好きな人の双子の弟に体の関係を強いられています。

朝果あさ

文字の大きさ
4 / 30

4

しおりを挟む
「ーー翠、綾はいたか?」

 一階から俺達がいる二階へと呼びかける仁の声が扉の奥から部屋に響くと、肩がびくっと跳ね上がった。
 すると、翠はいきなり飛んできた仁の声に驚くこともなく、平然と返事をするのだ。

「うん、いたよ。鍵開けっぱで制服着たまま寝ちゃってたんだって。着替えてから下りるってさ」

 そんな翠に、仁は違和感を感じることもなくそうか、と返事をすると「綾」と、俺に呼びかけた。
 普段なら仁に名を呼んでもらえるだけで嬉しいのに、翠に散々体を弄られてしまった俺は、仁に対する罪悪感から上手く返事ができずに、言葉に詰まってしまった。

「·····綾、まだ眠いのか?下で待ってるから早く降りてこいよ」
「あ·····、ああ。分かった·····」

 仁への罪悪感と同時に、もしもこのまま仁が二階へ来たらどうしようかと不安だったが、一階で待つという仁の言葉に安心した俺はひとまずほっと息をついた。
 すると翠はもう、と頬を膨らませるのだ。

「仁くん、タイミング良すぎでしょ。俺もうちょっと楽しみたかったのに」

 ぶすくれながらも仕方なそうにティッシュで俺の精液が弾いた自らの制服を拭くと、
「仁くんも来ちゃったし、とりあえず今日はここまでだね」
 と、翠は立ち上がった。

 仁が来たおかげでこの状況に終わりが来たことにはほっとした。が、
 ーーーちょっと待て。"今日は"って、どういうことだ。

 動揺する俺を見下ろす翠に「綾人くん」と顎を捉えられ、顔をくいっと上に向かせられてしまう。
 「なにすんだよ」と言う前に、突然目の前が黒で覆われてしまう。リップ音がちゅっと控えめに鳴ると、翠はすっと顔を離した。

「え··········」

 突然のことで状況を理解できずにいる俺と視線が重なると、翠はまた遊ぼうねと意地悪い笑みを浮かべた。
 呆然としている俺を見下ろしながらくすっと目を細め、翠 はそのまま部屋を後にした。

 ーーキス、初めてだったのに。

 まさか唇まで奪われるなんて最悪だと思いながらも、感覚が残っている唇を指先でなぞると、胸がとくんと鳴った。その胸の鼓動に違和感を感じていると、綾人くーん!と、階段の下から呼ぶ声が部屋に響いた。

「着替えたー?早くゲームしようよ」

 まるで何事もなかったかのように一階から呼びかけてくる翠にイラつきを覚えつつも、今行くからと返事をした俺はすぐに着替え、翠と仁の待つ一階へと階段をかけ降りた。

 ーーこうして、翠の気分であらゆるところへ呼び出されては性欲のはけ口へとなる、最悪な日々が幕を開けることとなった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

この変態、規格外につき。

perari
BL
俺と坂本瑞生は、犬猿の仲だ。 理由は山ほどある。 高校三年間、俺が勝ち取るはずだった“校内一のイケメン”の称号を、あいつがかっさらっていった。 身長も俺より一回り高くて、しかも―― 俺が三年間片想いしていた女子に、坂本が告白しやがったんだ! ……でも、一番許せないのは大学に入ってからのことだ。 ある日、ふとした拍子に気づいてしまった。 坂本瑞生は、俺の“アレ”を使って……あんなことをしていたなんて!

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました

すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。 第二話「兄と呼べない理由」 セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。 第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。 躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。 そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。 第四話「誘惑」 セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。 愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。 第五話「月夜の口づけ」 セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

「イケメン滅びろ」って呪ったら

竜也りく
BL
うわー……。 廊下の向こうから我が校きってのイケメン佐々木が、女どもを引き連れてこっちに向かって歩いてくるのを発見し、オレは心の中で盛大にため息をついた。大名行列かよ。 「チッ、イケメン滅びろ」 つい口からそんな言葉が転がり出た瞬間。 「うわっ!?」 腕をグイッと後ろに引っ張られたかと思ったら、暗がりに引きずり込まれ、目の前で扉が閉まった。 -------- 腹黒系イケメン攻×ちょっとだけお人好しなフツメン受 ※毎回2000文字程度 ※『小説家になろう』でも掲載しています

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!

BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!

処理中です...