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桜の樹を見て想うとき
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十一時を過ぎた辺りで五十嵐さんは帰って行った。やれやれといった感じの若い衆二人の顔。やっと店は出れてもこの後解放されるかどうかはまだわからない。今日、一時間ばかり居た中でも、仕事の話は半分も無かったのではないだろうか。残りはくだらない話と、桜井さんについての話だったので、若い衆からすればやはりくだらない話に入るのだろう。
俺が少し落ち着こうとしたところで他のお客さんが来店。注文を聞き、料理を作っている間に他のお客様が来店して、段々と片付けが追い付かなくなる時間帯に突入していく。
洗い物が後回しになるだけで、段取り良くしていけばなんとか店を回していける。ごく稀にせっかちなお客さんはイライラを表情に出すが、当人が時間に追われているわけでもなかったらこちらの都合に合わせてくれる。
町内の見たことあるお客さんは、忙しくなる時間帯を把握しているので、ピークより早めに来店して、お昼の時間帯には店を出る。中には井戸端会議が終わらず、いつまでも居座る常連の人もいるが、閑古鳥が鳴いている店よりかはマシだろうと自分に言い聞かせている。
十四時を過ぎた辺りで客足はピタリと止む。来ても観光客が流れてくる程度で、忙しさが戻って来る事は無い。洗い物を半分程度済ませた頃に準備していたコーヒーが出来たので、煎れたてを味わいながら一休みをする。
簡単なサラダと残っているケーキを食べる。遅れた昼食はいつも店に残った材料で簡単に済ましているが、他の人から見れば変わった組み合わせに見えるのだろう。当の本人は空腹さえ満たせれば何も気にならないが、以前珍しくこの時間に訪れた桜井さんに見られた時に言われ、改めて変なのだと思った程度だ。こんな感覚で飲食店を営んでいるのが可笑しいと大笑いしてくれたので、なんだか得した気分になったのを覚えている。
閑散期はこれでもなんとかなっているが、観光シーズンに突入していくと、これがなかなか一人で店を切り盛りするのは一苦労である。閉店の十六時に食事が取れたら良い方で、週末等は残り物が無くなったり、中途半端な時間で夕食と兼用になったりすることも多い。
もう一人雇えばそういった事も無くなるのだろうけど、なかなか踏み切れないのが現状である。
じいちゃんのお蔭で家賃というものが無く、最初の改装費も貯金で払えたので毎月の固定費も少なく出来ている。売上的には雇えなくもないということは、常連で来てくれるお客さんのお蔭で有り難いことなのだが。
俺が少し落ち着こうとしたところで他のお客さんが来店。注文を聞き、料理を作っている間に他のお客様が来店して、段々と片付けが追い付かなくなる時間帯に突入していく。
洗い物が後回しになるだけで、段取り良くしていけばなんとか店を回していける。ごく稀にせっかちなお客さんはイライラを表情に出すが、当人が時間に追われているわけでもなかったらこちらの都合に合わせてくれる。
町内の見たことあるお客さんは、忙しくなる時間帯を把握しているので、ピークより早めに来店して、お昼の時間帯には店を出る。中には井戸端会議が終わらず、いつまでも居座る常連の人もいるが、閑古鳥が鳴いている店よりかはマシだろうと自分に言い聞かせている。
十四時を過ぎた辺りで客足はピタリと止む。来ても観光客が流れてくる程度で、忙しさが戻って来る事は無い。洗い物を半分程度済ませた頃に準備していたコーヒーが出来たので、煎れたてを味わいながら一休みをする。
簡単なサラダと残っているケーキを食べる。遅れた昼食はいつも店に残った材料で簡単に済ましているが、他の人から見れば変わった組み合わせに見えるのだろう。当の本人は空腹さえ満たせれば何も気にならないが、以前珍しくこの時間に訪れた桜井さんに見られた時に言われ、改めて変なのだと思った程度だ。こんな感覚で飲食店を営んでいるのが可笑しいと大笑いしてくれたので、なんだか得した気分になったのを覚えている。
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