Dark world~Adventurers~

yamaken52

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第十五話 ニーフェの森

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オリディオール島の中で、最も大きい森。

ニーフェの森。

そして、大きな湖が森の奥に存在する。

そこに、有名な占い師『ビルハッド・ギンチェスター』なる人物がいると言う。

果たして、エルディア達は魔法陣に描かれた悪魔の存在を知ることができるのか?

エルディア、クフィン、カーリオの3人はレイアークから南へ馬に乗り、そこへ向かっていた……。


エルディア達は馬を走らせ、レイアークから南へ行き、オリディオール島で一番大きい森、『ニーフェの森』の入り口へ、たどり着いていた。

東西に広がる大きな森が3人の目の前にあった。

3人のいる場所からでは、森の切れ目が分らないほどだった。

時刻は真夜中で遥か上空には、やや雲のある夜空が広がり、ぼんやりと光る綺麗な月も出ていた。

いくつもの小さな虫の声が聞こえ、風はほとんど吹いていなかった。

ひんやりとした風が森の奥から草木の香りと共に、僅かに運ばれてくる程度だった。

そして月の光に照らされた森を良く見ると、遥か先に木が盛り上っている見える場所があったため、高い木は奥に進むほどあるようだ。

クフィンが森を見つめ、感想を呟いた。

「ここが、そうか……かなり大きな森だな……」

そして隣にいたカーリオが、ここに来たことはないか、2人に尋ねていた。

「誰か、ここに来たことはありますか?」

「……ない」

「俺もないぞ。カーリオ、お前はどうなんだ?」

「……あらら、私を含めて誰もないんですね……」

この大きな森は、町からも離れているため、島民たちは、何か特別な用事がない限り、誰も近づくことは普段しない場所だった。

だから辺りは、人の気配が全くなかった。

「道は、俺達の目の前にある。この道を進めばいいだけだろ、とにかく行くぞ」

この自警団の青年の言うとおり、3人の目の前には、一本の道が森の中へと続いていた。

幅は結構あり、3人が馬で横に並んで走っても余裕があるほどだった。

クフィンが森の中へ馬を走らせようとしたとき、エルディアが呼び止めた。

「……待って。ここから先は、きっと暗くて視界が悪いから、マナトーチの魔法を使おう……」

「エルちゃんの言う通りですね」

エルディアとカーリオは、マナトーチの魔法を使い、自分の杖とロッドに魔法の青白い光を宿らせた。

2人の手に持っている物が光り、辺りが一気に明るくなった。

そしてカーリオがクフィンに向って、やや恩着せがましそうに話し掛けていた。

「ああ、そうでした、あなたにも必要ですよね。しょうがないですから、友人である私がクフィンのその剣の鞘にかけてあげ……」

クフィンは、カーリオの言葉を遮るようにエルディアに馬を寄せ、話し掛けた。

「エルディア、俺の剣の鞘に頼む」

それを聞いたエルディアはすぐに魔法を詠唱し始めた。

「分った……」

カーリオは、口をあけて沈黙していた。

「………」

クフィンの方にも魔法の光りが宿り、彼は森の中へ歩みを進め始めた。

そして、振り返り、固まっているバルガの魔道師に向かって叫んでいた。

「おい、行くぞ、カーリオ!」

エルディアも後へ続いた。

「行こう、カーリオ……」

2人は馬を走らせ森の中へ入って行った。

カーリオは、呟きながら、渋々2人の後を追った。

「やれやれ……軽い冗談でしたのに……」

そして、3人はニーフェの森の中へ入った。

森の中は、木の間隔の広い場所だった。

道は草のない、地肌の見えた道で月の光が所々入り、地面を照らしていた。

「思ったより明るい……」

「この森の先に確か住んでいるんだったな……」

「ええ、母がよくここに来ていたそうなんです」

「何を占ってもらっていたんだ?」

「そう言えば、お2人には、まだ話していなかったですね……」

カーリオは、デュラハンの事について簡単に話した。

父親が殺され、自分たち家族の仇でもあることも。

「……なるほど、そんな奴がいるのか……」

「そうだったの……カーリオ……」

エルディアの沈んだ表情を見たカーリオは、すぐに彼女に気にしなくて良いと短く言っていた。

そしてエルディアは、故郷で聞いた物語のことを思い出していた。

(昔にウェン爺からユラトと一緒に聞いた話……懐かしい……だけど、本当の話だったの?……)

「ですから、もし、目撃することや有力な情報があったら、私かミレイに教えて頂けませんか?報酬も払いますよ?」

クフィンもこの事に関してはカーリオを気遣い、短く答えるのみだった。

「分った、覚えておこう……(お前にも、そんなことがあったのか……お前が何かが取りついたように石や女を求めているのは、そのためもあるのか……?まさかな……)」

「カーリオ、分ったわ……」

そして、3人はしばらく何も喋ることなく、馬を走らせていた。

すると、道が2つに分かれている場所へ着いた。

「道が分かれているな……」

「道しるべも何もないですね」

エルディアが、馬に乗ったまま2つの道が繋がっているいる場所へ近づくと、何かを見つけた。

「こっちに倒れてる……」

彼女が指を指した場所の道の分かれ目にある草むらに、木で出来た道標が半分朽ち、そして折れた状態で転がっていた。

カーリオが馬から降り、その道標を拾い、書かれた文字を読もうとした。

「……随分時間が経っているみたいで、文字が殆ど消えていて読めませんね……これでは……」

「よし、こうなったら二手に分かれるか……カーリオ、お前だけ、左の道を行け」

それを聞いたカーリオは頭を左右に何度か振り、クフィンに話しかけていた。

「……友人に対して酷い扱いですね……クフィン……」

「さっきのお返しだ」

クフィンは、レイアークの森の調査の時のことを言っているようだった。

「やれやれ……あなたが行くという手もあるんですよ?」

「それは、ダメだ。お前のような奴は、危険すぎるからな」

見かねたエルディアが2人の会話に割って入った。

「(もう……この2人は……)誰かが一人になるのはやめておいた方がいいわ、3人で行こう……」

「よし、3人で行くぞ、カーリオ」

「……はあぁ」

カーリオは、珍しく深いため息をついた。

「とにかく、ここで時間を潰すわけには行かないな……どうする?」

「私はどっちでもいい……」

「カーリオ、喜べ、お前に選ばせてやろう」

「なんですか……それは……ふぅ……まあ、いいでしょう……ん~」

カーリオは眉をひそめ、二つの道を良く見た。

右の道は、左の道に比べると広いように思えた。

しかも左の道は、草や木も茂り具合が多いようにも見えたため、彼は右の道を選択した。

「右にしましょう。右の道の方が利用者が多いように思えます。有名な占い師なら、客も多いはず、なら人通りが多い分、道も開けていると思いますからね」

「そうだな……無難な選択だな。それでは行こう、エルディア」

「わかった。カーリオ……ありがとう」

「いえいえ、お礼はまだ早いですよ、合っているかまだ分りませんからね」

「じゃあ、とりあえず、右へ行こう……」

「ええ、そうしましょう」

3人は右の道へ馬を走らせた。

ほぼ真っ直ぐに伸びた静かな夜の森の道を、エルディアたちは無言でしばらく進んでいた。

いくら進んでも景色は変わることなく、ひたすら似たような景色の道を走っているだけだった。

(しかし、何もないところだな……)

クフィンが心の中でそう思い、辺りを見回した。

それに気づいたカーリオは、クフィンに何かあったのか聞いていた。

「どうしました、クフィン?何か気になることでも?」

「いや、いい加減この景色に飽きただけだ」

「……そうですか、まあ、森の道なんてこんなもんですよ」

エルディアも辺りを見回し呟いていた。

「……あとどれぐらいあるのかな……」

カーリオが、彼女に答えていた。

「んー、どうでしょうねぇ……まだ先はあるのかもしれません。母に聞いた話だと、この先に大きな湖があって、そこの小島に館はあるということです」

「一人で住んでいるのか?」

「いえ、確か、お弟子さんも何人かいるとか聞いた気がします」

クフィンは、そこで何かに気づいた。

「そう言うことか……カーリオ……その中に女がいるんだろ」

カーリオは、やや驚いた表情になり、ブルーアッシュの髪の青年に尋ねていた。

「えっ……なぜ分ったんですか?」

「やはりな、占い師に若い女が多いのは誰でも知っていることだろ」

「もしかして……それが目当てだったの?……カーリオ……」

図星を指されたのか、やや動揺しながらカーリオは答えていた。

「さ、さあ、なんのことでしょうねぇ。きっとたまたまですよー」

「こいつ……絶対に知っていたな」

「そんなことありませんよー。私だって……」

その時、エルディアが前方を指差し、クフィンとカーリオに話し掛けていた。

「2人ともあれを見て……馬車が止まっている……」

2人とも話しを中断し、彼女が指差した場所を見た。

前方の遥か先に、馬車らしき黒い塊が見えた。

クフィンとカーリオは、目を細め見ていた。

「……本当ですね……しかし、また……」

「こんなところになぜあるんだ?」

「とにかく、行ってみよう……」

3人が馬で近づいて行くと、人の姿が見えた。

そして、向こうの一人がこちらに気づくと、馬車の中へ声をかけていた。

「おい!来たみたいだぞ!」

どうやら他にも人がいるようだった。

3人がそれなりに詳細が見える距離に近づくと、先ほど見えていた人物は、若い短髪の男だった。

薄茶色の皮の鎧を着ていて、ナイフをいくつも肩や腰にぶら下げていた。

そして、エルディアたちがそこへ到着すると、さらに2人の男が馬車から出てきた。

2人の男は、中年の男で最初に見た男と同じ装備でフードをかぶり、2人とも頬や顎に切り傷のある、ガラの悪そうな感じの人物だった。

一番若い男が下卑た笑みを浮かべながら、エルディアたちに話し掛けてきた。

「へへへっ……待っていたぜ、金はちゃんと持ってきたんだろうな?」

3人には、なんのことだか分らなかった。

クフィンが馬に乗ったまま近づき、思わず尋ねていた。

「………? お前ら、一体何を言っている?」

そんなクフィンの問いに対して、謎の男の一人がすぐに返してきた。

「……ん、お前ら、俺らの取り引き相手だろ?」

エルディアが怪訝な表情になり、呟いていた。

「………取り引き?」

男は、いい加減にしてくれと言わんばかりに両手を広げ、話しかけてきた。

「おいおい、慎重なのは分るが、こんな時間にこの森に人なんか来ねぇぞ、安心しろって」

「……あれ、合言葉とか決めていたか?……誰か、覚えてねぇか?」

「俺は聞いてねぇぞ……お前は?」

「さあ、どうだっただろうな……」

謎の男達は、3人で話し合っていた。

カーリオはすぐに、相手の風貌や会話から、この3人を如何わしい者達と判断したようだった。

そして、クフィンが相手と話している間に、馬車にさりげなく近づき、中を見た。

すると、高級そうな壺や絵画、椅子などの調度品が入っていた。

カーリオはそれらを見た瞬間、ピンと来るものがあった。

(―――!?……これは……盗品?……でしょうね……なるほど、そういうことですか……)

カーリオはすぐに、エルディアに近づき、相手に見えないように自分の持っているロッドで、軽くエルディアの肘を叩いた。

エルディアは、カーリオの方を見た。

カーリオは、彼女に目配せした後、顎で馬車の中を見るように促した。

そしてエルディアもカーリオと同じように馬車の中を見た。

それを見たエルディアは、目を大きく一瞬開け、カーリオの言いたかった事を理解した。

そして、すぐに元の表情に戻り、カーリオを見ると彼は既に、魔法の詠唱を相手にばれないように開始していた。

(……戦いたくはないけど……しょうがない……)

エルディアも、すぐに魔法の詠唱を開始した。

そして、噛み合わない会話から、怪訝に思ったこの3人の男達は、よくやく気づいたようだった。

「……おい、こいつら……ここをただ通りかかっただけの奴らじゃ……」

「なるほど……そういうことか……へへっ」

「見られちまったってことか……」

クフィンは、相手が殺気を放ち始めたことを感じ取った。

「……なんだ、おまえらは」

その時カーリオが、叫んだ。

「クフィン!彼らは盗賊ですよ!ここは盗品の取り引き場所だったみたいです!」

「……そういうことか……まあ、最初から胡散臭いとは思ったが……」

クフィンは馬から降り、腰の剣を素早く抜き放った。

夜盗たちが武器を手に持ち、下品な笑い声を出しながら、近づこうとしていた。

「金は持ってなさそうだが、身包み置いていけ!そうすれば命は助けてやろう」

男の一人が、冷静にエルディア達のパーティー構成を見ていた。

(目つきの悪い前の男は剣士か?あとは光る杖を持った奴が2人だから……魔道師2人か……面倒だな……だが……)

