2 / 12
2代目剣バカと辺境伯領
1話
しおりを挟む
俺はいつも通り獣道から山に入るとボア狙って山の斜面を駆け回る。
視界の端にボアの頭が見え立ち止まり息を殺して潜み確認するとボアをオークが食べていた。
「わぉ!? ほぼ共食いじゃんか!」
ゴブリン・オーク・コボルトは悪食の代表格で食い散らかしも多い。
山を生活の基盤とする田舎ではスライムの方が重宝されてたりする。
スライムは大量の水さえ与えなきゃ増殖することが無いからだ。
剣を抜き、息を殺しオークの背後に回り込み背中を袈裟懸けに斬る。
「ブヒャン!?」
オークの体はバッサリと2つに別れた。
俺はボアとオークを収納指輪に入れる。
じいちゃん曰く、めっちゃ高いから人前で見せるなよ? と言われている指輪だ。
狩りが楽になる良い物位にしか俺は思ってない。
「へへへ、豚肉は疲労回復に良いって聞くからじいちゃん喜ぶかな?」
じいちゃんの家に来た時、俺は5歳で親父達と別れられて俺は嬉しかった。
親父達は子供の俺を放置して何も用意せずに仕事に行く為にいつも食べ物に困っていた。
母親の顔は知らない、じいちゃんが調べてくれてるらしいけど未だに分からないらしい。
俺はじいちゃんの家に来てから毎日3食出るのが幸せ過ぎた。
じいちゃんは昔、物凄い剣の達人だったらしい。
何か偉い人の子供の教育係をしていてその子供が凄い成績を出した報酬でここに土地と家を買って暮らしていた。
親父や親戚一同とは昔、喧嘩別れしたらしい。
じいちゃんは冒険者として最高のSまで行ったが親父達はCかBランクでじいちゃんに言わせると半人前らしい。
じいちゃんから見ると努力不足らしい。
いくら術のレベルや熟練度をあげても基礎を疎かにしていたら力ばっかりで技術が無くて上に行けないのだそうだ。
じいちゃんはいつもその話になると剣を抜き、薪用の木材を剣術基本6種の突き・振り下ろし・袈裟斬り・逆袈裟斬り・水平・振り上げを見せてくれて綺麗に薪を作っていた。
その時の剣は速く、そして力が入ってない様に見えた。
そのパカンという丸太の小気味の良い落下音とバラバラと綺麗になった薪を見てじいちゃんに憧れた。
そしてそのまま俺はじいちゃんの弟子になった。
じいちゃんの修行はとてもシンプルだった。
最初の基礎4術から武器術の中の剣術を習得する。
そこからひたすら基本の型6種を振るうだけだ。
じいちゃんの見よう見まねでしていくと僅か1ヶ月で剣術レベルが20を超えた。その時に頭の中に声が響いた。
『試練解放が成されました。上位剣術を習得しますか? Y/N』
「じいちゃん? 何か上位なんちゃら出たって?」
「ふむ、我が孫よ。儂の剣を見て上位剣術があれば勝てると思えるか?
儂が今から振るうのは上位剣術では無く基本剣術のみだ」
俺はその剣筋を見てから自分でも素振りをすると止め跳ねが甘く微妙に体が耐えきれず流れていた。
「じいちゃんの方がシュルんとしてピタッと止まってる」
そういうとゴツゴツとした硬い手で撫でてくれた。
ここに来てから悪いこと以外は何をしても褒めてくれるじいちゃんが俺は好きだった。
俺は上位剣術を取らずにそのまま10年ここで過ごした。
そんな俺の剣術レベルは999になっていた。
じいちゃんも500あるらしい。
じいちゃんの場合は嘆いていた、年齢の影響でレベルが上がらずに逆に衰えレベルダウンが起きていたのであった。
そして俺とじいちゃんの剣術レベルが100離れた所で
今の俺の体力・力がじいちゃんを俺が上回りこれ以上のじいちゃんとの対人戦は危険と判断し対人戦の剣術の免許皆伝をもらった。
「我が孫、スレッドよ。儂ではもうスレッドの剣高みに連れていくには歳を取りすぎた。
これからこの山の中に居る魔物を倒してこい。
対人戦ばかりやっておったら冒険者にはなれぬぞ?
