129 / 193
5.モルバーン学園(一年生編)
5-57.
しおりを挟む
結局のところ出てきた尻尾というのは小指程の短さで、まだ人の皮を被っているものの部分的に堅くなりつつあった。
感覚的には背骨の延長ではないかと思われる事から、あの痛みは成長痛だった可能性が高い。
あと、皮膚が割れたようになっているから、出血もそこからだったのだろう。
急に伸びた骨に皮膚が耐えれなかったのかもしれない。
だとして、どうして急に伸びたのだろうか。
ケツの穴を掘られると成長するとかないよな?
そんな冗談は置いておいて、その日の夜の食堂は人がまばらだった。
学園祭で忙しくしていた者が集まって食べるくらいで、あまり忙しくない者は総じて出店の食べ物で腹を満たしたらいしい。
俺らは前者の方で、娘やディーナも含め食堂に集まって食べる事になった。
考えても見れば娘との食事と言うのはいつぶりだろうか。
ここのシェフの味も中々なもので、メニューを見るだけで全員が目を輝かせるのは年相応と言った感じがする。
食事を摂りながら、今日の反省会や、娘とディーナの勝負の行方で盛り上がったあと、明日の話をし始めた所でオルドリッジ様が現れた。
「皆、お疲れ様だったね、店は随分と繁盛していたそうじゃないか。この分なら売り上げトップも間違いないんじゃないか?」
とはいえ、オルドリッジ様が何者かというのは全員が知っているので娘たちは畏縮して話そうとしない。
仕方なく俺が話すしかなかった。
ケツの事があるから、皮肉の一つや二つぶつけたいところだが、娘たちに不仲だと勘繰られるのも良くないので、普通に接するしかないのが残念だ。
「そんなもので競っているのか。しかし値段設定は平民向けレベルだから売り上げは大した事ないだろう」
「だとしても、集客トップはゆるぎないな、売り上げもなら二冠で表彰できるのに勿体ない。それに客が捌けないなら値段を上げればいいんじゃないか?」
「売上トップ候補ってどんなのがあるんだ?」
「そうだな、今のところは海賊飯店と帝国喫茶だな、それにしても海賊飯店はこのご時世に何を考えてるのやら」
「何かまずいのか?」
「料理が例の海外のアレシフェルン王国のものですよ、これから戦おうって国の料理を・・・」
「それを言ってしまえば帝国喫茶はソルレーンのものじゃなかったか?戦う訳じゃないが似たような物じゃないかね、それにこの国では国に罪はあっても、その国の料理や文化に罪はないって考えるんだ、だから目くじらを立てるなよ」
「ふむ・・・そういう考え方なのか。割と寛大なんだな」
「おいおい、生徒会長さん。何年この学園に居るんだよ。ちょっと慣れた方がいいぜ」
「手厳しいな、そういう事であれば、問題ない・・・か。ラミレスであれば、その国の文化は徹底的に排除するからな」
「あまりそういう風潮は感心しないな」
「しかし、ここまで表立ってやるのは兎も角、敵国となった国民の癖を見つける事でスパイの発見に繋がる事もあるんだ」
国防の観点となるとオルドリッジ様の言い分は分からなくもない。
しかしまぁ、それはそれこれはこれとしたいというのがこの国の風潮ではある。
ただ、その考えを押し付ける気はなく、郷に入っては郷に従えというようにラミレスに行くならば俺はその風潮に従う。
というか、それを捻じ曲げてスパイが発覚した場合、責め立てられるのは俺だからな。
「そんな話よりも明日の話だ、カロリーナは明日の拝火の時は空けておけよ」
「拝火ってなんだ?」
「最後に拝火の儀をするといっておいただろう、そこでチークダンスを踊ったカップルは幸せになれるという言い伝えだ」
言われて思い出すまですっかり忘れていた。
巨大な焚火をおこして、周りで踊るもよし、眺めるもよしのイベントだったかな。
その為の手配やら、安全策やら考えるだけで面倒そうなイベントだったので忘却の彼方に追いやっていた。
当の生徒会メンバーはそれの安全対策や準備に追われていた訳だが、なるほどオルドリッジ様は俺と踊りたいというのだな。
「まぁ、それは了解した。それより街道の問題をだな───」
うっかり内輪の話を続けそうになったのだが、娘やディーナにとってはつまらない話だったのは顔を見て判った。
それどころか、緊張しすぎて固まっているのだからあまりこの状態は良くないだろうと思い、話を切り上げた。
彼女たちを飽きさせない、つまらない思いをさせないというのは俺の、俺達の義務なのだから。
*
「明後日は、学校も休みだし王都を観光するか、ディーナ達も見て回りたいだろう?」
「いいんですか!うれしい!」
「フランチェスカさんは、王都はそろそろ慣れて来たかな」
「私も行きたいです!」
「お、そうか、じゃあ一緒に行こう」
「私も誘ってくれるのですよね」
「おお、フローレンス!寮の方に来ていたのだな、何処に泊まる予定なのだ?」
「陛下が用意してくださっているから心配無用ですわ」
なんだかんだ、大所帯で観光する事になりそうだ。
感覚的には背骨の延長ではないかと思われる事から、あの痛みは成長痛だった可能性が高い。
あと、皮膚が割れたようになっているから、出血もそこからだったのだろう。
急に伸びた骨に皮膚が耐えれなかったのかもしれない。
だとして、どうして急に伸びたのだろうか。
ケツの穴を掘られると成長するとかないよな?
