スローライフ目指して詐術師が動きます

赤井水

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第1章人族編

5話

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俺とアリーカはサマナの端っこの街ゲルにたどり着いて街並みを見ていて気付いた事がある。

殆どの人がお金を使っておらずタグみたいなタッチ式の何かを使っているのだ。

「なぁ、アリーカあれ何?」

「あれ?ギルド証だよ?あれでお買い物出来るの!」

ガクっと転けそうになった。
「へぇ~そうなんだ。今度から早めに教えてね?」

「うん!」

まぁ、でもコスアマで登録してたら面倒事になったと思うからそれはそれか。

ダンボーに教えて貰った建物に着いた。
冒険者ギルドだ。

他の国や街では何でも屋で、ダンジョンが存在するゲルの街では何でも屋兼ダンジョンの専門家でもある。

ダンジョン都市と呼ばれるダンジョンを所有している街ではこのダンジョンが経済の鍵を握っている為かなりの規模の都市になっている。

その為、ダンジョン都市が攻め込まれた場合領主の呼びかけに応じて都市の防衛にも参加させられる事もあるみたいだ。
今の所100年は平和らしいが。

受付に来ると、5~20人の列がありそれぞれで依頼の受付と達成報告をしている様だな。
1番奥が買取カウンターと書かれており、1番手前が依頼人受付場所兼新規登録者と書いてある為そこに向かおうと……

「おい、嬢ちゃんここはガキの来る場所じゃねぇぞ?」

おーテンプレテンプレ。
心の中で拍手する、しかしアリーカの方が絡まれるとはな。

「え?アリーカ子供じゃないよ?15歳だもん!」

ポカンとする筋骨隆々のおっさん。
それにしてもほぼ道具付けてないけどどうやってあれは防御するんだ?


「おっさん、事実だぞ?俺もこいつと出会った時に子供だと思ったら既に職業持ってるから事実だ」

そう、この世界では15歳以上はステータスにその本人の1番能力が発揮出来る職業に目覚める。
つまり職業を持っていれば自動的に成人してるとみなされるのだ。

「つ、つまり合法ロ……ぶへらっ」

「あ?すまん勝手に手が……」
言わせねぇよ?それ言ったらマジでダメだからな?

「良いストレートだった……」
前のめりに膝を着くおっさん、やべぇ癖で顎打ち抜いちゃった。

まぁ、良いか。
おっさんを無視して2人で新規登録へ向かう。

「あのう、新規登録お願いします」

「この女の子の方ですね?かしこまりました」
キラキラ良い笑顔の受付嬢さん。

「あ、俺もです」

「え?あんなに強いのに!どこかの護衛の方かと思ってました」

いや、魔物倒してないからLv1のクソ雑魚とは言えない。
あのおっさんは防御力高くても所詮人間急所はどんなに鍛えても急所って事だ。

「まぁ、違いますよ。2人分お願いします」

「かしこまりました。それでは女の子の方から水晶の上に手を置いてください」

「はーい!てい」

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名前:アリーカ
種族:ハーフエルフ
Lv:5
HP:4000/4000
MP1800/1800

職業:精霊師
ユニークスキル: 精霊契約(風、火、闇)
スキル:精霊魔法(風、火、闇)、初級弓術Lv2
(加護:???)

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アリーカのステータスの加護は俺の隠蔽で消させてもらった。
覚醒して何かの厄介事に巻き込まれるのも嫌だったからな。

初級弓術に関しては練習すればある程度までは上がる様だな。

「え?……ユニークスキル……」

「何か問題でも?」
ちなみに騒がれても嫌なのでここ3人の空間の声を隠蔽させてもらっている。

隠蔽様様だぜ!チートスキルわっしょい。

「いえ、珍しいので有名クランから勧誘沢山来ますよ!」

「あーまだ、この子は見てわかる通りですが、人を疑う事を知りませんのでね?」

俺の横でお菓子を食べるアリーカを見て納得してくれたようだ。

「では、貴方もどうぞ」

俺も水晶に手を乗せるとステータスが自動的に現れた。


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名前:カナエ
Lv:1
HP:3000/3000
MP1500/1500

職業:剣士
スキル:剣術Lv3、格闘術Lv4

※隠蔽中

(名前:結城叶
Lv:1
HP:3000/3000
MP15000/15000

職業:詐術師
ユニークスキル: 反転、虚偽、虚飾、隠蔽
スキル:剣術Lv3、格闘術Lv4
加護:識字・翻訳)

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とこんな感じだ。
俺には下も見えているが、アリーカやこの受付嬢には見えていない。
ここに来るまでにアリーカで試した。

ついでにスキルの練習をするアリーカの横で地球でやっていた格闘術の鍛錬をしてみたら簡単に格闘術のスキルが現れた。
そして剣士を虚飾してみたら何となく剣の使い方がわかった為に剣術も使える様になったが。
虚飾はあくまで虚飾なので商人の馬車を護衛をしていた奴の1番の腕利きっぽい奴を虚飾したが数ランクダウンの飾りしか作れなかったが体の動きは真似できたので普通のやつの数倍早くスキルを得たようだったな。

「Lv1?え?Lv1!?あんな1発で倒してたのに?」

受付嬢は混乱している様だったので説明する事にした。

「えーっと受付嬢さん?人間ってLv上がっても脳の固さや耐久力って上がると思う?」

「え!?わかんないです。Lvが上がっても力が強くなったり耐久力が上がりますが中身までと言われても……」

「さっきのは顎先を狙い、脳を揺らしたんですよ。多分Lv差が大きい程に効くと思いますよ?一切痛みが無いのにノックアウトされるんですからね」

ニコニコと笑顔で説明したらドン引きされた。

「それでは、登録料はどうされますか?初依頼開始してから1週間までは分割できますが?因みに1人銀貨1枚です!」

「あーそれなんだが払えるんだが、持ってる貨幣が大きいんだ。タグに入れてからは可能かな?」


「大丈夫ですよ!1度分割払いを選択した事にして、その後一括払いにした事にすれば良いので!」

この受付嬢中々優秀のようだな。
頭の固い奴は面倒臭いと言って拒否するだろうに。

「ならそれで頼む」

「かしこまりました!」

15分程経った後、俺達2人に渡されたのは銅のタグだった。
ちなみにタグはこう分かれているらしい。
F級銅のタグ
E級銅のタグ
D級鉄のタグ
C級銀のタグ
B級金のタグ
A級ミスリルのタグ
S級黒色のタグ(素材は教えてくれなかった)

FとEが同じタグなのはF級が依頼を受理又は達成してから1週間様子と戦闘ログを見て大丈夫そうなら自動的に上がるらしい。
魔物を上手く倒せてない場合は話を聞いてギルド側から強制的に戦闘訓練に参加させられる事もあるらしい。

基本パーティーを組むそうなので殆どはログがあるという事で大丈夫な様だ。

「ではアリーカとパーティーとこれアリーカの方に1割俺の方に9割タグに入れてくれ。あ、騒ぐなよ?」

俺はこの時点で声の隠蔽を解除して、大金貨1枚とアリーカと俺のタグを渡した。

「!!?カナエさんちょっと……」

手招きをするので耳を近付けると。
「こんなに大きいお金袋にも入れずに出されたら驚きます!」

「すまんすまん。つい癖で。では処理よろしく。俺の方で登録料は払っていてくれ」

「わかりましたよ~」

箱にタグを触れさせ何かカタカタと操作して1分もかからずにタグが返ってきた。
「タグに魔力を通すと、残高が見れますので本人の魔力にしか反応しませんのでなくさない様にしてください。ではご利用ありがとうございました」

俺は早速魔力を流すと、
『残高金貨89枚小金貨99枚大銀貨99枚銀貨98』

となっていた。
小金持ちになっていた、数ヶ月は暮らせるな多分。

「よし、アリーカ行こうか」

「ほーい!」

トテトテとアリーカは俺の横に付き今日は宿屋でぐっすり眠る為宿屋探しに外に出た。
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