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5.モルバーン学園(一年生編)
5-86.王宮にて
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薄暗い部屋の中で俺が目を覚ました時、絶望のどん底に落ちてしまった。
アレグサンダーと会った部屋で俺は一糸纏わぬ姿でベッドに横たわっていた。
そして、シーツに染みた血の跡。
股にも乾いた血の跡がある。
それが意味するところは、流石の俺でも分かっていた。
嫌悪感が怒ると同時に、それは罪悪感となり、涙腺を崩壊させるに十分な情報だった。
入れられたという違和感なんて無い、痛みもない、血が出ている事以外には何もないというのに、奪われたという現実だけがそこにあった。
異常なほどの自己治癒能力を考えれば奪われた事後感がないのだと勝手にこじつけていた。
あふれる涙は留まる所を知らず、ここにいないオルドリッジ様への謝罪を口にしていた。
そして謝罪の相手はこの体の持ち主にも向けられていた。
俺としてはこの体は預かっていたようなものだ。
それを汚してしまったというのは預かり物を壊してしまったようなもの。
それを守り切れなかった───いや、守らなくてはならないという考えに至らなかった。
手を出すとは思っていなかった。
こんな子どもの体にそこまで執着するとは思わなかった。
半ば男の感覚が残っているせいで、命以外に取られるものは無いなんて思い込んでいた。
ただ、ひたすら謝るしかなく、それを言うべき相手はここには居ない。
一人寂しく、罪悪感に打ちひしがれていた。
俺は何て過ちを犯してしまったのかと。
しばらくして少しは落ち着いたが、オルドリッジ様の元に戻る事を躊躇した。
最早合わせる顔がないのだ。
陛下も助ける事ができず、王子の説得もできず、何も成せないまま初めてを奪われて帰ったとなっては何しに来たか分からない。
俺に出来る事といえば、最低限、陛下を救い出す。
そして、オルドリッジ様に謝罪する。
その上で断罪されよう。
殺されても仕方がない。
それで生き延びたら、今度こそ貴族の立場を捨て冒険者として生きようなんて甘い事を考えた。
涙を流している場合ではなかった。
俺は自分の服を見つけ、身支度を調えた。
丁度のその時、ドアの外で声がした。
こっそりドアを開けて声の主を確認すると、それは聖騎士の二人組だった。
二人の話では、とある部屋で女の喘ぎ声がずっと聞こえるから聞きにいこうというものだった。
その女の素性はラミレスの侯爵令嬢だという話から、フローレンスであると推測した。
二人を尾行していると、ドア越しに聞き耳を立てては興奮して立ち去って行った。
相手が相手だけに手を出せない分、男として妄想で処理するのだろう。
俺はその女の正体を確認すべく、その部屋のドアを開けた。
部屋の中は薄暗かったが濃厚な女の匂いが立ち込めていた。
そこには案の定、フローレンスがはだけた格好で止まらない自慰行為に乱れ狂っていた。
俺を見るなり、抱き着いて唇を奪ってゆく。
一瞬で下着の中に指が入り、敏感な部分を刺激してくるが、平手打ちで応戦した。
だが、まだ夜中と言う事もあり、俺の力はほとんど意味を成していない。
「カロリーナちゃん、一緒にいってくれるわよね、お願い、二人でいきましょ」
「何を言っているんだ、さっさと逃げ出すぞ」
「つれないわ、ほら、こんなにも濡れて来てるじゃない」
敏感な部分を触られればそうなるのは当たり前だった。
しかし、それと同時に吐き気がしてならなかった。
俺に女の絶頂を感じる資格なんてないのだ。
それは奪われた処女への罪悪感から来るのは明らかで、そしてその刺激が激しくなるほどに、吐き気が強くなっていった。
「おええええええええええ」
吐いてしまった。
だがその事で、フローレンスは我に返った。
「カロリーナちゃん、ごめんなさい、私ったら本当にどうして・・・」
「気にするな、正気に戻ったのならそれでいい、悪いが時間がない、服装を正したらすぐに逃げるぞ」
そうして、すぐに尻尾を大き目に変化させ、フローレンスと共に闇夜に紛れて王宮を飛び立った。
フローレンスを安全な所に避難させると同時にオルドリッジ様に謝罪しようと考えた。
いや、その上で断罪をうけようと考えたのだ。
だが、船上にたどり着いた時、船員ばかりでオルドリッジ様の姿は見当たらなかった。
そして俺は怖くなってしまった。
「フローレンス、すまないが陛下に伝言を頼めるか」
「自分で伝えればいいじゃない」
「俺はもう、会う資格を失ってしまった。だから断罪は後でいくらでも受ける、少しだけ時間をくれ、と」
「それはいいのですけど、何があ───」
「すまん」
「ちょっと待ちなさい、そんな思い詰める程の事があったというの?答えなさい」
その言葉に何も言わず、再び王宮に向かって飛び立った。
オルドリッジ様に失望されるのが怖い。
オルドリッジ様に嫌われるのが怖い。
オルドリッジ様との関係を失うのが怖い。
胸の奥に針が刺さったようにズキズキする。
この先の事を考えるだけで、自然と涙が溢れてくる。
俺は、オルドリッジ様の事が好きで添い遂げたかったのだと、改めて自覚した。
そう考えると、不思議に納得がいった。
カオリに対して抱いていた守りたいといった感情とはまた違う感情がこみ上げてきていた。
俺は本当に、取り返しのつかない失敗をしたのだと改めて思い知った気分になった。
今から何をやったところで、取り返しはつかない。
だが、せめてやれることをしよう。
それだけを考えて、王宮に戻ったのだ。
*
「やっと帰って来たか、一体どこへ行ってたんだ」
「随分と部屋を荒らしたものだな、ところで、無意識の内に何をした、アレグサンダー」
「な、何をって?愛する女がいれば・・・する事は一つだろ?今からカロリーナは王妃だ、おめでとう。子作りは義務だから早めに慣れる事だな」
「そうかい、だが、俺はアレグサンダーの妻になるつもりは無い。無理矢理やるような卑怯者なんかに誰が嫁ぐものか!」
「はぁ、そう言うと思ったよ。だが、もうオルドリッジに合わせる顔はないのだろ?大人しく俺の妻の座に収まれよ、それにいう事を聞かなければ、父上に情けはかけない、あの時の話はなかった事にして貰う」
「・・・」
アレグサンダーと会った部屋で俺は一糸纏わぬ姿でベッドに横たわっていた。
そして、シーツに染みた血の跡。
股にも乾いた血の跡がある。
それが意味するところは、流石の俺でも分かっていた。
嫌悪感が怒ると同時に、それは罪悪感となり、涙腺を崩壊させるに十分な情報だった。
入れられたという違和感なんて無い、痛みもない、血が出ている事以外には何もないというのに、奪われたという現実だけがそこにあった。
異常なほどの自己治癒能力を考えれば奪われた事後感がないのだと勝手にこじつけていた。
あふれる涙は留まる所を知らず、ここにいないオルドリッジ様への謝罪を口にしていた。
そして謝罪の相手はこの体の持ち主にも向けられていた。
俺としてはこの体は預かっていたようなものだ。
それを汚してしまったというのは預かり物を壊してしまったようなもの。
それを守り切れなかった───いや、守らなくてはならないという考えに至らなかった。
手を出すとは思っていなかった。
こんな子どもの体にそこまで執着するとは思わなかった。
半ば男の感覚が残っているせいで、命以外に取られるものは無いなんて思い込んでいた。
ただ、ひたすら謝るしかなく、それを言うべき相手はここには居ない。
一人寂しく、罪悪感に打ちひしがれていた。
俺は何て過ちを犯してしまったのかと。
しばらくして少しは落ち着いたが、オルドリッジ様の元に戻る事を躊躇した。
最早合わせる顔がないのだ。
陛下も助ける事ができず、王子の説得もできず、何も成せないまま初めてを奪われて帰ったとなっては何しに来たか分からない。
俺に出来る事といえば、最低限、陛下を救い出す。
そして、オルドリッジ様に謝罪する。
その上で断罪されよう。
殺されても仕方がない。
それで生き延びたら、今度こそ貴族の立場を捨て冒険者として生きようなんて甘い事を考えた。
涙を流している場合ではなかった。
俺は自分の服を見つけ、身支度を調えた。
