チートアイテム強奪! 残念美女が嗅ぎ付け、俺を守りにやってくる!

jam

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プロローグ

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「1000万ドルでもダメですか。ならば仕方ありませんね」

 オーフェンは懐から銃を取り出し、発砲した。

 銃弾は対面に座る男の胸を貫く。男はものも言わず崩れ去り、その場に血だまりを作った。

「君たち。後始末をやっておきなさい」

 オーフェンが振り返って命ずると、部下たちは迅速に動く。死体袋に男を収め、血の付いたカーペットを引きはがし、ソファーを二人がかりで持ち上げ、外に止めてあるバンへ運んでいく。
 あっという間に痕跡は消え去った。

「ついに手に入るのだな」

 オーフェンは高鳴る胸を押さえ、屋敷を行く。
 屋敷の中は素晴らしい。世界中様々な時代の絵画、宝飾品、陶器、胸像など、見事なコレクションが整然と並べてあった。屋敷を見て歩くだけで世界旅行をした気分に浸れる。

 オーフェンは古代ギリシアコレクションの一角へ向かうと、数々の美術品を素通りして窓際で足を止める。そして手を伸ばし、花瓶にさしてある花を引っこ抜いた。

「ついに、ついに手に入れたぞ。花よ、私の名はオーフェンという。お前を手に入れるため多大な労力と金を費やしたのだ。さあ、応えてくれ」

 しかし花は応えない。
 オーフェンはわずかに肩を落とした。これは話すものではなかったのか。大当たりではなかったようだが、まあいい。第一歩は踏み出せたのだ。

「あの、ミスターオーフェン、聞きたいことがあります」
 部下の一人が言った。

「君はリーダーの……確かシーザーといったね。いったいどうしたんだ。君たちの仕事は成功だ。報酬ならボーナスをつけて払うぞ」

「ボーナス、ありがたくいただきます。しかし私が聞きたいのは別のことです。1000万ドルの値をつけ、暗殺チームを雇って、それで得るのがその花なのですか? ここには素晴らしい骨董品がほかにもたくさんあるのに」

 シーザーは驚き、不思議がっている。

 無理もないことだと、オーフェンはわずかに頬を緩めた。
 この花は特別な見た目をしていない。節くれだった太い茎から枝が何本も伸び、その先にタンポポに似た黄色い花が咲いている。長さはワインの瓶ほどで、フラワーショップに行けば2ドルか3ドルで似たものが買えるだろう。

 しかし私はこの花を求めていたのだ。

「そうだ、私はこのオオウイキョウという花を求めていた。古代世界から今に至るまで、忘れられることなく語り継がれてきた神話の花さ。『プロメテウスのほぐち』という呼び方のほうが有名だが、知らないかね?」

「はい、知りません」

「そうか。ならば『プロメテウスのほぐち』の力を見せてあげよう。さあ、神話の力を示せ」

 オーフェンは窓を開け放ち、花を星空向かって高く掲げる。すると窓から強烈な星明りが差し込んできた。夜闇があっという間に真っ白に変わる。まぶしい。目を開けていられない。誰もが目を閉じて手で保護した。
 やがて光は一つの柱のように収束し、スポットライトのように花を照らす。と、光は突然に消えた。

 屋敷の中は元の暗闇に戻った。

「何があったかわからないが、ここから離れるぞ。A班が先行して安全を確保し、B班はミスターオーフェンをフォローしろ。ミスターオーフェン、私についてきてください」

 シーザーは目が闇に慣れると、暗殺チームの部下に指示を飛ばした。

 オーフェンは肩をすくめる。
 今の光。花の力を知らない者にしてみれば驚くべきことなのだろう。防犯装置とでも思ったに違いない。シーザーは判断や行動が早くて優秀だとほめてやりたいところだが、違う。今のはそんなちゃちなものじゃない。

「今の光を心配する必要はない。プロメテウスのほぐちが目を覚ましただけだ」

 オーフェンはシーザーにプロメテウスのほぐちを向けた。花の先端にはいつの間にか炎がともっており、ゆっくりとだが力強く揺らめいている。

「さあ、君たちはここから離れなさい。さもなくばプロメテウスのほぐちに巻き込まれてしまうぞ」

「え、は? 巻き込まれるとはどういうことですか?」

「こういうことだよ」

 オーフェンはプロメテウスのほぐちを高く掲げた。すると花に灯った炎が力強さを増し、爆発的に燃え上がる。花を振るうと、炎が濁流のようにあふれ出した――。







 翌朝。

 ニューヨークのテレビ、新聞、ラジオ、ネットニュース、ありとあらゆるメディアが邸宅の火事をトップニュースにした。
 テレビでは、若いキャスターが邸宅の様子を伝えている。

「御覧の通り全焼です。住人は全員亡くなり、数多くの芸術品は盗まれることなく放置され、一夜にして灰と化しました。邸宅の主人は何者かから脅迫されており、警察に相談をしていたようです。脅迫の内容は『花を渡せ』という奇妙なものだったそうで、主人も警察も、花というのが何を指すのかわからず――」

「花を渡さないから放火ですって? 頭おかしいんじゃないかしら」

 テレビを見ていた女、フィオナは世の中の乱れに憤った。朝食のシリアルをわっしわっしと乱暴にむさぼる。そのうちに冷静さを取り戻し、事件を不思議に思った。

「花ねえ。不思議よねえ。ちょっと調べてみましょ」

 フィオナは独自の調査を進め、事件の真相を知った。

「これは……、陰謀だわ」

 恐ろしい。なんて恐ろしい陰謀。次に狙われるのはアレックスという男だ。彼はニューヨークでプロレスラーをやっている。
 今すぐ警告に行かなくては。
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