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第二章 王国奪還編
第31話 侵入!ドミニデス帝国
しおりを挟む※ヒロサイド
トワ君から連絡を受けた私たちは、トワ君を信じて先にドミニデス帝国の側まで来ていた。
私たちは身を潜め、外から国内を確認していた。
中に侵入したいが警備が多すぎて入れそうにない。
私は、どこかに隠し通路がないか聞いてみる事にした。
「ねぇ。ルナちゃん。他に入口ってあるかな? ここからだと少し厳しいと思うんだ」
私の質問にルナちゃんは、困った表情を浮かべながら答えてくれる。
「あります。……ですが、少し問題が……」
「問題? 何かあるの?」
「王家の者のみ伝えられている隠し通路が反対側にあります。そこから直接、王室に向かうことができます。
ですが、ドミニデスって男性は王室にいました。
まだその場に留まっているのであれば、鉢合わせるリスクが高いかと」
そっかぁ、ドミグラスと鉢合わせることになるのか。いずれにしても戦わないといけない相手。
私たちで倒せればいいんだけどな。
「ドミグラスは強いの? 私たちで倒すの厳しいかな?」
私の質問にグーファーさんが答えてくれた。
「俺がレベルを見た時はレベル35でした。正直、我々が束になって挑んだところで返り討ちにあうだけでしょうね」
「そっかぁ。レベル35って凄いね。私もレベリング頑張ってたんだけどなぁ。ザーハックさんも心配だし、どうしよう」
「ザーハック様も心配ですね。あれからお見えになっていません。もう王国内に入られたのでしょうか?」
「そうだと思うよ。今、警備が厳重なのは、ザーハックさんたちが攻めてきてこれ以上、敵を入れないためじゃないかな?」
「なるほど、さすがヒロさんです。なんだか、トワさんみたいでしたね」
そういってくれたのはグーファーさん。
トワ君みたいって、そりゃあ、リメイク前の『イベントストーリークエスト』で、同じようなシチュエーションがあって、その時にトワ君が言っていたセリフなんだもん。なんだかあの頃が懐かしいな。
「まあね! えっへん! とりあえず、その隠し通路から王室に入ろう。ルナちゃんのお母さんやお父さんも心配してるだろうし」
「ママとパパに会えるの? もう大丈夫なの?」
ユナちゃんが弱々しい声で言った。私はユナちゃんを心配掛けまいと、
「きっと大丈夫! 私が絶対に会わせてあげる!」
すると、ユナちゃんは安心したのか、私にくしゃくしゃな笑顔を向けた。この笑顔を守りたい! 守らなきゃ!
「よし、じゃあ、王室に侵入して、敵の位置と人数を把握して、ザーハックさんと合流だぁ! よし! とりあえずやってみよー!」
「分かりました。では、ご案内しますわ。こちらです」
「みんな! 頑張ろうね! 危なかったら逃げてね。私はHPが尽きても、また時間が経てば復活できるから、気にしないでね」
こうして私たちは、ルナちゃんの案内で王国の反対側へと向かった。
__________
王国の反対側の森についた私たち。
この辺一帯は森閑としていて、人の気配も感じない。この静かな森の中の隠し通路から入れるらしい。
「隠し通路は、この井戸を下りた先にあります。水は抜いていますのでご安心を。
コケが生えていて、滑りやすいので気をつけて下さいね」
ルナちゃんは言いながら、井戸のロープに手をかけ、耐久チェックをしている。
「よく分からないけど分かったー! ありがとう! どんどん進もう!」
私たちは薄暗い井戸を下りる。日が当たらないからか、少し寒さを感じる。
「フラッシュライト」
ルナちゃんが光の魔法を唱えると周りが明るくなった。
そして、壁に近寄り。
「確か、この辺に…………。ありました!」
ゴゴゴゴッと、大きい音をたて、壁の一部が崩れていく。
「では、参りましょう。ここを抜けたら王室です。気をつけて参りましょう」
「だね! でも、極力戦闘は避けよう! ユナちゃんもいるし。いのちだいじに!」
「「はい!」」
二人は勢いよく返事してくれた。ルナちゃんを先頭に地下道を進んでいく。
「こんな森に、王室に続く道があるなんて知らなかったなぁ」
「グーファーさんが、知らなくて当然ですわ。わたくしもお母様から聞いた話ですし」
「そうなんですか。なら、王室に入ったらここから、トロン王とティアン王妃を避難させましょう」
「ですね。無事だといいのですが」
二人の会話を聞きながら私たちは進んでいく。だいぶ歩いた。
すると、上の方から微かな光が見え始めた。近くには木製の階段がある。ルナちゃんは足を止め。
「この上ですね。父上の玉座の近くに出ます。父上たちはその近くにいると思います」
「近くにいるといいね。ユナちゃんのパパとママを助けてトンズラだーー!」
ルナちゃんが微笑みながら言う。
「ヒロ様は勇敢ですね。わたくしは怖くて、震えています。そんなヒロ様を見ていると、自然と勇気が湧いてきますわ」
「勇敢かなぁ? 自分ではそう思わないんだけど、そう思ってくれてるなら嬉しいな。
みんなに安心してもらうために私、頑張るよ! 大丈夫! 問題ない!」
でも、本当は嘘。本心は怖いと思っているし、今にも泣き出しそう。私の悪い癖だ。
周りが暗い空気になるのが嫌で、みんなに心配をかけたくなくて、いつも空元気している。
「俺も覚悟を決めました。いつでもいけます」
「わたくしも大丈夫です。ユナは大丈夫?」
「はい、お姉様」
「みんな、大丈夫そうだね! 突撃だぁ!」
そういって私は階段を上り、古びた扉を押してみる。
その扉からキイぃっと、金属の嫌な音をたてた。
周りを見渡すと、地には赤と金色の絨毯と、王様が座っていたであろう、大きくて金色に輝く玉座。
天井はとても高く、そこから吊るされているシャンデリアの数々。そこは、女の子は憧れてしまう場所だった。
私は見惚れながらも、敵プレイヤーがいないか、『感知スキル』を使う。
「『感知スキル』対象、プレイヤー。ーー大丈夫。誰もいない。先を急ごう」
「俺が先頭に立ちますよ。ナイトなのでそう簡単には倒れませんし」
「分かった! グーファーさん頼んだよ! 後ろは任せて」
グーファーさんが先頭に立ち、王室から外に出ようとすると、
「きゃぁっ! お姉様ぁぁ!」
突然、ユナちゃんの声がした。
「え? 何!? どうしたの? 大丈夫!?」
「ユナ! ユナぁぁぁ!」
ユナちゃんは宙に浮き、目にも留まらぬスピードで部屋から飛んでいく。何が起こったのか分からない。
敵がいたの? でも、感知スキルにも引っかからなかった。今はそんなことを考えている暇はない!
私たちは、ユナちゃんが飛んでいった方向に向かう。そこには、宙に浮く忍者のような格好をした男が、ユナちゃんを抱えていた。
「はい、チビ姫ゲッチュウ。ジュラの言う通りだったなぁ。簡単な任務だったぜ」
「ユナちゃんを返して!」
私は言葉をはっし、武器を構えると男は。
「おっとぉ。今の状態で魔法を放ったら、チビ姫が苦しい思いをするだけだぜぇ? まあ、いいんなら構わねぇけどよ」
ユナちゃんを盾にされ、私は魔法を使えなかった。ステータス確認をすると。
名前はオボロン。レベル26のアーチャー。ギルドは『強欲者の縄張り』とあった。どうやら、ドミノデスの手下のようだ。
すると、ルナちゃんは前に出て感情を表にして男に訴える。
「人質ならわたくしがなります。わたくしもこの国の姫です。ユナを返してください!」
「だめだねぇ。ドミニデスさんに、ちっこいのを連れてこいって言われてるからな。
ーーこちら、オボロン。王室にてチビ姫を確保した。他にでか姫と知らんやつが二人いる。お前らもこっちにきて手伝え」
オボロンはボイスチャットかなにかで、別の者の連絡を取り合っているようだ。
「お前たちの目的はなんだ! 人質なら俺で十分だろう?」
グーファーさんはオボロンに言い放った。すると、オボロンは嘲るように言い返す。
「お前、自分に人質の価値があると思ってんの? そんな価値ねぇんだよ! お前らと戯れている暇はない。またな」
そう言い残すと、何かを地面に叩きつけた。
煙玉だ! 煙がモクモクと私たちの視界を遮る。
そして、煙が晴れた頃には、オボロンとユナちゃんの姿はなかった。
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