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策、ライオン教団の儀式
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ライオン男見参。フィオナはやれやれいう顔をしているが、アレックスは意味が分からず、思わず首をひねった。
「お前……、オカルトの仕事が過剰なストレスになって、頭が……。可哀そうに」
アレックスがフィオナの頭をなでると、その手がぺしっと払われた。
「違うってば。憐れんだ目で見ないで。っていうかまじめな話をするから茶化すんじゃないわよ。今、出発したばかりなのにオーフェンの部下に襲われたわよね。この調子じゃあ研究所に行くまであと10回も20回も襲われるに違いないわ」
「だよなあ。もううんざりだ」
「そううんざりよ。それにそれだけじゃないわ。街や人に被害が出る可能性もある。だから研究所に行くよりも先にオーフェンの襲撃を封じる必要があるわ」
「その言い方だと何かアイデアがあるのか?」
「それこそが『ライオン男見参』よ。あんたこそが毛皮の持ち主であると世界中に示すのよ。そうすればオーフェンもあんたを殺して毛皮を奪うなんてことできない。その方法が私のオカルト記事ってわけ。今から私の勤め先『デルポイ』に行ってあんたをインターネット記事にするわよ」
フィオナはそう言って歩き出したが、アレックスには気になることがあった。
「フィオナ。オカルト記事を書くだなんて、お前それでいいのかよ」
「あら。何か他にアイデアでもあるの?」
「そうじゃなくて、お前オカルト記事を書くのあんなに嫌がってたじゃないか。お前はタイタンコーポレーションのCEO、オーフェンの悪事を嗅ぎつけた記者なんだ。誰もが認める一流だよ。それなのにまたオカルトのアホ記事を書かなきゃならないなんて、あんまりじゃないか」
アレックスは力強く言った。フィオナのガッツに敬意を払いたかった。彼女はやりたくもないオカルト記事作りに耐え、その陰で努力を重ね、オーフェンの悪事の証拠をつかんだ。成功を勝ち取るはずだった。しかし証拠のスマートフォンはシーザーに踏み潰された。つかみかけた成功が悪党の手でつぶされ振り出しに戻されるというのは、彼女と同じく夢を追うものとして、どうにも耐え難い。
「アレックス、いいのよ。私はやるわ」
「無理すんなって。何か別の手を考えよう」
アレックスの言葉に胸を打たれ、フィオナはアレックスの手を握る。
「あんた、オーフェンの屋敷で私のスマートフォンが壊されたことを怒ってくれたじゃない。そのせいでボロボロにまでされて。私、嬉しかったの。それに、少しだけどかっこよかったわよ。だから、私はあんたを記事にしたいの」
「そうか。そこまで言うならいっちょやってくれ」
「オーケー。とびっきりのオカルト記事を書くわね。ということであと一枚だけ写真いいかしら?」
「おう。ほらこれでどうだ」
アレックスは力こぶを作って微笑んだ。
しかしフィオナはちっちっちと指をゆる。
「オカルト記事に必要なのはそういう普通の写真じゃない。今必要なのはズバリ『ライオン教団の儀式』よ。街灯にヘラクレスさんを引っかけてライオンのトーテムを作るから、あんたはそれの前でひざまずいてちょうだい」
「は? なんだよそれ。マジでオカルトっぽくて気味悪いんだが」
「オカルト記事なんてこんなもんよ。まともな神経じゃやってらんない。頭の電源をオフにしてからとりかかるべし。ほら、電源オフ」
フィオナはアレックスの背中をポチっと押してから、ライオンの毛皮を借り受ける。近くの街灯に引っ掛けて即席のライオントーテムを造ると、その前にアレックスをひざまずかせた。
「いいわねいいわね、とびっきりの記事ができるわよ」
フィオナはアレックスの姿を撮影すると、角度を変えつつ二度三度とシャッターを切る。
しかし彼女の目は死んでいる。
アレックスはそれを見逃さなかった。確かにまあ、こんな意味不明なことやるのは嫌だよな。あいつはこれを仕事として毎日やってるんだ。スクープに必死にもなるだろう。
「アレックスよ。私は今、何をやらされているのだ」
街灯に引っ掛けられたヘラクレスが困惑している。多くの困難を切り抜けた古代ギリシャの神は、実に二千年以上ぶりにこの気持ちを味わっている。