そんな冗談は置いておいて、その日の夜の食堂は人がまばらだった。
学園祭で忙しくしていた者が集まって食べるくらいで、あまり忙しくない者は総じて出店の食べ物で腹を満たしたらいしい。
俺らは前者の方で、娘やディーナも含め食堂に集まって食べる事になった。
考えても見れば娘との食事と言うのはいつぶりだろうか。
ここのシェフの味も中々なもので、メニューを見るだけで全員が目を輝かせるのは年相応と言った感じがする。
食事を摂りながら、今日の反省会や、娘とディーナの勝負の行方で盛り上がったあと、明日の話をし始めた所でオルドリッジ様が現れた。
「皆、お疲れ様だったね、店は随分と繁盛していたそうじゃないか。この分なら売り上げトップも間違いないんじゃないか?」
とはいえ、オルドリッジ様が何者かというのは全員が知っているので娘たちは畏縮して話そうとしない。
仕方なく俺が話すしかなかった。
ケツの事があるから、皮肉の一つや二つぶつけたいところだが、娘たちに不仲だと勘繰られるのも良くないので、普通に接するしかないのが残念だ。
「そんなもので競っているのか。しかし値段設定は平民向けレベルだから売り上げは大した事ないだろう」
「だとしても、集客トップはゆるぎないな、売り上げもなら二冠で表彰できるのに勿体ない。それに客が捌けないなら値段を上げればいいんじゃないか?」
「売上トップ候補ってどんなのがあるんだ?」
「そうだな、今のところは海賊飯店と帝国喫茶だな、それにしても海賊飯店はこのご時世に何を考えてるのやら」
「何かまずいのか?」
「料理が例の海外のアレシフェルン王国のものですよ、これから戦おうって国の料理を・・・」
「それを言ってしまえば帝国喫茶はソルレーンのものじゃなかったか?戦う訳じゃないが似たような物じゃないかね、それにこの国では国に罪はあっても、その国の料理や文化に罪はないって考えるんだ、だから目くじらを立てるなよ」
「ふむ・・・そういう考え方なのか。割と寛大なんだな」
「おいおい、生徒会長さん。何年この学園に居るんだよ。ちょっと慣れた方がいいぜ」
「手厳しいな、そういう事であれば、問題ない・・・か。ラミレスであれば、その国の文化は徹底的に排除するからな」
「あまりそういう風潮は感心しないな」
「しかし、ここまで表立ってやるのは兎も角、敵国となった国民の癖を見つける事でスパイの発見に繋がる事もあるんだ」
国防の観点となるとオルドリッジ様の言い分は分からなくもない。
しかしまぁ、それはそれこれはこれとしたいというのがこの国の風潮ではある。
ただ、その考えを押し付ける気はなく、郷に入っては郷に従えというようにラミレスに行くならば俺はその風潮に従う。
というか、それを捻じ曲げてスパイが発覚した場合、責め立てられるのは俺だからな。
「そんな話よりも明日の話だ、カロリーナは明日の拝火の時は空けておけよ」
「拝火ってなんだ?」
「最後に拝火の儀をするといっておいただろう、そこでチークダンスを踊ったカップルは幸せになれるという言い伝えだ」
言われて思い出すまですっかり忘れていた。
巨大な焚火をおこして、周りで踊るもよし、眺めるもよしのイベントだったかな。
その為の手配やら、安全策やら考えるだけで面倒そうなイベントだったので忘却の彼方に追いやっていた。
当の生徒会メンバーはそれの安全対策や準備に追われていた訳だが、なるほどオルドリッジ様は俺と踊りたいというのだな。
「まぁ、それは了解した。それより街道の問題をだな───」
うっかり内輪の話を続けそうになったのだが、娘やディーナにとってはつまらない話だったのは顔を見て判った。
それどころか、緊張しすぎて固まっているのだからあまりこの状態は良くないだろうと思い、話を切り上げた。
彼女たちを飽きさせない、つまらない思いをさせないというのは俺の、俺達の義務なのだから。
*
「明後日は、学校も休みだし王都を観光するか、ディーナ達も見て回りたいだろう?」
「いいんですか!うれしい!」
「フランチェスカさんは、王都はそろそろ慣れて来たかな」
「私も行きたいです!」
「お、そうか、じゃあ一緒に行こう」
「私も誘ってくれるのですよね」
「おお、フローレンス!寮の方に来ていたのだな、何処に泊まる予定なのだ?」
「陛下が用意してくださっているから心配無用ですわ」
なんだかんだ、大所帯で観光する事になりそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる