ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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1.アバークロンビー家

1-1.

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 ふわりと広がったスカートに高そうなネックレス、俺は貴族令嬢らしくドレスというモノで着飾られていた。
 腰をぎゅっと絞められて朝食は碌に食えやしない。
 総じて落ち着かない格好というのは、あまり気分のいいモノではない。

 そして、煌びやかな内装に、美しい装飾、今にも壊れそうな置物、センスの無い壁飾り、そして広い部屋。
 壊したら弁償がどれほどになるのか考えるだけでゾッとする。

 この部屋は俺に充てがられたものだが、これもまた落ち着かない。
 ベッドなんて天蓋付きで転生前の俺が三人は並んで寝れる程のサイズ。

 この体の元の持ち主は随分と読書家だったらしく、壁にはずらりと本が並べられていた。
 経済学、地理学と難しい本がずらずらと…。
 もう見るのはよそう、俺には縁がないものだ。

「何か必要な物はございますかな?」
「そうだな、剣の手合わせができる相手が欲しい。かなり腕の立つ奴が良いな」
「承知しました、急ぎ手配致します」

 グレッグが出て行くのを見計らい、俺はベッドにダイブする。
 こんなフカフカベッドの楽しみ方なんてこれしかないだろう?
 ぼよん、ぼよんと跳ねるベッドの感触を楽しみながら、俺はグレッグとの会話を回想していた。

『そうです、お嬢様は10歳でお亡くなりになりました』
『まて、これはどう見ても8歳程度ではないか!』
『血筋でございましょう、亡き母上はもとより小柄だったそうですので』
『母はいないのか。兄弟姉妹は?』
『兄が一人、弟が一人でございます』
『ならば公爵家はとしては安泰だな』

 それから父親と面会したのだが、記憶がない事に落胆され寝込まれてしまった。
 兄は王都の学園に通っているが、近々一時的に帰って来るとか。
 弟には会ったがどうにも怖がられて、碌に挨拶も出来なかった。
 少しばかり一人で寂しいと思っていると、窓から庭にワイバーン便が到着するのが見えた。

 ワイバーン便は貴族間の郵便システムと新聞配達を担っている。
 今は朝方なので恐らく新聞配達だろうと思い、俺は駆け足で新聞を受け取りに行った。

『グワァァァァ!』

 ワイバーン便の兄ちゃんの元に辿り着いたらワイバーンが俺に挨拶をした。
 そして、顔をスリスリしてくるのは、中々にくすぐったい。

「礼儀正しいヤツだな」
「公爵令嬢様ですね、ランドンが人に懐くなんて珍しいですよ」
「この子はランドンと言うのか、いい名だ」
『グワァァァァ!』

 ランドンは喜んで翼を大きく広げ、頭を高く上げた。
 これはドラゴン種共通の愛情表現でもある。

「それだけ竜種に懐かれやすいのでしたら、竜騎士になれるかもしれませんね」
「竜騎士か、それなら………ああ、なんでもない、それより今の竜騎士団は誰が率いてるんだ」
「それなんですが、先日団長がお亡くなりになって、今は空席でございますね」
「──そうか、それなら俺をそこに連れてってくれないか!?」

 ワイバーン便の兄ちゃんは随分と悩みながら答えを出した。

 *

「本当にお連れして良かったのでしょうか……」
「なあに構わないさ。それよりもこの先、気流が乱れている様だ、気を付けろ」
「どうしてそんな事が……うわっ、本当だ!」
「ランドン、いい子だな、お前は強い子だ、ここらは右回りの気流らしい、そっと右へ旋回しつつ切り抜けるんだぞ」
『グワァァァァ!』
「凄い……ランドンが言う事を聞くのもですが、見事な操竜です」
「ふふ、まぁ慣れだよ」
「………」
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