「俺だってわからねえよ」
アレックスは「もうどうにでもなれ」という思いでただフィオナに従い、ひざまずいたついでに祈る。どうかスターになれますように。
「お前……、オカルトの仕事が過剰なストレスになって、頭が……。可哀そうに」
アレックスがフィオナの頭をなでると、その手がぺしっと払われた。
「違うってば。憐れんだ目で見ないで。っていうかまじめな話をするから茶化すんじゃないわよ。今、出発したばかりなのにオーフェンの部下に襲われたわよね。この調子じゃあ研究所に行くまであと10回も20回も襲われるに違いないわ」
「だよなあ。もううんざりだ」
「そううんざりよ。それにそれだけじゃないわ。街や人に被害が出る可能性もある。だから研究所に行くよりも先にオーフェンの襲撃を封じる必要があるわ」
「その言い方だと何かアイデアがあるのか?」
「それこそが『ライオン男見参』よ。あんたこそが毛皮の持ち主であると世界中に示すのよ。そうすればオーフェンもあんたを殺して毛皮を奪うなんてことできない。その方法が私のオカルト記事ってわけ。今から私の勤め先『デルポイ』に行ってあんたをインターネット記事にするわよ」
フィオナはそう言って歩き出したが、アレックスには気になることがあった。
「フィオナ。オカルト記事を書くだなんて、お前それでいいのかよ」
「あら。何か他にアイデアでもあるの?」
「そうじゃなくて、お前オカルト記事を書くのあんなに嫌がってたじゃないか。お前はタイタンコーポレーションのCEO、オーフェンの悪事を嗅ぎつけた記者なんだ。誰もが認める一流だよ。それなのにまたオカルトのアホ記事を書かなきゃならないなんて、あんまりじゃないか」
アレックスは力強く言った。フィオナのガッツに敬意を払いたかった。彼女はやりたくもないオカルト記事作りに耐え、その陰で努力を重ね、オーフェンの悪事の証拠をつかんだ。成功を勝ち取るはずだった。しかし証拠のスマートフォンはシーザーに踏み潰された。つかみかけた成功が悪党の手でつぶされ振り出しに戻されるというのは、彼女と同じく夢を追うものとして、どうにも耐え難い。
「アレックス、いいのよ。私はやるわ」
「無理すんなって。何か別の手を考えよう」
アレックスの言葉に胸を打たれ、フィオナはアレックスの手を握る。
「あんた、オーフェンの屋敷で私のスマートフォンが壊されたことを怒ってくれたじゃない。そのせいでボロボロにまでされて。私、嬉しかったの。それに、少しだけどかっこよかったわよ。だから、私はあんたを記事にしたいの」
「そうか。そこまで言うならいっちょやってくれ」
「オーケー。とびっきりのオカルト記事を書くわね。ということであと一枚だけ写真いいかしら?」
「おう。ほらこれでどうだ」
アレックスは力こぶを作って微笑んだ。
しかしフィオナはちっちっちと指をゆる。
「オカルト記事に必要なのはそういう普通の写真じゃない。今必要なのはズバリ『ライオン教団の儀式』よ。街灯にヘラクレスさんを引っかけてライオンのトーテムを作るから、あんたはそれの前でひざまずいてちょうだい」
「は? なんだよそれ。マジでオカルトっぽくて気味悪いんだが」
「オカルト記事なんてこんなもんよ。まともな神経じゃやってらんない。頭の電源をオフにしてからとりかかるべし。ほら、電源オフ」
フィオナはアレックスの背中をポチっと押してから、ライオンの毛皮を借り受ける。近くの街灯に引っ掛けて即席のライオントーテムを造ると、その前にアレックスをひざまずかせた。
「いいわねいいわね、とびっきりの記事ができるわよ」
フィオナはアレックスの姿を撮影すると、角度を変えつつ二度三度とシャッターを切る。
しかし彼女の目は死んでいる。
アレックスはそれを見逃さなかった。確かにまあ、こんな意味不明なことやるのは嫌だよな。あいつはこれを仕事として毎日やってるんだ。スクープに必死にもなるだろう。
「アレックスよ。私は今、何をやらされているのだ」
街灯に引っ掛けられたヘラクレスが困惑している。多くの困難を切り抜けた古代ギリシャの神は、実に二千年以上ぶりにこの気持ちを味わっている。
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