ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-13.

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 次の日、仮病で学校を休んだ。
 それ以前に酷い顔だった。
 一晩中、泣き続けてしまった。
 どこぞの悲劇のヒロインかと言う程に。

 首には黒い跡が付いていた。
 ファンデーションで隠す事は出来たが、隠した所で力がないのは変わらない。
 こんなのは俺じゃないと思うばかりで溜息ばかりが出てくる。
 こんな憂鬱な気分になったのはいつぶりだろうか。

 レイラには生徒会へ休む事の連絡を頼み、セシリアには首輪についての情報収集を頼んだ。
 といっても、ヒューゴとアルヴィンくらいしか相談できる相手が居ない。
 この二人で分からないのなら、誰も分からないだろう。

 その日、寮内は静かだった。
 昼になって調理人は学園側の食堂に移動している。
 その為、食堂ですら誰も居ないのだ。
 腹が減っては活力が出ない。
 兎に角、何か作って腹を満たす事を考えた。

 適当に野菜を切って炒めようとした時、驚愕した。
 フライパンが異常なまでに重い。
 仕方なく、フライパンを振るのは諦めて、菜箸でかき混ぜるだけにした。
 盛り付けも諦めて、フライパンから直接食べた。
 すごく手抜きをした気分だ。

 とりあえず、部屋に戻ろうと考えた所に、ブヒトニー男爵が現れた。
 無様に膨らんだ腹が制服からはみ出ているのを恥じらいもせずに俺の前に立ちふさがる。

「どいて頂けますか」

「お前、生徒会に入ったんだって?」

「それがどうかしましたか?」

「俺も入れろよな。お前みたいなガキが入れるなら俺だって入る資格があるだろ」

「それは生徒会長に言ってください、私にはそんな裁量権はありません」

「だからお前から推薦しろって言ってんだよ」

 ブヒトニーは威圧的だった。
 俺の腕を掴むと上に引っ張り上げ、足が付かない状態になってしまった。
 顔面を殴ろうと握り拳を繰り出すも、あっさりキャッチされる。
 蹴りを入れようにも厚い脂肪に弾かれてビクともしない。

「推薦しないなら、今からいたぶってオモチャにするしかないなぁ」

 そう言いながら、俺の頬をべろりと舐めた。
 おぞましい感覚が全身を駆け抜ける。
 いたぶるというのが肉体的拷問なら、耐える事は出来る。
 だが、それはこの体の再生能力があればの話だ。
 それまで封印されていた場合、どうなるのかと考えると取り返しのつかない事になりかねない。

「やめなさい、君にそんな権利はない」

「ふっ、そんな事は関係ない、まぁここでしてもいいんだが、せめて俺の部屋でしてやるよ」

「降ろせ!」

 荷物の様に抱えられ、男子寮の内部に入っていった。
 階段を上っているいく最中も必死に叫び抵抗するも、誰も聞く者はいなかった。
 ブヒトニーの自室らしき部屋のドアを勢いよく開くと、そこは少し手狭な部屋になっている。
 ベッドに座らされると同時に、宝珠映像の撮影を開始した。

「今からやる事を一部始終を記録する、歯向かえばこれを公開する」

「何をする気ですか」

「そうだなぁ、裸で男子寮に侵入した令嬢ってタイトルで売り出すか」

 血の気が引く。
 裸とかは個人的にはどうでもいい事なのに、家名に傷がつく事はしてはならない。
 それ以前に問題を起こせば父がどうするのか分かったものじゃない。

「私は公爵の娘だぞ」

「それがなんだ?学内で爵位の話を持ち出すのは禁止されてるよな、それに俺は当主だぞ」

「ちっ・・・」

 抵抗するも力でどうにもならなかった。
 相手の手は大きく、俺の両手首を片手で掴んだだけ身動きが取れなくなった。
 胸元に指を引っかけ、じらしながら引っ張ろうとする。

 食堂に誰も居ないと思って部屋着で居たから、完全な薄着だった。
 裸を見られて恥ずかしいという感覚はなくとも、屈辱的な感覚はある。
 服を破られて、思いのままにされるのも我慢ならない。

「わかった、乱暴にしないで。自分で脱げばいいんでしょ」

「ふふふ、聞き訳がいいなら、乱暴な事は止めてやろう」

 膨らみかけの胸を見られたからと言って、どうと言う事は無いと自分に言い聞かせ、背を向けて服を脱いだ。
 下着しか着けてない状態の姿にご満悦の様子で気持ち悪くにやけている。
 隙があると言えば、このタイミングしかない。
 一応、手で胸は隠しながら、手にしていた服をおもむろに男爵に投げつた。
 それと同時に部屋を飛び出し、そのまま女子寮に向かって駆け抜けようとした。

 だが、体が重く速く走れなかった。
 昨日の副会長の後を追いかけていた時よりも足取りが重い。
 後ろから追いかけてくるブヒトニーが俺の髪の毛を掴み、引っ張られた。
 体が宙に浮き、床に叩きつけられそうになった時、前方から誰かが走って来て俺を抱きかかえ、それと同時にブヒトニーの顔面へ蹴りを入れ、ブヒトニーが吹き飛ぶ。

「助かった、ありがとう・・・・オルドリッジ様でしたか」
「服は・・・ああ・・ブヒトニーの奴が握ってるのがそれか」

 気絶したブヒトニーから奪うと俺に渡した。
 紳士的に目線を外し、見ないようにするという心配りまでしてくれていた。

「こいつは、後で退学処分にしておくよ。最近、素行が目に余っていたんだ」
「その方がいいですね」

 服を着て、改めて礼をしてから、オルドリッジ様の顔をみると、少し輝いて見えた。
 徐々に高鳴る鼓動に、前世で妻にプロポーズをした頃を思い出す。

「病人は部屋で大人しくしてるべきだよ。いけない子だね」

「え、あ、はい」

 オルドリッジ様の顔の輝きがさらに増して見えて直視できなくなってきた。
 前世も加算すれば、明らかに相手は子供、しかも男に対してだ。
 顔が火照り出してきた、本当に今の俺は変だ。

「じゃあ、女子寮まで送ろうか」

「はい」

 歩こうとしたら、ふらついた。
 それをオルドリッジ様が抱きしめながら支えてくれた。

「すみません」

「一度、俺の部屋で休んでいきなよ」

 そう言って、俺を横抱きにして部屋に連れ込んだ。
 ベッドに寝かされ、シーツを掛けておでこに手を当てられる。

「うーん、やっぱり少し熱いね。女子の誰かがくるまでここで休んでいると良いよ」

「オルドリッジ様は午後の授業が」

「はは、今日はサボろうかな、君を放置する訳にはいかないからね。俺の事は気にせず眠りなよ」

 頭を撫でられ、気が付けば夢に誘われていた。
 俺の心はどうなっているんだろう。

 *

「どうやら良く寝ている様だね」
「そうね、後は任せてください。私が部屋に連れて帰ります」
「ああ、頼んだよ、フラヴィア副会長」
「ですが、気を付けたほうがいい」
「何をだ?」
「部屋に女子を連れ込んだと3年の間で話題だよ。中には・・・」
「ああ・・・、迂闊だったかもしれないな、もし彼女らが動き出すようなら助けてやってくれるか」
「───できる限りの事はしますけど」
「頼んだ」
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