ドラゴニック・ブラッド ~竜騎士だった俺の転生先は死んだ公爵令嬢だった。令嬢なんて面倒くせえ!勝手気ままに生きてやる!~

なのの

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6.モルバーン学園(二年生編)

6-3.王都にて

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 進級して数日たったある日、店主である私は商業ギルドから緊急招集を受けた。

 商業ギルドを訪れると会議室に通され、そこには商業ギルドの長、ロレンツォが不敵な笑みを浮かべて私を見ていた。
 その目線は舐める様であまり気持ちの良い物ではない。
 ロレンツォは30代半で商業ギルドのトップに昇りつめた異常な権力欲を持っているという。

「陛下・・・私どもは国王だからといって特別扱いはしません」

「それで構わない」

「では、現状のレシピを開示してもらえますか」

「ん?なぜだ?商業ギルドに渡す必要が何処にあるのかわからん。私は商業ギルドに入った覚えはないぞ」

「王都で商売する以上、商業ギルドには所属して頂きます、でないと商売を認められません」

「ああ、わかったわかった、百歩譲って所属はしよう。だが、レシピの開示は分からん」

「今後の商業の発展の為ですよ。個人の利益よりも国の発展の為だと思ってください、国王ならおわかりになられますよね」

「まぁ、別に隠している訳ではない、うちの店で講習会を開く事としよう。今度の休息日の前後で考えておこう」

「ちっ・・・、わかりました、それで結構です」

 少しだけ不満そうだがロレンツォはそこで引いてくれた。
 ところが案の定、講習会の当日に再び呼び出された。
 メンドクセエ。

「小麦なんてどこで手に入れてるのですか!材料は流通は商業ギルドを通してもらわなければ困る!」

「何言ってるんだ、講習会に来た奴にはある程度作れる程度の量を配布してやっただろ。材料は自力で揃えやがれ」

「そもそも小麦なんてダメ麦を作ってる農家はいませんよ!嘘のレシピを教えたのではありませんか?」

「嘘なんて言ってねえよ。小麦は駄目な麦じゃねえよ。今からでも生産すればいいだろう」

「じゃあ、陛下は何処から手にいれているのですか!まさか輸入とか言わないですよね、輸入するなら商業ギルドを通してもらわないと困ります!」

「ギャンギャンとウルセエ奴だな、輸入じゃなく国内で作ってるに決まってるだろう」

「だったら生産地を開示してください!」

「それを教える義理はねえ。勝手に調べればいいだろ」

 せこい事を言うつもりは無いが、妻が広めようとしたのを妨害しておきながら今更仕入れたいと言うのはふざけた話だ。
 しかも、アングレードにある在庫なんて、王都中で使われ始めればすぐさま底をつくだろう。
 当面はある程度、手持ちを放出してやるしかないと思っていたし、教えた所で手に入る訳ではない。

「手持ちの小麦は格安で融通するというのは講習会に来た者には説明済みだ、それで問題あるまい」

「ならばその小麦を全てこちらで預かりましょう。不当に値段を吊り上げられては困りますから」

「何を言ってるのか分からんな、そんな事より小麦の生産を斡旋した方がいいのではないか?」

「それができれば苦労はしないんですよ!」

「それをどうにかするのが商業ギルドの役割だろ!甘えんな!」

 農作物で頑なに生産してこなかった物をいきなり入荷できるはずがない。
 時期的な話をすれば生産さえしていれば2カ月後くらいに収穫期を迎える。
 そこから4カ月ほど置いてから新たな小麦の育成が始まるというサイクルになる。
 アングレードでは今となっては周期が半年ズレた種があるので、年に2回収穫時期があるのだ。
 これから小麦を育成する農家からすれば猶予が半年ある訳だが、収穫までは1年半もかかるのは当然の事だ。
 農家が新たに農地を確保するなり、ライ麦畑を潰すなりして、半年後に生産を始めねばならない。
 もっと言えば、そういうふうに領主か商業ギルドが要望を出して回る必要がある。
 そして問題として、ライ麦の種まきは今が旬でもうじき終わる頃合いになる。
 つまり、ライ麦畑を潰すとなると今の蒔いた作業が無駄になるわ気だから、納得できる者はいないだろう。

「越冬栽培の農家を探せばよかろう?それなら種植え時期がずれているから」

「そうか、その手があったか!」

 ライ麦の種まきは、種まきの時期が2種類存在する。
 それを失念していたのだろう。

「じゃあそう言う事で、失礼するぞ」

「待ってください、今て持ちの小麦はどれくらいあるのですか、あと、あなたの入手先の生産量は?」

「さてな、それを聞いてどうするんだ」

「我々は生産調整する立場にあるのです、それが出来なければ国民が食に困る事になるのですよ!」

「食に困ると言っても、食べれないのは白パンだけだろう?黒パンを引き続き食べればいいじゃないか。なにもかも白パンに切り替えれば良いというものではないぞ。なんせ白パンよりも黒パンの方が日持ちするからな」

 ロレンツォが苛立ちを机にぶつけた音が耳を刺激する。
 さらに小さく「小娘が!今に見ていろ」なんて呟いた。
 少々苛め過ぎたかと思いながらもギルドを後にする。
 そして、その夜の内に事件は起きた。

 店が襲撃されて荒らされた。
 ただ、そこに現れた人物によって、犯人を撃退したのは不幸中の幸いだった。
 結果的に、小麦の在庫が少し奪われたが、店の営業には問題ないレベルだった。

 *

「カロリーナ様、お久し振りです。いや、陛下と呼ぶべきですかな」
「リーダーか、呼び名なんてなんでもいいよ。それで王都まで何しにきたんだ?」
「ルグランジは落ち着いてるので、こちらの用心棒として来ました。交渉事も任せてください」
「ああ、頼りにしてる。あ、そうだ、部下の何名かをアングレードに派遣してほしいんだ」
「あんな小さな村に何の用で?」
「少し面倒事になりそうなんだよ」
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