17 / 101
第二章 王国奪還編
第17話 大陸BOSSと七魔帝王
しおりを挟む町を探索し、役に立ちそうなアイテムを購入した僕は、噴水前のベンチに座り、アイテムを整理していた。
そういえば、少し前にこの近くをハニポンと回っていたな。
ハニポンは何してるんだろう。何で出てこないんだろうと、少し懐かしみ、思い出に耽るのだった。
色々聞きたい事はあるけど、急に出てこなくなったのはちょっと心配になる。
再び歩き出した僕は、たまたま宿屋コロンの近くまできていた。
少しの間この町から離れることになるので、コロンちゃんたちに挨拶をしておこうと思い、宿屋コロンへと向かった。
______
宿屋コロンに到着した僕は、ドアをガチャリと開けると、すぐに、コロンちゃんが笑顔で出迎えてくれる。
「いらっしゃいませです。あ、お兄さん。おかえりなさいですー」
「コロンちゃんこんにちは。今日はちょっと話をしに来たんだ」
僕の言葉の何かを察したのか、コロンちゃんは少し沈んだ表情を浮かべ。
「お話ってなんですかー?」
「ちょっと、コロンちゃんには難しいかなー? ガンフさんいるかな?」
コロンちゃんはコクリと頷き、ガンフさんを呼びに行ってくれた。ガンフさんはコロンちゃんのお父さんだ。
少し待っていると、フローラル系の匂いだろうか? とても優しい甘い香りが匂ってくる。
「こんにちわぁ。すみませんん、今ぁ、主人がぁ手を離せなくってぇ」
その匂いの主はやってきた。髪はクリーム色で、髪の長さは肩までかかるセミロングくらい。黒目で優しい眼差しをしている。
その優しそうな美人な女性はマイペースでおっとりとした喋り方をして、申し訳なさそうな感じで僕を見つめる。少し固まってしまったが、気を取り直し。
「こんにちは。僕はここでお世話になっている、トワといいます。ガンフさんが主人って事は奥様ですか?」
「はぁいぃ、そうでぇぇす。コロンのママのユミネスっていいまぁす。
コロンがぁ、お客様がお話しがあるってぇ言ってたからぁぁ。どうかぁしましたぁ?」
「少しお話ししたい事があって参りました」
僕は、アーティダル王国とルルード王国で起こっている出来事を話した。
「もうまもなく出発します。いつ戻ってこられるかは分かりません。
残りの宿泊日数の間はここに立ち寄れないので、戻ってこなくても心配しないで下さい」
「そんなことがぁぁ、プレイヤーさんも大変ねぇぇ。残りの日数はぁ主人に聞いてみるねぇ。
大変だと思うけどぉ、この大陸のために頑張ってねぇ。終わったらまた泊まりに来てねぇ」
「はい! ありがとうございます! お世話になりました! ガンフさんにもよろしくお伝え下さい」
「お兄さん、どっか行っちゃうんですか?」
悲しげな声でコロンちゃんが聞いてくる。
「悪い人を懲らしめるために、少しの間冒険に出るだけだよ。それが終わったら、また戻ってくるよ」
「分かったです。頑張って下さいです。また戻ってきたら、お話ししたいです」
「うん、必ず。では、行ってきます」
二人に挨拶をした僕は宿屋コロンを後にした。
__________
出発の時間の十分前。ギルド会館に戻ってきた僕は、ヒロさんたちと合流した。
「お待たせしました。僕の方は準備完了です!」
「お! トワ君! 待ってたよー! 頼りにしてるね」
「頼りにされるほど強くないですよぉ」
急にその場が鎮まる。前を向くと、ザーハックさんが台に立っていた。
「こんなに集まってもらえるとはな。感謝する。今から、四、五人のパーティーを作ってくれ。話しはその後だ」
会場にいたメンバーはパーティー作っていく。僕のパーティーメンバーは、ヒロさん、ルナさん、グーファーさん、ユナちゃんの五人だ。
「ルートの確認をする。まずは、休憩をするため『ラタン村』へ向かう。
その後、『アウラレード』へ向かい一晩過ごす。そして明日の朝、班をA班とB班の二つに分け、A班はルルード王国へ、B班はアーティダル王国に出発する。ここまでで質問はあるか?」
ザーハックさんの問いかけに、眼鏡をかけた冒険者が手を挙げる。
「そこの眼鏡、どうした」
「どうして、ルルード大森林を抜けて行かないんですか? わざわざ、アウラレードに行かなくても森を抜ければルルード王国はすぐだと思うのですが」
「ふむ、いい質問だ。もちろん、ルルード大森林から抜ければ早いだろう。
しかし今、ルルード大森林では謎の音楽や歌が聴こえてくるらしい。
昔からルルード大森林には精霊が住み着いていると言われているからな。
その歌の影響かは知らんが、雑魚モンスターが謎のオーラを纏っていて、ステータスが上昇しているとの報告がある。
プレイヤーに調査を頼んでいたが教会送りにされる人が続出している。
雑魚を相手して時間を取られたくないからな。アウラレードへ向かった方が最善の策だと思ったからだ」
謎の歌、謎の音楽。モンスターがオーラを纏う現象。僕はその原因を知っている。
だが、そのモンスターはゲーム時代の最初の大陸の【大陸BOSS】のはずだ。
そんなモンスターが最初の森にいるなんてゲームバランスが崩壊している。
大陸BOSSは七つある大陸の内、一つの大陸を支配しているボスだ。【暗獄神エレボタロス】の最高幹部である、【七魔帝王】が務めている。
その大陸の大ボスと思ってもいい。七つあるのだが、ここは新しくできたと言っていた事から、八つあるのかまだ他にもあるのかは分からない。ストーリーが変わっているかもしれないし。
エタドリのストーリーは元々、【祝福の大陸プレイシス】の大国、『プレイシス王国』から始まる。
七つの大陸を支配していた暗獄神エレボタロスは、姫が持つ闇を封じる力を恐れ、七魔帝王《セブンス・エンペラー》の一柱、【混沌獣人のアネモガート】に攫ってくるように命令をしたのだった。
リメイクや続編のゲームにはボスが格下げされている事はあるとは思う。
今回の件のモンスターがアーティダル王国の大陸BOSSかは分からないが、そんなやつを相手をしている暇はない。
その調査に行ったプレイヤーは前作をプレイしていないのだろう。
精霊なんかじゃない。恐らくやつは、【暗獄神エレボタロス】が愛でていたペット魔獣の一匹、【音奏魔獣魔獣《まじゅう》メロディアス】だろう。
メロディアスは巨大な鹿型のモンスターだ。体の至る箇所にユーホニウムや太鼓、ラッパなど色んな楽器が生えている。
自身や仲間のモンスターにはバフを、相手にはデバフを掛けたりするのを得意とする。
角の形状はシンバルのようになっており、その角を叩き衝撃波を出して攻撃してくる。
もし、ルルード大森林にメロディアスがいるのであれば後回しにした方がいいだろう。今は王国を取り戻す事を考えよう。
「なるほど、分かりました。ありがとうございます」
眼鏡の人がお礼を言う。
「他に質問がある者はいるか?」
「では、私から一ついいかね?」
隣にいた、マリーさんの声。
「どうぞ」
「王国を奪還して欲しい気持ちはあるが、何より大事なのはみんなの命だよ。
必ずみんな無事に生きて戻ってきておくれ。老ぼればあさんは祈る事しかできないがね。よろしく頼んだよ」
「「「はい!!」」
その場にいた人が大きい声で返事をする。
ザーハックさんは、目をカッと見開き。
「これより、王国奪還作戦を決行する!」
その掛け声で冒険者たちはずらずらと外に出た。
「僕たちも行きましょうか」
みんなが頷き、外に出ようとすると。
「ちょっといいですか?」
謎の声が僕たちを引き止める。振り向くとそこにはメルさんがいた。
「こんな時にすみません。渡したい物がありまして、ちょっといいですか?」
「あ、はい。なんでしょうか?」
「みなさんが無事に戻ってこれるよう、お守りを作ってみました。
こんなもので何の効果もないとは思いますが、良かったら貰ってください。みなさんのぶんあります」
メルさんが手渡ししてくれたのは、表面に『必勝』の文字が、裏面には『安全祈願』と記された水色のお守りだった。
「ありがとうございます! ご利益がありそうですね。大切にしますね」
「可愛い! メルさん器用だねぇ! 今度、私にも作り方教えてよー!」
「はい! 私で宜しければ! お時間を割いて頂いてすみません。みんなで必ず無事に帰ってきてくださいね。お気をつけて」
「はい、必ず! 行ってきます!」
「「行ってきます!」」
僕たちはギルド会館を後にした。周りを見渡すと初めに行った組はもう見えない。
僕は初めてこの町から離れる事になる。これからの戦いの事を思うと不安で押しつぶされそうになる。
僕たちの長い長い旅が始まろうとしていた。
0
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる