ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-10.闘技場にて

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 笑顔のまま転がる頭。

 悲鳴を上げて硬直する支配人に、泡を吹いて倒れそうになるアレグサンダー。

 入口横に居た謎の男はアレグサンダーを抱え、喉元に剣を突きつけた。

 それも、俺に見える様に。

「大人しくしてください」

 謎の男の言葉に両手を上げて降参を伝える。
 だが単身で乗り込んできたのであれば、どこかに隙は出来るから、どうにかなると考えていた。

「お前は何者だ、何が目的なんだ」
「革命軍、と、言えば目的も分かるだろう?以前はすまなかったね、ハーフオークなんてけしかけて、本当は王妃とまぐわって貰う予定だったんだが、とんだととばっちりだったな、なに、また人質になってくるだけでいいんだ、今度は手荒な事はしないからさ」

 男が演説の様に話す間、テーブル上にあったナイフをこっそり手に取り袖に仕舞う。
 得体の知れないケーキだったが、こんなところで役に立つとは思いもよらなかった。

「しかし、一人では何にもできないだろ、これからどうするつもりだ」
「心配には及ばない、会場には仲間を潜ませている、つまり会場全体が人質みたいなものだよ。といっても貴族には平民が人質になった所で何ともないだろうな、だが、平民を見殺しにしたとなればどうなる?起きるのは暴動だよ。そうなったら貴族はどうする?さらに平民を殺すのか?ふはははは、お前ら貴族や王族ががどう対応するか見物だな!その時にコイツを群衆の中に放り込んでやるよ!」

 言いたい事は分かる。
 やりたい事も分かる。
 問題は、どうしてわざわざ、俺に洗いざらい喋るのかだ。
 普通なら令嬢の方を攫って、王子の方に言うべきセリフなのではないだろうか?
 何にせよ情報が足りない、もっと聞きださないといけないだろう。

「それを話してどうする、俺も一緒に誘拐するのか?」
「ああ、そうするさ。お前に無力さを味わってもらう為にな。そういう依頼・・だ」
「今、依頼だと言ったか。誰だ!その依頼を出したのは誰なんだ!」
「さてな、おっとそろそろ、効果が出始めるんじゃないか?魔物の遅効性の毒だ。アレをたらふく食べたなら効果出る筈だ」
「なんだと・・・」

 確かに指先がピリピリとしている。
 だから何だと言う程度だが、ここは一つ演技を打つべきだろうか。

「ぐっ、体がしびれて・・・」
「ふはははは、よし、ソイツを縛り上げろ!」

 既に仲間が近くにいたのか!と言う事は支配人か!
 と、思ったがその返事は意外な所から聞こえてくる。

「分かりました」

 足元に転がる生首が薄気味悪い笑みを浮かべてニヤリとした。

「そいつはデュラハン種だからな、首が取れやすいんだ」
「そうだったのか」
「こいつ、袖にナイフ隠し持ってやがりますよ」
「ちっ」

 なにもかもお見通しだった訳か。
 そうして俺は縛り上げられた上で変な薬を飲まされた。
 近場の小屋に単独で連れて行かれと思えば、今度は、手足を縛られるのは勿論、目隠しに猿ぐつわをされた上、天井から吊り下げられた。
 どんどん増える縛りに俺は一種の焦りを感じると同時に次に捕まったら何が追加されるのだろうか、全く想像がつかない事に少し楽しみになってきていた。
 だが言っておく、俺は決してマゾではない。

 さて、本当の本当に手も足も出ない。
 聞こえるのは町の雑踏だけ。
 前回助けてくれたアレグサンダーは捕まってどこかに連れて行かれた。
 流石にどうにもならないと考えていた所、音を殺してドアを開け、中に入る人が居た。
 明らかに奴らの仲間なのだろう。
 といっても、ハーフオークみたいな奴の相手をさせられる訳ではあるまい。
 もしそうであれば、吊るし上げる必要はないからだ。

 つまり、この状況になった以上、俺の身の安全は保障されていると言う事になる。
 とはいえ、酒のつまみくらいにはなるかもしれない。
 公爵令嬢が吊るされている姿なんて、平民からすれば滑稽で面白おかしいだろうからな。

 だが、中に入って来た人物はひそひそ声で話しかけて来た。

「カロリーナ、助けにきたよ」
そほほえはその声はふふひゃいひょー副会長ほーひへほほひどうしてここに?」
「いや、何言ってるか分からん、というか、随分と高い所に吊るされたものだな」

 それから、しばらく四苦八苦したものの、ようやく吊り下げている縄が解けそうだという時、誰かが入って来た。

「なんか女、増えてるんですけど?」
「やっちゃっていいんじゃないスカ、こっちはいい体つきしてるじゃん」

 声からしてごろつき、二人組と言った感じだろうか。
 フラヴィア様が心配にもなりつつ、聞くしかなかった俺の耳に男の嗚咽音しか聞こえなかった。

「ほら、もう外れるから我慢してよ」

 何の事だろうと思えば、吊していたロープが外れ、咄嗟にフラヴィア様が受け止めてくれた様だった。
 その衝撃は、受け止めてくれた部位毎に襲った。
 有体に言えば、下腹部と胸元、同時にラリアットをくらった感じだ。
 それからすぐに解放され、アレグサンダーの方に向かうという。

 *

「良く捕まった事が分かりましたね」
「ああ、観客席からVIP席そちらの様子を覗いていたからね」
「つまり、出歯亀してたって事?」
「ふふ、アレグサンダーがあまりにも楽しみにしてたのでな、生徒会総出で覗いていたのだよ」
「暇人ですか、ですが助かりました。ありがとうございます。それよりも闘技場の観客席に敵の仲間が潜んでいる様です」

 ***

 作者の独り言:手足を縛られ吊るされた場合、何処が辛いのかぐぐったら見てはいけないサイトばかりヒットして検索を断念し、描写を断念。経験者が居れば教えてほしい。って、居ないですよね。
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