令嬢である妹と一緒に寝ても賢者でいられる方法を試してたらチート能力が備わった件

つきの麻友

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鏡の世界から

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「待たせたか?」

 天使の寝顔の産みの親であるロイエルーン様の御登場である。

 濡れた髪を拭きながら、ガウン姿で現れた。俺が来てるのはジュリアーノに聞いていたのだろう。

 部屋には俺を入れて五人しかいない。隠れているのか監視してるのかはわからないが。

「護衛つけなくていいのかよ?」

「貴様が私を襲うというのか? 突然現れて私のお尻で窒息死しそうだった貴様がか?」

 穴があったら入りたい感情とはこのことだろう。突き飛ばされる前に苦しかったのは、そういうことだったのか。

 もっとマシな転生の仕方はないのか!? と、俺は転生の係の者がいるなら抗議したいところだ。

「貴様の目的は知らんが、転生者として迎えてやろうというのだ。どうだ! 心広いだろ? フハハハハ」

「お、俺のことをわかってくれるのか?」

 ロイエルーンは目の前のソファに座って足を組んだ。

 髪を拭いていたタオルを肩に掛けたところで見たが、本当に猫耳は見当たらなった。

「詳しいことはジュリアが説明する」

 テーブルに一冊の本を出してきたジュリアーノの頭を見たが、猫耳はなかった。ジュリアーノも経験者ってことなのか。

 一歩引いた雰囲気は立場的なこともあるのか、スラッとして切れ長の目が出来る女を思わせる。整った顔立ちはモテるんじゃないだろうか?

 突き飛ばされた時に、もっとよく裸を目に焼き付けとけばよかったな。

「なんだ?」

「いや、なにも」

 心を見透かされたようで恥ずかしい。

 出された本を手に取って、日本語で書かれていることに驚いた。

万葉子まんようこ? なにこれ? 万葉集みたいじゃん」

万葉子まんようしって読むそうだぞ」

「あー、聖徳太子的に読むんだ。けどなんで、日本語? 表紙だけか」

 パラパラとめくって見みたが、中は俺が読めるような文字は一つもなかったのでそっと本を閉じだ。この世界の言葉なのだろう。

「これはレプリカで本物は国営美術館に保管されている。シュバイツェル家に代々受け継がれてきた……」

「受け継がれてきた?」

 俺は息を呑んだ。

「日記だよ」

「日記?」

「ああ。約二千年前に突如現れた異なる世界からの使者が残した日記と伝えられている」

 それを聞いてもう一度めくってみた。

「ペラペラなんですけど。しかも殆ど書いてない、三日坊主的な感じなんですけど」

 これ見て? と言わんばかりにペラペラの本をジュリアーノにチラつかせた。

「ぞんざいに扱うな」

 俺から取り上げてテーブルにジュリアーのは本を戻す。

「それで、なんて書かれているんだ?」

 コホンと一度咳をして、慎重にジュリアーノは本を読みだした。

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