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2.恋人になった日
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·.⟡┈┈┈┈┈︎┈┈┈┈┈⟡.·
俺が高3に上がる年の3月末
大学を卒業した旻が
隣に帰って来た
毎日会えると喜んだのも束の間
俺の気持ちを知らない旻は
相変わらず冷たくて
家の外では “旻” と
呼ぶことすら禁じられた
──そんな冷えきった関係
ただの幼馴染だった俺たちが
付き合うことになったきっかけ
それは俺の18歳の誕生日
9月1日の約2ヶ月前の6月末
日曜日に起きた出来事だった
その日は受験勉強の息抜きに
ライブビューイングを
観に行くことにしていた
旻も好きなアーティストだから
もしかして観に行くかな?
って思ったけど
ずっと避けれていたから
聞けないままでいた
朝起きて部屋の窓から隣を見ると
すでに旻の車がなくて
確認するまでもなく
別の予定があるのだと思い
一人で映画館に向かった
6月末の外はめちゃくちゃ暑い
館内に入りその涼しさに感謝しつつ
自分の席に着いた
俺は周りを気にしないから
気づかなかったんだけど
Tシャツの中にこもった
熱を逃がすために
パタパタしていると
「あ!」
って聞こえて隣を見たら
まさかの旻だったんだ!
「え? あ!
そ……ラ ん"ん"ッッ…コホン
七池先生、来てたんすね」
禁止されてる名前の呼び捨てを
しそうになって慌てた
偶然に外で会えるなんて
嬉しくてテンションが上がって
ちょっとイタズラしたら
めちゃくちゃ怒った旻が
半泣きの潤んだ目でこっちを見た
その色気と可愛さに
俺は心臓を掴まれたみたいになって
呼吸するのも忘れて
ぼーっと見蕩れていると
みるみる顔を真っ赤にした旻は
見たことのない速さで逃げ出した
「旻? 待って!」
慌てて追いかけたけど
そのまま車で逃げられてしまった
「なんだよ今の反応」
まるで、俺のことを
意識してるみたいに見えた
まるで、俺を好きだと言ってくる
女子みたいな反応
「確かめないと……」
帰れば家は隣同士
旻に逃げ場はない
どこで時間をつぶしてきたのか
深夜に帰宅したところを
旻の部屋で待ち伏せして問い詰めた
この時の狼狽えた反応がどう見ても
嫌われてるとは思えなくて
「旻、俺のこと好きだろ」
ほぼ確信したうえで聞くと
隠すのが下手な旻は
か細い声で『違う』と言いながら
慌てて目を逸らした
「はい嘘だ! はい確定!
それなら逃がさないからな!」
10年近く俺を避けまくり
ずっと逃げてた旻を捕まえて
この日から2ヶ月かけて
根気強く口説き落とした
なぜ2ヶ月もかかったのか……
それは旻が俺を好きだと
態度では認めていても
『男同士なんて変だ』とか
『お前はまだ未成年の子供』とか
言い訳ばかりで
認めようとしないからだった
確かに俺はまだ子供だけど
物心ついた頃には旻が好きで
男とか女とか関係なくて
俺の中のナンバーワンが旻
旻を超える存在はこの世にいない
「俺の旻への “好き” を
否定する権利は旻にもない」
この言葉で旻は押し黙った
ただ……
俺の0歳からの18年間と
旻の5歳からの18年間とでは
中身はかなり違うみたいで
旻は気にしすぎだと思うけど
モラルのハードル?
それも旻が自分で積み上げて
どんどん高くしたんだけど
どうしてもそれが越えられなくて
ずっと苦しんでいたみたいだった
『世間の目はそんなに甘くない
思いとどまるなら今しかない』
「あん? 思いとどまるだぁ?」
18年積み上げた物が
溢れ出したのに止まるわけがない
『冷静になれ……
俺たちは男同士なんだ
誰にも祝福されない』
「は? 意味わかんねぇ!
旻は誰に祝われたいんだよ」
『別に……誰とかじゃなくて』
「俺を好きなんだろ?
その俺を手に入れるより
他人が祝福する相手がいいの?
俺じゃない誰が欲しいわけ?」
『そうじゃないけど……』
「けど、なんだよ!」
『お前には分からないよ!
俺がどれだけ悩んで考えて
気持ちを隠してきたかなんて!』
しぶとい……となると
このハードルをぶっ壊せるのは
俺しかいないだろ?
だから
「うるせぇよ! 知るかそんなの!
つまんねぇモノ積み上げやがって!
そんなモノ俺が越えてやる」
そう言って近づくと
口では怒りながらも最後には
泣き笑いしながらOKしてくれた
そんな感じで
旻は俺を好きなくせに認めなくて
かなり頑固だったけど
俺も諦める気はなかったから
最終的に俺が勝った、って感じ
誕生日の夜は夢のようだった
初めて旻の柔らかな唇に触れ
貪るようにキスをした
俺たちが恋人になった日
それは俺の18歳の誕生日
この日もらった
どのプレゼントよりも嬉しかった
·.⟡┈┈┈┈┈︎┈┈┈┈┈⟡.·
俺が高3に上がる年の3月末
大学を卒業した旻が
隣に帰って来た
毎日会えると喜んだのも束の間
俺の気持ちを知らない旻は
相変わらず冷たくて
家の外では “旻” と
呼ぶことすら禁じられた
──そんな冷えきった関係
ただの幼馴染だった俺たちが
付き合うことになったきっかけ
それは俺の18歳の誕生日
9月1日の約2ヶ月前の6月末
日曜日に起きた出来事だった
その日は受験勉強の息抜きに
ライブビューイングを
観に行くことにしていた
旻も好きなアーティストだから
もしかして観に行くかな?
って思ったけど
ずっと避けれていたから
聞けないままでいた
朝起きて部屋の窓から隣を見ると
すでに旻の車がなくて
確認するまでもなく
別の予定があるのだと思い
一人で映画館に向かった
6月末の外はめちゃくちゃ暑い
館内に入りその涼しさに感謝しつつ
自分の席に着いた
俺は周りを気にしないから
気づかなかったんだけど
Tシャツの中にこもった
熱を逃がすために
パタパタしていると
「あ!」
って聞こえて隣を見たら
まさかの旻だったんだ!
「え? あ!
そ……ラ ん"ん"ッッ…コホン
七池先生、来てたんすね」
禁止されてる名前の呼び捨てを
しそうになって慌てた
偶然に外で会えるなんて
嬉しくてテンションが上がって
ちょっとイタズラしたら
めちゃくちゃ怒った旻が
半泣きの潤んだ目でこっちを見た
その色気と可愛さに
俺は心臓を掴まれたみたいになって
呼吸するのも忘れて
ぼーっと見蕩れていると
みるみる顔を真っ赤にした旻は
見たことのない速さで逃げ出した
「旻? 待って!」
慌てて追いかけたけど
そのまま車で逃げられてしまった
「なんだよ今の反応」
まるで、俺のことを
意識してるみたいに見えた
まるで、俺を好きだと言ってくる
女子みたいな反応
「確かめないと……」
帰れば家は隣同士
旻に逃げ場はない
どこで時間をつぶしてきたのか
深夜に帰宅したところを
旻の部屋で待ち伏せして問い詰めた
この時の狼狽えた反応がどう見ても
嫌われてるとは思えなくて
「旻、俺のこと好きだろ」
ほぼ確信したうえで聞くと
隠すのが下手な旻は
か細い声で『違う』と言いながら
慌てて目を逸らした
「はい嘘だ! はい確定!
それなら逃がさないからな!」
10年近く俺を避けまくり
ずっと逃げてた旻を捕まえて
この日から2ヶ月かけて
根気強く口説き落とした
なぜ2ヶ月もかかったのか……
それは旻が俺を好きだと
態度では認めていても
『男同士なんて変だ』とか
『お前はまだ未成年の子供』とか
言い訳ばかりで
認めようとしないからだった
確かに俺はまだ子供だけど
物心ついた頃には旻が好きで
男とか女とか関係なくて
俺の中のナンバーワンが旻
旻を超える存在はこの世にいない
「俺の旻への “好き” を
否定する権利は旻にもない」
この言葉で旻は押し黙った
ただ……
俺の0歳からの18年間と
旻の5歳からの18年間とでは
中身はかなり違うみたいで
旻は気にしすぎだと思うけど
モラルのハードル?
それも旻が自分で積み上げて
どんどん高くしたんだけど
どうしてもそれが越えられなくて
ずっと苦しんでいたみたいだった
『世間の目はそんなに甘くない
思いとどまるなら今しかない』
「あん? 思いとどまるだぁ?」
18年積み上げた物が
溢れ出したのに止まるわけがない
『冷静になれ……
俺たちは男同士なんだ
誰にも祝福されない』
「は? 意味わかんねぇ!
旻は誰に祝われたいんだよ」
『別に……誰とかじゃなくて』
「俺を好きなんだろ?
その俺を手に入れるより
他人が祝福する相手がいいの?
俺じゃない誰が欲しいわけ?」
『そうじゃないけど……』
「けど、なんだよ!」
『お前には分からないよ!
俺がどれだけ悩んで考えて
気持ちを隠してきたかなんて!』
しぶとい……となると
このハードルをぶっ壊せるのは
俺しかいないだろ?
だから
「うるせぇよ! 知るかそんなの!
つまんねぇモノ積み上げやがって!
そんなモノ俺が越えてやる」
そう言って近づくと
口では怒りながらも最後には
泣き笑いしながらOKしてくれた
そんな感じで
旻は俺を好きなくせに認めなくて
かなり頑固だったけど
俺も諦める気はなかったから
最終的に俺が勝った、って感じ
誕生日の夜は夢のようだった
初めて旻の柔らかな唇に触れ
貪るようにキスをした
俺たちが恋人になった日
それは俺の18歳の誕生日
この日もらった
どのプレゼントよりも嬉しかった
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