そして、男は叫んだ。

「おい!後ろの魔道師からやるぞ!」

3人は武器を腰にあったナイフに切り替え、魔道師に投げようと構えた。

それを見たクフィンは、相手を睨みつけながら、武器を構えた。

「ふん!下衆どもが!」

盗賊の男が目を細め、口に笑みを浮かべながらクフィンに話し掛けた。

「なんだ、やるのか?言っとくが俺らは、それなりに場数を踏んでるんだぜぇ、死ぬだけだぞ」

クフィンは表情一つ変えることなくロングソードを構え、答えていた。

「ただの冒険者崩れだろ、人の物を奪った方が効率が良いと思って、まっとうな人々から毟り取っているんだろ。罪を犯しているクズが!」

男の一人がそれに反論した。

「冒険者も似たようなもんだろ!彼らの戦利品もかつては誰かの物だったはずだ!」

相手を睨み付けながら、クフィンは夜の森の中で叫んだ。

「何百年も前の持ち主は、もはやいない……その人とって大切なものや墓にある物などは、普通の冒険者なら取ったりはしてないだろ。だが、お前らは今この世界で生きている他人を傷つけ、本能のまま行動しているだけだろうが!そんなものを同列に並べて正当化するな!」

「うるせぇ!」

男の一人がクフィンに向ってナイフを投げた。

クフィンはそれを片足で横に飛び、かわした。

そして、それを見た、他の2人も立て続けにクフィンに向ってナイフを投げた。

二本のナイフが正面と側面からクフィンに迫った。

彼は一本目を剣を使い弾くと、間をおかずに横からから来たナイフを今度は後ろに跳び、回避した。

だが、今度は最初に投げた相手が二本目のナイフをクフィンが後ろに跳んだ場所目掛けて投げていた。

「ははっ、俺らを舐めんなよ!」

クフィンは、相手が投げたナイフの軌道から、着地点を狙っていることを跳んだ瞬間に気づいた。

(相手はスカウトか……投げる位置が正確だ……だが!)

クフィンは、空中で剣の持ち方を変え、地面に自分の足ではなく、剣を突き刺した。

そしてナイフが、剣に当った。

金属がぶつかる音がする。

キィィィーン!

そして彼はそのまま、剣の柄へ乗り、後方へ更に跳んだ。

彼が着地すると同時にカーリオが魔法を完成させていた。

「クフィン、時間稼ぎありがとうございます……」

「早くしろ、カーリオ!」

「(ふふっ、ダリオさんから教えてもらった、この魔法をまずは使いますか……抵抗があったとしても、少しの間だけでも止めることが出来れば、それでいいですからね!)―――サンドフェッター!」

すぐに魔法の効果が現れ、盗賊たちの足に地面から砂が集り、彼らの足に纏わりついた。

それを見たクフィンは、剣を手に取り、敵の元へ走った。

男たちは、魔法の効果に驚き、体をくねらして抵抗してみるが、ほとんど動けないようだった。

「やべぇ!動けねぇ!」

「くそっ!……なんだ、これは!?」

「やはり、まずは魔道師を狙え!」

腕はなんとか動いたため、男の一人がナイフを取り出し、投げた。

そして、今度はエルディアの魔法が完成した。

「―――ロックシュート!」

エルディアに投げられた1本のナイフが、打ち出された魔法の岩に弾かれ、敵の顔面に向った。

しかし、敵も上半身はなんとか動かす事が出来たため、頭を動かし、それを避けた。

それを確認した、ブルーアッシュの髪の青年は体制を低くし、一気に敵に近づいた。

そして、敵の腹に素早く、拳を叩き込んだ。

鈍い音がし、男は苦痛に顔を歪めた。

「ガハッ!……」

そのまま男は、腹を抱え、その場でうずくまった。

そして今度は一瞬の間を置くことも無く、もう一人の敵へ彼は向った。

敵である賊の男は、ちょうどナイフをエルディアの方へ、再び投げようとしていたところだった。

(―――させはしない!)

