前世から続く底辺転生者の這い上がり〜転生してもハズレスキルでまた底辺に〜

赤井水

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少年期

1章7話

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ハァハァハアハアーー


ーー自分の呼吸音と追いかけ回される恐怖の心臓音バックバクでほんとに耳に心臓があるのか?って思う程うるさい。

まぁ、前世で追いかけ回される恐怖は味わった事があるから多少は落ち着いているが、違う点は捕まったら殺されるっていう所だ。

俺は荷物の簡易テントをすぐに捨てた。
身を軽くする為だ。

『ここにテントがあるぞこっちだ』

続々と追いかけて来てるのがよく分かる。

ちなみにテントを捨てた時に方向転換しているのでそのまま真っ直ぐに行ってくれると助かる。
小狡いかも知れないがそれで生き残れるなら俺はそれを迷わず選ぶ。

そして一瞬だが横目で見えてしまった。
この暗闇でも【心情】のスキルで現れている〇には関係ない為ハッキリとそこに黒い〇がある事を。

「くっ、クソっ」
すぐに俺は横に飛び退ける

俺が通ろうとしていた動線上に剣が振り下ろされていた。


「チッ、よく避けたじゃねぇか」
さっきの俺達に接触してきたおっさんだった。

「あぁ、たまたまだよ。お前らは誰に雇われた?」

怪訝な表情をした後、ニタニタしだし
「そんなのテメェには関係ないだろうが」

剣を水平に振ってきたので俺は剣を抜き打ち合わせる。

「剣を扱えるなんて聞いてないぞ。めんどくせぇ報酬釣り上げだな」

憎々しげにそう言うおっさん。

「まぁ、良い冥土の土産だ俺達を雇った奴なんてどこの誰だかは知らんよ。ただアロウ・ガードが逃げ出したから始末しろって言われただけだ」

そこで俺は更に疑問を抱える。
他家なら俺は、はずれスキル持ちの落伍者だ始末する必要が無いし。

そうか……ガード家か、ルドルフかサマンサかバルクか、その全員かわからんが俺は邪魔らしい。
結局こうなるのか。

悔しいなぁ。
またこうなるのか。

「んじゃあそろそろ死んどけや」
おっさんは俺を袈裟斬りしようとする
俺はそれを弾くそして
「ファイア」

火魔術で追撃した。

「くそっふざけんな魔術まで使えるなんておい!お前らここだこっちにガキが居るぞ」

片腕を抑えたおっさんは仲間を呼んだ

俺はそれを見てヤバいと思い
「ロック」
土魔術で牽制だけしてまた逃げた。

くそっくそっくそっ

「クソがー」
俺の心の中は冷え切った殺意とアイツら覚えとけよという灼熱の憎悪が混じりあっていた。

『逃げたぞ追えー!弓を打ちまくれ』


その言葉通りに森の中から矢が飛んでくる

その1本が俺の脚に刺さった勢いで俺はズッコケた。

くそっ痛てぇまじでふざけんなよアイツら~。

俺はそれでも逃げようと必死になる。

立ち上がった時、後ろにもう来ていたので剣を構える

ニタリと笑ったおっさんは
「ほう、脚に矢が刺さっても些かも闘志が落ちない所か上がっているのか。勿体ないねぇ貴族様じゃなければ死ぬこたぁ無かったのにな」

おっさんが振り下ろした剣を俺はありったけの身体強化をかけて受け止めた

その時俺達2人には有り得ない事が起きた
「「え?」」

何故か俺の方だけ地面が割れてそのまま落ちたのだ
そう崖から。

暗くて気付いていなかったが後ろは崖だったのだ。そこに思いっ切り衝撃を受けた為、地割れが起きてしまった。

俺は落ちながらまた落ちて死ぬのか?
くそっアイツら覚えとけよガード家。
絶対に許さねぇ

「許さねぇからな~」

俺はそのまま落ちて意識を失った。

《派生スキル【獄炎】【零氷】を獲得しました。》


アロウが落ちたのを見たおっさん達は
「あ~あやっちまったおいこの下どうなってる?」

部下に聞くと
「滝から流れ出てる激流の川なのでまぁ子供では助からないと思いますよ?」

「だよなぁ~まぁ仕方ねぇか報告しに行くぞ。川に落ちちまったから死体は確認はできませんって事で良いな?」

「戻って酒飲むぞ~」

1団は戻っていくのであった。



~とある真っ白な空間~

「そろそろ地球から貰った魂の子が9歳だったよね?」

若い風貌をした銀髪の男が近くに居た見目麗しい金髪の女性に声をかける。

「あぁ、そちらの子には心シリーズのスキルを授けましたよラダ様」

「心シリーズかぁ……強力だね。地球で流行ってる俺TUEEEEみたい事は出来なかったからね。グッジョブテラス!」

「そもそもどうしてラダ様は地球から魂を連れ帰って来たのですか?」

緑の髪をしたこれまた見目麗しい女性が話しかける

「んー地球にねぇ遊びに行った時に思ったんだよ。この世界より潤ってる筈なのに摩耗している魂が多いなって。しかも僕達の世界を夢見ている子達が多いんだよこれまた。なら連れ帰って来て記憶そのままに転生しておけばこの世界で少しはその魂を癒してくれるのかなっていう慈愛さ。地母神の君になら分かるだろ?」

