30 / 75
第二章 此が有れば彼が有り、此が無ければ彼が無い
30 駅前3
しおりを挟む
結構空きがある電車に乗った俺たちはどこに座ろうか車内を見廻していたのだが、俺は近くの空いてる席に適当に座った。曜子よりも早く座りたかっただけの理由は曜子より年寄りで腰が痛かったわけではない。
恋人でもなければ友達とも少し違う。流れで家庭教師と教え子の関係にはなるのだが電車のような長椅子に座る場合の二人の距離感にもの凄く気を使ってしまうのは女性慣れしてない青年男子なら当たり前のことだと俺は信じている。
先に座ってしまえば、他の席に座ろうが真横に座ろうがそれは相手に委ねられるからだ。年下の女子高生に座る距離を委ねる行為が情けないとしてもだ、隣に座ってあっち行ってよと言われても落ち込むし、離れて座ってなんでそんなに離れて私のこと避けてるのとか言われても面倒だからだ。
まぁこんな事を考えているのがバレる方が一番面倒なのだが、ともかく先に座ることに成功したので良しとしよう。
そんな愚かだが本人は真剣に考えた座る距離の問題も何もなかったようにカバン一個分のスペースを空けた横に曜子は座った。
「今日はプールだったから疲れたの。髪はボサボサになるし良い事ないのよねぇ。おまけに忘れ物までしちゃってさ。多分プールの更衣室にポーチを忘れてるんだと思うんだ。うちの学園の水泳部下手に強豪校だから温水プールまで設備しちゃってるから水泳の授業が多いのよねぇ。ちなみにプールは室内だから女子高生の水着姿見れると思ったら大間違いだからね」
「思ってないよ」
「ホントかしら?ウタルはホントに変態だから油断できないわ」
俺が変態なのかどうかは知らないが俺より俺が変態なのを知ってるのが凄いわ。
「けど、さっきは何故“W”が見えなかったのかしら?」
「それなんだけどさ、そもそも肉眼で見える方がおかしいんだから、見えないのが当たり前なんだし一時何かの間違いで見えてただけかもしれないし普通に戻っただけかもしれないよ?見えなくて困ることもないんだし」
「……あるもん」
丁度踏み切りを通ったところだったので俺は曜子の言葉どころか喋ったことさえにも気づかなかった。
「まぁ困るとしたら俺が“W”を成敗してる時にただ棒持って暴れてる人に見えるってことだけだな。ハハ」
「……バカ」
このバカというセリフが俺のどれについて言った言葉なのかは知る由もなかった。
到着駅を降りて学園まで程よく歩き俺は正門の前で待っていた。
忘れ物のポーチは無事に見つけることができた様子で、とても嬉しそうだ。
帰りの電車を待っている駅で曜子のクラスメートに会った。同級生と話す曜子は女子高生そのままだった。
「祥子と藤井って付き合ってたの?」
「そんなんじゃないよぉ」
クラスメートの祥子という子は藤井という男子と一緒に電車を待っていたのだが曜子に見られて照れくさそうだった。その仕草がまさに青春という甘い感じがしてどこか微笑ましい。
「はぁぁぁん、わかった!付き合ってはいないけど付き合ってるような感じのけど付き合ってない、そんな感じだね!」
どんな感じかわからんが、お互い好きな気持ちは気づいているけど最後の一歩が踏み出せない感じなのかな。今の関係がずっと続けばいいのに、続くと信じてる。だけど他に良い人が出てきたらどうしようって不安にもなる。じゃあ付き合えば他の人より自分だけを見てくれる。だけど付き合ってしまえば独占欲が出たり会いたい気持ちが強くなって会えないのが辛い時もあるし、それで嫉妬したり喧嘩したりして仲が悪くなったら元に戻れなくなる。そうなるくらいなら今のままの関係がずっと続く方が幸せなのかな?って気持ちがループするのかな。
「藤井!答えは決まってるんだから男からビシッと言っちゃいなさいよ!祥子は良い子よ。私が保証するから」
二人の気持ちが一緒なら男から一歩踏み出すのは俺も賛同だ。頑張れ藤井君とやら。
「ちなみにこの人は私の家庭教師だから勘違いしちゃだめだからね!んじゃ頑張ってね!」
到着した電車に俺達二人は乗った。後の二人は逆方向のようだ。
恋人でもなければ友達とも少し違う。流れで家庭教師と教え子の関係にはなるのだが電車のような長椅子に座る場合の二人の距離感にもの凄く気を使ってしまうのは女性慣れしてない青年男子なら当たり前のことだと俺は信じている。
先に座ってしまえば、他の席に座ろうが真横に座ろうがそれは相手に委ねられるからだ。年下の女子高生に座る距離を委ねる行為が情けないとしてもだ、隣に座ってあっち行ってよと言われても落ち込むし、離れて座ってなんでそんなに離れて私のこと避けてるのとか言われても面倒だからだ。
まぁこんな事を考えているのがバレる方が一番面倒なのだが、ともかく先に座ることに成功したので良しとしよう。
そんな愚かだが本人は真剣に考えた座る距離の問題も何もなかったようにカバン一個分のスペースを空けた横に曜子は座った。
「今日はプールだったから疲れたの。髪はボサボサになるし良い事ないのよねぇ。おまけに忘れ物までしちゃってさ。多分プールの更衣室にポーチを忘れてるんだと思うんだ。うちの学園の水泳部下手に強豪校だから温水プールまで設備しちゃってるから水泳の授業が多いのよねぇ。ちなみにプールは室内だから女子高生の水着姿見れると思ったら大間違いだからね」
「思ってないよ」
「ホントかしら?ウタルはホントに変態だから油断できないわ」
俺が変態なのかどうかは知らないが俺より俺が変態なのを知ってるのが凄いわ。
「けど、さっきは何故“W”が見えなかったのかしら?」
「それなんだけどさ、そもそも肉眼で見える方がおかしいんだから、見えないのが当たり前なんだし一時何かの間違いで見えてただけかもしれないし普通に戻っただけかもしれないよ?見えなくて困ることもないんだし」
「……あるもん」
丁度踏み切りを通ったところだったので俺は曜子の言葉どころか喋ったことさえにも気づかなかった。
「まぁ困るとしたら俺が“W”を成敗してる時にただ棒持って暴れてる人に見えるってことだけだな。ハハ」
「……バカ」
このバカというセリフが俺のどれについて言った言葉なのかは知る由もなかった。
到着駅を降りて学園まで程よく歩き俺は正門の前で待っていた。
忘れ物のポーチは無事に見つけることができた様子で、とても嬉しそうだ。
帰りの電車を待っている駅で曜子のクラスメートに会った。同級生と話す曜子は女子高生そのままだった。
「祥子と藤井って付き合ってたの?」
「そんなんじゃないよぉ」
クラスメートの祥子という子は藤井という男子と一緒に電車を待っていたのだが曜子に見られて照れくさそうだった。その仕草がまさに青春という甘い感じがしてどこか微笑ましい。
「はぁぁぁん、わかった!付き合ってはいないけど付き合ってるような感じのけど付き合ってない、そんな感じだね!」
どんな感じかわからんが、お互い好きな気持ちは気づいているけど最後の一歩が踏み出せない感じなのかな。今の関係がずっと続けばいいのに、続くと信じてる。だけど他に良い人が出てきたらどうしようって不安にもなる。じゃあ付き合えば他の人より自分だけを見てくれる。だけど付き合ってしまえば独占欲が出たり会いたい気持ちが強くなって会えないのが辛い時もあるし、それで嫉妬したり喧嘩したりして仲が悪くなったら元に戻れなくなる。そうなるくらいなら今のままの関係がずっと続く方が幸せなのかな?って気持ちがループするのかな。
「藤井!答えは決まってるんだから男からビシッと言っちゃいなさいよ!祥子は良い子よ。私が保証するから」
二人の気持ちが一緒なら男から一歩踏み出すのは俺も賛同だ。頑張れ藤井君とやら。
「ちなみにこの人は私の家庭教師だから勘違いしちゃだめだからね!んじゃ頑張ってね!」
到着した電車に俺達二人は乗った。後の二人は逆方向のようだ。
0
あなたにおすすめの小説
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる