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順番を守ろう②
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「病気ではなく、わたしは機械による犯行だとしか考えてないがね」
「イチが言っていた頭電話の痛みは犯人が原因」
エビフライのソースが口元にくっついていたのかゴウが指先で拭って、舐めている。
「病気だとタイミングが良すぎるが。全くないとも言えないから調べるためにイチの首を切ったのか」
頭部があれば三階のじじいの部屋で解析をできるからな、ゴウがニイを横目で見た。
「博士の部屋は月曜日以外は開閉できないのでは」
「わたしたちが個人的に診断をできる部屋がある、そこでイチの頭部を調べれば」
「先に部屋で休ませてもらうわ」
ナナの言葉を遮るようにニイが声を荒らげる。
「部屋に戻る前に、シイが壊された日のアリバイがあるかどうかを」
「朝からずっと図書室に一人だったわ」
わたしと食堂で別れてからニイは七階に向かったらしい。
「基本的にわたしが絶対に音が出ない図書室に入り浸りなのは皆も知っているから、頭電話が利用できないのを逆手に動き回る可能性もあるわね」
「図書室に行くまでに誰かと会わなかったかい」
卑下をするニイの台詞を聞き流してナナが冷静に質問をしていた。
「五階と六階の踊り場でサンと遭遇したような記憶があるわ。汗をかいていたし、アスレチックルームから出てきた直後じゃないかしら」
サンもたまに図書室に行くが、今回は六階で運動していたのだろう。汗臭かったようだし。
「情報を感謝するよ」
「どういたしまして。一応アドバイスさせてもらうけど、もっと他人の気持ちを考えるべきじゃない」
「わたしなりに気遣ったんだが、かえって逆撫でをしてしまったようだね」
「相性が悪いんだから仕方ないでしょう」
ナナにそう言い、ニイは自分の部屋に戻った。
緊張をしていたようでわたしの近くにある椅子に座りながらナナが肩を回す。
「結局、ニイはなにを怒っていたんですか」
「イチを弔うような行為もしないで、犯人を見つけようとするのが嫌だったんだと思う」
「正しい順番じゃないのでニイは不機嫌になった」
「今回は弔うより犯人を見つけるほうが優先順位は高いんだが、ニイにケースバイケースは通用しないからな」
ゴウが茶化すように大声で笑っている。
「犯人捜しが先決ならニイが間違っているのでは」
「ニイも頭では理解をしていたが、わたしが冷静にイチの首を切ったり死因を調べようとするから反発を買ってしまった感じだ」
「だとしたらニイは矛盾しているような」
自分の行動が間違いと分かっていながら、ナナに食ってかかるのは八つ当たりだったはず。
「むしろ怒るべきなのはナナのほうではないかと」
ナナは正しい順番でやろうとしたのに、矛盾した考え方で文句を言われていたんだから。
「それこそケースバイケースだ。冷静で正しい順番だとしてもニイ的には気に入らなかったのさ」
だとしても理不尽な攻撃に違いはない。
「わたしも似たようなことをしているし、喧嘩した時点で双方ともに負けだよ」
「冷静じゃない状態で、今みたいな理詰めで説明をしたところで逆効果だろう」
「フォローをありがとう。それはさておき、シイとイチが壊された日のアリバイを教えてくれないか」
「ナナ、お前は動揺することをまずは覚えろ」
軽く忠告してからシイとイチがそれぞれ壊された時にアリバイがないのをゴウが口にする。
「シイが殺されたのは朝だよな。あれだけばらばらにしようと思ったら時間が」
「でも廊下の光が赤色の時に頭電話をされたので、シイはその時間帯まで壊されてないかと」
「わたしの予想だがボイスチェンジャーを使ったんじゃないか。今回のイチの死因も音が原因だし」
頭電話された側は声を聞くまで相手が不明なのを利用したとかさ、ゴウが椅子に凭れかかる。
「シイが壊されたのは昼ではなくて朝」
「正確な時間帯は分からないが、少なくとも廊下の光が紫色の時。シイが誘ったのか襲われたのか知らないが多分な」
「だとしたら、シイが誘惑をしたんでしょうね」
変な発言をしたつもりはないのに、ゴウとナナが目を丸くしてわたしを見つめていた。
「今回の犯人の目的は人間になることですよね」
「シイを正当防衛で殺してしまった罪悪感にしてもそうなるな。自分を納得させるための理由として」
「その日の朝に食堂でシイと話をしたんです。人間について聞きたいことがあったら、わたしのところにおいでみたいな内容でした」
改めて思い出してみれば、あれはシイがわたしのために考えてくれた餌だったのかもしれない。
「ハチの言うように餌の可能性はあるけど、シイが誰かを殺そうとしたことが確定」
「シイは誰かを壊そうと部屋に呼んだんじゃなくて共犯がほしかったんだと思います」
「誘ったという言葉はそっちの意味か」
わたしも頭が固かったようだ、とナナが言う。
「分解されたシイと例のメッセージのせいで先入観があったけど、共犯の線がないとも」
「なにを言っているんだ。人間になりたい欲のせいで今回の事件が起こっているんだから共犯もなにも最終的には一人しか」
「順番が逆だよ、ゴウ」
例のメッセージを読んだ程度では誰も信じない。少なくとも人間になれる確実な情報がなければ危険な行動をしようなんて考えすらしない。
ナナの説明が長いせいか両耳から煙が出てきた。
「シイは確実に人間になれる証拠を押さえていたが共犯関係を築こうとした結果、殺されてしまった」
「細かい部分は分かりませんが、そんな感じのほうがしっくりくるかと」
人間になれるのか分からない曖昧なメッセージで翻弄されたと考えるより、罪悪感なんかを抱く感情がなさそうなアンドロイド的には納得しやすくないですか。
念を押すようにゴウとナナにそう伝えた。
「イチが言っていた頭電話の痛みは犯人が原因」
エビフライのソースが口元にくっついていたのかゴウが指先で拭って、舐めている。
「病気だとタイミングが良すぎるが。全くないとも言えないから調べるためにイチの首を切ったのか」
頭部があれば三階のじじいの部屋で解析をできるからな、ゴウがニイを横目で見た。
「博士の部屋は月曜日以外は開閉できないのでは」
「わたしたちが個人的に診断をできる部屋がある、そこでイチの頭部を調べれば」
「先に部屋で休ませてもらうわ」
ナナの言葉を遮るようにニイが声を荒らげる。
「部屋に戻る前に、シイが壊された日のアリバイがあるかどうかを」
「朝からずっと図書室に一人だったわ」
わたしと食堂で別れてからニイは七階に向かったらしい。
「基本的にわたしが絶対に音が出ない図書室に入り浸りなのは皆も知っているから、頭電話が利用できないのを逆手に動き回る可能性もあるわね」
「図書室に行くまでに誰かと会わなかったかい」
卑下をするニイの台詞を聞き流してナナが冷静に質問をしていた。
「五階と六階の踊り場でサンと遭遇したような記憶があるわ。汗をかいていたし、アスレチックルームから出てきた直後じゃないかしら」
サンもたまに図書室に行くが、今回は六階で運動していたのだろう。汗臭かったようだし。
「情報を感謝するよ」
「どういたしまして。一応アドバイスさせてもらうけど、もっと他人の気持ちを考えるべきじゃない」
「わたしなりに気遣ったんだが、かえって逆撫でをしてしまったようだね」
「相性が悪いんだから仕方ないでしょう」
ナナにそう言い、ニイは自分の部屋に戻った。
緊張をしていたようでわたしの近くにある椅子に座りながらナナが肩を回す。
「結局、ニイはなにを怒っていたんですか」
「イチを弔うような行為もしないで、犯人を見つけようとするのが嫌だったんだと思う」
「正しい順番じゃないのでニイは不機嫌になった」
「今回は弔うより犯人を見つけるほうが優先順位は高いんだが、ニイにケースバイケースは通用しないからな」
ゴウが茶化すように大声で笑っている。
「犯人捜しが先決ならニイが間違っているのでは」
「ニイも頭では理解をしていたが、わたしが冷静にイチの首を切ったり死因を調べようとするから反発を買ってしまった感じだ」
「だとしたらニイは矛盾しているような」
自分の行動が間違いと分かっていながら、ナナに食ってかかるのは八つ当たりだったはず。
「むしろ怒るべきなのはナナのほうではないかと」
ナナは正しい順番でやろうとしたのに、矛盾した考え方で文句を言われていたんだから。
「それこそケースバイケースだ。冷静で正しい順番だとしてもニイ的には気に入らなかったのさ」
だとしても理不尽な攻撃に違いはない。
「わたしも似たようなことをしているし、喧嘩した時点で双方ともに負けだよ」
「冷静じゃない状態で、今みたいな理詰めで説明をしたところで逆効果だろう」
「フォローをありがとう。それはさておき、シイとイチが壊された日のアリバイを教えてくれないか」
「ナナ、お前は動揺することをまずは覚えろ」
軽く忠告してからシイとイチがそれぞれ壊された時にアリバイがないのをゴウが口にする。
「シイが殺されたのは朝だよな。あれだけばらばらにしようと思ったら時間が」
「でも廊下の光が赤色の時に頭電話をされたので、シイはその時間帯まで壊されてないかと」
「わたしの予想だがボイスチェンジャーを使ったんじゃないか。今回のイチの死因も音が原因だし」
頭電話された側は声を聞くまで相手が不明なのを利用したとかさ、ゴウが椅子に凭れかかる。
「シイが壊されたのは昼ではなくて朝」
「正確な時間帯は分からないが、少なくとも廊下の光が紫色の時。シイが誘ったのか襲われたのか知らないが多分な」
「だとしたら、シイが誘惑をしたんでしょうね」
変な発言をしたつもりはないのに、ゴウとナナが目を丸くしてわたしを見つめていた。
「今回の犯人の目的は人間になることですよね」
「シイを正当防衛で殺してしまった罪悪感にしてもそうなるな。自分を納得させるための理由として」
「その日の朝に食堂でシイと話をしたんです。人間について聞きたいことがあったら、わたしのところにおいでみたいな内容でした」
改めて思い出してみれば、あれはシイがわたしのために考えてくれた餌だったのかもしれない。
「ハチの言うように餌の可能性はあるけど、シイが誰かを殺そうとしたことが確定」
「シイは誰かを壊そうと部屋に呼んだんじゃなくて共犯がほしかったんだと思います」
「誘ったという言葉はそっちの意味か」
わたしも頭が固かったようだ、とナナが言う。
「分解されたシイと例のメッセージのせいで先入観があったけど、共犯の線がないとも」
「なにを言っているんだ。人間になりたい欲のせいで今回の事件が起こっているんだから共犯もなにも最終的には一人しか」
「順番が逆だよ、ゴウ」
例のメッセージを読んだ程度では誰も信じない。少なくとも人間になれる確実な情報がなければ危険な行動をしようなんて考えすらしない。
ナナの説明が長いせいか両耳から煙が出てきた。
「シイは確実に人間になれる証拠を押さえていたが共犯関係を築こうとした結果、殺されてしまった」
「細かい部分は分かりませんが、そんな感じのほうがしっくりくるかと」
人間になれるのか分からない曖昧なメッセージで翻弄されたと考えるより、罪悪感なんかを抱く感情がなさそうなアンドロイド的には納得しやすくないですか。
念を押すようにゴウとナナにそう伝えた。
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