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第4話 勇者
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過酷な状況になっても構わなかったってことは、もしかしたら何か嫌なことがあって自暴自棄になってるのかもしれない。だからあんなに簡単に抱かれようとしたんだろう。
俺にはわかる。前世ではそういう漫画やゲームが好きだったからな。
だからきっと今のリリスに必要なのは、落ち着ける場所でゆっくり休むことのはずだ。よし。
「なぁリリス。ちょっと提案があるんだけど聞いてくれるか?」
「はい。どんなプレイでも受け入れます」
「違う。そうじゃない」
「え?」
「もし良かったら俺が住んでる村でしばらく過ごしてみないか?」
「それはもしかして……プロポーズですね。わかります」
「全然わかってない。多分リリスは心が疲れてるんだよ。だから少し休んだ方がいい。俺が住んでる村は良い人ばかりだから、きっと落ち着けると思うんだ」
「村民公認のお付き合い……嬉しいです」
話が通じない。
もしかして俺が間違っているんだろうかと思い、どうすれば伝わるかを考えていると、いきなり洞窟の外から大きな衝撃音が聞こえた。
「な、なんなんだ!?」
「わかりません。行ってみましょう」
リリスは剣を握り、俺は手のひらに魔力を込める。出来れば実戦で試してからにしたかった。
「っ! なんだこりゃ」
「ひどい……」
外に出た俺達の目に映るのは、なぎ倒された木々と隆起した大地。そして、その中心で剣を振り回しながら叫ぶ男の姿。
「リリスゥゥゥゥ! 近くにいるんだよねぇ? 僕が会いに来たよ! 僕にはね、キミのいる場所はすぐに分かるんだ。だから逃げても隠れても無駄なぁんだよぉぉぉ!」
「な、なんかリリスの事探してるみたいだけど知り合いか!?」
「そんな……どうしてここに……」
リリスがそう呟くと男の動きはピタリと止まり、首だけをぐるりと回してこっちを見た。
「みぃぃぃつけたぁぁぁ!」
男はそう呟いた瞬間、何かに弾かれたかのような不規則な動きで目の前にくると、リリスに向かって剣を振り下ろす。しかしその剣はリリスの剣によって受け止められた。
「くっ!」
「会いたかったよリリス。なんで逃げるんだよリリス。でも無駄なんだよリリス。キミの着ている鎧には追跡用の魔石が埋め込んであるんだ。その剣にもペンダントにもキミが身に付けているものには全部さ! どうしてだと思う? それは僕がキミを愛しているからなんだよぉぉ!」
「くぅっ! もうやめてくださいっ!」
「イヤだぁよぉ~? だってやめたらまた逃げちゃうだろぉ? だから動けないようにしないといけないよねぇ!」
(おいおい……なんなんだコイツは。狂ってやがる)
男は誰が見てもまともとは思えない表情で何度も剣を振り下ろす。リリスは怯えながらもそれをなんとか受け止めているが、次第に押され始めていた。
(くそっ! ぶっつけ本番だけど頼むぜ女神様!)
「伏せろリリス!」
「はい!」
「誰だよお前ぇぇぇ!」
俺は手のひらを男に向けると、頭の中に浮かんだままに叫んだ。
「吹き飛べ! 【フレアカノン】」
「なっ!?」
放たれた巨大な炎の玉が男を吹き飛ばした。
「あぁぁぁっ! 熱い熱い熱いぃぃぃ!!」
炎に包まれて悶える姿を見ながらも俺は警戒は解かず、すぐにリリスの傍に駆け寄った。
「大丈夫か?」
「レノ様、ありがとうございます」
「上手くいってよかった。それよりアイツは誰だ? 知り合いなんだろ?」
「……勇者様です」
「え?」
「あの人はこの国の第一王子であり、神託によって選ばれた現在の勇者様なんです」
は? あれが勇者? 嘘だろ?
俺にはわかる。前世ではそういう漫画やゲームが好きだったからな。
だからきっと今のリリスに必要なのは、落ち着ける場所でゆっくり休むことのはずだ。よし。
「なぁリリス。ちょっと提案があるんだけど聞いてくれるか?」
「はい。どんなプレイでも受け入れます」
「違う。そうじゃない」
「え?」
「もし良かったら俺が住んでる村でしばらく過ごしてみないか?」
「それはもしかして……プロポーズですね。わかります」
「全然わかってない。多分リリスは心が疲れてるんだよ。だから少し休んだ方がいい。俺が住んでる村は良い人ばかりだから、きっと落ち着けると思うんだ」
「村民公認のお付き合い……嬉しいです」
話が通じない。
もしかして俺が間違っているんだろうかと思い、どうすれば伝わるかを考えていると、いきなり洞窟の外から大きな衝撃音が聞こえた。
「な、なんなんだ!?」
「わかりません。行ってみましょう」
リリスは剣を握り、俺は手のひらに魔力を込める。出来れば実戦で試してからにしたかった。
「っ! なんだこりゃ」
「ひどい……」
外に出た俺達の目に映るのは、なぎ倒された木々と隆起した大地。そして、その中心で剣を振り回しながら叫ぶ男の姿。
「リリスゥゥゥゥ! 近くにいるんだよねぇ? 僕が会いに来たよ! 僕にはね、キミのいる場所はすぐに分かるんだ。だから逃げても隠れても無駄なぁんだよぉぉぉ!」
「な、なんかリリスの事探してるみたいだけど知り合いか!?」
「そんな……どうしてここに……」
リリスがそう呟くと男の動きはピタリと止まり、首だけをぐるりと回してこっちを見た。
「みぃぃぃつけたぁぁぁ!」
男はそう呟いた瞬間、何かに弾かれたかのような不規則な動きで目の前にくると、リリスに向かって剣を振り下ろす。しかしその剣はリリスの剣によって受け止められた。
「くっ!」
「会いたかったよリリス。なんで逃げるんだよリリス。でも無駄なんだよリリス。キミの着ている鎧には追跡用の魔石が埋め込んであるんだ。その剣にもペンダントにもキミが身に付けているものには全部さ! どうしてだと思う? それは僕がキミを愛しているからなんだよぉぉ!」
「くぅっ! もうやめてくださいっ!」
「イヤだぁよぉ~? だってやめたらまた逃げちゃうだろぉ? だから動けないようにしないといけないよねぇ!」
(おいおい……なんなんだコイツは。狂ってやがる)
男は誰が見てもまともとは思えない表情で何度も剣を振り下ろす。リリスは怯えながらもそれをなんとか受け止めているが、次第に押され始めていた。
(くそっ! ぶっつけ本番だけど頼むぜ女神様!)
「伏せろリリス!」
「はい!」
「誰だよお前ぇぇぇ!」
俺は手のひらを男に向けると、頭の中に浮かんだままに叫んだ。
「吹き飛べ! 【フレアカノン】」
「なっ!?」
放たれた巨大な炎の玉が男を吹き飛ばした。
「あぁぁぁっ! 熱い熱い熱いぃぃぃ!!」
炎に包まれて悶える姿を見ながらも俺は警戒は解かず、すぐにリリスの傍に駆け寄った。
「大丈夫か?」
「レノ様、ありがとうございます」
「上手くいってよかった。それよりアイツは誰だ? 知り合いなんだろ?」
「……勇者様です」
「え?」
「あの人はこの国の第一王子であり、神託によって選ばれた現在の勇者様なんです」
は? あれが勇者? 嘘だろ?
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