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貧乏くじ②
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「提案がある、おそらくはロクも同じことを考えていたから貧乏くじを引いてくれたんだろう。彼女には感謝の言葉しか出てこないね」
「一人だと犯人に狙われる可能性があるからできるだけ二人組で行動しようということか」
「先に説明してもらって助かるよ、ゴウ。多数決の結果次第だけどイチとニイ、サンとゴウ、わたしとハチにするつもりでいる」
「普通はくじ引きとかで決めるんじゃないの」
ニイの意見にサンも同意をしてかロックバンドのように何回も首を縦に振っていた。
「ニイの考えは公平ではあるけれど、わたしが犯人だった場合なんらかの細工をする可能性もないとは言えないだろう」
「そこまで卑下する必要ないでしょう。まだ外部犯の場合だってあるのに」
場を和ませようとしてかイチが笑いながら言う。
「わたしは誰と一緒でも良いけど、常に二人組にはなれないよな。最低限、夜の間は自室で眠らないとエネルギーがなくなって本末転倒だ」
個体差によって消費量も違うし、医療室のベッドも数が足りなかったはずとゴウが意見をナナにぶつけた。
「一階だけは一人で行動しても良いことにするとかか、自分の部屋もあるから逃げこめるし。リスクを集中させるほうが軽減できそうだし」
ナナがサンに向かって指ぱっちんを鳴らす。他のアンドロイドたちも賛成らしく黙っている。
ナナに質問するためにわたしは手を上げたけど。
「一階以外は二人組で行動するから外部犯に対応をできる。ハチの心配は分からないでもないがね」
外部犯のことではなく犯人とペアになったアンドロイドはどうなるんですかと聞きたかったのに。
他のアンドロイドたちは犯人と組むことになっても平気なのか。
結局、多数決は全員が賛成で一階以外は常にペアで行動をすることになった。
自分の部屋に戻り、湯船に浸かっていると丸めた新聞紙が当たった時みたいに頭が痛くなって身体が動かなくなった。
アンドロイドなので溺れないのを分かっていてもそわそわしてしまう。
「ハチ、聞こえているかい」
「湯船に浸かっていて普段よりもナナを忘れそうになっています」
「リラックス状態でなによりだが多数決について」
「ナナに質問を捏造されたのはよく覚えてますよ」
わたしの記憶が正しかったらイチ、ニイ、サン、ゴウの誰かが犯人と抱き合わせになると考えていた気がする。
「わざとだとしたらハチは怒るのかな」
「怒りません。今の提案以上にリスクを下げる方法も考えつきませんし」
強いていえば常に全員で行動するぐらいだが犯行が起こった場合に的を絞りづらくなるのと。
犯人が開き直って皆を一気に壊そうとしてくる、そう考えさせられるほどシイの状態は酷かった。
「ナナは誰が犯人だと考えているんですか」
イチとナナが短く答えた。情報が足りないとかで見当がついてないと思っていたのに。
「暫定だけどね、他のアンドロイドたちのアリバイやシイが殺された時間帯も確定してないからさ」
「だとしたらイチを犯人と断定できないのでは」
「嘘をついた可能性があるからイチを疑っていると説明するほうが正確かな」
「サンの部屋や斧に関してでしょうか」
「ハチも昼間のイチの違和感に気づいたようだね」
わたしの推理を聞きたいのかナナは黙ったまま。
「イチがサンの部屋からナナの部屋へと来るのに、南から移動してきたのが引っかかるのかと」
一階にあるそれぞれの部屋は南西から北にイチ、ニイ、サン、シイ。南東からはゴウ、ロク、ナナ、わたしの順番で並んでいるので。
わたしの部屋からシイの部屋に行く場合は北から回りこむのが最短距離となる。
「サンの部屋をノックした情報が正しい場合、ナナの部屋へ行くのに南からだと遠回りになってしまうことが違和感を覚えたんだと」
この推理はイチがナナの部屋に、真っ直ぐに行きたい限定でもあるけど細かい点は無視しちゃおう。
「一応、正解としておこうかな」
「できれば模範解答を教えてもらえませんか」
ハチに嫌味を言われる日が来るとは、ナナが声を弾ませた。
「イチは一階の南にある開かない扉の近くに置いてあった斧がないからこそ、サンを捜索していた」
「南からサンの部屋に行ったはずなのに折り返しているから変だと」
「折り返す理由があったんだとわたしは考えたね。例えばわたしとハチに遭遇をする前に南から歩いてきた他の誰かに声をかけられたとかさ」
「部屋の並びで考えるとニイ」
「わたしはシイと出会ったんだと想像していたよ」
ハチの考えも全くないとは言えないけど。誰かに斧の行方を聞かれる前に自分で拡散するほうが対処しやすいとイチは考えたのかもしれない、とナナが語る。
「ナナの仮説が当たっていたらニイに危険が」
「あくまでも仮説だ、真実じゃない。そもそも他のアンドロイドたちも少なからず最悪を承知していての食堂での話だよ」
いずれにしても皆も承知していたのなら頭を悩ませる必要もなかったのか。わたしも結果的に犯人が幸せになれるのであれば壊されたとしても。
「今日はここまでにしよう。ハチも疲れただろう」
「命知らずなアンドロイドも疲れ知らずになるためには努力が必要そうですね」
難しい話は明日のわたしに任せよう。ナナの別れの挨拶に返事をしてから湯冷めをしないようにバスローブを身につけた。
「一人だと犯人に狙われる可能性があるからできるだけ二人組で行動しようということか」
「先に説明してもらって助かるよ、ゴウ。多数決の結果次第だけどイチとニイ、サンとゴウ、わたしとハチにするつもりでいる」
「普通はくじ引きとかで決めるんじゃないの」
ニイの意見にサンも同意をしてかロックバンドのように何回も首を縦に振っていた。
「ニイの考えは公平ではあるけれど、わたしが犯人だった場合なんらかの細工をする可能性もないとは言えないだろう」
「そこまで卑下する必要ないでしょう。まだ外部犯の場合だってあるのに」
場を和ませようとしてかイチが笑いながら言う。
「わたしは誰と一緒でも良いけど、常に二人組にはなれないよな。最低限、夜の間は自室で眠らないとエネルギーがなくなって本末転倒だ」
個体差によって消費量も違うし、医療室のベッドも数が足りなかったはずとゴウが意見をナナにぶつけた。
「一階だけは一人で行動しても良いことにするとかか、自分の部屋もあるから逃げこめるし。リスクを集中させるほうが軽減できそうだし」
ナナがサンに向かって指ぱっちんを鳴らす。他のアンドロイドたちも賛成らしく黙っている。
ナナに質問するためにわたしは手を上げたけど。
「一階以外は二人組で行動するから外部犯に対応をできる。ハチの心配は分からないでもないがね」
外部犯のことではなく犯人とペアになったアンドロイドはどうなるんですかと聞きたかったのに。
他のアンドロイドたちは犯人と組むことになっても平気なのか。
結局、多数決は全員が賛成で一階以外は常にペアで行動をすることになった。
自分の部屋に戻り、湯船に浸かっていると丸めた新聞紙が当たった時みたいに頭が痛くなって身体が動かなくなった。
アンドロイドなので溺れないのを分かっていてもそわそわしてしまう。
「ハチ、聞こえているかい」
「湯船に浸かっていて普段よりもナナを忘れそうになっています」
「リラックス状態でなによりだが多数決について」
「ナナに質問を捏造されたのはよく覚えてますよ」
わたしの記憶が正しかったらイチ、ニイ、サン、ゴウの誰かが犯人と抱き合わせになると考えていた気がする。
「わざとだとしたらハチは怒るのかな」
「怒りません。今の提案以上にリスクを下げる方法も考えつきませんし」
強いていえば常に全員で行動するぐらいだが犯行が起こった場合に的を絞りづらくなるのと。
犯人が開き直って皆を一気に壊そうとしてくる、そう考えさせられるほどシイの状態は酷かった。
「ナナは誰が犯人だと考えているんですか」
イチとナナが短く答えた。情報が足りないとかで見当がついてないと思っていたのに。
「暫定だけどね、他のアンドロイドたちのアリバイやシイが殺された時間帯も確定してないからさ」
「だとしたらイチを犯人と断定できないのでは」
「嘘をついた可能性があるからイチを疑っていると説明するほうが正確かな」
「サンの部屋や斧に関してでしょうか」
「ハチも昼間のイチの違和感に気づいたようだね」
わたしの推理を聞きたいのかナナは黙ったまま。
「イチがサンの部屋からナナの部屋へと来るのに、南から移動してきたのが引っかかるのかと」
一階にあるそれぞれの部屋は南西から北にイチ、ニイ、サン、シイ。南東からはゴウ、ロク、ナナ、わたしの順番で並んでいるので。
わたしの部屋からシイの部屋に行く場合は北から回りこむのが最短距離となる。
「サンの部屋をノックした情報が正しい場合、ナナの部屋へ行くのに南からだと遠回りになってしまうことが違和感を覚えたんだと」
この推理はイチがナナの部屋に、真っ直ぐに行きたい限定でもあるけど細かい点は無視しちゃおう。
「一応、正解としておこうかな」
「できれば模範解答を教えてもらえませんか」
ハチに嫌味を言われる日が来るとは、ナナが声を弾ませた。
「イチは一階の南にある開かない扉の近くに置いてあった斧がないからこそ、サンを捜索していた」
「南からサンの部屋に行ったはずなのに折り返しているから変だと」
「折り返す理由があったんだとわたしは考えたね。例えばわたしとハチに遭遇をする前に南から歩いてきた他の誰かに声をかけられたとかさ」
「部屋の並びで考えるとニイ」
「わたしはシイと出会ったんだと想像していたよ」
ハチの考えも全くないとは言えないけど。誰かに斧の行方を聞かれる前に自分で拡散するほうが対処しやすいとイチは考えたのかもしれない、とナナが語る。
「ナナの仮説が当たっていたらニイに危険が」
「あくまでも仮説だ、真実じゃない。そもそも他のアンドロイドたちも少なからず最悪を承知していての食堂での話だよ」
いずれにしても皆も承知していたのなら頭を悩ませる必要もなかったのか。わたしも結果的に犯人が幸せになれるのであれば壊されたとしても。
「今日はここまでにしよう。ハチも疲れただろう」
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