「ほんとですか?正直に。はい!もう1回!」

「はい、ごめんなさい嘘です。地球に行った時に美味しい物が沢山あったから誰か再現してこの世界の知識向上になれば良いなぁと思いました。すんませんマナさん!」

土下座するまさかの創造神

「ギャハハ腹痛てぇ土下座してやんの。あ、ほんとに飯美味いのか地球は?」

そう笑いながら声をかけたのはラダとは真逆だが顔は似ているガングロの黒髪の男だ。

「ダラクかい?んーそりゃ美味しいよ!特に甘味は最高だね。彼の出身の国は美食の国だったね」

じゅるりとヨダレを拭くラダ

「んーなら良いのかこれ?」

透明の板を出しダラクはアロウの今の状況を見せる
そこにはちょうど暗闇の崖のヘリに今にも殺されそうになってるアロウの姿だった。

ラダは目を飛び出しながら見て驚く

「えーーーー!!!なんで?なんでこうなってるのテラス?!」

「「さぁ?人間の考える事はイマイチ」」
マナとテラスは首を傾け謎状態。


「やばいやばいやばいやばい。テラス心シリーズのスキルって前に授与したのって何時だっけ?」

「んー?と5000年前じゃないでしたっけ?」

ガーンっと落ち込むラダ
「そりゃあ人間達には心シリーズのスキルがいかに強力なスキルか知らないだろうね。最初っから使えるスキルとは違う大器晩成型のスキルだし。今の世界はスキル至上主義だ。参ったなぁ。彼にも悪い事した。もーいいや」

『えいっ!』

ラダはアロウがおっさんの剣を受け止めた瞬間に崖に亀裂を走らせた。

そして落ちていくアロウの意識を奪い周りに結界を張り流れに任せて川に流した。

「ふぅ~これでよしと。生まれを良くしたのが間違いだったかな?もうちょっと考えるべきだったね」
と舌を出してへぺろをするラダ。

「思いっ切り干渉したぞコイツまじか」
破壊神ダラクですらしない様な事を平気でするラダに驚愕する。

「「ラダ様っ!!!」」
怒気を孕んだ2柱の神に怒られる創造神。

「いやーこの世界で健やかに暮らしてもらおうと連れて来たのにこんなに早く死ぬなんてダメだと思ったんだよ。転生者の為のアフターサービスだと思ってよ」

と言いつつ土下座する。

それを見たダラクはドン引きしていた。

「まぁ、今回は良いんじゃねぇか。アイツがお試し版異世界転生者1号なんだろ?
なら何も起こらない内に死なれても次も連れて行くのは難しいだろう?」

ダラクがテラスとマナを説得し。

「これからは何かある度に見れる様にラダなら出来るだろう?設定しておけよ」

そう言うとダラクはすぅーっと消えて行った。

「全くしっかりしてくださいね。マナお茶を飲みに行きましょうか」
2柱の女神も消えて行った。

「ふふふ彼には何も使命は無いけれど楽しみにしているよ。僕達の世界へようこそ次は楽しめると良いな……」

アロウは地球との魂交換の為のお試し版第1号だったのだ。



~ガード家~

ルイは苦い顔をしながら伝書鳩からの報告を受け取っていた。

「バルク様失礼しますルイです」
ノックをして入室許可を得てバルクの部屋に入る。

「どうしたルイ。進展はあったのか?」
バルクは当然の様に進捗を確認する。

「はっ、それがですね。襲撃は成功までは良かったのですが深夜の森の中だった為、周りに気付かず崖の近くで戦闘になり。アロウは崖下に転落。谷は深く尚且つ激流の川が流れている為死体の回収も不可能という事です」

バルクの眉がピクピク動く。

「それはもしかしたら生きているかもしれんという曖昧な報告か?」

「大変申し訳ごさいません。しかし30m以上の崖下に落ちて尚且つ激流の川に流されればまず死体は浮いて来ないだろうという報告でした。今朝確認しても崖の途中に引っかかってたりはしなかったそうです」

はぁ、とため息を付いてバルクはルイから渡された伝書鳩に括り付けられていた報告書を読み。
「とりあえずわかった。母上には俺から報告しておこう」

そう言うとバルクは立ち上がりサマンサの元へ向かおうと思った時にふと。

「ルイ、お前報酬渡しに行く時にヤツら全員始末しろ。わかったな?失敗したかも知れんのに奴ら増額報酬もねだっているんだろう?」

顔を真っ青にしたルイが頭を下げる。
「後始末は頼んだ」


そう言ってバルクは頭を抱えながらサマンサの元へ向かった。

サマンサは食堂に居た。
「母上おはようごさいます」

バルクはそう挨拶をして報告書を手渡した。

「ルイが雇った連中の報告書です。成功か失敗かイマイチわからんのに報酬を貰おうとしてるので。ルイに後始末を任せました」

サマンサは興味なさそうにそれを読むと横に居る執事に
「燃やしといて。証拠残す必要はないわ。バルクあなたもやっと良い判断力を身に付けたわね。私の私兵をルイに付けるわ。さぁ朝ごはんを食べましょう」

「はい。食べましょうか母上。用意を頼む」

『かしこまりました』
メイドがすぐさま朝食の準備に取り掛かる。


「そういえば父上は?」


その頃のルドルフは執務室で髪を喚いていた。

「やばいぞやばいぞやばいぞ陛下から『次は一体いつかね?』と催促されたーーーぁ」

ガリガリと頭を掻きむしりノイローゼになっていた。
自業自得なルドルフ。

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