クフィンは目一杯走り、敵のところへ滑り込んだ。

着いたとこきには、彼女へナイフを投げる瞬間だった。

それを見たクフィンは、咄嗟に敵の手元へ滑りながら近づくと、夜空へ向けて剣を振り上げた。

再び、金属の衝突する音が鳴った。

敵のナイフは、彼の剣によって飛ばされ、近くの木に刺さり、「ビィィーン」と音がし、震えていた。

「―――なんだと!?」

男は驚いていた。

「―――くそっ!こいつ、強い!」

そして、そのままクフィンは一気に近づき、剣を相手の首に押し当てた。

彼はその格好のまま、男に顔を少しだけ近づけると、冷たく睨み、囁いていた。

「……金の必要の無い所へ送ってやろうか?」

盗賊の男は、顔を青ざめさせ、手に持っていた武器を地面に捨てると、両手をあげ叫んでいた。

「お、俺の負けだ!……だから、命は……勘弁してくれ!」

そしてすぐにクフィンは、最後の一人の方へ視線を向けると、その男は、カーリオによって取り押さえられていた。

「クフィン……あまり挑発しないでください……」

クフィンはカーリオの言葉を無視し、エルディアに向って叫んだ。

「エルディア!悪いが馬車の中に何か縛るものがないか見てくれ」

「分った……」

彼女はすぐに盗品を縛っていたロープを見つけ、クフィンとカーリオに渡した。

そして、盗賊たちの手首と足首をロープで縛った。

「ふぅ……とんだ厄介ごとに巻き込まれてしまいましたねぇ……」

(どうしよう……)

エルディアは考えていた。

このまま、いったん森を出て、町へ連絡をしに行くか、それともこのまま、この男たちを放置して占いの館へ向い、そのあと森の外へ出るか。

一瞬、そう考えたが、やはり、連絡をしに戻った方がいいと彼女は思い、そう伝えようとしたとき、クフィンが2人に話しかけてきた。

「俺は自警団員だ。だから、俺が一人で町まで連絡に行ってくる。2人はそのまま、占いの館へ行ってくれ」

「……クフィン、いいの?」

「ああ、本当はカーリオの奴とエルディアを2人きりには、したくはないんだが……」

それを聞いたカーリオは、口元に笑みを浮かべた。

「ふふっ、いいんですかね……何かあるかもしれませんよ?」

そしてカーリオはわざとらしく、にやけて見せた。

それを見たクフィンは、すぐに冷酷な目になり、手に持った剣をカーリオに向けた。

「……その時は、お前を罪人として容赦なく切り捨ててやる」

「おお、怖いですねぇ……」

エルディアがすぐに2人に割って入った。

「カーリオは、こう言うときには変なことはしない人よ……」

「ええ、そうです。私は正々堂々とする人間ですからね」

クフィンは、カーリオと付き合うなかで、そういう人物では無いことを知っていたので、自分も行きたかったが諦め、2人に任せることにした。

「ふんっ!まあ、そこはそうだな……とにかく、さっさと行って終わらせてくるか……」

そして、クフィンが馬に乗ろうと歩みだした時、魔法の魔力を3人は感知した。

「―――!?」

「―――これは!?」

カーリオが、その正体について叫んだ。

「マナサーチです!」

驚いているエルディアたちを、尻目に賊の男の一人が、笑っていた。

「ふふふっ……やっと来たか……」

「……他にも仲間がいたのか?」

もう一人の男が、それに答えた。

「はははっ!俺達の取引相手に決まってんだろ!」

「そう言うことですか……」

そして、腹に拳をクフィンに入れられた男が、苦痛に顔を歪ませながら、嬉しそうに話していた。

「残念だったな……お前らは、俺達と取り引きする奴等に殺されるんだな!ははっ!」

クフィンは笑っている男たちに近づいた。

「……果たして、そうかな。今ここで、俺がお前らを始末してもいいんだぞ?そうすれば、取り引きは中止だ……」

彼は剣を抜き放ち、男の一人の顔の前で剣の刃を見せた。

思わず男は悲鳴をあげた。

「ひぃっ!」

それを見たエルディアが、すぐに止めに入った。

「クフィン!殺しちゃだめ!」

クフィンは冷静に答えていた。

「分っている……」

そしてカーリオは、今、自分が何をしなければならないかを思い出した。

「……とにかく、敵の数を知るためにも、こちらもマナサーチをして見ますね」

「カーリオお願い……」

2人が見守るなか、カーリオはすぐにマナサーチを唱えた。

「……マナサーチ!」

光の青白い矢のようなものが、四方に凄い速度を出し、散っていった。

そして目を閉じ、相手の状況を調べた。

「……ん。―――これは?!」

すぐに、反応があったようだった。

カーリオの表情がすぐに曇っていた。

不安な面持ちで、エルディアはバルガの魔道師に尋ねていた。

「どうしたのカーリオ?」

珍しく緊迫した声で、カーリオは叫んだ。

「2人ともすぐに馬に乗ってください!」

「カーリオ?」

「おい、何を感じた?」

カーリオはすぐに馬に飛び乗った。

ヒヒィィーーーン!

突然乗られたため、少し馬は驚いていた。

「どう、どう!」

カーリオは、慌てて馬の気持ちを鎮めていた。

そんなカーリオを見た2人もとりあえず、馬に乗ることにした。
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