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桜姫、覚醒
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「ね、ねえ、赤狼君を回復しなくていいの?」
と桜子が言った。
「緑鼬君、赤狼君がずいぶんと傷ついてるわ!」
「いや、しかし、回復するには側まで行かないとならないし、万が一、桜子さんが闘鬼さんに捕まったら……」
「ケーン……」
と緑鼬と橙狐は気が進まない様子だ。
「でも、このままじゃ赤狼君、死んでしまうわ!」
「ねえ、何とか赤狼君の所に連れて行ってもらえない?」
「それは……」
「だって、だって」
と言っているうちにも金の鬼の攻撃は続く。体制を立て直す時間も与えられず、赤狼は相手の攻撃のされるがままだった。
「赤狼君……」
地面に倒れた赤狼の身体はぼろぼろで、美しい赤い毛皮は泥にまみれすり切れみすぼらしい姿になっていた。
ふっとある情景が桜子の脳裏をよぎった。
赤狼が苦しんでる。
山の中の岩がごろごろとした道だった。
闘いのせいで木々は倒れ、草木も踏みにじられている。
そこに赤狼が倒れている。
着物を着た自分が泣きながら、赤狼の方へ手を伸ばしている。
だが身体をきつく縛られ自由にならない。
何者かの影が赤狼に近づいた。
あまりに巨大なその影は自らの尾で赤狼の身体を巻き取り、ぱくん、と赤狼を口の中に放り込んで飲み込んだ。
「赤狼! いやじゃ、赤狼を喰うな! 赤狼!!」
自分は手を伸ばして赤狼の名を何度も叫んだ。
「姫……また会おう、必ず」
自分の耳にかすかに聞こえてきた赤狼の声。
と同時に赤狼を飲み込んだ者の身体が大爆発した。
「赤狼!!!!」
はっと我に返った瞬間に桜子は走り出していた。
「赤狼君、赤狼君!」
嫌だ嫌だ嫌だ。死んでしまう。また死んでしまう。赤狼がまた死んでしまう。
桜子はぼろぼろと涙を流しながら走った。
「桜子さん!」
慌てて緑鼬と橙狐が追いかける。
もちろんすぐに緑鼬に追いつかれ、前に回り込まれ足を止められる。
「どいて」
「駄目っす」
桜子は唇を噛みしめ、
『緑鼬! 下がりなさい!』
と怒鳴った。
「姫……」
濃緑の鼬は一歩下がる。
追いついて来た橙狐を見た桜子は、
『橙狐、お前も下がりなさい。姫は赤狼を助けに行きまする。もう二度と赤狼を死なせる事は許しません』
と言った。
「姫……なんすか」
と緑鼬は呟いた。
桜子は緑鼬と橙狐をよけてまた走り出した。
傷ついた赤狼はすぐそこに倒れている。
桜子は一生懸命、赤狼の元へ走った。
と桜子が言った。
「緑鼬君、赤狼君がずいぶんと傷ついてるわ!」
「いや、しかし、回復するには側まで行かないとならないし、万が一、桜子さんが闘鬼さんに捕まったら……」
「ケーン……」
と緑鼬と橙狐は気が進まない様子だ。
「でも、このままじゃ赤狼君、死んでしまうわ!」
「ねえ、何とか赤狼君の所に連れて行ってもらえない?」
「それは……」
「だって、だって」
と言っているうちにも金の鬼の攻撃は続く。体制を立て直す時間も与えられず、赤狼は相手の攻撃のされるがままだった。
「赤狼君……」
地面に倒れた赤狼の身体はぼろぼろで、美しい赤い毛皮は泥にまみれすり切れみすぼらしい姿になっていた。
ふっとある情景が桜子の脳裏をよぎった。
赤狼が苦しんでる。
山の中の岩がごろごろとした道だった。
闘いのせいで木々は倒れ、草木も踏みにじられている。
そこに赤狼が倒れている。
着物を着た自分が泣きながら、赤狼の方へ手を伸ばしている。
だが身体をきつく縛られ自由にならない。
何者かの影が赤狼に近づいた。
あまりに巨大なその影は自らの尾で赤狼の身体を巻き取り、ぱくん、と赤狼を口の中に放り込んで飲み込んだ。
「赤狼! いやじゃ、赤狼を喰うな! 赤狼!!」
自分は手を伸ばして赤狼の名を何度も叫んだ。
「姫……また会おう、必ず」
自分の耳にかすかに聞こえてきた赤狼の声。
と同時に赤狼を飲み込んだ者の身体が大爆発した。
「赤狼!!!!」
はっと我に返った瞬間に桜子は走り出していた。
「赤狼君、赤狼君!」
嫌だ嫌だ嫌だ。死んでしまう。また死んでしまう。赤狼がまた死んでしまう。
桜子はぼろぼろと涙を流しながら走った。
「桜子さん!」
慌てて緑鼬と橙狐が追いかける。
もちろんすぐに緑鼬に追いつかれ、前に回り込まれ足を止められる。
「どいて」
「駄目っす」
桜子は唇を噛みしめ、
『緑鼬! 下がりなさい!』
と怒鳴った。
「姫……」
濃緑の鼬は一歩下がる。
追いついて来た橙狐を見た桜子は、
『橙狐、お前も下がりなさい。姫は赤狼を助けに行きまする。もう二度と赤狼を死なせる事は許しません』
と言った。
「姫……なんすか」
と緑鼬は呟いた。
桜子は緑鼬と橙狐をよけてまた走り出した。
傷ついた赤狼はすぐそこに倒れている。
桜子は一生懸命、赤狼の元へ走った。
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