ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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5.モルバーン学園(一年生編)

5-83.バーランド近海にて

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 敵の旗艦を撃沈し、暫く後に体に戻った俺は───

「うぐあっ・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ」

「カロリーナ様、お帰りなさいっ、今すぐ回復術をっ」

 想定通りと言えば想定通りだった。
 調子に乗って水中に潜ったり、船体をぶち抜いたりを何回も繰り返したのはやり過ぎだったかもしれない。
 だが、後悔はしてない。
 この痛みだって名誉の負傷みたいなものだ。
 とは言え、しばらく味わいたくない痛みなのも事実だ、それ程までに辛い、本気の本気で辛いのだ。
 痛みの余韻で脱力し、ぐったりしているとランが部屋に戻ってきた。

「カロリーナ様、帰ってきたのね」

「ああ」

「船団・・・全部撃沈してくれたんだよね?」

「まぁ、全部は無理だった。三隻残したがそれもマストを折ったから漂流する事になるだろうな」

 無理と言うのは些か言い訳ぐるしい。
 ただの気まぐれで三隻残したのは、オルドリッジ様に言われた『えげつない事をする』という言葉を思い出しての事だ。
 本当に生き地獄になるのかどうかは分からないが、彼らの運次第と言うところだが、間違いなく暫くは苦しむ事になるだろう。

「それより、この船にお客さんが来たみたい」

「こんな時に客?どんな人だ?」

「おじさんだったよ。偉そうな感じの人」

「名前とか分かるか?」

「たしか、ウエスターって言ってたよ」

 知らん人物だ。
 いや、そうでもないな、どこかで聞いたはずだ・・・どこかで。
 ウエスター・・・ウエスター侯爵・・・王弟か!何故だ!?何故此処に?
 何が起きているのか分からないでいると、オルドリッジ様から伝言を預かったという船員が部屋に入って来た。
 それによるとウエスター侯爵が保護を求めて身を寄せてきたというのだ。

 ウエスター侯爵とは当初、奴隷娼館を営んでいたダニエストフィーを殺害したと思われていた人物。
 カードウェリア子爵によるとあれは執事が変装して犯行を行ったというのだが、その事により今居るウエスター侯爵が当人ではない可能性も出てくるのだ。
 しかもあの執事、女だという。
 とてもそうには見えなかったのは、変装技能が高いという事なのだが、未だに信じられない。

「それで、オルドリッジ様は俺になにかして欲しいと言っているのか?」

「起きていれば、そのままその部屋で隠れていて欲しいと。もし調べれるのであればウエスター侯爵を監視できないかとの事です」

「なるほど、承知した」

 つまり、再び精神体になって奴らの話を盗み聞きしろって事なのだろう。
 婚約者使いの荒い事だ。
 どのみち夜間の俺はたいして役に立たないのだから、これ位の事しかできないのだ。

 少し寝つきが悪くて苦労したが、寝てしまえばこちらのもの。
 精神体になって、船内をうろついた。
 さすがに、高速移動も必要ないのだから、尻尾は置いてきた。
 甲板に出るとオルドリッジ様が見知らぬ人物と会話をしていた。

「そうか、状況は分かった。つまり貴殿らは我らの艦船も沈めて、アレシフェルンの艦船は殲滅できず、痛み分けとなったという訳だな」

「バーランドの艦船を沈めたのは事実だが、先に攻撃してきたのはバーランド側だ。そこを勘違いしないで頂きたい」

「その証人はいないのだろう?海上と言うのは便利なものだな、証拠が何も残らないのだからな、はっ」

「証人なら貴国の船員を救出しているから聴収すればよい、聖騎士とやらに指示されたと言っていたぞ」

「はっ、そんなもの脅迫すれば如何様にも証言を捻じ曲げる事はできる。まぁ良い、我らの保護と引き換えにその件を水に流してやってもいいのだぞ」

「非がそちらにある事は紛れもない事実だと受け入れて頂く。そうでなければ保護は受け入れられません」

「ふん、わかったわかった。そう言う事にしておこう。まったく頑固であるな。では改めて、こちらの一室を貰い受け、ここにバーランド亡命政府の設立を宣言するとしよう」

 そういうと偉そうに踏ん反り返りながら見知らぬ人物は部下を引き連れ、船室に案内されていった。
 本物かどうかは兎も角として、あれが王弟のウエスター侯爵である事は間違いない。
 当然ながら、俺はその一行について行った。
 そして船室の会話を聞いて来いというのが、オルドリッジ様の意図である。

 船室に入ると部下の一人と話しはじめた。
 特段、特別な感じのする人物ではなかったが、侯爵の対応からして信頼のおける相手である事が伺えた。

 *

「それで、兄上はまだ生きているのか」
「はっ、アレグサンダー王子もまだ重い腰を上げていない模様」
「早く死んでもらわないと、クーデターが終わってしまっては王位継承できぬではないか、なんとかならんのか」
「今頃、牢獄から脱走している所でしょう。逃げた先で処刑される算段になっております」
「諸侯の協力は取り付けておるか?我らの事が伝わっていなければクーデター終息後に独立されかねん」
「それはワイバーン便にて届け終えている筈。王子もワイバーン便までは手を出さない手筈ですから、問題ないでしょう」
「それにしても、アレシフェルンが負けてしまうとはな、とんだ番狂わせだ」
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