冒険者の本分は魔物から街を護り、ダンジョンに入り魔物を屠り宝を探す様な奴らが多い。
儂は冒険者とは先程の金儲けも大事だがの?
市民に目を向け同じ立場で弱きを助ける存在でな? 市民にとっては最終防衛じゃ。
そんな弱き存在に頼られる剣を振るって欲しいのう」
俺は笑顔で頷く、そして山の中での魔物との戦闘修行が始まった。
そして今日……オークやボアの解体中にハゲタカに狙われ急降下してくるハゲタカを真っ2つに叩き斬ってやった。
すると体が熱くなり光った。
『剣術スキルがレベルMAXになりました。ーー上位剣術の未習得を確認。
特異解放条件を確認:極めし者を付与、剣神見習いを習得しました』
基礎4術はレベル1000が最高値だったらしく、そこまで行くと表記がMAXになっていた。
試しに剣の基本の素振りを行うと今までとは全く違う剣先にまで神経が通る様な感触があった。
【剣心一体】じいちゃんが極意と言っていた感覚で
剣鬼の称号術式を持つじいちゃんでも数年に1回の無意識でしか出ない技をたった数回100%で出来た。
「じいちゃんに報告だ!」
俺は山を駆け下りた。
◇
じいちゃんの家が見えるとじいちゃんはいつも通り縁側に腰をかけてお茶を啜っていた。
俺は玄関を開けて
「じいちゃんじいちゃんじいちゃん! じいちゃん! 大変だ!! 剣術がレベルMAXになった!!」
じいちゃんはお茶を「ぶふぉ!?」と吹き出し振り返り
「マジで?」
と一言だけ発した。
「見てて!」
廊下で剣を抜き素振りを振るうとじいちゃんは涙を流していた。
「じ、じいちゃん!?」
「儂の夢が叶ったのじゃ! 剣聖の嬢ちゃんに教えていた時に
儂より高位の剣士の術式との模擬戦をすると基本剣術のレベルの上がり方がおかしかったから極意とは基礎にあるのでは?
と考えておったが当たっておったとはのう……
失敗したとしてもすぐに上の術式を取れたから孫には我慢させてしまったの… スレッドよお主に渡したい物がある」
え? じいちゃん? なんか盛大な事実ぶっ込んできた気がするんだけど?
視界の端にボアの頭が見え立ち止まり息を殺して潜み確認するとボアをオークが食べていた。
「わぉ!? ほぼ共食いじゃんか!」
ゴブリン・オーク・コボルトは悪食の代表格で食い散らかしも多い。
山を生活の基盤とする田舎ではスライムの方が重宝されてたりする。
スライムは大量の水さえ与えなきゃ増殖することが無いからだ。
剣を抜き、息を殺しオークの背後に回り込み背中を袈裟懸けに斬る。
「ブヒャン!?」
オークの体はバッサリと2つに別れた。
俺はボアとオークを収納指輪に入れる。
じいちゃん曰く、めっちゃ高いから人前で見せるなよ? と言われている指輪だ。
狩りが楽になる良い物位にしか俺は思ってない。
「へへへ、豚肉は疲労回復に良いって聞くからじいちゃん喜ぶかな?」
じいちゃんの家に来た時、俺は5歳で親父達と別れられて俺は嬉しかった。
親父達は子供の俺を放置して何も用意せずに仕事に行く為にいつも食べ物に困っていた。
母親の顔は知らない、じいちゃんが調べてくれてるらしいけど未だに分からないらしい。
俺はじいちゃんの家に来てから毎日3食出るのが幸せ過ぎた。
じいちゃんは昔、物凄い剣の達人だったらしい。
何か偉い人の子供の教育係をしていてその子供が凄い成績を出した報酬でここに土地と家を買って暮らしていた。
親父や親戚一同とは昔、喧嘩別れしたらしい。
じいちゃんは冒険者として最高のSまで行ったが親父達はCかBランクでじいちゃんに言わせると半人前らしい。
じいちゃんから見ると努力不足らしい。
いくら術のレベルや熟練度をあげても基礎を疎かにしていたら力ばっかりで技術が無くて上に行けないのだそうだ。
じいちゃんはいつもその話になると剣を抜き、薪用の木材を剣術基本6種の突き・振り下ろし・袈裟斬り・逆袈裟斬り・水平・振り上げを見せてくれて綺麗に薪を作っていた。
その時の剣は速く、そして力が入ってない様に見えた。
そのパカンという丸太の小気味の良い落下音とバラバラと綺麗になった薪を見てじいちゃんに憧れた。
そしてそのまま俺はじいちゃんの弟子になった。
じいちゃんの修行はとてもシンプルだった。
最初の基礎4術から武器術の中の剣術を習得する。
そこからひたすら基本の型6種を振るうだけだ。
じいちゃんの見よう見まねでしていくと僅か1ヶ月で剣術レベルが20を超えた。その時に頭の中に声が響いた。
『試練解放が成されました。上位剣術を習得しますか? Y/N』
「じいちゃん? 何か上位なんちゃら出たって?」
「ふむ、我が孫よ。儂の剣を見て上位剣術があれば勝てると思えるか?
