13 / 101
第一章 人工大陸アーティダル ウガルンダ編
第13話 二つの決着
しおりを挟む「「うわぁぁ!!」」
紅葉さんたちの悲鳴が聞こえた。ザーハックさんのフィナーレスキルの衝撃と爆炎。彼らは直撃したようだ。
僕とルナさんはその爆発の被害を受ける。
剣を突き刺して、盾にしていたが、僕たちは激しい爆風で、吹き飛ばされてしまった。
気がつくと、僕はルナさんに覆い被さるように倒れていた。
「いててぇ、すみません、大丈夫ですか? ……はっ! すみません! すぐ退きます!」
初めて女の子の上に倒れた恥ずかしさと申し訳なさのあまり後退る。
何かふわりと柔らかい感触を顔に感じた。
「わ、わたくしは大丈夫ですわ。……トワ様は見かけによらず大胆なお方ですね」
「だ、大胆だなんて! そんなつもりじゃ……すみませんでしたぁ!」
「うふふ、冗談ですわ。お互い怪我がなくて良かったです」
良かった、冗談だった。僕は砂埃を払いながら戦況を確認する。
攻撃を受けた紅葉さんと向井さんはその場にはいなかった。
ザーハックさんのフィナーレスキルでHPが0になって退場したのだろう。
ザーハックさんの勝ちで決着がついたようだ。だが、槍を突き刺したまま、膝をついている。
フィナーレスキルは、基本的に一日に一度しか使用できない。
この世界だと、一度使用すると、体力をかなり消費し、疲労感が襲ってくるらしい。
ゲームの世界だと、プレイヤーが疲れる事はなく、気にしたことはなかった。
反対側では、ヒロさんとグーファーさんがダルバルさんとグリーナさんと戦闘をしていた。
ヒロさんはウィザードで後衛を担当し、グーファーさんのサポートをしているようだ。
相手もグリーナさんがダルバルさんのサポートをしている。似たようなフォーメーションだ。
「グーファーさん! 援護するから、先に後ろの束縛変態マンを狙おー! 拳の人はそのあとで」
「分かりました! 頼みます」
「へ?、、変態って俺の事か!? 俺は変態じゃないぞぉ!?」
否定するグリーナさんに対しヒロさんが反論する。
「そんなことないもん! 私をバインドして、いやらしい目で見てたもん! 鼻の下伸びてたよ!」
「そ、、そんな目で見てないわい! 決してそんな目で見てたわけじゃないからな! たまたまいいアングルだっただけだ! 勘違いするなよ!」
顔を引きつりながらダルバルさんが、
「そんな目で見てたのか、いやぁ、さすがに仲間の俺でも引くわぁ。
そのために、『紫魂の杖』を交換したのか」
「いや! 違う! チームバランスを考えたら、必要だと思っただけだ! 信じてくれ!」
「いや、助かってはいるんだぜ? だが、自分の欲のために女性を縛るのはな……」
「ち、、違う、、違うんだぁぁ」
グリーナさんの声はだんだんと小さくなっていく。すると、ヒロさんが。
「変態さんは許さないよぉ! 『煌煌めく星!」
無数の星が二人を襲う。
「うわあっーーーーっ!!!」
「ぐわあっーーーーっ!!!」
「避けきれん!」
ヒロさんが放った【煌めく星】が二人を巻き込み爆発する。
煙が晴れると、グリーナさんの後ろに回り込んでいた、グーファーさんが剣を横から振るう。
「うおぉぉ! くらえぇぇーー!!!」
グーファーさんの放った攻撃は見事に命中した。
「くっ、、反応出来なかった。やるなぁ、楽しくなってきたぜ!」
いい試合をしている。ヒロさんたちも問題なさそうだ。
そんな事を思っていると。急に岩が崩れ雪崩が起こったような音がした!
ふと、前を見ると何かがものすごいスピードで、こちらに近づいてくる。
「……危ない!」
ルナさんの声で僕は慌てて前を確認する。ルナさんは手を広げて僕の前に立っているのが見えた。
近づいてきているのは橘さんだ。
斧を構えこちらに近づき、ルナさんを対象に振り下ろす。
僕はルナさんの前に出て剣でガードする。武器同士がぶつかり、甲高い音とともに火花が散る。
「ほぉ。これを防ぎますか、いい反応速度です。私の攻撃で姿勢を崩さないとは、、小柄なのにやりますね。それに、よく鍛えられてますね」
「それはどうもです。急ですね。ザーハックさんが疲弊するのを待っていたんですか?」
橘さんはニヤリとし、
「やはり、頭もキレるみたいですね。実に興味深い。
やはり、すごいね。それに、僕と君は似た者同士のようだ。
ザーハックさんかヒロさん、どちらかが戦闘不能になるのを待っていたんだけどね。
だが、ヒロさん側も勝負が決まりそうだったからね。先手を打たせてもらったよ」
鍔迫り合いながら。
「なるほど、それで、僕と似た者同士ってのはどういう意味ですか?」
「思考力や戦い方だよ。自分でも分かっているだろ? 何を躊躇《ちゅうちょ)しているかは知らないが、君の実力はそんなもんじゃないはずだ。本気でやりあおう」
察しがいいのか、ただの感か、とても戦いにくい相手だ。
橘さんは連続して斧を振り回す。それを僕は攻撃に合わせてガードする。
(……反撃が出来ない、、いや、したくないんだろう。攻撃をしようと思うと、昔の嫌な記憶が蘇ってくる)
「どうした? 剣に力が入ってないぞ。僕の思い違いだったかな? それだったら非常に残念だ。そろそろ終わりにしよう」
橘さんは距離を取り、
「【グランドウェーブ】」
冷静な声でそう呟くと、橘さんを中心に地面の波が発生する。
その地面の波が僕たちを襲う。このスキルはかなり厄介だ。
その厄介な理由は【グランドウェーブ】は攻撃スキルや補助スキルの派生先が多いのだ。
「ルナさん! 僕から離れてください!」
「ーー離れたいのですが、地面がクネクネしてうまく動けませんわ」
「土よ固まれ」
僕は片足が、ルナさんは両足が固まって身動きができない。
「しまった!」
「申し訳ありません! 動けません」
「君には期待していたのですが、今はやる気がないみたいですね。非常に残念ですが終わりにしましょう」
次の瞬間、橘さんは斧でフェアリーを躊躇なく一刀両断する。
そしてフェアリーは光の粒となって消え去った……。
そして、試合終了のアナウンスが会場全体に響き渡る。
そう。僕たちは、、いや、僕は僕自身の心の弱さに敗北したのだった。
周りの人は挨拶や労いの言葉をかけているのだろう。
でも、僕は自分自身の不甲斐なさと悔しさで目の前が真っ暗になり、何も聞こえなかった。
0
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる