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第一章 夢から覚めたら

03 夢でも君に逢えるなら僕はなんでもするよ3

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 電車に乗るべく駅に着いたが、嫌なものが視界に入ってきた。

 ネット用語で言うならばDQNというやつだ。

 ヤンキーとでも言えば分かりやすいかもしれんが、最近は誰かや何かに突っ張ってるわけでもなく、ただ社会不適合なイメージでDQNなのだ。

 そのDQNが駅の出入り口付近で三人、タバコを吸いながら屯たむろっているのだ。

 足元には吸い殻が落ち、空き缶も転がっている。

 こいつらが捨てた証拠はないが、捨てたと言われても仕方がない出で立ちなのだ。だからこいつらが捨てたと俺は決めつける。

 ただ、注意するほど時間の余裕がないので、今日の所は見逃してやる。今日の所はな。だから明日以降は俺に殺されないように社会に適合して生きることをお勧めするがな。

 今日の所は見逃してやると今心に誓ってやったのに、その中の一人が指で俺目掛けてタバコを飛ばしてきやがった。

 運よく、タバコは俺の足元に落ちて命中しなかったのだが、俺は見えないフリをして歩く足を止めなかった。

 運よくと言うのは相手の方だ。俺がその気になったらこいつら全員皆殺しだからだ。

 全員と皆は同じ意味なのに両方使うということは、こいつら二回は俺に殺されるということだ。

 既に俺の頭の中では一回皆殺しにしているがな。

 例えこいつらが働いて給料を得て生活をしていたとしても、社会に対してマイナス分が大きいので差し引きマイナスの存在なのだ。

 それに比べて俺は、今は働いてないニートだが、社会になにもマイナスが無い分ゼロなんだよ。

 将来有望な働く希望的ニートだと考えると、未来性分は今でもプラスな存在かもしれない。いやきっとそうだ。

 その俺が今日、面接するというのだから、採用された日にはこいつらが一生追いつけない位プラスにリードする。ということなのだ。

 今までの人生を後悔改める時間をくれてやるから、せいぜい長生きするんだな。

 それにしても早く電車来ないかな。一秒でも早くこの場から立ち去りたいのだが。

 ふふ、おかしなことを考えてしまうものだ。電車は定刻通りに発着するのに、俺が早く来ただけで早く来ないかなと考えるなんて、笑止千万。まるであのDQN達から逃げたいと思っているようだが。

 とにかくあんな奴らと関わることだけは、今後の人生でも避けたいものだ。

 あのような奴らは一人じゃ何もできない癖に、つるんで集団になればなるほど態度が大きくなるものなのだ。

 昔、俺が大学一年の頃、高校生くらいの馬鹿がタバコのポイ捨てをしたのを見た時、丁度相手も一人だったので注意したらボコボコにされたんだ。

 それから俺は常に脳内でDQNと言われる社会不適合者を抹殺してきた。

 そこで悟ったことは、見ない、知らない、関わらない。これに尽きるのだ。

 この悟った俺でも、堪忍袋の緒が切れることもあるから注意しとけよと言いたいところだが、丁度電車が来たので二度と会うことはないだろうが、命拾いしたな、とだけ言っといてやる。
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