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第三章 嘘の幸せと真実の絶望と
68 属性と特性と秘めたる思いと02
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「今日のはまぐれってことか?それでもいいじゃないか。最初から完璧にできる奴はいない。まぐれでもできるってことは、いつか自分のものにすれば良いだけだ」
「はい」
ここまでできた自分を常に褒めろ。これは訓練の時に所長が常々言ってきたことだった。
昨日の自分があるから今日があり、明日の自分が存在するんだ。決して無駄にしなければ自ずと道は開ける。
初めて聞いた時は、ニートで毎日を無駄に消化してきた自分を恨んだよ。だけど所長は、そんな時代があったから今の自分があると言ってくれた。
過去に違う選択をしていたら、今ここにいる未来はなかったということだ。その、かもしれない未来が幸せかどうかは関係ない。今が幸せであろうとすることだと。
自分のした行いが、良い事ならば良く、悪い事ならば悪く物事は進んで行く。
幸せになるために良い行いをしていけば、良い未来があると。その未来を作ったのが過去の自分。つまり今を意識している自分ということなのだ。
今日現れた敵は、今後命に関わってくるかもしれない。だけど、逃げるわけにはいかない、逃げても良い事はないはずだ。悪い事が先延ばしになるだけだろう。
「そういえば所長、五大明王って俺が加わるって悪い冗談でしょ?アイツ完全にキレてましたよ」
「宣伝しといたから、これからは名指しで殺しにくるかもな。ハッハッハー」
笑えない冗談なんですけど。
「ウタル、お前にはなれる素質があるし努力も真面目にする。俺が保証するから自信もっていこうぜ。その前に攻めてこられたらお手上げだけどな。ハッハッハー」
お手上げなのは、所長にですわ。
「ブラックソードから炎が出てきたのも、偶然ですかね?ああいう仕組みなのですか?」
「そうだな。人にはそれぞれ属性があってだな、俺は雷なんだがウタルは炎って感じでブラックソードが反応するんだ。前にも言ったかもしれないが、悪の心が強くなったらコイツに取り込まれるから気を付けておくようにな。ま、ウタルなら大丈夫だと思うがね」
俺は炎なのか。普通に考えて雷よりも速度は遅いけど、特性を活かした戦い方をしていけば良いのだな。
他の人達、アイツ等はエージェントって呼んでたけど、色んな属性を持ってる人がいるってことか。同じ属性を持った人もいるかもしれない、だけど同じ属性なら負けたくないな。同じエージェントで勝ち負けってのはおかしいが、強くありたい。そう考えると、その為の技術格闘大会なのかもしれないな。
技術格闘大会で思い出したが、火傘車さんと一緒に付いてきてた新人も属性があるってことか?名前も知らないが同じエージェントとしてこれから戦っていくなら、今度名前位は聞いといてやるか。
※
ふとスマホをみると曜子から連絡が届いていた。
「いつまでサボってんのよ!どうせ女の子の尻でも見てたんでしょ?変態なんだから!聞いてると思うけど、明日退院だから。祝いにケーキくらいは何個か食べてあげるわよ」
最初の連絡から、随分時間が経っていてその後も『無視するな』とか『なにやってんのよ』とか沢山届いていた。時間的に電話をしたくても遠慮をしたのかもしれないな。最後の方には、『大丈夫?』とか入ってた辺りは、やはり素直にしてれば可愛いやつなんだなと。
変な心配をかけてしまったが、心配をしているのは俺の方だというのに。
明日、ケーキの手土産を持って、きっちりケジメをつけてこよう。
俺の長い一日が終わり、帰りのタクシーの中から夜景を見て、刻《とき》は確実に流れていることを実感した。
「はい」
ここまでできた自分を常に褒めろ。これは訓練の時に所長が常々言ってきたことだった。
昨日の自分があるから今日があり、明日の自分が存在するんだ。決して無駄にしなければ自ずと道は開ける。
初めて聞いた時は、ニートで毎日を無駄に消化してきた自分を恨んだよ。だけど所長は、そんな時代があったから今の自分があると言ってくれた。
過去に違う選択をしていたら、今ここにいる未来はなかったということだ。その、かもしれない未来が幸せかどうかは関係ない。今が幸せであろうとすることだと。
自分のした行いが、良い事ならば良く、悪い事ならば悪く物事は進んで行く。
幸せになるために良い行いをしていけば、良い未来があると。その未来を作ったのが過去の自分。つまり今を意識している自分ということなのだ。
今日現れた敵は、今後命に関わってくるかもしれない。だけど、逃げるわけにはいかない、逃げても良い事はないはずだ。悪い事が先延ばしになるだけだろう。
「そういえば所長、五大明王って俺が加わるって悪い冗談でしょ?アイツ完全にキレてましたよ」
「宣伝しといたから、これからは名指しで殺しにくるかもな。ハッハッハー」
笑えない冗談なんですけど。
「ウタル、お前にはなれる素質があるし努力も真面目にする。俺が保証するから自信もっていこうぜ。その前に攻めてこられたらお手上げだけどな。ハッハッハー」
お手上げなのは、所長にですわ。
「ブラックソードから炎が出てきたのも、偶然ですかね?ああいう仕組みなのですか?」
「そうだな。人にはそれぞれ属性があってだな、俺は雷なんだがウタルは炎って感じでブラックソードが反応するんだ。前にも言ったかもしれないが、悪の心が強くなったらコイツに取り込まれるから気を付けておくようにな。ま、ウタルなら大丈夫だと思うがね」
俺は炎なのか。普通に考えて雷よりも速度は遅いけど、特性を活かした戦い方をしていけば良いのだな。
他の人達、アイツ等はエージェントって呼んでたけど、色んな属性を持ってる人がいるってことか。同じ属性を持った人もいるかもしれない、だけど同じ属性なら負けたくないな。同じエージェントで勝ち負けってのはおかしいが、強くありたい。そう考えると、その為の技術格闘大会なのかもしれないな。
技術格闘大会で思い出したが、火傘車さんと一緒に付いてきてた新人も属性があるってことか?名前も知らないが同じエージェントとしてこれから戦っていくなら、今度名前位は聞いといてやるか。
※
ふとスマホをみると曜子から連絡が届いていた。
「いつまでサボってんのよ!どうせ女の子の尻でも見てたんでしょ?変態なんだから!聞いてると思うけど、明日退院だから。祝いにケーキくらいは何個か食べてあげるわよ」
最初の連絡から、随分時間が経っていてその後も『無視するな』とか『なにやってんのよ』とか沢山届いていた。時間的に電話をしたくても遠慮をしたのかもしれないな。最後の方には、『大丈夫?』とか入ってた辺りは、やはり素直にしてれば可愛いやつなんだなと。
変な心配をかけてしまったが、心配をしているのは俺の方だというのに。
明日、ケーキの手土産を持って、きっちりケジメをつけてこよう。
俺の長い一日が終わり、帰りのタクシーの中から夜景を見て、刻《とき》は確実に流れていることを実感した。
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