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2章移り行く日常

18話嫌なリサイクルはやめてください

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地下に行けば行く程、俺は薄暗い場所にて物音がする度にビクビクしてた。

「やっべぇ俺、リアルでは生きてる人間が怖いし嫌いだけど。ホラー苦手なの忘れてた」

そう言ってポケ~っとしてた脳筋の未来を前に出す。

ジト目で未来にも芽愛にも見られる。
やだぁ、人によってはご褒美でっせ?俺には一切そんな趣味はないけどな。

「影山さん?」「お兄ちゃん?」


2人から同時にえ?みたいな顔をされた。

俺は視線を2人から外し頬をかく

「いやちょっとオバケとかね?無理だからふひっ」

視線を外した廊下の先にこちらを覗き込む、女の子の姿をバッチリ見てしまい変な声が出てしまった。


「あははお兄ちゃんにも可愛い苦手な物有るんだねぇ」

「影山さん最近のゲームの流行りはゾンビゲームですよ?」

つ、強すぎる……俺とは約半回りから一回り歳下の女の子達の強さに恐れ慄いてしまった。


そんな折にガシャガシャと骨の化け物、スケルトンが現れた瞬間俺は木刀でギッタギタにしてやった。

2人はなんで?と首を傾げてる。

「ふぅ、全部スケルトンとかなら余裕だよ?俺が嫌いなのはゾンビと幽霊のみだ!」

「「違いがわからなーい!(りません!)」」

そんなつっこみがあったが苦手な物を嫌悪する気持ちや違いなんて俺にも理解できない。

「いや、あるでしょ?脚がいっぱいの虫のカマドウマやムカデは嫌いでもゲジゲジやハサミ虫は大丈夫とかわかんない?」

「「どっちもキモイ(です!)」」

あんれぇー?俺は色の単色の蜘蛛は好きだけど色んな色の蜘蛛は嫌いとか嫌悪する対象としない対象の違いってあんまりわかんねぇんだよなぁ

「スケルトンは骨だし、骨って有機物じゃん?わかんないかぁ……」

そんな会話をしていると地下空間の冷たい空気が俺達を凪いだ。

廊下を曲がり視線をそちらに向けるとそこの扉の上には
【遺体霊安室】と書いてあった。


「よし!帰ろう!最悪のリサイクルするなんてなんて罰当たりな世界なんだ!
やめろっ!未来!はーなーせー俺には無理だっ!
最悪だよ?綺麗なゾンビ程俺には無理だって!」


「なら早く解放してあげないと!行くよ!芽愛!お兄ちゃん!」


芽愛も未来も人を助ける事に固執し過ぎている気がする。
それは後に足枷になるだろう……良くも悪くも。

マンガやアニメの主人公の様に守る対象が居る事で耐えれる事もあるかもしれないが人間は汚い生き物なのだ。

それを理解出来てないのが心配だなぁ。

俺も仕方無しに霊安室に入るとそこには10体のゾンビかグールと呼ばれる魔物と
ゴーストが5体、そして奥の遺体が入っていたであろう箱に座る骨が居た。

「あん?リッチかありゃ?」


『うぬ?人間かのう?儂だけこんな姿になって化け物になってしもうたがのう、
だが人間を殺せと声が煩いのう、お主らを倒せばこの声が消えるかの?
儂は静かに消えたかったんじゃがのう』

いや、そんな存在力振り回して消えたいって……無理やろ?


「鎮魂はもう無理だと思うぜ?って事で俺が倒してやるから糧になれっ!」

俺は収納の指輪からバールを取り出し一目散にリッチ風の爺口調の骨に飛び掛った。
いや、1番強そうだしゾンビとゴーストを相手にしたくなかったとかジャナイヨ?

ホントダヨ?


しかし、リッチにバールが当たる事は無く床のコンクリートに打ち付けられて終わるのであった。


「うわっ無いわー物理攻撃無効って最悪じゃね?
対処出来る人ー?手ぇ上げて」

俺は振り返ると、芽愛も未来も目線をそらした。

うん知ってた、芽愛は能力不足でまだ有能なスキルを扱えないし未来は脳筋だからな!

「やっぱりな、ならそっちはよろしく!」

俺は喜々としてリッチへ向かって行くのであった。


「という事で骨よ!生活魔法の威力を思い知れ!清潔ぅぅ清潔ぅぅ清潔ぅぅせぇーいぃーけぇーつぅーー」

『ぐぁぁぁ凄く嫌な光じゃぁぁぁ』

「影山さん言い方が……」「ふしだら?不潔」

「グハッ」


俺はリッチにガンガン生活魔法の清潔をブツブツ唱えながら
若い女の子からの言葉の刃という精神ダメージのクリティカルヒットを貰った。

「お兄ちゃん!ちゃっかりゴーストも倒してるよ!」

「清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔清潔イデッ」

バチンッ

その音と共にハッとする。
俺は思いっきり後頭部を引っぱたかれるまでリッチやゴースト所かゾンビも消えていた事に気が付かなかった。

「ふぅ終わった、終わった」

2人とも思いっきりジト目で見てくるが、甘いっ!!ふはははおっさんにはご褒美です!

そんなこんなで地下の退治は終わったが1つの懸念が残った。

「なぁ、未来?芽愛?ここですらこの状況ってヤバない?全国に霊安室がある病院幾つある?」

「「え?」」

そう、考えたくない事に気付いてしまったのであった。

今までの様にただ魔物が現れただけでなく既存の施設からも関連する魔物が現れ始めた兆候でもあったのだ。

早く気づかなければ世界の文明は崩壊待ったナシの状況だった。
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