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序章
大型クリーチャー、仮称【recycler】
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「親戚‥‥!?」
突然の告白に呆気にとられる灼だったが、親戚というのが本当の話ならば、自分の名前を知っていることにも説明がつく。
それに両親が親戚のことについては特に話してくれなかったので、涼雅が親戚と言われても何ら不思議ではない。
だが、現時点で完全に信じるのはまだ早い。
よく情報を集めてからの方が安全だろう。
「その顔、俺が親戚って信じられてないな?まあ、そりゃそうか。司紋家とは滅多に関わりが無かったからな。あ、そうだ。これ見れば納得か?」
「え?」
ポイッと涼雅が投げてきた手帳を開くと、そこには彼の家族写真のようなものが挟んであり、灼はそれを取り出した。
「その親に抱えられている二人の赤子、いるだろ?それが俺とお前。ほら、お父さんだろ?これ」
促されるまま写真に写る赤子と、それを優しく抱える父親に目線を移す。
本当に灼の父親がいて、笑顔で写真を撮っていた。
信じる価値はありそうだった。
「本当に、父さんだ」
「だろ?でー、灼。あったばかりで申し訳ないんだが、信じるか信じないかは今は任せる。ただ、この敵がいる限り安全とはいえない。少し手伝ってくれないか?」
「あいつか」
若干忘れかけていたが、結構ヤバめな敵が残っていることを思い出し、緩んでいた気が引き締まる。
よく見ると先ほどのクリーチャーよりも、凶暴そうで、見た目もなんというか、よりグロテスクなものに進化している。
人の臓器を何個も集結させ、無理矢理に繋ぎ合わせて人並みの大きさにしているような見た目で、素体を覆い尽くすのは人の皮だろうか?
とにかく気持ちが悪い。
「あれは何?」
「あれは崇悪思想教団《ファイン・トランティスト》が生み出した大型クリーチャー、仮称【recycler】だ」
「リサイクラー?」
名前からしてリサイクル要素を含んでいるクリーチャーなのだろうが、あれにあるリサイクル要素といえば‥‥やはり見た目か。
いや、この際涼雅に聞いた方が手っ取り早いだろう。
「あの、なんでリサイクラーなんですか?」
「ああ、それ?あの見た目のグロさは分かるだろ?あれの正体は、実験で犠牲になった人間たちの臓器と皮繋ぎ合わせたものなんだ。要するにリサイクルクリーチャーってこった」
「ひぃえ!?まじ?」
「がちがち。崇悪思想教団《あいつら》は非道な実験を繰り返してる。お前がさっき倒したクリーチャーも、元々は人間なんだよ」
明かされる悲惨な事実。
それは生き残るためにやったこととはいえ、ほぼ人殺しと言っても変わらなかった。
だからこそ、そんな話信じたくない。
「嘘だろ‥‥?俺は‥人を殺した‥‥?」
「まあ、元々死んでるやつを薬で本能的に動かしているだけだからな。殺したうちには入らない。それより、生き残ることを考えろ。謝罪はそれからだ」
「う、うん」
完全に罪悪感で胸がいっぱいになってしまった灼は、妙に体へ力が入りづらかった。
涼雅は生き残ることを考えろと言うけれど、灼の場合、そう簡単に割り切れるものでは無かった。
「灼?大丈夫か?」
「あのさ涼雅さん、俺はどう償えばいい?どう、殺したクリーチャーの元の人たちの死に向き合えばいい?そう簡単に、流せないよ」
責任の重さに、とうとう涙が溢れる。
一度流れた涙はうまく止められない。
「そうだな。確かに、ちゃんと向き合うことも必要だ。でもな、灼。それで────」
話しの途中から迫り来る攻撃から、涼雅は灼を、反対側へと突き飛ばすことで回避させ、自分自身も回避し瞬時に花月刀を構える。
「ちっ。少しくらい待てよリサイクラー。でだな灼、それでも、絶対に自分の目的を見失うな。お前は生きる為に、クリーチャーを殺した。なら、最後まで戦ってみせろ!殺してしまった人の分まで、あいつらを倒してみせろ!」
涼雅は花月刀片手にリサイクラーへと飛び掛かる。
手、足、顔を順番に攻撃し、相手の攻撃をうまく回避し、何度もそれを繰り返す。
余裕が有れば灼の方へ気を配るが、一向に変わったような素振りがないため、もうダメかと半ば諦めかけている。
(あれは言うべきじゃ無かったかもな。人を殺したことない子供に、あの事実は早かった。俺も、最初はそうだったように‥‥)
だが、これは自分の責任でもあると、心の中で反省し、灼の分まで生きる為に戦い続ける。
不意に受けた攻撃が痛むが、そんなこといちいち気にしていたら命が幾つあっても足りない。
灼はまだ戦意を失っている。
最後に一度だけ、涼雅は叫ぶ。
「灼!目的から、何より自分から逃げんな!!お前はやるべきことをしてみせろ!!」
ハッと、灼の心の何かが吹っ切れた気がした。
何度も声をかけ続けたことで、涼雅は確かに灼にとって心の救いになった。
涼雅に言われたことを整理し、自分なりに、殺してしまった人たちへ出来る償いを考え出した。
灼に、戦意が戻る。
「そうだ、やらなきゃ駄目じゃないか。殺したんなら、その人の想いを受け継いで、晴らすんだ。それが、俺の償いとして!!」
立ち上がり、銃を構え、立ち向かう。
「もう、大丈夫だ」
突然の告白に呆気にとられる灼だったが、親戚というのが本当の話ならば、自分の名前を知っていることにも説明がつく。
それに両親が親戚のことについては特に話してくれなかったので、涼雅が親戚と言われても何ら不思議ではない。
だが、現時点で完全に信じるのはまだ早い。
よく情報を集めてからの方が安全だろう。
「その顔、俺が親戚って信じられてないな?まあ、そりゃそうか。司紋家とは滅多に関わりが無かったからな。あ、そうだ。これ見れば納得か?」
「え?」
ポイッと涼雅が投げてきた手帳を開くと、そこには彼の家族写真のようなものが挟んであり、灼はそれを取り出した。
「その親に抱えられている二人の赤子、いるだろ?それが俺とお前。ほら、お父さんだろ?これ」
促されるまま写真に写る赤子と、それを優しく抱える父親に目線を移す。
本当に灼の父親がいて、笑顔で写真を撮っていた。
信じる価値はありそうだった。
「本当に、父さんだ」
「だろ?でー、灼。あったばかりで申し訳ないんだが、信じるか信じないかは今は任せる。ただ、この敵がいる限り安全とはいえない。少し手伝ってくれないか?」
「あいつか」
若干忘れかけていたが、結構ヤバめな敵が残っていることを思い出し、緩んでいた気が引き締まる。
よく見ると先ほどのクリーチャーよりも、凶暴そうで、見た目もなんというか、よりグロテスクなものに進化している。
人の臓器を何個も集結させ、無理矢理に繋ぎ合わせて人並みの大きさにしているような見た目で、素体を覆い尽くすのは人の皮だろうか?
とにかく気持ちが悪い。
「あれは何?」
「あれは崇悪思想教団《ファイン・トランティスト》が生み出した大型クリーチャー、仮称【recycler】だ」
「リサイクラー?」
名前からしてリサイクル要素を含んでいるクリーチャーなのだろうが、あれにあるリサイクル要素といえば‥‥やはり見た目か。
いや、この際涼雅に聞いた方が手っ取り早いだろう。
「あの、なんでリサイクラーなんですか?」
「ああ、それ?あの見た目のグロさは分かるだろ?あれの正体は、実験で犠牲になった人間たちの臓器と皮繋ぎ合わせたものなんだ。要するにリサイクルクリーチャーってこった」
「ひぃえ!?まじ?」
「がちがち。崇悪思想教団《あいつら》は非道な実験を繰り返してる。お前がさっき倒したクリーチャーも、元々は人間なんだよ」
明かされる悲惨な事実。
それは生き残るためにやったこととはいえ、ほぼ人殺しと言っても変わらなかった。
だからこそ、そんな話信じたくない。
「嘘だろ‥‥?俺は‥人を殺した‥‥?」
「まあ、元々死んでるやつを薬で本能的に動かしているだけだからな。殺したうちには入らない。それより、生き残ることを考えろ。謝罪はそれからだ」
「う、うん」
完全に罪悪感で胸がいっぱいになってしまった灼は、妙に体へ力が入りづらかった。
涼雅は生き残ることを考えろと言うけれど、灼の場合、そう簡単に割り切れるものでは無かった。
「灼?大丈夫か?」
「あのさ涼雅さん、俺はどう償えばいい?どう、殺したクリーチャーの元の人たちの死に向き合えばいい?そう簡単に、流せないよ」
責任の重さに、とうとう涙が溢れる。
一度流れた涙はうまく止められない。
「そうだな。確かに、ちゃんと向き合うことも必要だ。でもな、灼。それで────」
話しの途中から迫り来る攻撃から、涼雅は灼を、反対側へと突き飛ばすことで回避させ、自分自身も回避し瞬時に花月刀を構える。
「ちっ。少しくらい待てよリサイクラー。でだな灼、それでも、絶対に自分の目的を見失うな。お前は生きる為に、クリーチャーを殺した。なら、最後まで戦ってみせろ!殺してしまった人の分まで、あいつらを倒してみせろ!」
涼雅は花月刀片手にリサイクラーへと飛び掛かる。
手、足、顔を順番に攻撃し、相手の攻撃をうまく回避し、何度もそれを繰り返す。
余裕が有れば灼の方へ気を配るが、一向に変わったような素振りがないため、もうダメかと半ば諦めかけている。
(あれは言うべきじゃ無かったかもな。人を殺したことない子供に、あの事実は早かった。俺も、最初はそうだったように‥‥)
だが、これは自分の責任でもあると、心の中で反省し、灼の分まで生きる為に戦い続ける。
不意に受けた攻撃が痛むが、そんなこといちいち気にしていたら命が幾つあっても足りない。
灼はまだ戦意を失っている。
最後に一度だけ、涼雅は叫ぶ。
「灼!目的から、何より自分から逃げんな!!お前はやるべきことをしてみせろ!!」
ハッと、灼の心の何かが吹っ切れた気がした。
何度も声をかけ続けたことで、涼雅は確かに灼にとって心の救いになった。
涼雅に言われたことを整理し、自分なりに、殺してしまった人たちへ出来る償いを考え出した。
灼に、戦意が戻る。
「そうだ、やらなきゃ駄目じゃないか。殺したんなら、その人の想いを受け継いで、晴らすんだ。それが、俺の償いとして!!」
立ち上がり、銃を構え、立ち向かう。
「もう、大丈夫だ」
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