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第四章 弱小領地の攻撃
第32話 鉄のアイテム
しおりを挟むジョブ『商人』の領民は、現在10名。
タルル、プルルの兄妹もそのうちのふたりである。
「ガゼット領の債権1500万Gは、商人ギルドへの債権に振り替わりました」
とタルル。
ゲーム内では1Gは1Gとしか表記されなかったが、現実では金融というものが存在する。
そもそも1500万Gの小切手は、ガゼット領の賠償金として書かれた借用書だ。
しかし、ただのガゼット領の借用書では価値がないとまでは言わないが、使えるところが限られる。
そこで、商人ギルドへ『1500万の小切手』を譲り渡して、代わりに俺たちは『商人ギルドへの債権額』に+1500万してもらうというわけ。
一方、商人ギルドは彼らの帳簿上にあったガゼット領の債権額にマイナス1500万Gする。
結果だけ見れば、(商人ギルドに対する)ガゼット領の債権額がダダリの債権額へ移ったことになる。
これで賠償金の支払いも「決済された」ということになるのだ。
小切手とはそういうもの。
こうした大口の取引ではG金貨よりもこの『商人ギルドへの債権額』を譲り渡す形で行われるらしい。
だからタルルは王都から1500万Gの金貨をかついで来なくてもよいし、王国全体の経済で言えば物理的に存在する金の量をはるかに超えるGが“債権額”として流通するのである。
「ところでタルル。お前、ひとりで帰ってきたのか?」
決済の話が済むと、俺は気になっていたことを尋ねた。
「はい。ナディア様はまだ王都にいらっしゃいます。妹のプルルはお供として残してきました」
「ずいぶんと長い時間がかかるんだな」
「実は……女王様への謁見がなかなか叶わないようで」
なに……?
「そういうことはよくあるのか?」
「いいえ、どうやら尋常ではないようです。ナディア様がおっしゃるには城内に何か問題が起こったのかもしれない、とのこと。そのことを伝えにボクだけひとりで帰って来たのです」
なるほど。
「わかった。ご苦労だったな」
そうねぎらうとタルルは館を退出した。
俺はそれからちょっと考えて、卓上のベルを鳴らす。
「お呼びでやんすか?」
すると、天井裏から羽目板をはずしてジョブ『忍者』のリッキーがあらわれた。
「ああ。ちょっとお前、王都へ行ってきてくれないか?」
「王都に、でやんすか?」
「どうにも少し様子がおかしいらしい。心配しすぎかもしれんけど、念のためだ」
「御意でやんす」
リッキーはそう言って『シュンッ……』と姿を消した。
◇
鉄は生産され、鉄のアイテムへと形成され始めている。
鉱山から原石を堀り、それを錬金工房で『鉄の延べ棒』へ精製するワケだが……
原石はひと月で、シャベル64杯ぶん入った木箱が4つぶんほど採れる。
64杯×4箱。
そいつを錬金工房で精製すると延べ棒は4つになった。
つまり、『鉄の延べ棒』の生産数はひと月に4つ。
あれから三月たっているので、鉄の延べ棒は×12手に入っている。
これを3人の鍛冶屋へ持っていき鉄のアイテムを作ってもらう。
「アルト様。鉄のアイテムを作るのに必要な『延べ棒』はそれぞれこんな具合ですぜ」
・鋼鉄の矢じり(0.05)
・鋼鉄のナイフ(0.5)
・鋼鉄のつるはし(1)
・鋼鉄の剣(1)
・鋼鉄の槍(2)
・鋼鉄のヘルメット(2)
・鋼鉄の盾(2)
・鎖かたびら(3)
・鋼鉄のプロテクター(4)
他にも建材や食器にも鉄を使うことはできるらしい。
もっと多くの鉄を生産できるようになったらそんな余裕も出て来るだろう。
だが、今優先すべきなのは上記のような武器だった。
鉄の延べ棒はひと月に4つしか生産されないからよく考えて配分しないと。
また、防具はダメージを減らしてくれるので魅力的だが、より多くの鉄を必要とする。
つまり、まだ多くの個数を作ることができないので、戦闘員のごく一部にしか装備させられない。
さしあたっては個数が多く作れてコスパがよそうな『剣』を作って全体の攻撃力を上げていこうと思う。
そう、そもそも。
このあたりには、兵の武器に鉄を使っている領地は少ないんだよな。
この前攻めて来た北のガゼット領が良い例で、木や竹、よくても石の武器ばかりだった。
鉄の剣があるというだけでかなりのアドバンテージを取れるはず。
俺は、この三か月間でできた鉄の延べ棒12のうち、7個を『鋼鉄の剣』、5つを『鋼鉄のつるはし』にした。
そして、つるはしが増えたぶん、掘削者を5人増やしておく。
これでひと月に採れる原石も増えるはずだ。
―――――――――
領地:ダダリ
領主レベル:4
領土:1750コマ
人口:750
兵力:90
魔法:25→27
産業:農75→92 工105→175 商15→22
施設:家屋150 畑70コマ 水車1 訓練所1 祠1 魔法研究所1 鉄の錬金工房1
資源:→鉄
外貨:+1960万G/-787万G
内貨:――
―――――――――
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