聖女は記憶の残滓に恋焦がれる ~男体化してしまった聖女の妹が私を汚そうとするんですが誰か助けてください~

なのの

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42.再び呪われた大聖女

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 翌日、教会の方々が公国に到着した。
 私が公国に引き籠っている事を良しとせず、迎えに来たのだが体調不良二日酔いを理由に面会を拒絶した。
 そんな状態の私をエリザベス様が呆れて見ていた。

「エリアナってそんなに弱かったんだね」

「結構・・・飲んだよ・・・いたた・・・」

「それより、本当に帰るの?」

「うー・・・ん、帰らなきゃいけないみたいね」

「寂しいな・・・」

「また来るからさ」

「・・・絶対よ・・・また10年待たせるんじゃないわよ」

「うん、約束する。でも今日は寝る」

「はいはい」

 そんな話をしながらエリザベス様はグラスを傾け、赤い液体を注いでいた。
 匂いからして、この国の特産ワイン・・・。

「私にもちょっと頂戴?」

「いいけど、また酔いつぶれないでよ」

「そうね、そうしたいけど。酔いつぶれたら、帰れないよね~」

「ふふっ、じゃあ飲むしかないね」

 その日、またもや意識を失う程に深酒した。
 先日、何かの事情でレッドとダリアが王国に帰ってしまって私を止める者は居ない。
 このままでは堕落聖女と呼ばれてしまうかもなんて思いながら、二人でグラスを傾け続けた。


 □□ □ □ □□

 二日酔いの翌日も二日酔いになったら三日酔いになるのか、二度目の二日酔いと言うべきなのか、などとどうでもいい事を考えていた。
 少しでも思考に余裕が出るとどうしても妹の事を考えてしまう。
 その現実から逃れるためにお酒に溺れていた。

 そんな気分が地べたを這いずっている最中、誰かが言い争っているのか部屋の外が騒がしく頭に響いてくる。
 その状況はとてもじゃないが我慢できたものではない。

 文句の一つでも言おうと思い、ドアを一瞬開けるとその音量は更に増して、頭痛が一気に酷くなる。
 そんな事は考えれば分かる事だというのに、それを考えれない程に私は冷静な判断が出来なくなっている。

 ドアを閉めて、その場にへたり込んだ。
 全てはお酒のせいだ、元はと言えば妹のせいだと責任転嫁した。
 勝手に人を振り回し、勝手に暗躍し、勝手に居なくなった。
 だというのに、私は妹をかけがえのない者としている。
 どれだけ姿が変わってしまっても、妹は妹なのだから。

「見てられないわね」

 エリザベス様はため息交じりに、だらしない私に呪いをかけると言い出した。

「私から奪えるものなんて・・・神聖力程度じゃない?」

「もっと大事なものだよ」

「それは大変だねぇ・・」

「嫌がらないんだね」

「うん、呪われるのに慣れちゃったかも、それにエリザベス様にならいいよ」

「もし、心から頼れる人が現れて、本当に解いて欲しいと思ったのなら、解いてあげる」

「わかった」

「じゃあ、いくよ───」

 その呪いが何にかかっているか分からなかった。
 ただ、影は徐々に黒さを取り戻しつつあった。
 一日一回程度の降臨だったら大丈夫みたいと分かった以上、それを守るしかない。

 つまり聖女の力は奪われなかった。
 もしかしたら不発に終わったのかもしれない。
 そうして、私は帰国する事にした。
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