儂が今から振るうのは上位剣術では無く基本剣術のみだ」
俺はその剣筋を見てから自分でも素振りをすると止め跳ねが甘く微妙に体が耐えきれず流れていた。
「じいちゃんの方がシュルんとしてピタッと止まってる」
そういうとゴツゴツとした硬い手で撫でてくれた。
ここに来てから悪いこと以外は何をしても褒めてくれるじいちゃんが俺は好きだった。
俺は上位剣術を取らずにそのまま10年ここで過ごした。
そんな俺の剣術レベルは999になっていた。
じいちゃんも500あるらしい。
じいちゃんの場合は嘆いていた、年齢の影響でレベルが上がらずに逆に衰えレベルダウンが起きていたのであった。
そして俺とじいちゃんの剣術レベルが100離れた所で
今の俺の体力・力がじいちゃんを俺が上回りこれ以上のじいちゃんとの対人戦は危険と判断し対人戦の剣術の免許皆伝をもらった。
「我が孫、スレッドよ。儂ではもうスレッドの剣高みに連れていくには歳を取りすぎた。
これからこの山の中に居る魔物を倒してこい。
対人戦ばかりやっておったら冒険者にはなれぬぞ?
冒険者の本分は魔物から街を護り、ダンジョンに入り魔物を屠り宝を探す様な奴らが多い。
儂は冒険者とは先程の金儲けも大事だがの?
市民に目を向け同じ立場で弱きを助ける存在でな? 市民にとっては最終防衛じゃ。
そんな弱き存在に頼られる剣を振るって欲しいのう」
俺は笑顔で頷く、そして山の中での魔物との戦闘修行が始まった。
そして今日……オークやボアの解体中にハゲタカに狙われ急降下してくるハゲタカを真っ2つに叩き斬ってやった。
すると体が熱くなり光った。
『剣術スキルがレベルMAXになりました。ーー上位剣術の未習得を確認。
特異解放条件を確認:極めし者を付与、剣神見習いを習得しました』
基礎4術はレベル1000が最高値だったらしく、そこまで行くと表記がMAXになっていた。
試しに剣の基本の素振りを行うと今までとは全く違う剣先にまで神経が通る様な感触があった。
【剣心一体】じいちゃんが極意と言っていた感覚で
剣鬼の称号術式を持つじいちゃんでも数年に1回の無意識でしか出ない技をたった数回100%で出来た。
「じいちゃんに報告だ!」
俺は山を駆け下りた。
◇
じいちゃんの家が見えるとじいちゃんはいつも通り縁側に腰をかけてお茶を啜っていた。
俺は玄関を開けて
「じいちゃんじいちゃんじいちゃん! じいちゃん! 大変だ!! 剣術がレベルMAXになった!!」
じいちゃんはお茶を「ぶふぉ!?」と吹き出し振り返り
「マジで?」
と一言だけ発した。
「見てて!」
廊下で剣を抜き素振りを振るうとじいちゃんは涙を流していた。
「じ、じいちゃん!?」
「儂の夢が叶ったのじゃ! 剣聖の嬢ちゃんに教えていた時に
儂より高位の剣士の術式との模擬戦をすると基本剣術のレベルの上がり方がおかしかったから極意とは基礎にあるのでは?
と考えておったが当たっておったとはのう……
失敗したとしてもすぐに上の術式を取れたから孫には我慢させてしまったの… スレッドよお主に渡したい物がある」
え? じいちゃん? なんか盛大な事実ぶっ込んできた気がするんだけど?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる