短編集【BLACK】

タピオカ

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0点

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「学校の授業嫌だな~、勉強なんてしたくないよ。ずっと遊んで過ごしたい~!」

 学校の帰り道、学ランを着た2人の少年が歩いていた。
そして、中肉中背の少年は、そう文句を言った。

「…あはは。そうは言っても将来の為に、勉強はしとかないと。」

 眼鏡をかけた背の低い少年は、苦笑いをしながらも、勉強はするべきだと伝える。

「お前はいいよな~、賢いから。すんなり問題を解けるから、勉強も楽しいんだろうな」

 中肉中背の少年はそう言っていると、自宅に着いたので、バイバイと家の中へ入っていった。



 自宅の部屋にて、中肉中背の少年は宿題をしていた。

「あ~、もう分かんねぇ!勉強したくない、ずっと遊んでいたい!」

 少年は宿題をしながら、ずっと文句を言っていた。



 そして、テストの結果発表の日。なんと少年は、全てのテストが0点だった。

「まじかよ、いくら勉強ができないからって、この点数は逆にありえないだろ」

 少年はテストの点数に、驚いていた。

「あいつに勉強を教えてもらおうかな、…おーい!」
「どうしたの、呼んだ?」

 流石に0点はマズいと思い、中肉中背の少年は、眼鏡をかけた少年に、事情を説明した。
 そして、勉強を教えてもらうように頼み、眼鏡をかけた少年は、力になれたらと喜んで引き受けた。



 月日は流れ、次のテストの結果発表の日。
 …散々勉強はしたが、テストの点数は全部0だった。

「…あんなに勉強のために、時間を使って頑張ったのに」

 少年は悔しそうに嘆いた。しかし、

「…そうか、これは勉強しても何も変わらず無意味だから、ずっと遊んでいいってことか!元々、俺はそう願っていたから最高じゃん!」

 勉強しても変化が無いことに気づいた少年は、ずっと遊ぶことにした。
 残りの中学時代は勉強を全くせず、遊んでばかりでいたので、とても楽しく楽な生活だった。



 あれからだいぶ月日は流れ、0点しか取れなかった少年は、高校にも受からず、バイトを始めても、仕事内容を覚えることすらできなかった。
 少年は社会的な居場所が、どこにも無いことに絶望し、精神を病んで自殺した。

「…うぅ。どうしてうちの子は、こんなことに…」

 少年の母親と父親は、少年が生きていた頃の写真を見て、いつまでも悲しんでいた。
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