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第二章 王国奪還編
第36話 集結
しおりを挟む突然飛んできたファイヤーボールを僕は剣で切り裂く。
爆発音とともに、ルナさんをかかえたヒロさんがゆっくりと倒れてくる。
「すみません。遅れました。ヒロさん大丈夫ですか? ……大変でしたね。ゆっくり休んで下さい」
倒れ込んできた二人を僕はそっと支える。
二人は気絶しているだけのようだ。間に合ったようで良かったと胸をなでおろす。
ヒロさんはルナさんを最後まで守っていたようだ。
周りを見渡すが、グーファーさんやユナちゃんの姿は見えない。
はぐれているのか、それとも別行動なのか。
僕には分からない。すると、ジークさんがルナさんに声を掛ける。
「ルナ! 大丈夫か!? しっかりしろ! くそっ! 俺がもっとしっかりしていれば……」
やっと会えた二人だがルナさんからの返事はない。
「兄妹の感動の再会。最高に素晴らしい。ーーおやおや? あそこにいる二人は……。
おっとこれは、僕にとっても感動の再会のようです。一人いないようですが」
「感動の再会? 知り合いですか?」
「はい、知り合いですよ。人数はこちらの方が有利。
ぶっちゃけそこまで強くないのでさっさと倒してさっさと進みましょう」
すると、その二人はこちらに近づき言う。
「おい! 橘! どこに行ってたんだ!? 探したぞ! それに……うわぁ!」
大剣を持った男が何か言いかけたが、橘さんはその男の口の中に泥をぶち込んだ。
「それに……なんです? あなた方が僕たちは勝てるとでも?」
杖を持った男は泥を吐き出した。そして、杖を構える。
「裏切り者め! くらえ! 『ファイヤーボール』!」
男が放った、ファイアーボールは橘さんが作り出した泥の壁にぶつかった。
「裏切り? なんのことだか。残念ですが、そっちがその気ならいいでしょう、相手になりましょう」
ジークさんはリーフィスさんにルナさんを託し、戦闘態勢に入る。
「お前らを倒して先に進んでやる。そして、この国を返してもらおう!」
「もう、感動の再会はいいのですか? せっかく会えたのに」
「命に別状はないから大丈夫。今は寝かせてあげたいんだ」
「妹思いのお兄さんですね。なら、さっさとドミニデスを倒しにいきますよ」
「分かってる!」
______
数分が経ち、ドミニデスの下っ端らしき人物を二名倒した僕たちは、ユナちゃんとグーファーさんの居場所をはかせた。
大剣の男の話では、もう一人の幹部のオボロンという人物が、小さな女の子 (ユナちゃん)を連れ出し、甲冑の男 (グーファーさん)が追いかけていったようだ。
多分、ドミニデスの所に連れて行ったと言っていた。
ドミニデスはドミニデス帝国の中心部の繁華街の近くにいるらしく、ユナちゃんを餌にして、隠れた王様たちを探しているとのこと。
何故、今更になって王様たちを探し出しているのかは、誰にも分からないという。
僕は一部嘘があると思っていたが、橘さんは彼らは嘘を言っていないという。
性格がねじ曲がっている、オボロンという男が一番厄介だという。
個人的に、性格がねじ曲がっているのは橘さんだと思う。
本人には言えないけど……。
オボロンがドミニデスと合流していれば、そこにいるグーファーさんが危ない。そんな事を思っていると、
「うわっ!」
「なんだ!?」
先程の男たちが声をはっし上に浮かび上がる。
上を見上げると、空中にいかしたマスクをした忍者のような男が立っていた。
何か仕掛けがあるのか空に浮いているみたいだ。その男は気絶しているユナちゃんを抱えていた。
「ユナちゃん!」
僕は声をかけるが返事はない。
そして、橘さんがその男に声を掛ける。
「やぁ、久しぶりだね、オボロン。人見知りで、あんまり僕の前に、姿を現してくれなかった君が、やっと僕のために出てきてくれたね。嬉しいよ」
「うるせぇ! ジュラたちが遅いから様子を見にきたんだよ! お前に会いにきたんじゃねぇし、俺は人見知りでもねぇ!」
「それは、残念。まだ人見知りはなおってないんだね。
気にすることはないよ。人には、得意不得意がある。
そんな人見知りな、君が仲間のために体を張るなんて、僕は感動しているんだ」
「おい! 話を聞け! さっきから会話が成り立ってねぇんだよ! お前じゃあ話にならん!」
「釣れないことをいうね。さすがの僕も傷つくよ。
では、姫様達を返してもらうよ。『グランドウェーブ』、土よ、泥に代われ、『マッドショット』」
土が泥に変わり、複数の泥の弾がオボロンを襲う。
「泥がぁぁ、汚ぇ」
ブチっと糸が切れるような音がした。すると、先程の男たちやユナちゃんが空中から落ちてくる。
僕は走りだし、ユナちゃんをキャッチする。それと同時に、他の二人は地面に落下した。
ユナちゃんはゆっくりと目を開けると、驚いた表情を浮かべた。
「ユナちゃん大丈夫かい? もう大丈夫だよ。安心していいよ。お兄さんの所に連れてってあげるね」
「ユナ! ユナー!」
少し離れたところから、ジークさんの声が聞こえてくる。
ユナちゃんは僕の手から急いで降りると、笑顔でジークさんのところへ走りだした。
久しぶりに会えたから仕方ないといえば仕方ないのだが、こうもあっさりと行かれたら、ちょっと傷ついてしまう。
「ユナ! 無事か? 良かった。ごめんな遅くなって」
「お兄様! お兄様! ご無事で良かったです。お姉様はこちらに来ていませんか?」
「あぁ。いるぞ。今は疲れて寝ているが。みんな無事だ」
「良かったです。よくご無事で」
ユナちゃんが泣きながらジークさんに抱かれている。ユナちゃんって普通に話せるんだなと感心してると、
「さて、オボロン。非戦闘員の君一人では、我々に勝ち目はない。
他の二人も戦闘不能だ。もう諦めて、ドミニデスがいる場所を教えてもらおうか」
「……くそっ。ドミニデスさんにやられてこい! さっき、王国の中心部にある公園みたいなところにいたぞ!」
「そうですか。ありがとうございます。では、みなさん行きましょう」
「分かりました。でも、そんな簡単に信用していいんですか?」
「オボロンが嘘をつくメリットはありませんからね。それより、トワ君。ドミニデスに勝つ作戦は考えつきましたか?」
「まあ、普通に戦闘しても勝ち目はないと思うので、『反撃』の一撃に掛けます。
これには、回復スキルを使える、ルナさんが必要なんですが……」
「なるほど、まあお姫様が目覚めるのを待つしかないですね。『反撃』は発動後から一分間の間に受けたダメージの1.5倍のダメージを与えるスキルでしたね。
その間にHPが0になったら意味がない。だから、回復が必要なわけと」
「そうです。まあ、ほぼほぼ、昔見たアニメのパクリですけど。
まず、僕のレベルやステータスでドミニデスの攻撃を耐えれるか分かりませんが」
そんな話をしていると、何かこちらに近づいてくる足音が聞こえる。
振り向くと、そこには息を切らしたグーファーさんがいた。
「あ! グーファーさん。無事だったのですね。良かった」
「はぁはぁ。と、トワさん。良かった。それより大変なんです。ユナ様が! 何者かにまた攫われまして」
「え? ユナちゃんなら、今はジークさんといますよ。今から、ドミニデスを倒しに行くんですよ」
「え!? そ、そうですか。それは良かった。ってそこにいるのは、『ギルド対抗戦』の時にいた人!?」
「やぁ。あの日以来だね。僕は橘だよ。よろしく頼むよ」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
不思議そうに橘さんを見つめ、グーファーさんが挨拶をする。
グーファーさんの話を聞いていると、今、ドミニデスはザーハックさんと戦闘をしているとのこと。
今動けるのは、僕と橘さん、ジークさん、グーファーさん、リーフィスさんの五人。
僕たちはユナちゃんを安全な場所へと連れていき、その場所に橘さんが砂の家を作ってくれた。
そこで僕はみんなに、『反撃』作戦を伝えた。
最初は、危ないとか無茶だと言われたが、橘さんがみんなを宥めてくれた。
食料と飲料水を渡し、この場所から出てはいけないこと。
ヒロさんとルナさんには、目を覚まして動けるようなら王宮側に向かってもらうよう、ユナちゃんに伝言を頼んだ。
一番いいのは二人が来る前に決着をつけることだけどね。これ以上二人に、戦わせるのは良くないと思うし。
リーフィスさんはプリーストで回復スキルを使えるという。これでなんとかなりそうだ。
適正属性は、光、風、水属性を使えるという。現住人はプレイヤーと違って、得意・不得意関係なく、属性に適性がないとその属性は使えないみたい。
準備を整えると僕は、
「では、ドミニデスと決着をつけにいきましょう。必ずみんなで『アーティダル王国』を取り戻しましょう」
「えぇ」
「「よろしくお願いします!」」
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