたら動いてくれ。3、2、1、な。行くぞ?」

「ああ」

 チャンスは一度きり、灼の残り残弾も15発。
 失敗すれば最悪どちらとも死ぬ。
 手に汗握る局面とは、まさにこのことを言うのだろうか?
 灼には、程よい緊張感が付き纏い、両手で握り締めるショットガンがジリジリと音を立てて震える。
 だが、考え方を変えれば、失敗出来ない戦いを乗り越えればこれもまた一つの償いにもなる。
 そう考えれば、自然と腕の震えは止まった。
 心の準備が整ったのと同時に、涼雅のカウントダウンが始まった。

「3」

 足並みを揃え、刀、銃を構える。

「2」

 両者呼吸を整える。

「1」

 己の敵に、確実な狙いを定める。

「行くぞ!走れ!!」

「ああ!!」

 二人同時に駆け出し、リサイクラーへの攻撃を開始する。
 涼雅はリサイクラーの付近を駆け巡り、九本ある足のうち一本を攻撃し続ける。
 その間、灼は緊急事態にでも行動が出来るよう戦況を見つつ待機、膝を着けば直ぐ様追い討ちといった形だ。
 まず涼雅が行ったのは、通常斬撃。
 敢えて最初から技を連発するのではなく、ある程度の速さを確立し、ダメージ量ではなく攻撃回数に重点を置く。
 通常斬撃で入る傷は浅いものの、それが積み重なることで傷は深く、より深い場所へと刻み込まれていく。
 そこが狙いだ。

「よし、一本!!」

 ようやく一本足が落ちた。
 一本切り落とすまでにかかった時間は五分、攻撃回数は100回。
 あと八回これを繰り返すとなると、所要時間は合計45分、総攻撃回数は900回。
 幾ら手慣れている涼雅でさえ、この回数を一定時間内に終わらせることはリスクが大きい。
 確実にこの動きを9回行えば、リサイクラーを倒すことが出来たると言うならば、やる価値はあるだろう。
 しかし、何処にもその保証はない。
 もし例外が起きた時、涼雅が満身創痍となっていてはどちらも生存出来るか怪しい。
 簡単には倒せそうにない。
 
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