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謎のスポンサー
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それからひと月。
オーフェンたちの襲撃はない。
しかもNWEは絶好調だった。紙ぺらだったチケットは入手困難なレアものと化し、無人の荒野だった宣伝用SNSはライオンの情報を集めるハンター達のたまり場になっていた。
もちろん今日の試合も満員の大盛況で、ロッカールームのレスラーたちはハイタッチでが喜びあっている。
そんなロッカールームのドアが勢いよく開けられ、裏方スタッフのブルースが息を切らせて飛び込んできた。
「みんな、聞け。大変なことが起きた。いいか、くれぐれも冷静に、落ち着いて聞くんだぞ」
「どうしたんだよ。お前のほうこそ落ち着けよ」
ブルースは胸に手を当てて呼吸を整え、話し出す。それでもなお声は震えている。
「驚くべきことに、NWEのスポンサーになってくれるという企業が現れた」
「うわおおおおおおお、マジかよ」
「ああ、マジだよ。しかも提供してくれる金額というのがまたすごくてな。聞いて驚け。なんとなんと、さ、さ、3、300万ドルだ」
ロッカールームは歓喜の渦につつまれた。皆がガッツポーズし、踊り、走り回り、喜びを爆発させる。
「それで、その300万ドルも出してくださる企業様ってのはいったいどこの誰なんだ? スポンサーといえば、リングコーナーとかに企業ロゴを張り付けたりするんだろ? かっこいいやつがいいな」
「それがちょっと変わった条件を二つ出されてな。企業名を明かさない、っていうのが一つ。もう一つはお前たちレスラーへの条件だ」
「ほう、何でも言ってくれよ。300万ドルくれるってんならケツをなめたっていいぜ」
「次の試合、アレックスとアンソニーをメインにしてほしいそうだ。フィニッシュ・ホールドもご指定で、トップロープからの攻撃で試合を締めてほしいそうだ。どうだアレックス、やるよな?」
「あったりまえだろ」
アレックスもがスポンサー様の指示に頷くと、レスラーたちもそれに続く。今やアレックスとアンソニーの対決はNWEで最も人気のある組み合わせだし、トップロープからの攻撃というのも人気がある。スポンサー様はプロレスをよくわかっている。企業名を明かさないという妙な条件を出されのは、ビジネスとしてスポンサーになってくれるのではなく、ファンだから応援したいという理由だろう。そう思うレスラーたちの士気が上がる。
「よっしゃ、アンソニー、それじゃあ今からトップロープの動きを練習しに行こうぜ。最高の試合にしなくちゃならん」
アレックスはそう言うと、ロッカーから練習着を取り出した。
トップロープからの攻撃とは、リングを囲うロープの最上段に上り、そこから飛び降りてレスラーにぶつかるというド派手な技だ。最高に盛り上がるが、その分危険もある。トップロープは120cmの高さがあるのだから当然だ。しかし、だからといってやらないレスラーはいない。練習を重ねて安全性を高め、ファンの歓声をつかむのだ。
「ああ、いいだろう。リングへ行ったら話もしたいしな」
「話ってなんだ? 別にここでしてもいいぞ」
「いいや、リングに行ってからだ。さ、行こうぜ」
こうしてアレックスとアンソニーはリングへ向かった。
ブルースはその背中に向かって「ケガだけはするなよ」と言い、レスラーたちが大騒ぎしているロッカールームから廊下に出る。そして懐からスマートフォンを取り出すと、スポンサー様に契約成立の旨連絡する。
「もしもし、NWEのブルースです。……ええそうです、レスラーたちが条件を了承しました。今後は私たちのスポンサーとして、どうか一つよろしくお願いします、タイタンコーポレーション様。……えっ、用具まで提供してくださるんですか。ありがとうございます」
オーフェンたちの襲撃はない。
しかもNWEは絶好調だった。紙ぺらだったチケットは入手困難なレアものと化し、無人の荒野だった宣伝用SNSはライオンの情報を集めるハンター達のたまり場になっていた。
もちろん今日の試合も満員の大盛況で、ロッカールームのレスラーたちはハイタッチでが喜びあっている。
そんなロッカールームのドアが勢いよく開けられ、裏方スタッフのブルースが息を切らせて飛び込んできた。
「みんな、聞け。大変なことが起きた。いいか、くれぐれも冷静に、落ち着いて聞くんだぞ」
「どうしたんだよ。お前のほうこそ落ち着けよ」
ブルースは胸に手を当てて呼吸を整え、話し出す。それでもなお声は震えている。
「驚くべきことに、NWEのスポンサーになってくれるという企業が現れた」
「うわおおおおおおお、マジかよ」
「ああ、マジだよ。しかも提供してくれる金額というのがまたすごくてな。聞いて驚け。なんとなんと、さ、さ、3、300万ドルだ」
ロッカールームは歓喜の渦につつまれた。皆がガッツポーズし、踊り、走り回り、喜びを爆発させる。
「それで、その300万ドルも出してくださる企業様ってのはいったいどこの誰なんだ? スポンサーといえば、リングコーナーとかに企業ロゴを張り付けたりするんだろ? かっこいいやつがいいな」
「それがちょっと変わった条件を二つ出されてな。企業名を明かさない、っていうのが一つ。もう一つはお前たちレスラーへの条件だ」
「ほう、何でも言ってくれよ。300万ドルくれるってんならケツをなめたっていいぜ」
「次の試合、アレックスとアンソニーをメインにしてほしいそうだ。フィニッシュ・ホールドもご指定で、トップロープからの攻撃で試合を締めてほしいそうだ。どうだアレックス、やるよな?」
「あったりまえだろ」
アレックスもがスポンサー様の指示に頷くと、レスラーたちもそれに続く。今やアレックスとアンソニーの対決はNWEで最も人気のある組み合わせだし、トップロープからの攻撃というのも人気がある。スポンサー様はプロレスをよくわかっている。企業名を明かさないという妙な条件を出されのは、ビジネスとしてスポンサーになってくれるのではなく、ファンだから応援したいという理由だろう。そう思うレスラーたちの士気が上がる。
「よっしゃ、アンソニー、それじゃあ今からトップロープの動きを練習しに行こうぜ。最高の試合にしなくちゃならん」
アレックスはそう言うと、ロッカーから練習着を取り出した。
トップロープからの攻撃とは、リングを囲うロープの最上段に上り、そこから飛び降りてレスラーにぶつかるというド派手な技だ。最高に盛り上がるが、その分危険もある。トップロープは120cmの高さがあるのだから当然だ。しかし、だからといってやらないレスラーはいない。練習を重ねて安全性を高め、ファンの歓声をつかむのだ。
「ああ、いいだろう。リングへ行ったら話もしたいしな」
「話ってなんだ? 別にここでしてもいいぞ」
「いいや、リングに行ってからだ。さ、行こうぜ」
こうしてアレックスとアンソニーはリングへ向かった。
ブルースはその背中に向かって「ケガだけはするなよ」と言い、レスラーたちが大騒ぎしているロッカールームから廊下に出る。そして懐からスマートフォンを取り出すと、スポンサー様に契約成立の旨連絡する。
「もしもし、NWEのブルースです。……ええそうです、レスラーたちが条件を了承しました。今後は私たちのスポンサーとして、どうか一つよろしくお願いします、タイタンコーポレーション様。……えっ、用具まで提供してくださるんですか。ありがとうございます」
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