丁度のその時、ドアの外で声がした。
こっそりドアを開けて声の主を確認すると、それは聖騎士の二人組だった。
二人の話では、とある部屋で女の喘ぎ声がずっと聞こえるから聞きにいこうというものだった。
その女の素性はラミレスの侯爵令嬢だという話から、フローレンスであると推測した。
二人を尾行していると、ドア越しに聞き耳を立てては興奮して立ち去って行った。
相手が相手だけに手を出せない分、男として妄想で処理するのだろう。
俺はその女の正体を確認すべく、その部屋のドアを開けた。
部屋の中は薄暗かったが濃厚な女の匂いが立ち込めていた。
そこには案の定、フローレンスがはだけた格好で止まらない自慰行為に乱れ狂っていた。
俺を見るなり、抱き着いて唇を奪ってゆく。
一瞬で下着の中に指が入り、敏感な部分を刺激してくるが、平手打ちで応戦した。
だが、まだ夜中と言う事もあり、俺の力はほとんど意味を成していない。
「カロリーナちゃん、一緒にいってくれるわよね、お願い、二人でいきましょ」
「何を言っているんだ、さっさと逃げ出すぞ」
「つれないわ、ほら、こんなにも濡れて来てるじゃない」
敏感な部分を触られればそうなるのは当たり前だった。
しかし、それと同時に吐き気がしてならなかった。
俺に女の絶頂を感じる資格なんてないのだ。
それは奪われた処女への罪悪感から来るのは明らかで、そしてその刺激が激しくなるほどに、吐き気が強くなっていった。
「おええええええええええ」
吐いてしまった。
だがその事で、フローレンスは我に返った。
「カロリーナちゃん、ごめんなさい、私ったら本当にどうして・・・」
「気にするな、正気に戻ったのならそれでいい、悪いが時間がない、服装を正したらすぐに逃げるぞ」
そうして、すぐに尻尾を大き目に変化させ、フローレンスと共に闇夜に紛れて王宮を飛び立った。
フローレンスを安全な所に避難させると同時にオルドリッジ様に謝罪しようと考えた。
いや、その上で断罪をうけようと考えたのだ。
だが、船上にたどり着いた時、船員ばかりでオルドリッジ様の姿は見当たらなかった。
そして俺は怖くなってしまった。
「フローレンス、すまないが陛下に伝言を頼めるか」
「自分で伝えればいいじゃない」
「俺はもう、会う資格を失ってしまった。だから断罪は後でいくらでも受ける、少しだけ時間をくれ、と」
「それはいいのですけど、何があ───」
「すまん」
「ちょっと待ちなさい、そんな思い詰める程の事があったというの?答えなさい」
その言葉に何も言わず、再び王宮に向かって飛び立った。
オルドリッジ様に失望されるのが怖い。
オルドリッジ様に嫌われるのが怖い。
オルドリッジ様との関係を失うのが怖い。
胸の奥に針が刺さったようにズキズキする。
この先の事を考えるだけで、自然と涙が溢れてくる。
俺は、オルドリッジ様の事が好きで添い遂げたかったのだと、改めて自覚した。
そう考えると、不思議に納得がいった。
カオリに対して抱いていた守りたいといった感情とはまた違う感情がこみ上げてきていた。
俺は本当に、取り返しのつかない失敗をしたのだと改めて思い知った気分になった。
今から何をやったところで、取り返しはつかない。
だが、せめてやれることをしよう。
それだけを考えて、王宮に戻ったのだ。
*
「やっと帰って来たか、一体どこへ行ってたんだ」
「随分と部屋を荒らしたものだな、ところで、無意識の内に何をした、アレグサンダー」
「な、何をって?愛する女がいれば・・・する事は一つだろ?今からカロリーナは王妃だ、おめでとう。子作りは義務だから早めに慣れる事だな」
「そうかい、だが、俺はアレグサンダーの妻になるつもりは無い。無理矢理やるような卑怯者なんかに誰が嫁ぐものか!」
「はぁ、そう言うと思ったよ。だが、もうオルドリッジに合わせる顔はないのだろ?大人しく俺の妻の座に収まれよ、それにいう事を聞かなければ、父上に情けはかけない、あの時の話はなかった事にして貰う」
「・・・」
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