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第3話 合意の上での敗北
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目の前でよく分からない事を言う黒地に金の装飾がされた下着姿の女騎士。見た感じ十代だろう。
身をよじる度に形のいい大きな胸が揺れる。
「えっと……なんで?」
「私の……負けです」
勝った記憶がないどころか、戦ってすらいない。
「私は私の負けを受け入れました。だからこれは合意の上の敗北です」
「何に合意したの!?」
俺は何も要求していないのに合意したと言われても意味がわからない。
「貴方は裸で剣を持って私の前に現れました。それはつまり、私を倒して抱きたいということ。大丈夫です」
何も大丈夫じゃない。
ドヤ可愛い顔して何を言ってるんだこの子は。
「そんな事言ってもないし思ってもないから。だからとりあえず服を着ようか」
「はい……」
なんで残念そうなんだよ。
◇◇◇
彼女が鎧を着たのを確認してから俺は再び声をかける。
「とりあえず自己紹介しとくな。俺の名前はレノ・ノクター。君は? この辺じゃ見たことないけど」
「私の名前はリリスです。王都から来ました。好きです」
やっぱりか。身につけている鎧には細かい装飾がされていて、この辺じゃ買えない高価な物だもんな。
「なんで王都からわざわざこんな所に? 何かのクエストって訳でもないだろ?」
「これを使って来ました。好きです」
彼女がそう言って見せてきたのは転移石。
一度行った場所に転移出来るが、使用するためには砕かないといけない為に一回しか使えない。王族や貴族、高ランクの冒険者しか持つことが出来ない非常に高価なものだ。
しかしそれは青の転移石のみ。赤い転移石の場合、完全ランダムでどこに飛ばされるかわからない為、比較的安価で市場に出回っているらしい。
そして、リリスが持っているのは赤い転移石だった。
「なるほどね。別に目的があって来た訳じゃなくて、たまたま飛ばされて来たってことか」
「そうなります。好きです」
…………。
「ちょっと一言いいか?」
「はい?」
「さっきから好きです好きです言ってくるのはなに?」
「好意を伝えてるだけですが?」
「なんで? さっき会ったばかりだよね? そもそもなんでいきなりあんなことを?」
「一目惚れです」
「は?」
「顔が好みだったんです」
「ん?」
「しゅき」
俺がもし十代だったのならすぐに受け入れてただろう。やったー! ラッキー! くらいの感覚で手を出してたに違いない。
だけど今はもう三十を越えたおっさんだ。なにをするにも慎重になるんだ。
あとから怖い兄ちゃんが出てこないかとか凄い疑ってしまうんだ。
二人で遊んだりしてこれ絶対いけるだろ! って思ってる矢先に「実は好きな人いるんだよね」とかいわれるのが怖いんだ!
あ、最後のはちょっと違うか。
そもそも顔が好みってのが信じられない。前世と合わせて六十年彼女いたことないからな……。
「ま、まぁ、とりあえずそれは一回置いておこう。……それにしてもなんでこんな危険なことを? 一歩間違えたら魔物の住処や海の上に飛ばされてたかもしれないのに」
「…………それならそれで別に良かったんです」
え?
身をよじる度に形のいい大きな胸が揺れる。
「えっと……なんで?」
「私の……負けです」
勝った記憶がないどころか、戦ってすらいない。
「私は私の負けを受け入れました。だからこれは合意の上の敗北です」
「何に合意したの!?」
俺は何も要求していないのに合意したと言われても意味がわからない。
「貴方は裸で剣を持って私の前に現れました。それはつまり、私を倒して抱きたいということ。大丈夫です」
何も大丈夫じゃない。
ドヤ可愛い顔して何を言ってるんだこの子は。
「そんな事言ってもないし思ってもないから。だからとりあえず服を着ようか」
「はい……」
なんで残念そうなんだよ。
◇◇◇
彼女が鎧を着たのを確認してから俺は再び声をかける。
「とりあえず自己紹介しとくな。俺の名前はレノ・ノクター。君は? この辺じゃ見たことないけど」
「私の名前はリリスです。王都から来ました。好きです」
やっぱりか。身につけている鎧には細かい装飾がされていて、この辺じゃ買えない高価な物だもんな。
「なんで王都からわざわざこんな所に? 何かのクエストって訳でもないだろ?」
「これを使って来ました。好きです」
彼女がそう言って見せてきたのは転移石。
一度行った場所に転移出来るが、使用するためには砕かないといけない為に一回しか使えない。王族や貴族、高ランクの冒険者しか持つことが出来ない非常に高価なものだ。
しかしそれは青の転移石のみ。赤い転移石の場合、完全ランダムでどこに飛ばされるかわからない為、比較的安価で市場に出回っているらしい。
そして、リリスが持っているのは赤い転移石だった。
「なるほどね。別に目的があって来た訳じゃなくて、たまたま飛ばされて来たってことか」
「そうなります。好きです」
…………。
「ちょっと一言いいか?」
「はい?」
「さっきから好きです好きです言ってくるのはなに?」
「好意を伝えてるだけですが?」
「なんで? さっき会ったばかりだよね? そもそもなんでいきなりあんなことを?」
「一目惚れです」
「は?」
「顔が好みだったんです」
「ん?」
「しゅき」
俺がもし十代だったのならすぐに受け入れてただろう。やったー! ラッキー! くらいの感覚で手を出してたに違いない。
だけど今はもう三十を越えたおっさんだ。なにをするにも慎重になるんだ。
あとから怖い兄ちゃんが出てこないかとか凄い疑ってしまうんだ。
二人で遊んだりしてこれ絶対いけるだろ! って思ってる矢先に「実は好きな人いるんだよね」とかいわれるのが怖いんだ!
あ、最後のはちょっと違うか。
そもそも顔が好みってのが信じられない。前世と合わせて六十年彼女いたことないからな……。
「ま、まぁ、とりあえずそれは一回置いておこう。……それにしてもなんでこんな危険なことを? 一歩間違えたら魔物の住処や海の上に飛ばされてたかもしれないのに」
「…………それならそれで別に良かったんです」
え?
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